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〈本編〉
サムとアゴ母さん《将来の話》
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ブチからサムの話を聞いたアゴ母さんは、サムに話を聞く事にしました。ニセイとチビが遊びに出掛けてサムが1人になった時に話をする事にして、その時が来るのを待ちました。
「サム、ちょっとイイかしら」
「なあに、アゴ母さん」
「ブチから話を聞いたんだけど、どうして《人の国》に行きたいの?」
サムはアゴ母さんから呼び止められて、ブチがアゴ母さんにこの前、話した話を聞いたんだと思いました。だから、躊躇しないでニセイの事やチビの事も話す事にしました。
「あのね、アゴ母さん。もうニセイとはやっていけない」
「でも、この前まで仲良くやってたじゃあないの」
「そりゃあ、アゴ母さんに心配かけたくないもん」
「じゃあ、どうしてニセイとは、やっていけないと思ったの?」
「う~んとね、この前の《人の国》へいった時かな。本当はクロちゃん達と行く事になってたでしょう?それをニセイのわがままで、ダメになったじゃない。僕、すごく楽しみにしてたのにさ」
「そうだったの。サムの事を蔑ろにした訳じゃあないんだけど、ゴメンなさいね」
「別にアゴ母さんに怒ってる訳じゃあないよ!ニセイには怒れるけど」
「それでも、サムの事をわかってあげられなかったのは、本当のことよ」
「もうイイよ。アゴ母さん」
サムがニセイに悪感情を抱いている事を知らずにいた事をアゴ母さんは反省しました。そして、なぜそこまで嫌う事になってしまったのかを、サムに聞きました。
「ねえサム、ニセイを嫌いになってしまったのは《人の国》へ行った後なの?」
「違うよ。その前から。……チビが生まれた頃かな。いつも一緒にいたのに、チビが生まれた途端、僕を除け者にしだしたんだ。アゴ母さんがいない時が多かったから、知らなくて当然だけどね」
「どうして、母さんに言ってくれなかったの?」
サムはアゴ母さんから問われて、少し考えてから答えました。その答えにアゴ母さんはショックを受けた様な顔をしてサムに何故その時に言わなかったのかと言ってきます。それにサムは答えます。
「だってアゴ母さん、チビが生まれて忙しそうだったから、言えなかったんだ」
「じゃあ、ブチでもよかったから言って欲しかったわ」
「そうだね。……でもその頃ってブチ兄ちゃんも忙しくしてたと思う」
アゴ母さんはサムからの指摘で思い出しました。ちょうどその頃、ブチの独立の準備をしていて、アゴ母さんもブチも忙しくしていた事を。アゴ母さんは罰の悪そうな顔になってしまいました。
「アゴ母さん。……ニセイの事がなくても、もうそろそろ独立する頃でしょう?」
「それはそうなんだけど……」
「だからね、今まで《人の国》について調べてたんだよ」
「どうしても《人の国》に行きたいの?あの国に行くって事は、もう戻れなくなるのよ」
「うん、調べててわかったよ。それでも行きたいんだ」
「そう、そこまでわかってて、言ってるのね」
アゴ母さんはサムの決心が固いことを知って愕然としました。いつも聞き分けが良く、手の掛からないサムを無意識に頼りにしていた事を、改めて思い知りました。
「《人の国》に行きたいのは本当だけど、まだ調べ切れてないからまだまだ先になりそう……」
「そう。サムはもう将来の事を考えて行動しているのね」
「だって自分の事だもん。真剣に考えると思うけどな」
「そうねぇ~。サムは偉いわよ。母さんがサムの年の頃は、そこまで考えてなかったわね」
「へぇ~、そうなんだ」
「そうよ。サムは自分で考えてくれたからイイけど、ニセイの事を考えると頭が痛いわね」
「そんな事ないと思うけど。……う~ん、ニセイだからな~」
「そうなのよね。考えていそうで、考えてないのがニセイなのよね」
「でも、僕もまだここにいるからね。何かあったら手伝うよ。それにわからない事が出て来たらアゴ母さん、教えてくれる?」
「そんなの、当たり前じゃあないの!わからない事は聞きなさいよ。いいわね!サム」
「うん、お願いします」
アゴ母さんはサムに話を聞いて、頼もしく感じました。それと共に、ニセイの事が心配になりました。サムがここまでシッカリしてしまったのは、ニセイの存在があった為だと思いました。ニセイはサムに比べて、幼い感じがしてしまうのです。よく言えば、素直、悪く言えば我が儘で傲慢。
アゴ母さんはサム程では無くともニセイが自分の将来の事を考えているか、聞かなくてはならないと思いました。
「サム、ちょっとイイかしら」
「なあに、アゴ母さん」
「ブチから話を聞いたんだけど、どうして《人の国》に行きたいの?」
サムはアゴ母さんから呼び止められて、ブチがアゴ母さんにこの前、話した話を聞いたんだと思いました。だから、躊躇しないでニセイの事やチビの事も話す事にしました。
「あのね、アゴ母さん。もうニセイとはやっていけない」
「でも、この前まで仲良くやってたじゃあないの」
「そりゃあ、アゴ母さんに心配かけたくないもん」
「じゃあ、どうしてニセイとは、やっていけないと思ったの?」
「う~んとね、この前の《人の国》へいった時かな。本当はクロちゃん達と行く事になってたでしょう?それをニセイのわがままで、ダメになったじゃない。僕、すごく楽しみにしてたのにさ」
「そうだったの。サムの事を蔑ろにした訳じゃあないんだけど、ゴメンなさいね」
「別にアゴ母さんに怒ってる訳じゃあないよ!ニセイには怒れるけど」
「それでも、サムの事をわかってあげられなかったのは、本当のことよ」
「もうイイよ。アゴ母さん」
サムがニセイに悪感情を抱いている事を知らずにいた事をアゴ母さんは反省しました。そして、なぜそこまで嫌う事になってしまったのかを、サムに聞きました。
「ねえサム、ニセイを嫌いになってしまったのは《人の国》へ行った後なの?」
「違うよ。その前から。……チビが生まれた頃かな。いつも一緒にいたのに、チビが生まれた途端、僕を除け者にしだしたんだ。アゴ母さんがいない時が多かったから、知らなくて当然だけどね」
「どうして、母さんに言ってくれなかったの?」
サムはアゴ母さんから問われて、少し考えてから答えました。その答えにアゴ母さんはショックを受けた様な顔をしてサムに何故その時に言わなかったのかと言ってきます。それにサムは答えます。
「だってアゴ母さん、チビが生まれて忙しそうだったから、言えなかったんだ」
「じゃあ、ブチでもよかったから言って欲しかったわ」
「そうだね。……でもその頃ってブチ兄ちゃんも忙しくしてたと思う」
アゴ母さんはサムからの指摘で思い出しました。ちょうどその頃、ブチの独立の準備をしていて、アゴ母さんもブチも忙しくしていた事を。アゴ母さんは罰の悪そうな顔になってしまいました。
「アゴ母さん。……ニセイの事がなくても、もうそろそろ独立する頃でしょう?」
「それはそうなんだけど……」
「だからね、今まで《人の国》について調べてたんだよ」
「どうしても《人の国》に行きたいの?あの国に行くって事は、もう戻れなくなるのよ」
「うん、調べててわかったよ。それでも行きたいんだ」
「そう、そこまでわかってて、言ってるのね」
アゴ母さんはサムの決心が固いことを知って愕然としました。いつも聞き分けが良く、手の掛からないサムを無意識に頼りにしていた事を、改めて思い知りました。
「《人の国》に行きたいのは本当だけど、まだ調べ切れてないからまだまだ先になりそう……」
「そう。サムはもう将来の事を考えて行動しているのね」
「だって自分の事だもん。真剣に考えると思うけどな」
「そうねぇ~。サムは偉いわよ。母さんがサムの年の頃は、そこまで考えてなかったわね」
「へぇ~、そうなんだ」
「そうよ。サムは自分で考えてくれたからイイけど、ニセイの事を考えると頭が痛いわね」
「そんな事ないと思うけど。……う~ん、ニセイだからな~」
「そうなのよね。考えていそうで、考えてないのがニセイなのよね」
「でも、僕もまだここにいるからね。何かあったら手伝うよ。それにわからない事が出て来たらアゴ母さん、教えてくれる?」
「そんなの、当たり前じゃあないの!わからない事は聞きなさいよ。いいわね!サム」
「うん、お願いします」
アゴ母さんはサムに話を聞いて、頼もしく感じました。それと共に、ニセイの事が心配になりました。サムがここまでシッカリしてしまったのは、ニセイの存在があった為だと思いました。ニセイはサムに比べて、幼い感じがしてしまうのです。よく言えば、素直、悪く言えば我が儘で傲慢。
アゴ母さんはサム程では無くともニセイが自分の将来の事を考えているか、聞かなくてはならないと思いました。
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