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〈本編〉
サムとニセイとクロの反省会
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《人の国》から帰ってきてからしばらくしてサムとニセイとクロは何時もの様にチビ達を連れて公園に来ていました。公園に着いて直ぐにチビとチャシロとチロは鬼ごっこをし始めました。そしてサムとニセイとクロはチビ達を見ながら《人の国》へ行った時の事を話始めました。
「ねえねえクロちゃん、この前行った《人の国》は如何だった」
「あのね、前にサムちゃんが教えてくれた“海”を見たよ!」
「本当!クロちゃん」
「本当!すっごく広かったよ!」
「そうなんだね!僕も見たかったな~」
クロに海の事を聞いてサムはチロリとニセイを見ました。ニセイはサムの視線を感じて、『俺が悪いって言いたいのかよ』と思いムッとしてしまいました。
「なんだよサム。何か言いたい事があれば言えよ!」
ニセイはついつい苛立ち紛れにサムに言ってしまいました。それにいち早く反応したのはサムではなくクロでした。
「ねえ、ニセイちゃん。…オレ、ニセイちゃんに何かした?」
「なんでクロがそんな事聞いてくるんだよ!」
「だって、ニセイちゃんさ、《人の国》に行く時さ、一緒は嫌だったんだよね?」
「うっ、そ、そんな事は無いぞ!」
「じゃあさ、どうして、一緒に行ってくれなかったの?」
「え、えっと、……俺、チビ達と遊んでくる!」
ニセイは言葉に詰まって、サムとクロの前から逃げてチビ達が鬼ごっこをしている所に『おーい、俺も入れてくれ!」と言って仲間に入るべく行ってしまいました。その様子を見てサムに呆れてしまいました。そしてクロに本当の理由を話しました。
「クロちゃん、ゴメンね。ニセイが一緒に行かなかった本当の理由はね、チビがチャシロちゃん達と仲良くするのが気に入らなかったからなんだ。だから、クロちゃんが気に入らないって事じゃないんだよ」
サムは力無く、クロにニセイの情けない理由を話しました。
「そうだったんだね。……そりゃ、そんな理由だったら話せないよね……」
クロもニセイの理由を聞いて、そんな些細な事で一緒に行けなかったんだと思うと、脱力してしまいました。思わず、チビ達の方を見てしまいました。
「本当にゴメン。ニセイも反省はしてると思うんだ。だからクロちゃんも許してやって欲しい…」
サムもニセイの方を見ながらクロに言いました。クロは別に怒ってはいなかったのでサムに怒っている訳ではないと話しました。
「別に怒っている訳じゃあ無いよ。ただ一緒に行かなかった理由を聞いたら、なんか脱力しちゃったんだ。まあ一種の嫉妬だよね。……はあ、なんだかなあ、ニセイちゃんがチャシロとチロにねえ」
「そうだね、でも嫉妬になるのかなあ?……多分だけど、ニセイは自覚は無いよクロちゃん」
「へ、そうなの」
「うん。何と無く一緒にいるのが嫌だ、って思ってるだけだと思うよ。……だから、今だって一緒に遊んでるでしょ」
「……う~、そうだね。…感覚的なものじゃあどうしようも無いね」
「だからね、あまり気にしないで、ね」
「うん、そうするよ、サムちゃん」
「そうそう、気にしないでよ。クロちゃん」
こうしてサムとクロはニセイの事を話して《人の国》へ行った時の話は打ち切りにしました。話した後は、ちょっと気不味い空気が流れましたが、サムもクロもチビ達が遊んでいるのを無言で見て居心地の悪さを誤魔化していました。
「ねえねえクロちゃん、この前行った《人の国》は如何だった」
「あのね、前にサムちゃんが教えてくれた“海”を見たよ!」
「本当!クロちゃん」
「本当!すっごく広かったよ!」
「そうなんだね!僕も見たかったな~」
クロに海の事を聞いてサムはチロリとニセイを見ました。ニセイはサムの視線を感じて、『俺が悪いって言いたいのかよ』と思いムッとしてしまいました。
「なんだよサム。何か言いたい事があれば言えよ!」
ニセイはついつい苛立ち紛れにサムに言ってしまいました。それにいち早く反応したのはサムではなくクロでした。
「ねえ、ニセイちゃん。…オレ、ニセイちゃんに何かした?」
「なんでクロがそんな事聞いてくるんだよ!」
「だって、ニセイちゃんさ、《人の国》に行く時さ、一緒は嫌だったんだよね?」
「うっ、そ、そんな事は無いぞ!」
「じゃあさ、どうして、一緒に行ってくれなかったの?」
「え、えっと、……俺、チビ達と遊んでくる!」
ニセイは言葉に詰まって、サムとクロの前から逃げてチビ達が鬼ごっこをしている所に『おーい、俺も入れてくれ!」と言って仲間に入るべく行ってしまいました。その様子を見てサムに呆れてしまいました。そしてクロに本当の理由を話しました。
「クロちゃん、ゴメンね。ニセイが一緒に行かなかった本当の理由はね、チビがチャシロちゃん達と仲良くするのが気に入らなかったからなんだ。だから、クロちゃんが気に入らないって事じゃないんだよ」
サムは力無く、クロにニセイの情けない理由を話しました。
「そうだったんだね。……そりゃ、そんな理由だったら話せないよね……」
クロもニセイの理由を聞いて、そんな些細な事で一緒に行けなかったんだと思うと、脱力してしまいました。思わず、チビ達の方を見てしまいました。
「本当にゴメン。ニセイも反省はしてると思うんだ。だからクロちゃんも許してやって欲しい…」
サムもニセイの方を見ながらクロに言いました。クロは別に怒ってはいなかったのでサムに怒っている訳ではないと話しました。
「別に怒っている訳じゃあ無いよ。ただ一緒に行かなかった理由を聞いたら、なんか脱力しちゃったんだ。まあ一種の嫉妬だよね。……はあ、なんだかなあ、ニセイちゃんがチャシロとチロにねえ」
「そうだね、でも嫉妬になるのかなあ?……多分だけど、ニセイは自覚は無いよクロちゃん」
「へ、そうなの」
「うん。何と無く一緒にいるのが嫌だ、って思ってるだけだと思うよ。……だから、今だって一緒に遊んでるでしょ」
「……う~、そうだね。…感覚的なものじゃあどうしようも無いね」
「だからね、あまり気にしないで、ね」
「うん、そうするよ、サムちゃん」
「そうそう、気にしないでよ。クロちゃん」
こうしてサムとクロはニセイの事を話して《人の国》へ行った時の話は打ち切りにしました。話した後は、ちょっと気不味い空気が流れましたが、サムもクロもチビ達が遊んでいるのを無言で見て居心地の悪さを誤魔化していました。
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