【完結】ねこの国のサム

榊咲

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〈本編〉

サムとアゴ母さんと長老【《人の国》の事】1

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 サムはクロと別れると家に帰る道すがら、《人の国》への養子に行くにはどうしたら良いのか、誰に聞けば良いのか、いくら考えても思いつきません。仕方ないので、アゴ母さんに相談する事にしました。

「アゴ母さん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」
「なあに、サム」
「あのね、《人の国》へ養子に行くにはどうしたらいいの?僕、調べたんだけど、わからなかったんだ」

「ああ、その事ね。そうね、資料としては無いはずよ」
「ええ、どうしてなの、アゴ母さん」
「それだけ難しいってことよ」

「アゴ母さん、何とかならないの?」
「う~ん、そうねえ、少し待ってくれる?サム」
「わかったよ、アゴ母さん。……お願いします」

 サムはアゴ母さんに聞けば、すぐに分かると思っていたので、ちょっと期待外れで落胆してしまいました。でも、アゴ母さんは解らないとは言わなかったので、大人しく待つ事にしました。

◆◆◆◆◆

 サムがアゴ母さんに《人の国》への養子に行くにはどうしたらいいか聞いてから、数日経ちました。約束通りアゴ母さんはサムに回答を持ってきました。そして、アゴ母さんはサムを呼びました。

「アゴ母さん、わかったの?」
「えぇ、もちろんよ。でもね、ここでは話せないわ。ゴメンね、サム」
「そんな事ないよ!アゴ母さんはちゃんと調べてくれたじゃぁないか」

「それでね、サム。今から行く所で話をしたいけどいいかしら?」
「うん、いいよ。どこに行くの?」
「ええとね、ここでは行くところも話せないの。行きながら話すからついて来て」
「うん、わかった。じゃぁ、行こうよ」

 サムはアゴ母さんの言う事を聞いてついていく事にしました。

「サム、今から行くのは、長老の家よ」
「えぇ、長老の?」
「そうよ。サムの聞きたかった事は長老から話して貰えるわ」

 サムはアゴ母さんの話にビックリしてしまいました。まさか、長老から話を聞く事になるとは思って居なかったからです。

「アゴ母さん、どうして長老から話を聞くの?」
「あまり、養子のことは大っぴらには、話せない事なのよ」
「え、どうして?」

「それは、長老から聞いて頂戴ね」
「でも、アゴ母さん。僕が長老に直接聞いてもいいの?」
「ええ、大丈夫よ。母さんから長老にはサムが話を聞きたいと話してあるから」

「そうなんだね。わかったよ、アゴ母さん。無理言ってゴメンね」
「何言ってるの。そんな事で謝らなくていいの!親なんだから当たり前のことをしてるのよ。わかった、サム」
「うん、ありがとう、アゴ母さん」

 サムはアゴ母さんが長老にちゃんと話を通してくれた事に素直に感謝しました。
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