(完)狐の怪

榊咲

文字の大きさ
上 下
3 / 5

しおりを挟む
 お面の男が私に教えてくれたのは、知りたかった神社のことだった。

 神社に行くにはここから出ているトロッコのような列車に乗るように言われた。そしてお面の男がその列車に乗って神社に行くと言うので、私も連れて行って貰えないか聞いてみた。

「申し訳ないが、私もその神社に行ってみたいのだが、一緒に行けないだろうか?」
「良いが、貴方一人か?」
「いや、あと一人友達がいるんだが…。大丈夫だろうか」
「まあ、そうだね…。貴方とあと一人なら良いだろう」
「そうか!ありがとう。行く時はどうしたら良いのかな?」
「ああ、貴方達は初めてだったな。じゃあ、1時間後に玄関に来てくれるかい」
「わかったよ。じゃあ、1時間後に」
「ああ、1時間後に」

 私はお面の男と約束をして友人達の所に戻った。そして親友にお面の男と約束した話をして、一緒に噂の神社に行って欲しいと頼んだ。すると他の友人達が文句を言ってきた。

「おいおい、私達は?」
「悪いがここで待っていて貰えないか?」
「それはないだろう。折角ここまで来たのに」
「仕方無いだろう。初めて会ったのに無理を言えないじゃ無いか。そうだろう」
「まあ、そうだな」
「だから、君達はここに居てくれよ」
「ああ、わかったよ」

 友人達と他愛無い話をしていたら、直ぐに1時間は過ぎっていった。あのお面の男との約束の時間になったので、友人達に「そろそろ時間だ。行ってくるよ」と言って親友と玄関に向かった。

 お面の男はすでに玄関に来ていた。「遅れてしまって申し訳ない」と言って親友と近づいた。
「いいやまだ約束の時間では無いですよ」と言って私達を迎えてくれた。私は彼に親友を紹介した。

「此方が私の親友で噂の神社に一緒に行く者です」
「そうですか。よろしく」
「此方こそよろしく」

 お互いに挨拶を交わした。するとお面の男が「そろそろ時間です。行きましょうか」と言って私達を列車乗り場まで案内してくれた。
しおりを挟む

処理中です...