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〈本編〉
アゴ母さんと子ども達11-⑴【人の国へ《サム家族編》①】
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ついに来た《人の国》へ行く日。アゴ母さんとサム達はクロ達家族が公園を《人の国》へ向けて出掛けてから1時間後に公園に来ていました。
「アゴ母さん、クロちゃん達はもう出掛けたんだよね」
「そうよ、サム。…じゃあ、私達も行きましょうか」
「「「はい」」」
アゴ母さんの後にチビ、ニセイ、サムの順番に並んで歩き出しました。サム達は一度、《人の国》へ行った事があるので、アゴ母さんは注意はせずに歩き出し、サム達も前に《人の国》へ行った時の事を思い出しながら、アゴ母さんに付いて歩きました。
「ニセイ、今回はニセイが道を憶える様にしなさい」
「…わかったよ。アゴ母さん」
「ニセイが道を憶えるなら、僕は今回は何をしたらいいの?アゴ母さん」
前回の時はサムが道を憶えていました。チビがまだ小さかったのでニセイはチビが迷子にならない様に気を付けていました。でも今回はチビも大きくなり、余り注意をしなくてもよくなった為にニセイが道を憶えることになりました。
「…そうね。サムは後から来る車や自転車が来たら母さんに教えてくれる?」
「じゃあ、後を気を付けてたらいいんだね」
「そうよ。でも危ないから気を付けてね。…気配で判る様になったらいいんだけど」
「…気配で判る様になれるの?」
「まあね」
「凄いね!」
サムはアゴ母さんから聞いた、“気配で判る”事にビックリしてしまいました。自分は出来ないのに大人は出来るとアゴ母さんが言っているからです。まだまだ勉強する事はいっぱいあるんだと思いました。
「そういえば、アゴ母さん、クロ達はハナおばさんが付いてるんだよね」
「そうよ、ニセイ。…本当だったらクロちゃん達と一緒だから、もう少し余裕のある行程で行くつもりだったんだけど。仕方ないわ。…ちょっとキツイかもしれないけど、頑張って頂戴」
「…う、わかったよ」
ニセイはアゴ母さんからの嫌味とも取れる物言いに、言葉が詰まってしまいましたが、実際の所、自分の我が儘でクロ達と別れて来ている事はわかっていたので反論する事なく頷いておきました。
そうこうしている内に打ち合わせの時に言っていた休憩場所に着いていました。アゴ母さんは子ども達に休憩する事を言いました。
「そろそろ、休憩しましょう」
「「「はい」」」
「今日はこの学校の校庭の芝生の所で休憩よ。さぁ、座りましょう」
「「「はい」」」
アゴ母さんは芝生の上に座り、子ども達にも座る様に言いました。ちょうど木の影になっていて日陰になっているので少し涼しく感じていました。
「アゴ母さん、クロちゃん達はどこで休憩してるの?」
「クロちゃん達はもう少し先にある海岸で休憩している筈よ、サム」
「そうなんだね。……会えるかなぁ」
「今回はちょっと無理ね。残念だったわね」
「そうだね。…仕方ないよね。でも次は一緒に来れるといいなぁ」
「そうね。次は一緒に来れるといいわね、サム」
アゴ母さんはサムの小さな呟きに答えながら言いました。ニセイはチビの相手をしながらサムの小さな呟きを聞いて居た堪れなくなって来ました。ニセイが我が儘を言わなければサムの望みは叶っていたからです。
ニセイは小さく『ハァ』と溜め息を吐き出しました。
「アゴ母さん、クロちゃん達はもう出掛けたんだよね」
「そうよ、サム。…じゃあ、私達も行きましょうか」
「「「はい」」」
アゴ母さんの後にチビ、ニセイ、サムの順番に並んで歩き出しました。サム達は一度、《人の国》へ行った事があるので、アゴ母さんは注意はせずに歩き出し、サム達も前に《人の国》へ行った時の事を思い出しながら、アゴ母さんに付いて歩きました。
「ニセイ、今回はニセイが道を憶える様にしなさい」
「…わかったよ。アゴ母さん」
「ニセイが道を憶えるなら、僕は今回は何をしたらいいの?アゴ母さん」
前回の時はサムが道を憶えていました。チビがまだ小さかったのでニセイはチビが迷子にならない様に気を付けていました。でも今回はチビも大きくなり、余り注意をしなくてもよくなった為にニセイが道を憶えることになりました。
「…そうね。サムは後から来る車や自転車が来たら母さんに教えてくれる?」
「じゃあ、後を気を付けてたらいいんだね」
「そうよ。でも危ないから気を付けてね。…気配で判る様になったらいいんだけど」
「…気配で判る様になれるの?」
「まあね」
「凄いね!」
サムはアゴ母さんから聞いた、“気配で判る”事にビックリしてしまいました。自分は出来ないのに大人は出来るとアゴ母さんが言っているからです。まだまだ勉強する事はいっぱいあるんだと思いました。
「そういえば、アゴ母さん、クロ達はハナおばさんが付いてるんだよね」
「そうよ、ニセイ。…本当だったらクロちゃん達と一緒だから、もう少し余裕のある行程で行くつもりだったんだけど。仕方ないわ。…ちょっとキツイかもしれないけど、頑張って頂戴」
「…う、わかったよ」
ニセイはアゴ母さんからの嫌味とも取れる物言いに、言葉が詰まってしまいましたが、実際の所、自分の我が儘でクロ達と別れて来ている事はわかっていたので反論する事なく頷いておきました。
そうこうしている内に打ち合わせの時に言っていた休憩場所に着いていました。アゴ母さんは子ども達に休憩する事を言いました。
「そろそろ、休憩しましょう」
「「「はい」」」
「今日はこの学校の校庭の芝生の所で休憩よ。さぁ、座りましょう」
「「「はい」」」
アゴ母さんは芝生の上に座り、子ども達にも座る様に言いました。ちょうど木の影になっていて日陰になっているので少し涼しく感じていました。
「アゴ母さん、クロちゃん達はどこで休憩してるの?」
「クロちゃん達はもう少し先にある海岸で休憩している筈よ、サム」
「そうなんだね。……会えるかなぁ」
「今回はちょっと無理ね。残念だったわね」
「そうだね。…仕方ないよね。でも次は一緒に来れるといいなぁ」
「そうね。次は一緒に来れるといいわね、サム」
アゴ母さんはサムの小さな呟きに答えながら言いました。ニセイはチビの相手をしながらサムの小さな呟きを聞いて居た堪れなくなって来ました。ニセイが我が儘を言わなければサムの望みは叶っていたからです。
ニセイは小さく『ハァ』と溜め息を吐き出しました。
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