【完結】ねこの国のサム

榊咲

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〈本編〉

サム一家

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 ねこの国のあるところにキジトラのサムとお母さんと兄妹が住んでいます。お母さんは子育て上手で今までに10人以上の子どもを育ててきました。お隣の育児放棄された子も自分の子ども達と同じ様に愛情たっぷりに育てる程、子ども好きな人です。お母さんの名前はアゴ。皆からはアゴ母さんと呼ばれています。

 サムには一緒に生まれた兄と一つ上と一つ下に兄妹がいます。何をするにも何時も一緒。兄妹仲良く遊んでいます。一つ上のお兄ちゃんは一つ下の妹の面倒を見ている為にサムとは余り遊んではくれませんが、妹が昼寝をしている時は一緒に生まれたお兄ちゃんと3人で追っかけこ等で遊んでいます。

 一つ上のお兄ちゃんはブチ、一緒に生まれたお兄ちゃんはニセイ、妹はチビと言います。名前の由来はブチ兄ちゃんは模様がブチ柄。ニセイ兄ちゃんはアゴ母さんに瓜二つ。妹のチビは体が小柄だからそうです。サムの名前はなんとなく?と言われて、サムは「そ‥そんな~」とちょっと落ち込みました。

 今は一緒に暮らしていないけど,まだ2人の兄妹がいます。ブチ兄ちゃんと一緒に生まれたお兄ちゃん達。サク兄ちゃんとシマ兄ちゃんです。この2人は小さい頃、サムが生まれる前に遠くにもらわれていきました。

 アゴ母さんに聞くと、サク兄ちゃんはブチ兄ちゃんに似ていて、シマ兄ちゃんはサムと同じキジ柄だそう。一度会ってみたいと思うサムですが、遠くて会いに行くのは危ないからダメだとアゴ母さんに言われています。他の兄妹もサク兄ちゃんやシマ兄ちゃんと同じで、ヒトの国にもらわれて行ったそうです。あと、生まれてまもなく死んでしまった兄妹もいたとアゴ母さんが教えてくれました。

 サムは僕は運が良かったんだと思い、アゴ母さんに死んでしまった兄妹のお墓に行きたいとお墓のある場所を聞きましたが教えてはもらえませんでした。サムは悲しい事を聞いてしまったと思い、アゴ母さんに「ごめんなさい」と言って反省しました。

 この国では、ヒトの国に子どもの頃にもらわれて行く事がよくある事のようです。「親子一緒に暮らしたいけど、小さい国なので、子どもを里子に出して人口を調整する事も大事な事なのよ」と、アゴ母さんが言いました。「寂しいけど仕方ないのよ」とも言ってました。僕もいつかはこの国を出て行く事になるのかなあとサムは思うのでした。

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