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②街までの道程
⑻ユーリの母と詩集2
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ユーリと詩集の本で語学の勉強を始めた時の疑問をヒロトから聞いたセイは、ユーリに会って、語学の勉強をする前に、自分が聞いた詩集とユーリの母親の関係を話そうとしました。
次の朝は前日と違いシトシトと小雨が降っていました。仕方なく商隊は雨が止むまで、このオアシスに逗留する事になりました。
セイはユーリに詩集を持って行き、勉強を進めようと提案します。すると、前の日は題名だけに留まった勉強が出来ると、ユーリは喜んで『やる』と言って来ます。無邪気な様子のユーリを見たヒロトを始めとする大人は、苦笑を堪えながら、ユーリをセイに託して来ました。
「さあ、ユーリさん。今日は雨で皆さん、忙しいと思いますから、ここで勉強しましょう」
「うん、セイさん。お願いします。……それで、あのう、この詩集の事は分かったんですか?」
「ああ、この詩集の事ね。……ユーリさんはお母さんが嫌いですか?」
「お母さんですか?」
「そう、お母さんです」
「私はお母さんの事、そんなに覚えてないから、……わからないていうのが本音です」
「そうですか……。じゃぁ、話を聞いても、嫌いにならないって、約束してほしいです。いいですか?」
「……あの、そんなに酷い人だったんですか?」
「そんな訳ないですよ!お父さんが好きだった人なんですからね。ユーリさんもわかるでしょ?」
「そうですね。あのお父さんが好きになった人だもの。……セイさん、話してください。嫌いにはならないと思うから……。お願いします」
「ふふ、わかりました。でも、詳しい事は、お父さんに聞いて下さいね。私はお父さんに聞いた事だけ話しますからね」
「はい。お願いします」
セイはユーリに母親の話をする前に、彼女と『母親を嫌わない様に』と約束をしてから、ヒロトから聞いた彼女の母親の事を話を始めました。
「いいですか。私が聞いたユーリさんの母親は、今から行く街にあなたと一緒に住んでいたそうですよ」
「え、そうなんですか?……覚えてないです」
「そうでしょうね。あなたがまだ5歳になる前だと聞きましたから」
「そっか~。5年も前のことなんだ……」
「そうですね。それで、お母さんはあなたが寝る前にこの詩集を読んでいたそうですよ」
「あ、そっか!……だから私は題名に覚えがあったんだ!」
「そう見たいですよ」
「じゃぁ、断然読みたくなっちゃった!」
「そうですか?じゃぁ、頑張りましょうね!」
話を聞いたユーリは笑顔を振りまきながら、セイに詩集を読みたいと話してきます。セイはユーリの笑顔を見ながら、この詩集と母親の話をしたことで、彼女の勉強の士気が高まったのを見て、話をしてよかったと思いました。
次の朝は前日と違いシトシトと小雨が降っていました。仕方なく商隊は雨が止むまで、このオアシスに逗留する事になりました。
セイはユーリに詩集を持って行き、勉強を進めようと提案します。すると、前の日は題名だけに留まった勉強が出来ると、ユーリは喜んで『やる』と言って来ます。無邪気な様子のユーリを見たヒロトを始めとする大人は、苦笑を堪えながら、ユーリをセイに託して来ました。
「さあ、ユーリさん。今日は雨で皆さん、忙しいと思いますから、ここで勉強しましょう」
「うん、セイさん。お願いします。……それで、あのう、この詩集の事は分かったんですか?」
「ああ、この詩集の事ね。……ユーリさんはお母さんが嫌いですか?」
「お母さんですか?」
「そう、お母さんです」
「私はお母さんの事、そんなに覚えてないから、……わからないていうのが本音です」
「そうですか……。じゃぁ、話を聞いても、嫌いにならないって、約束してほしいです。いいですか?」
「……あの、そんなに酷い人だったんですか?」
「そんな訳ないですよ!お父さんが好きだった人なんですからね。ユーリさんもわかるでしょ?」
「そうですね。あのお父さんが好きになった人だもの。……セイさん、話してください。嫌いにはならないと思うから……。お願いします」
「ふふ、わかりました。でも、詳しい事は、お父さんに聞いて下さいね。私はお父さんに聞いた事だけ話しますからね」
「はい。お願いします」
セイはユーリに母親の話をする前に、彼女と『母親を嫌わない様に』と約束をしてから、ヒロトから聞いた彼女の母親の事を話を始めました。
「いいですか。私が聞いたユーリさんの母親は、今から行く街にあなたと一緒に住んでいたそうですよ」
「え、そうなんですか?……覚えてないです」
「そうでしょうね。あなたがまだ5歳になる前だと聞きましたから」
「そっか~。5年も前のことなんだ……」
「そうですね。それで、お母さんはあなたが寝る前にこの詩集を読んでいたそうですよ」
「あ、そっか!……だから私は題名に覚えがあったんだ!」
「そう見たいですよ」
「じゃぁ、断然読みたくなっちゃった!」
「そうですか?じゃぁ、頑張りましょうね!」
話を聞いたユーリは笑顔を振りまきながら、セイに詩集を読みたいと話してきます。セイはユーリの笑顔を見ながら、この詩集と母親の話をしたことで、彼女の勉強の士気が高まったのを見て、話をしてよかったと思いました。
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