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【トラの章】
僕はトラだよ
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僕の名前は《トラ》だよ。よろしくね。
僕はここの家に来る前は、お母さんと兄弟と一緒に暮らしていたみたい。でも、ある日突然、お母さんがどこかに行っちゃったんだ。僕達兄弟を捨てて。
僕達は、親切な近所に住んでた人に拾われたんだよ。その人のお陰で、生き残る事が出来たんだ。だってね、僕は小さくて目やにだらけだったんだ。お腹も空いてたから、僕達の為にご飯を食べさせてくれたしね。拾ってくれた人には感謝しかないよ。
その、拾ってくれた人の知り合いの人が、僕を引き取ってくれたんだ。拾ってくれた人が知り合いの人に、飼ってもらえないか聞いてくれたの。そしたら、良い返事が貰えたみたいで、凄く喜んでくれたよ。そうそう、引き取ってくれる人は《ばらさん》って呼ばれてた。その人が迎えに来てくれた時に、今まで食べてたご飯を入れてくれたんだ。本当に拾ってくれた人が優しい人で良かった。
ダンボール箱に入れられて、《ばらさん》に連れられて、新しい家に行ったんだよ。そこには、すでに僕と同じネコの《ミミにゃん》がいたの。ちょっとだけお母さんと同じ匂いがしてた。やっぱり、大人の人だったからかな?僕がダンボール箱から出たら《ミミにゃん》は『シャァー、シャァー(あんた誰!コッチに来ないで!』って言って居なくなっちゃった。
でもね、他の人達は、僕の事を歓迎してくれたんだよ。嬉しかったな。特に『お兄さん』って人がすごく歓迎してくれて、膝に乗せてくれたり、目やにがまだ出てたんだけど、根気よく拭いてくれたんだ。あとね、僕を連れて来てくれた人は『さよちゃん』って呼ばれてたんだよ。それと『お父さん』と『お姉さん』っていう人も居たよ。
それからね、僕に名前を付けてくれたの。僕の名前は《トラ》に決まったよ。毛の色が茶色でトラ柄だからなんだって。安直な名前だけどまあ、良いや。まだ名前も付いてなかったしね。でもね、たまに《トラオ君》って呼ばれるんだよね。なんでだろう?まあ、いいか。でも、これもたまなんだけど、《大トラ》とも呼ばれるんだ。僕、そんなに大きく無いのに酷いと思わない?ホント、失礼しちゃう。
そうそう、家の外にはイヌの《ゴンちゃん》がいたんだよ。僕は小さいから、側に行けないけど、僕を見ても何にも言ってくれないの。なんだか寂しいな。僕から話しかけてみたら、返事を返してくれるかな?
そうだ、ミミにゃんにあとで聞いてみようっと。あ、でも近くに来ないでと言われてたな。どうしようかな、“教えて!”と聞けば教えてくれるよね。そこまで、イジワルじゃぁ無いといいな。
あ、ミミにゃんだ!『ニャン、ニャアウン、ニャアウン(ミミにゃん、教えて欲しい事があるの、教えて!)』って聞いたら、ミミにゃんは『ニャン、ニャアウン(あら、何が知りたいの?)』って聞いてくれたんだ。だからすぐに『ニャアウン、ニャァン、ニャァン(ゴンちゃんに話しかけてもいい?)』と聞いたの。
僕の近くには来てくれなかったけど、返事はしてくれて『ニャアウン、ニャァン(そんな事、知らないわ!)』って言われちゃった。困ったなぁ。どうしようかなぁ。
仕方ない、当たって砕けろだ。ゴンちゃんに話しかけてみよう!って思ったけど……やっぱり怖いな…。だってね、僕の5倍以上大きいんだもん。僕なんか、大きな口の中に入っちゃうくらいなんだから!でもな、ごあいさつは、基本だよね。頑張って近くまで行って、《これからお願いします》ぐらい言わないとな……。
勇気を振り絞って、ゴンちゃんにあいさつだけでもしようと決心して、ゴンちゃんのいる所まで行って、思いっきり大きな声で『ニャアウン、ニャァンニャアウン(ゴンちゃんさん、よろしくお願いします)』って言ったよ。そしたら、ゴンちゃんは『ワォーン、ワォーンワンワン(お前、誰だ。何時来たんだよ?)』と言いってくれたから、『ニャン、ニャァンニャン(昨日来ました。トラです)』って返事をしたよ。あいさつもできたから良かった。
ゴンちゃんにあいさつも出来たし、良かった!これで僕もここの家の子になれた気がする。あとはミミにゃんと姉弟みたいな関係になれたらいいな。
僕はここの家に来る前は、お母さんと兄弟と一緒に暮らしていたみたい。でも、ある日突然、お母さんがどこかに行っちゃったんだ。僕達兄弟を捨てて。
僕達は、親切な近所に住んでた人に拾われたんだよ。その人のお陰で、生き残る事が出来たんだ。だってね、僕は小さくて目やにだらけだったんだ。お腹も空いてたから、僕達の為にご飯を食べさせてくれたしね。拾ってくれた人には感謝しかないよ。
その、拾ってくれた人の知り合いの人が、僕を引き取ってくれたんだ。拾ってくれた人が知り合いの人に、飼ってもらえないか聞いてくれたの。そしたら、良い返事が貰えたみたいで、凄く喜んでくれたよ。そうそう、引き取ってくれる人は《ばらさん》って呼ばれてた。その人が迎えに来てくれた時に、今まで食べてたご飯を入れてくれたんだ。本当に拾ってくれた人が優しい人で良かった。
ダンボール箱に入れられて、《ばらさん》に連れられて、新しい家に行ったんだよ。そこには、すでに僕と同じネコの《ミミにゃん》がいたの。ちょっとだけお母さんと同じ匂いがしてた。やっぱり、大人の人だったからかな?僕がダンボール箱から出たら《ミミにゃん》は『シャァー、シャァー(あんた誰!コッチに来ないで!』って言って居なくなっちゃった。
でもね、他の人達は、僕の事を歓迎してくれたんだよ。嬉しかったな。特に『お兄さん』って人がすごく歓迎してくれて、膝に乗せてくれたり、目やにがまだ出てたんだけど、根気よく拭いてくれたんだ。あとね、僕を連れて来てくれた人は『さよちゃん』って呼ばれてたんだよ。それと『お父さん』と『お姉さん』っていう人も居たよ。
それからね、僕に名前を付けてくれたの。僕の名前は《トラ》に決まったよ。毛の色が茶色でトラ柄だからなんだって。安直な名前だけどまあ、良いや。まだ名前も付いてなかったしね。でもね、たまに《トラオ君》って呼ばれるんだよね。なんでだろう?まあ、いいか。でも、これもたまなんだけど、《大トラ》とも呼ばれるんだ。僕、そんなに大きく無いのに酷いと思わない?ホント、失礼しちゃう。
そうそう、家の外にはイヌの《ゴンちゃん》がいたんだよ。僕は小さいから、側に行けないけど、僕を見ても何にも言ってくれないの。なんだか寂しいな。僕から話しかけてみたら、返事を返してくれるかな?
そうだ、ミミにゃんにあとで聞いてみようっと。あ、でも近くに来ないでと言われてたな。どうしようかな、“教えて!”と聞けば教えてくれるよね。そこまで、イジワルじゃぁ無いといいな。
あ、ミミにゃんだ!『ニャン、ニャアウン、ニャアウン(ミミにゃん、教えて欲しい事があるの、教えて!)』って聞いたら、ミミにゃんは『ニャン、ニャアウン(あら、何が知りたいの?)』って聞いてくれたんだ。だからすぐに『ニャアウン、ニャァン、ニャァン(ゴンちゃんに話しかけてもいい?)』と聞いたの。
僕の近くには来てくれなかったけど、返事はしてくれて『ニャアウン、ニャァン(そんな事、知らないわ!)』って言われちゃった。困ったなぁ。どうしようかなぁ。
仕方ない、当たって砕けろだ。ゴンちゃんに話しかけてみよう!って思ったけど……やっぱり怖いな…。だってね、僕の5倍以上大きいんだもん。僕なんか、大きな口の中に入っちゃうくらいなんだから!でもな、ごあいさつは、基本だよね。頑張って近くまで行って、《これからお願いします》ぐらい言わないとな……。
勇気を振り絞って、ゴンちゃんにあいさつだけでもしようと決心して、ゴンちゃんのいる所まで行って、思いっきり大きな声で『ニャアウン、ニャァンニャアウン(ゴンちゃんさん、よろしくお願いします)』って言ったよ。そしたら、ゴンちゃんは『ワォーン、ワォーンワンワン(お前、誰だ。何時来たんだよ?)』と言いってくれたから、『ニャン、ニャァンニャン(昨日来ました。トラです)』って返事をしたよ。あいさつもできたから良かった。
ゴンちゃんにあいさつも出来たし、良かった!これで僕もここの家の子になれた気がする。あとはミミにゃんと姉弟みたいな関係になれたらいいな。
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