【完結】ねこの国のサム

榊咲

文字の大きさ
上 下
91 / 135
〈本編〉

チビとブチとミケ《将来の話》

しおりを挟む
 ブチとミケが帰省した翌日、ミケがブチを訪ねて来ました。ミケはブチからチビが将来の話が聞きたいと思っている事を前もって聞いていました。なので、ミケがブチを尋ねるとチビが笑顔で出迎えてくれた意味もわかっていました。

「チビちゃん、おはよう。ブチはいるかな?」
「ミケ兄ちゃん、おはようございます。ブチ兄ちゃんは居間にいるよ!」
「そう、じゃあお邪魔するね。居間まで案内して貰えるかな?」
「は~い、ミケ兄ちゃん、こっちだよ!」

 ミケはチビにブチのいる場所を聞き、チビに案内されてブチのいる居間に足を運びました。居間にはブチの他にアゴ母さんとサムもいました。

「アゴおばさん、おばさん、おはようございます」
「ミケちゃん、おはよう。朝、早くからごめんなさいね」
「ミケ、おはよう」
「おはよう、ブチ。サムちゃんもおはよう」
「ミケ兄ちゃん、おはよう」

 一通り、皆んなであいさつをしあって、本題に入る事にし、アゴ母さんがチビに話しかけます。

「チビ、ブチやミケちゃんに聞きたい事があったのよね」
「うん。ブチ兄ちゃん、ブチ兄ちゃんは今は修行中だよね?お家はどうやって探したの?」
「チビ、アゴ母さんからちょっと聞いたんだけど、将来の事を考えてるんだって?」

「うん、サム兄ちゃん達がそんな話してたから、チビも考えた方がいいのかなって思ったの」
「そうか。まだチビには早いと思うけどな……。俺達が今住んで居る所は、ミケのお父さんが探してくれたんだ。そうだったよな、ミケ」
「そうだよ、チビちゃん。だからチビちゃんだったら、アゴおばさんが探してくれると思うよ」

「そうなんだね。チビね、自分で探さないといけないのかと思って心配しちゃったんだ。聞けてよかった!」
「まあチビ。そんな事、心配してたの?母さんに聞けばよかったのに」
「まあまあ、アゴ母さん。サム達だってまだそこまでは知らないんだから、今聞いてくれたんだから良しとしようよ」
「そうね~。サムも母さんに聞きなさいよ。わかった?」
「わかったよ。アゴ母さん。それじゃあ、僕はこれから《人の国》の事を調べに行ってくるね」

 チビが質問したことで、サムにまでアゴ母さんのお小言がきてしまい、サムは《人の国》の事を調べに行く事にしました。

「そう、気を付けて行きなさいよ。サム」
「は~い、行ってきます」

「チビ、あと、何か聞きたい事があるの?今の内にブチに聞きなさいよ」
「あのね、ご飯とかはどうしてるの?」
「食事か~、ミケと一緒に作ったり、店に食べに行ったりしてるぞ」

「そうなんだよ、チビちゃん。最初はお店にばかり行ってたけどね。その内、家で作る様になったんだよ」
「そうそう。最初、作り始めた頃は失敗ばかりしてたんだよな~。今はなんとか食べられるモノが作れる様になったけど。一番初めに作ったのなんか、不味くて、不味くてなぁ。あの時は泣いたよな、ミケ」

「思い出させるなよ!ブチ」
「悪い、悪い。だからチビもアゴ母さんに料理を習っておいた方がいいぞ」
「そうなんだね。じゃあ、チビ、頑張ってアゴ母さんから習うよ」

「あとはいいのか、チビ」
「あとはね、修行は苦しくないの?」
「修行か?う~ん、修行といってもな~、仕事を斡旋あっせんして貰って、仕事したり、近所の掃除をしたりしてるんだ。そうだよな、ミケ」

「そうだよ、チビちゃん。あとは、近所のおじいさんやおばあさんとお話ししたりしてるよ」
「そうそう、おばあさん達からは料理を教えて貰ったよ。チビ」
「えー、そうなの?なんか楽しそう」

「まあまあ、ご近所さんに教えて貰ってたの、ブチ」
「ゴメン……。実はそうなんだ……」
「ハァ、なんで早く言ってくれなかったの?今度伺った時にお礼を言わなくっちゃねぇ。ブチ、そう言う事は早く行って頂戴ね。ご近所付き合いを円滑に進める基本よ。わかったわね」
「わかったよ。ゴメン、アゴ母さん」
「アゴおばさん、僕も忘れてたんだから、ブチを余り責めないで欲しいな」
「まあ、これからは2人とも忘れないで頂戴。報(報告)・連(連絡)・相(相談)よ」

 ここでチビの質問で、言い忘れていた事を言ってしまい、アゴ母さんに叱責されてしまったブチはアゴ母さんに平謝りしました。ミケも忘れていた事を謝りました。それに対して、アゴ母さんはすぐに連絡する様に念押しをしました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない

猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。 まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。 ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。 財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。 なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。 ※このお話は、日常系のギャグです。 ※小説家になろう様にも掲載しています。 ※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。

契約婚ですが可愛い継子を溺愛します

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
恋愛
 前世の記憶がうっすら残る私が転生したのは、貧乏伯爵家の長女。父親に頼まれ、公爵家の圧力と財力に負けた我が家は私を売った。  悲壮感漂う状況のようだが、契約婚は悪くない。実家の借金を返し、可愛い継子を愛でながら、旦那様は元気で留守が最高! と日常を謳歌する。旦那様に放置された妻ですが、息子や使用人と快適ライフを追求する。  逞しく生きる私に、旦那様が距離を詰めてきて? 本気の恋愛や溺愛はお断りです!!  ハッピーエンド確定 【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/09/07……カクヨム、恋愛週間 4位 2024/09/02……小説家になろう、総合連載 2位 2024/09/02……小説家になろう、週間恋愛 2位 2024/08/28……小説家になろう、日間恋愛連載 1位 2024/08/24……アルファポリス 女性向けHOT 8位 2024/08/16……エブリスタ 恋愛ファンタジー 1位 2024/08/14……連載開始

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

悪役令嬢は鏡映しの夢を見る

重田いの
ファンタジー
とあるファンタジー小説の悪役令嬢の身体の中に入った日本人の社畜の魂である「私」。 とうの悪役令嬢は断罪イベントの衝撃で死んでしまったあと。 このままいけば修道院に押し込められ、暗殺されてしまう! 助けてくれる男はいないので魔物と手を組んでどうにかします!! ほぼ一人で奴らをみなごろすタイプの悪役令嬢です。

二度目の転生は傍若無人に~元勇者ですが二度目『も』クズ貴族に囲まれていてイラッとしたのでチート無双します~

K1-M
ファンタジー
元日本人の俺は転生勇者として異世界で魔王との戦闘の果てに仲間の裏切りにより命を落とす。 次に目を覚ますと再び赤ちゃんになり二度目の転生をしていた。 生まれた先は下級貴族の五男坊。周りは貴族至上主義、人間族至上主義のクズばかり。 …決めた。最悪、この国をぶっ壊す覚悟で元勇者の力を使おう…と。 ※『小説家になろう』様、『カクヨム』様にも掲載しています。

後宮の棘

香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。 ☆完結しました☆ スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。 第13回ファンタジー大賞特別賞受賞! ありがとうございました!!

【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成) エロなし。騎士×妖精 ※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? いいねありがとうございます!励みになります。

レディース異世界満喫禄

日の丸
ファンタジー
〇城県のレディース輝夜の総長篠原連は18才で死んでしまう。 その死に方があまりな死に方だったので運命神の1人に異世界におくられることに。 その世界で出会う仲間と様々な体験をたのしむ!!

処理中です...