にゃんこの居場所【完結】

榊咲

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【ミミの章】

新しい家での出来事①

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 新しい家では本当に快適!!なんてった、小トラが居ないことが一番よね!そうそう、この頃はお花のハウスに行ったりしてるから、お父さんと一緒に前の家に行くことがなくなったの。いいわ~。ハウスに行けば、パートさんが遊んでくれるのよ。楽しくてついついハウスに行く回数が増えるわ~!

 あとお隣のおばさんが、わたしのこの美貌にメロメロなのよ!わたしの姿を見ると必ず、「ミミちゃん、こっち,こっち」って呼んでくれるの!だ・か・ら、「ニャウン、ニャウン(おばさん、こんにちわ)」ってそばに寄って、足をスリスリするのよ。そうすると頭をナゼナゼと撫ぜてくれるの。凄く気持ちが良いわ。

 いつもさよちゃんはお仕事に車で行っちゃうの。寂しいわ。だから嫌いなイヌにもあいさつする様になったわ。いつも散歩しているイヌなんだけど、わたしの前をゆうゆうと歩いて行くのが、ちょっと気に入らないけど、家の中から窓越しに挨拶するの。こんな風にね「ニャウン、ニャア~ン(散歩、お疲れ様)」ってね。殆どのイヌがわたしの事をして行くのよ!頭に来ちゃうわ~。あいさつしてるんだから、無視しないで(おう)位言いなさいよって言いたくなるわ!キッー。

 さよちゃんが帰ってくるのは、割とすぐにわかるのよ。車の音でね。お父さんの車の音のわかるのよ。凄いでしょう!!だからね、お隣のおばさんのところで遊んでてもすぐにわかるの。それで、お隣のおばさんがさよちゃんに言ってるのを聞いたんだけど、人は車の音を聞き分けるのが苦手みたいなのよね。

 だっておばさんとさよちゃんったらねぇ、こんな事言ってたのよ。「ミミちゃんはさよちゃんが帰ってくるのがわかるんだねぇ~。さよちゃんが帰ってくるとすぐ、帰っちゃうんだよ」っておばさんが言うとさよちゃんが「多分、ミミは車の音でわかるんだと思います」と言うの。そうするとおばさんが「だから、さよちゃんの車がが帰ってくると急いで帰るんだね」って言って言うんだよ。

 本当に人はわからないみたいね。それにね、ハウスで遊んでいても、さよちゃんが帰って来るのはわかるの。ハウスの中はすっごく広いんだとね。遠くまで遊びに行っても、車の音はわかるんだけど、少し遅れると、さよちゃんが「ミミ~、ミミ~」って呼んでくれるんだ。呼ぶ声に応えて「ニャン、ニャン、ニャン(ただいま!)」って帰って行くとさよちゃんが「ミミにゃん、お帰り」って言って迎えてくれるの。もう嬉しくて、嬉しくて!

 遊びから帰るとね、ご飯が貰えるんだよね。美味しいご飯なの!いつも同じご飯でね、《ねこ元気》て言うご飯だよ。たまに缶詰のご飯も混ぜてくれる時もあるけど、ほとんどは、通称『カリカリ』って言うドライフードなんだよね。ドライフードだからね、喉が乾くのよ。お水はご飯とは別の器にあるんだけど、ゴミが入っている時があるんだけど、そんな時はお風呂場の洗面器にお水が入れてあるから、そっちで沢山飲むのよ。やっぱり新鮮なお水は美味しいわ~!

 ご飯を食べ終わるとさよちゃんにまた外に出してって言って、外に出してもらうの。夜はわたしの時間よ!わたしは朝より夜が好きなの。さよちゃんが寝るまで外で遊ぶの。さよちゃんが寝る前に、いつも「ミミ、ミミ、おいで!」って呼んでくれるから、そうすると帰るの。さよちゃんは「お帰り。もう家に入ろうね。また明日の朝、出してあげるでね」って言って家の中に入れてくれるのよね。それはそれで良いなぁ~といつも思うの。

 でもそんな日々を送っていたら、さよちゃんがあの憎っくきゴンが大変な事になってるって言うの。なんだろうと思ったわ。そしたら、あの丈夫だと思ってた番犬のゴンが病気になったって言うじゃぁない!!ビックリしたわ。だからかわからないけど、さよちゃんが「お見舞いに行くよ」って言ってキャリーバッグにわたしを入れるの!

 もう、わたしは「ニャン、ニャウン、ニャン(わたしは行かない!!)」て言ったけど、「ミミ、最後の挨拶をしようね」てさよちゃんが言うのよ。そんな事を言われたら、行かないってワガママ言えなかったわ。だから、会いに行ったけど、もうゴンはわたしの事はわからないみたいだったの。

 でも最後のあいさつだけはしたわ。「ニャン、ニャアン、ニャウン(ゴン、さようなら)」と言ったら、声でわたしとわかったのか、こちらを見て頷いた様に見えたのよ。なんだか最後の力を振り絞ってくれた様だったの。その時だけは、悲しかったわね。

 まあ、わたしの声を聞いた小トラがすぐに来たもんだから、そんな気持ちはすぐに吹き飛んでしまったわ。いくら嫌いなゴンでも、もう少しぐらい、忍んでいたいと思ってしまったわね。もう、しんみりしていた気持ちがぶち壊しだわ!
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