77 / 135
〈本編〉
サムとブチ兄ちゃん《将来の話》
しおりを挟む
サムはクロと《人の国》の事を調べてから、ある事をアゴ母さんに相談しようかどうしようか、迷っていました。相談すれば反対されると思っていたからです。でも、ここにいてもニセイの事でモヤモヤする事もあきらかで、取り敢えずブチに相談する事にしました。
「ブチ兄ちゃん、今大丈夫かな?」
「どうしたんだ、サム」
「うん、ちょっと相談なんだけど…」
ブチはサムが突然来たので驚きましたが、サムが項垂れたような気落ちしたような複雑な顔をしていたので、どうしたのか聞くことにしました。
「どんな事だ?難しい事は言うなよ。俺は難しい事はわからないからな」
「うん、難しいことじゃあないよ。……うんとね、僕もそろそろ家を出た方がいいかな?っと思って」
「なんだ、そんなことか。そうだなぁ、まだサムは早いと思うけどなあ」
「そうかな……。僕は遅いと思うけど」
「そんな事ないぞ!俺だってこっちに来たのは最近だぞ。それはサムだって知ってるだろう!」
「うん、知ってる。でもね、ブチ兄ちゃん。この頃、ニセイと上手くいってないんだ」
サムはニセイとのイザコザについてもブチに相談する事にしました。ブチからみたニセイについて聞いてみたかったからです。ブチはサムが何について聞きたいのかよくわからなかったので、もう少し踏み込んで話を聞く事にしました。
「サム、ニセイがどうかしたのか?」
「ええとね、この頃のニセイは我が儘になったみたいに、駄々を捏ねるんだ」
「どう駄々を捏ねるんだ?」
「う~んと、この前、《人の国》にクロちゃん達と行く事になってたんだけどね、直前になってニセイが一緒に行きたくないって言い出したんだ」
「それで、どうしたんだ。アゴ母さんなら上手く言って一緒に行ったんじゃあないのか?」
「違うよ。一緒に行けなかったんだ」
「そうか。サムは一緒に行きたかったんだな」
「うん。アゴ母さんも一緒に行くって言ってた。……ニセイが我が儘言ったんだ。多分だけど、チビをクロちゃんの弟達に取られると思ったんだと思う」
「……その弟達にニセイは嫉妬して一緒に行かなかった、とサムは思ってるのか?」
「うん。間違い無いと思う」
「そうか。……難しいな。で、サムはこれからどうしたいんだ?」
「僕は、《人の国》へ行こうかと思ってる」
「《人の国》へか?……あの国で暮らすのは大変だと言うぞ。もう少し考えてみたらどうだ」
「今ね、ブチ兄ちゃん。僕、クロちゃんと《人の国》について調べてるんだ」
「幾ら調べていたって、大変な事に変わりはないぞ?」
ブチはサムが《人の国》の事を調べている事に驚きつつも、決心が堅いようだとも思いました。それでも、かわいい弟が苦労する事がわかっているのに、送り出す事は出来ません。もう一度、確認の様に聞きました。
「ブチ兄ちゃん。苦労するのはわかってるよ」
「わかってるんなら、そこまでして行かなくったっていいだろう!この国でニセイと別れて暮らす事だって出来るんだから。そっちじゃあ、ダメなのか?」
「ブチ兄ちゃんの言う事もわかってるよ。でもね、この国にいたら何処かで会っちゃうかも知れないよね。それが嫌なんだよ」
「そんなにニセイと別れて暮らしたいのか?昔は喧嘩もしたけど、仲良く遊んでたのになあ」
「ゴメンね、ブチ兄ちゃん。多分チビが生まれてから、ニセイは変わっちゃったんだと思うよ。もうチビしか目にはいらないって感じだから。まあ、気がついたのは僕ぐらいだと思うけどね」
「そうなんだな。一度、アゴ母さんと話をした方がいいぞ。俺からも母さんに話しとくから、サムも話をしろよ。わかったか」
「うん、わかった。ブチ兄ちゃん、話を聞いてくれてありがとう」
サムはブチに話を聞いて貰って、気が晴れる感じがしました。今まで胸の内に溜まっていたものが無くなった様で清々しく感じていました。『ブチ兄ちゃんに話を聞いて貰って本当によかった』と感謝して、ブチと別れて、家に帰りました。その後ろ姿をブチが心配そうに見送っているのにサムは気が付きませんでした。
ブチはサムとニセイとあれほど、気持ちが離れているとは思っていなかったので、サムの話を聞いて心配になってきました。サムは将来の事を考えている様ですが、ニセイは何も考えていない事がわかってしまったからです。
これは自分では荷が重いと思いアゴ母さんに連絡をとって、サムから聞いた話をして、サムとニセイ、2人が将来をどう考えているか聞いて貰った方がいいと思いました。
「ブチ兄ちゃん、今大丈夫かな?」
「どうしたんだ、サム」
「うん、ちょっと相談なんだけど…」
ブチはサムが突然来たので驚きましたが、サムが項垂れたような気落ちしたような複雑な顔をしていたので、どうしたのか聞くことにしました。
「どんな事だ?難しい事は言うなよ。俺は難しい事はわからないからな」
「うん、難しいことじゃあないよ。……うんとね、僕もそろそろ家を出た方がいいかな?っと思って」
「なんだ、そんなことか。そうだなぁ、まだサムは早いと思うけどなあ」
「そうかな……。僕は遅いと思うけど」
「そんな事ないぞ!俺だってこっちに来たのは最近だぞ。それはサムだって知ってるだろう!」
「うん、知ってる。でもね、ブチ兄ちゃん。この頃、ニセイと上手くいってないんだ」
サムはニセイとのイザコザについてもブチに相談する事にしました。ブチからみたニセイについて聞いてみたかったからです。ブチはサムが何について聞きたいのかよくわからなかったので、もう少し踏み込んで話を聞く事にしました。
「サム、ニセイがどうかしたのか?」
「ええとね、この頃のニセイは我が儘になったみたいに、駄々を捏ねるんだ」
「どう駄々を捏ねるんだ?」
「う~んと、この前、《人の国》にクロちゃん達と行く事になってたんだけどね、直前になってニセイが一緒に行きたくないって言い出したんだ」
「それで、どうしたんだ。アゴ母さんなら上手く言って一緒に行ったんじゃあないのか?」
「違うよ。一緒に行けなかったんだ」
「そうか。サムは一緒に行きたかったんだな」
「うん。アゴ母さんも一緒に行くって言ってた。……ニセイが我が儘言ったんだ。多分だけど、チビをクロちゃんの弟達に取られると思ったんだと思う」
「……その弟達にニセイは嫉妬して一緒に行かなかった、とサムは思ってるのか?」
「うん。間違い無いと思う」
「そうか。……難しいな。で、サムはこれからどうしたいんだ?」
「僕は、《人の国》へ行こうかと思ってる」
「《人の国》へか?……あの国で暮らすのは大変だと言うぞ。もう少し考えてみたらどうだ」
「今ね、ブチ兄ちゃん。僕、クロちゃんと《人の国》について調べてるんだ」
「幾ら調べていたって、大変な事に変わりはないぞ?」
ブチはサムが《人の国》の事を調べている事に驚きつつも、決心が堅いようだとも思いました。それでも、かわいい弟が苦労する事がわかっているのに、送り出す事は出来ません。もう一度、確認の様に聞きました。
「ブチ兄ちゃん。苦労するのはわかってるよ」
「わかってるんなら、そこまでして行かなくったっていいだろう!この国でニセイと別れて暮らす事だって出来るんだから。そっちじゃあ、ダメなのか?」
「ブチ兄ちゃんの言う事もわかってるよ。でもね、この国にいたら何処かで会っちゃうかも知れないよね。それが嫌なんだよ」
「そんなにニセイと別れて暮らしたいのか?昔は喧嘩もしたけど、仲良く遊んでたのになあ」
「ゴメンね、ブチ兄ちゃん。多分チビが生まれてから、ニセイは変わっちゃったんだと思うよ。もうチビしか目にはいらないって感じだから。まあ、気がついたのは僕ぐらいだと思うけどね」
「そうなんだな。一度、アゴ母さんと話をした方がいいぞ。俺からも母さんに話しとくから、サムも話をしろよ。わかったか」
「うん、わかった。ブチ兄ちゃん、話を聞いてくれてありがとう」
サムはブチに話を聞いて貰って、気が晴れる感じがしました。今まで胸の内に溜まっていたものが無くなった様で清々しく感じていました。『ブチ兄ちゃんに話を聞いて貰って本当によかった』と感謝して、ブチと別れて、家に帰りました。その後ろ姿をブチが心配そうに見送っているのにサムは気が付きませんでした。
ブチはサムとニセイとあれほど、気持ちが離れているとは思っていなかったので、サムの話を聞いて心配になってきました。サムは将来の事を考えている様ですが、ニセイは何も考えていない事がわかってしまったからです。
これは自分では荷が重いと思いアゴ母さんに連絡をとって、サムから聞いた話をして、サムとニセイ、2人が将来をどう考えているか聞いて貰った方がいいと思いました。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
銀の髪を持つ愛し子は外の世界に憧れる
Guidepost
ファンタジー
リフィルナ・フィールズは侯爵家の末の娘として生まれた。
フィールズ家は皆、茶色の髪に青い瞳をしている。嫁いできた母親もそうだ。
だがリフィルナは間違いなくフィールズ家の血を引いている両親の正真正銘、娘であるにも関わらず一人だけ髪も瞳の色も違った。
珍しい、白に近いシルバーの髪にイエローとゴールドが混ざったような琥珀色の瞳を持つ、当時産まれたばかりの娘を両親は堅い表情で見つめていた。
リフィルナには、兄姉が4人居るが、4つ上の次男のコルドと使用人たちだけは優しかった。
ある日リフィルナは、一匹の怪我をした白い蛇と出会う。
そして、その出会いをきっかけに、リフィルナの運命は大きく変わった。
【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~
柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」
テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。
この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。
誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。
しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。
その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。
だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。
「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」
「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」
これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語
2月28日HOTランキング9位!
3月1日HOTランキング6位!
本当にありがとうございます!
ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない
兎屋亀吉
ファンタジー
底辺冒険者クロードは転生者である。しかしチートはなにひとつ持たない。だが救いがないわけじゃなかった。その世界にはスキルと呼ばれる力を後天的に手に入れる手段があったのだ。迷宮の宝箱から出るスキルオーブ。それがあればスキル無双できると知ったクロードはチートスキルを手に入れるために、今日も薬草を摘むのであった。
ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ
雑木林
ファンタジー
現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。
第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。
この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。
そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。
畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。
斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
【完結】目覚めたら異世界で国境警備隊の隊員になっていた件。
みやこ嬢
ファンタジー
【2024年9月9日完結、全40話、ブロマンスファンタジー】
才智正哉(さいち・まさちか)は社会人一年生の会社員。ある日、真っ暗な闇の中で嘆く赤髪の青年の夢を見てから目を覚ますと異世界にいた。しかも、夢で見た赤髪の青年ゼノンの体に意識を宿した状態で。
仲間に事情を訴えてもまともに取り合ってもらえず、仕方なく『ゼノン』として過ごすことに。国境警備隊の任務について教わるうちに仲間たちと次第に打ち解けていく。
時折見る闇の夢で少しずつゼノンと交流し、入れ替わる前の記憶が欠落していることに気付く。元の体に戻るためには、まず記憶を取り戻さねばならない。
人情に厚く涙もろい隊長、隊長至上主義の班長、無愛想で油断ならない同僚、重い過去を持つ人懐こい同室の同僚、世話焼きな家政夫、心配性の優しい軍医、ワケあり腹ペコ魔術師に囲まれ、慣れない異世界で悪戦苦闘する青年のお話。
★1話と39話に挿し絵追加
★カクヨム掲載作品を加筆修正
★2024/09/06〜ホトラン入り感謝!
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる