【完結】ねこの国のサム

榊咲

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〈本編〉

アゴ母さんと子ども達⑦【ニセイの反抗期】

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 ブチとミケのところから帰ってきて数日経った頃、アゴ母さんがサムとニセイの言いました。

「サム、ニセイ、今度の休みに人の国にまた行くからね。心構えをしておいてね」
「はい。前回は僕とニセイとチビも一緒に行ったよね。今回もそうなの?」
「そうだよ。それにクロちゃん達も一緒に行くから」
「本当に、アゴ母さん」
「ああ、本当だよ」

「どうしてクロ達も一緒に行くのさ、アゴ母さん」
「クロちゃん達は今回初めて行くんだってさ、ニセイ。だからチィさんが一緒に行って欲しいと言って来たんだよ」
「ふ~ん。俺、行きたくない!」

 アゴ母さんがクロ達と一緒に人の国へ行くと言うとニセイは理由を聞いてきて、その理由を聞いて行きたくない発言をしました。これにはアゴ母さんも困ってしまいました。この前のブチ達のところへ行きたくないと言って言っていたのを思い出したからです。

 でも今回はクロ達と一緒なのにどうしてなのか?アゴ母さんは行きたくないと言う理由をニセイに聞くことにしました。

「ニセイ、どうして行きたくないの?」
「どうしても」
「ニセイは行かないの?」
「行かないよ、サム」

 頑なにニセイは行かないと言って聞きません。アゴ母さんは(困ったわねぇ。どうしようかしら。チィさんに相談して行く日を変えてもらいましょう)チィに相談することにしました。そして少しでも情報を集めようと思いました。

「ニセイ、チビは今お昼寝中だけど、起きたら遊んでやってくれる?」
「うん。いいよ」

「じゃあサム、ちょっといい?」
「なあに、アゴ母さん」
「ニセイの事だけど。前からあんな感じだった?」

「ううん、そんな事ないよ。たまに癇癪カンシャク起こして怒ったりしてたけど、あんな風に頑なに『行かない』なんて言わなかったよ」
「そうなのね、他にはなかった?」

「ああ、そういえば、ブチ兄ちゃんの事、『怒りんぼ』とか言ってたかな。あと『どうして俺だけ怒られるんだ』とか言ってた」
「そう。ニセイだけ怒ったりしてないんだけどね」
「うん。僕もそう思うよ。でもニセイの中では自分だけ怒られてると思ってるみたいなんだ」

「そうよね。サムは母さんがあなた達を怒ってる時、自分だけだと思う?」
「そんな事思わないよ。2人に怒ってると思ってる」
「なにがニセイを頑なにさせてるのかしらね」

「アゴ母さん、もしニセイがあのまだと人の国に行くのは難しいの?」
「そうね。チィさんとも相談するけど、難しくなるわね」
「あのねアゴ母さん、ニセイね、チビと一緒だと癇癪カンシャクとか起こさないよ。チビが可愛いんだって」
「今回の人の国へはチビもう一緒に行くのよ」
「だからね、多分、クロちゃん達も一緒に行くって言ったでしょ。それで行きたくなくなったんじゃあないかな」
「え、そんなことで。…一度ニセイに確認してみるわ」

 サムからヒントを貰ったアゴ母さんはニセイが居ると思われるチビの部屋に行って、サムの予想を聞いてみることにしました。

「ねぇ、ニセイ。聞きたい事があるんだけど」
「なにが」
「あのね、今度、人の国に行くのだけど、ニセイは行かないって言ってたわよね」
「うん」

「じゃあね、母さんとサムとチビとニセイで行く事になったらどうする?」
「どうしようかな?………行ってもいいよ」

「そう、じゃあ母さん達だけで行きましょうか。それならいいわね」
「うん」
「それじゃあ、母さんはチィさんに話をしてくるわ」
「わかった」

 アゴ母さんはサムの予想が当たったので一安心しました。でもチィと一緒に行くと言う約束は叶わなくなりました。「ふぅ」とため息を吐いて、チィにこの事を話に家を出ました。

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