【完結】ねこの国のサム

榊咲

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〈本編〉

【幕間】アゴ母さん、予防接種に思う

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 今日はチビの予防接種の日。アゴ母さんはチビが逃げ出さないか目を光らせていました。しかしちびはサム達から予防接種の事を聞いていない様で、ただ単に出掛けるのが楽しくて浮かれている様に見えます。

 チビから少し距離を置いてサム動物ニセイが顔を突き合わせてチビを見ながら、ゴソゴソと話をしています。時々こちらを見ているのを見ると予防接種の事をチビに伝えようか、伝えなう方が良くないかと話しているようだ。サム達に余計な事は言わない様にクギを刺しておく事にする。

「サム、ニセイ、ちょっと来なさい」

 サムもニセイも嫌そうな顔をしてこちらに来る。

「「は~い、なあに?」」
「今日はチビを予防接種に連れて行くから、2人とも余りヤンチャしないのよ。わかったわね」
「「はい」」

 これでもサムとニセイは大丈夫ね。あとはチビが予防接種で泣き出さなければいいけど。こればかりは行って受けてみないとわからないわね。さあ、出掛けましょうか。チビを呼ばないとね。

「チビ、行くわよ」
「にゃ~い」
「さあ、手を繋いで行きましょうか」
「わ~い、いきゅましゅ」

 チビは素直な子に育ってよかったわ。上の子達はヤンチャで困ってたのよね。まあサムはそれほどヤンチャでも無かったからよかったけど。でもブチにベッタリだったから、ブチには悪い事したわね。

 そんな事を考えながらチビと歩いていると前をチィさんと子ども達が歩いていました。声を掛けて一緒に行きましょう。

「チィさん、これから予防接種?」
「まあアゴさんも?」
「そうなの、一緒に行きましょうよ」
「そうね、よろしくお願いします」

 チィさん所はチャシロちゃんとチロちゃんの2人が受けるみたいね。2人はチビとも歳が近いからいい刺激になるわね。クロちゃんはサムとニセイに歳が近いし、どちらも友達として仲良くしてくれるといいわね。

「そういえばチィさん、今度、ブチ達の所に行こうと思うのだけど、チィさんも一緒に如何かしら?勿論、子ども達を連れて行くのだけれど」
「え、ブチさんの所にですか?でも大勢で行って、大丈夫なんですか?」

「ああ、その辺は大丈夫よ。まあ、社会見学的な感じなの。色々な土地や人と関わり合うにも勉強だしね」
「それなら、お願いします。クロが喜びます」
「また行く日は連絡するわね。あら、話をしてたらついたわね」
「本当に」

 チィさんとブチのところに行く話をしていたら、病院に着いてしまった。受付で予防接種に来た事を言わないと。

「こんにちは、予防接種に来ました」
「まあ、アゴさん。今日はチビちゃんだけ?」
「ええチビだけです」

「ええと、チィさん。チィさん所は2人ですか?」
「はい、チャシロとチロです。お願いします」
「チャシロちゃんとちゃんですね。しばらくお待ち下さい」

 いつもの受付さんが予防接種の受け付けをしてくれてよかった。それにしても、チビとチャシロちゃんは仲が良いわね。チロちゃんも仲間に入っているし。この分なら予防接種で注射をしても大泣きは無いかしらね。

 先生も予防接種の説明をしてくれるだろうし、我慢強いチビが泣かなければ、チャシロちゃんは男の子だから負けてられないと思うだろうしね。チロちゃんはチビより小さいから微妙ね。

「じゃあ、説明は終わります。誰から受けるかな」
「うちのチビからお願いします」
「チビちゃんからね。チックとするけど泣かないでね」
「にゃ~い」

 うんうん、チビは元気いっぱいだねぇ。ニセイも初めての時は元気いっぱいだったねぇ、接種したら途端に泣き叫んだけど。チビはどうかなぁ。おお、泣くのを我慢してるよ。ニセイより根性あるね!

 さあ、次はチャシロちゃんだね。この子はどうかな?チビが泣かなかったから堪えてるね。偉いねぇ。ニセイも見習わせなくっちゃ!最後はチロちゃんだね。この子はチビより小さいから泣いちゃうかな?ああやっぱり泣いちゃったか。

 でもニセイに比べたらまだまだましだね。ニセイは泣きながら逃げたもの。本当にニセイには頭が痛いねぇ。独立して生活できるのかなぁ!心配だわ。
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