【完結】ねこの国のサム

榊咲

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〈本編〉

チビとチャシロとチロ《将来の話と〈人の国〉の話》

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 チビとチャシロとチロは一緒に遊んでいたのですが、ニセイとクロが話をしているのに、大きな声がたびたび出るので、気になっていました。3人は集まって、何を話しているのか、ボソボソと話し合いました。

「ねえ、ねえ、チャシロちゃん。ニセイ兄ちゃん達、何話してるのかな。わかる?」
「そうだねぇ、チビちゃんは何話してると思う?」
「全然わかんないから聞いてるのに!」

「ゴメン、ゴメン」
「チャシロ兄ちゃん。兄ちゃんはわかるの?」
「そうだよ。チャシロちゃん、わかるの?」

「いや、僕も分からないよ」
「なあんだ!やっぱりチャシロちゃんにも分からないんだ」
「本当にわからないの、兄ちゃん?」

「う~ん、なんとなく、そうじゃあないかな~、って思うのがあるけどね」
「ええ、それってどんなことなの?チャシロちゃん」
「兄ちゃん、僕も聞きたい」

 チャシロはニセイとクロが話している事を何となくわかったように思いました。もうそろそろ、兄達は独立する事を知っていたからです。だから、その事をチビとチロに話をする事にしました。

「あのね、兄ちゃん達だけどね、もう少ししたら独立しないといけないんだよね。それで、独立したら家を出る事になるんだけど、お仕事とか住む家とかの話をしてるんじゃあないかと思ったんだよ」
「え、ニセイ兄ちゃん達、家を出て行っちゃうの?」
「そうなの?…兄ちゃん」

「家を出て行くかは分からないよ。でもさ、ブチさんやミケさんは家を出てるでしょう!」
「あ、そうだ!ブチ兄ちゃん達、家を出てる!」
「ええと、ブチさんとミケさんって誰?」

 チロはブチとミケが分からなくて、チャシロとチビに誰の事か聞きます。チロもブチとミケにあった事はあるのですが、小さかったので覚えていないようです。仕方なくチャシロがチロに教える事にしました。

「チロ、ブチさんとミケさんにはあった事、あるはずだけど覚えてない?ほら、一度クロ兄ちゃんとチビちゃん達と一緒に行って遊んで貰っただろう?」
「そうだよ、チロちゃん。ブチ兄ちゃんとは少ししか遊べなかったけど、ミケ兄ちゃんとはいっぱい遊んだよ!」
「そうだったかな?……う~ん、もしかして、ブチさんってチビと同じ様なブチ柄の人?」

「そうそう、その人とミケ柄の人だよ。チロ」
「な~んだ。チロちゃん、覚えてるじゃん!」
「そっか~。あの人達か!」

 やっとチロもブチとミケの事を思い出したので、チャシロは話を続ける事にしました。

「ブチさんとミケさんはここにはいなかっただろう?独立してある一定期間、修行をするみたいだよ」
「じゃあさ、その修行が終わればこっちに帰ってこれるって事だよね。チャシロちゃん!」
「そうだね。帰ってくる気があるなら、帰ってくるよ。でも、帰ってこない人もいるみたいだよ」

「え、帰ってこない人もいるの、兄ちゃん?」
「そうなんだ。帰ってこない人は、みんな《人の国》に行った人らしいよ」
「そんな人いるの、ねえチャシロちゃん?」

「うん、いるみたいだね。クロ兄ちゃんが今《人の国》の事を調べてるから、クロ兄ちゃんから聞いたんだよ」
「そっか~。もし家族が《人の国》に行っちゃったら寂しくなっちゃうね。…サム兄ちゃんやニセイ兄ちゃんがいなくなっちゃうなんて、なんだかヤダな~」
「僕もクロ兄ちゃんやチャシロ兄ちゃんがいなくなったらヤダ!」

「でも僕達も何れは、独立する事になるんだよ。チビちゃんもチロもね」
「イ・ヤ・だ、僕はみんなと一緒にいたいよ。なんで一緒にいちゃダメなの。兄ちゃん」
「仕方ないよ。それがこの国で暮らす者のルールだからね」

「もう、誰がそんな事、決めたの?」
「昔からの決まりなんだから、しょうがないでしょうが!チビちゃんもチロも駄々を捏ねないの!」
「そんな~!兄ちゃんはそれでいいの?」

「だから仕方ないって言ってるだろう!そんなに言うなら僕じゃあなくて母さんに聞けよ!」
「わかったよ。母さんに聞いてみる」
「そうだね。チャシロちゃんでも分からない事もあるもんね。アゴ母さんに聞いてみるね」

 こうして、ちびっ子3人は、ニセイとクロの話から独立する事についてチャシロがわかる範囲で話をしていました。最後はチビとチロが納得できなくて、チャシロに駄々を捏ねてしまいましたが、それぞれの母親に話を聞く事で決着しました。
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