にゃんこの居場所【完結】

榊咲

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【チロの章】

僕の大好きな大祖母さん

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 その日は突然やって来た。いつもの様に大祖母おおばあさんの布団の上で寝てたら、大勢の知らない人達が家に来たんだ。知らない人達だから怖くて、大祖母おおばあさんの布団の中に隠れようとしたんだけど、その布団を取られちゃったんだ。大祖母おおばあさんが寝てるのにだよ!酷いと思わない!

 でもね、いつもならこんな事されたら大祖母おおばあさんが怒るのにその時は起こらなかったんだ。どうしたんだろう?って思ったんだけどね、誰も教えてくれなかったんだ。その内、大祖母おおばあさんの着替えが始まったんだ。なんか『着物』って言う物に着替えさせられてた。それもね、白色なんだよ。なんかいつもと違うって思った。

 そしたら、前の家の人が来たの。なんだかわからないけど、その人は泣いてたの。『おばあさん、おばあさん』って言ってだよ。それに、仏壇って言うのが開けられて、ロウソクって言うのが灯されたんだよ。なんか、しんみりしちゃって、僕も悲しくなっちゃった。

 そのうちにね、お坊さんが来たんだ。それで、大祖母おおばあさんが死んだっちゃんだと思ったんだ。凄く悲しかった!だって、一番可愛がってくれた人だからね。大祖母おおばあさんの側に行きたかったけど、大勢の人が側にいて、近くに行けなかった。でも、夜は別!夜だけは僕も側に行けたんだ。

 大祖母おおばあさんに最後のお別れを言いに行ったの。『ニャウン、ニャン、ニャン(大祖母おおばあさん、さようなら)』て言った。もうね、悲しくてね『ニャウン、ニャウン(悲しいよ)』て泣いちゃった。夜中泣いて泣いて泣いて、さよならしたんだ。

 翌日のお葬式には僕は出られなかった。家の中は人でいっぱいで、僕は怖くなって見送りも出来なかったんだ。ちょっと遠くから車に乗って行く大祖母おおばあさんを見たのが最後になっちゃったんだ。

 お葬式の翌日はなんだか寂しかった。いつもと変わらない日なんだけど、心にポッカリ穴が開いたみたいな感じがした。もう大祖母おおばあさんは居ないんだって改めて思った。なんだか、何もしたくないなぁ。どうしようかなぁって思ってたら、お母ちゃんが僕の前に来たんだ。僕を嫌いなのに、なんで来たのかなぁって思ってたら、『出て行け!』って言ってきた。

 最初、何を言われているのかわからなかった。僕がニャンと言うと『もう帰ってこない様に、出て行け』って言われた。え、って思った。だって、家を出て行けなんて言われると思わないじゃん!でも、お母ちゃんの目を見たら本気だって思ったんだ。だから、名残惜しかったけど、家を出る事にしたんだよね。

 お母ちゃん以外の家の人には会えなかったから、少し悲しかったけどね、これ以上、ここに居たらホウキで叩かれそうだったから、すぐに家を出たんだ。これからどこに行こうかな?知らないとこで再出発だ!
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