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69. 15歳の七夕
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桜の花が七分咲きになってしばらく経ち、もう7月になってしまった。
5月、6月、7月と桜の花は七分咲きのまま綺麗に咲き続けている。
前世では見ごろの期間は短くて、儚いイメージがあったのに、満開と言えるほどの桜の花が咲き続けているのは凄く不思議。花びらさえ散らない。
私が触る事で一度に全ての蕾が開く、なんて恐ろしい事が起こったら嫌なので、距離をあけてお花見をしているけど。そう、度々、私達はお花見をしている。
最初はただ見守っていただけ、だったのにお兄様が「喉、渇いた」とか「お腹が空いた」とか言うものだから「桜を見守りながらお昼を頂きましょう」となって。
今では重箱にお弁当を詰めて、皆、嬉しそうに桜を眺めながらランチをしている。
桜のよく見えるいい場所に簡易テーブルを置いてアルファント殿下なんてお昼から少しだけ、と 言いつつお酒を召し上がっている。
殿下はとっくに成人になっているし、お兄様も成人したので、「お付き合いですね、仕方ないですね」と言いながら飲んでいるのは完全に花見酒で、なんだか長閑な風景にこれで良いのかしら、とか思う。
まだ15歳のくせに飲んでいるので、お酒の中身半分をポーションに変えてみた。時折、首をひねっているけど身体には悪くないはず。
でも、お花見は長閑だけど、学園は茶ピンク旋風が面倒くさい。
ピンクさんはピンク劇場でコケピンクを演じていたけど、茶ピンクさんは直接、私に絡みに来る。
どうでもいい事、というかそれ、私関係ないよね、という事で絡んでくるのですごく迷惑。
足を引っかけてくるし、階段で後ろから押すし2階から植木鉢が落ちてくるし。それはヒロインに対して悪役令嬢がする事じゃないかと思うけど。
ノームル様が優秀で出してくる足は踏みつけるし、階段では押し返しているし植木鉢も元会った場所に魔法で押し返している。というか、水魔法で薄い防御膜を張っている私に物理的危害を加えるのは難しいと思う。
7月になる前に3年生と4年生の教室の間には警備の人が立つようになった。3年生の女子のお手洗いに茶ピンクさんが度々出没してくるようになり、私の教室の前にもやって来て、直接、きつい言葉を投げかけるようになってきたから。
どうも、彼女は私の心を折ってしまいたいみたい。
ウザかったけど、まだピンクさんのほうがマシかもしれない。そのピンクさんは相変わらず寝たきりで寝たままうなされている。
ラクアート様は茶ピンクさんにかかりきりでピンクさんの事は忘れてしまったようで、何だかなぁ、どうしようもないけど、何だか気持ちがモゾモゾする。
とりあえず、様子見という事でラクアート様たちは監視つきで放置。
私達は相変わらず要請のあるダンジョンに時折出向く日々が続いている。
7月7日、今日は私の誕生日。
アルファント殿下はじめ仲良くしていただいている人たちが集まって内輪での小さなパーティーがある予定。
この世界では誕生日だからといって大きなパーティーを開く事はない。だって、高位貴族の家族の誕生日ごとにパーティーがあって、招いたり招かれたりしていたら切りがないから。
だので、家族でお祝いするのが主流になっている。
だけど、アルファント殿下がどうしても私の成人のお祝いを兼ねた誕生日のお祝いをしたいとおしゃって、去年までは誕生日プレゼントを渡すだけだったので、「今年こそは直接、顔を見て祝いたい、俺のリーナ」ってとても良い声でお願いされて、もう「はい」というしかない。
けれど流石に殿下だけというわけにはいかなくて、殿下にもれなく付いてくる人と私に付いてくださる人達を考えると、小さなパーティーとなってしまった。
ちなみにアプリコット家からはお祝いの品は頂いたけど、お父様に呼び出されてお母様と一緒にお父様の有難いご高説「成人とは」「大人になってからの責任」「家のために尽くすとは」を只管聞かされた。
お父様のご高説を延々と聞かされるのがアプリコット家の成人のお祝い、らしい。お兄様は聞いているふりで何を話していたのか覚えていないと言っていた。
「ああ、リーナ。お前に付いていた侍女だが横領をしていたから、乳母と一緒に留置所に入っているぞ」
「えっ? シオですか?」
「ああ、王宮から連絡があって、乳母も調べるように言われたから調査してみたら、アイツら好き勝手にリーナの宝飾品を売りさばいていた。乳母だけでなくリーナの別邸にいた連中も皆グルだった」
「えっ皆ですか」
「ああ。しかも学園に入ってから届けておいた宝飾品もかなり無くなっていたと思うが気が付かなかったのか?」
「ドレスだけが贈られているのかと思っていました。アクセサリーに関してはフルール様やエーアリア様が侍女の方と一緒に貸してくださっていましたから」
「まったく、何故言わなかった。まさか、食事まで入れ替えていたとは思わなかった。乳母の奴、加護を本神殿で確認してみたら『盗賊と詐欺』という負の加護を持っておった。よく無事で育ったものだ」
「お兄様のところでご飯を食べていました」
「アークがいて良かったな」
「はい。本当に」
いつの日かこっそり、仕返しの予定だったのに悪事が表ざたになる日が来るとは。
お父様は気が付かなかっただけで、特に私が嫌いとかではなかったらしい。ちょっと複雑な心境になってしまった。
アルファント殿下に侍従のランディ様とお兄様、護衛のトーリスト様。何かあるともれなく付いてくるノヴァ神官。
私の侍女兼護衛のノームル様にお手伝いさせてくださいと申し出てくれたチョコレート供給元のフルール様とその侍女エラーナ様に何故か、卒業されたエーアリア様が侍女と共に来られる事になった。
公爵令嬢のエーアリア様は隣国の王太子と婚約していて、来年の春に結婚が予定されている。
だので、今の内に国内の仲良くしている皆さまと親睦を深めておきたいと積極的に社交を行っているのだ。私も時々、お茶に呼ばれている。
今回、乳母の件があったので、お父様からはかなりの装飾品が各種、贈られてきた。
そして、アルファント殿下からはネックレスとティアラに指輪。その指輪は直接、殿下が口づけをしてそれから私の指に嵌めてくれた。
「リーナ。愛をこめて。いつまでも私の側にいてほしい」
「は、はい」
「オーッ、リーナ、真っ赤っか」
「もう、お兄様」
「アークもついでに側にいてくれるか?」
「はい。追加で側にいます。三位一体ですし」
「あっ、殿下。私も側にいますよ。お邪魔でしょうけど」
「あんまり、邪魔してくれるなよ」
「約束はできません」
殿下とランディ様は相変わらず仲が良い。そして、和やかに誕生日パーティーは終了し、お兄様だけがリビングでミルク入り麦茶を飲んでいる。お兄様、ほんとに寝る間際までここにいて寛いでいるから以前とあまり変わらないような感じ。
「リーナ、今日は誕生日だからレベルが上がったよな」
「ええ、お兄様は何を期待しているのかしら?」
「うーん。なんだろうって、何かな~」
「じゃーん。はい、どうぞ」
「うわー、カルピス?」
「ええ、懐かしいでしょう?」
「カルピスは恋の味」
「えっ、そう言えば聞いた事があるような」
「まさに、今のリーナにぴったりだ」
「もう、お兄様。はい、これも見て」
「うわ、ウソ! これ、アイスコーヒー!」
「カフェオレにする?」
「うん。ついにコーヒーが出せるようになったんだ」
「それだけじゃないわ。味醂に料理酒に梅酒が出せるの。料理の幅が広がるわ」
「いまでさえ物凄く美味いのにさらに美味しくなるのか。もう、リーナ、天下無敵」
「もう、お兄様はどうなの?」
「えっ、俺? 忘れてた。レベル上がっているかな? おおっ、リーナ、見て」
お兄様が急いで生やしたパンの木、その実の中から出てきたのはメロンパン。
「わぉ、また、あの美味しいパン屋のメロンパンだ。俺、ほんとにあの学校に行ってて良かった」
焼き立てのメロンパンは美味しかった。
でも、乙女ゲームの魔王封印は夏休みがメインだったような気がする。
平和な日々は何時まで続くのだろう。
5月、6月、7月と桜の花は七分咲きのまま綺麗に咲き続けている。
前世では見ごろの期間は短くて、儚いイメージがあったのに、満開と言えるほどの桜の花が咲き続けているのは凄く不思議。花びらさえ散らない。
私が触る事で一度に全ての蕾が開く、なんて恐ろしい事が起こったら嫌なので、距離をあけてお花見をしているけど。そう、度々、私達はお花見をしている。
最初はただ見守っていただけ、だったのにお兄様が「喉、渇いた」とか「お腹が空いた」とか言うものだから「桜を見守りながらお昼を頂きましょう」となって。
今では重箱にお弁当を詰めて、皆、嬉しそうに桜を眺めながらランチをしている。
桜のよく見えるいい場所に簡易テーブルを置いてアルファント殿下なんてお昼から少しだけ、と 言いつつお酒を召し上がっている。
殿下はとっくに成人になっているし、お兄様も成人したので、「お付き合いですね、仕方ないですね」と言いながら飲んでいるのは完全に花見酒で、なんだか長閑な風景にこれで良いのかしら、とか思う。
まだ15歳のくせに飲んでいるので、お酒の中身半分をポーションに変えてみた。時折、首をひねっているけど身体には悪くないはず。
でも、お花見は長閑だけど、学園は茶ピンク旋風が面倒くさい。
ピンクさんはピンク劇場でコケピンクを演じていたけど、茶ピンクさんは直接、私に絡みに来る。
どうでもいい事、というかそれ、私関係ないよね、という事で絡んでくるのですごく迷惑。
足を引っかけてくるし、階段で後ろから押すし2階から植木鉢が落ちてくるし。それはヒロインに対して悪役令嬢がする事じゃないかと思うけど。
ノームル様が優秀で出してくる足は踏みつけるし、階段では押し返しているし植木鉢も元会った場所に魔法で押し返している。というか、水魔法で薄い防御膜を張っている私に物理的危害を加えるのは難しいと思う。
7月になる前に3年生と4年生の教室の間には警備の人が立つようになった。3年生の女子のお手洗いに茶ピンクさんが度々出没してくるようになり、私の教室の前にもやって来て、直接、きつい言葉を投げかけるようになってきたから。
どうも、彼女は私の心を折ってしまいたいみたい。
ウザかったけど、まだピンクさんのほうがマシかもしれない。そのピンクさんは相変わらず寝たきりで寝たままうなされている。
ラクアート様は茶ピンクさんにかかりきりでピンクさんの事は忘れてしまったようで、何だかなぁ、どうしようもないけど、何だか気持ちがモゾモゾする。
とりあえず、様子見という事でラクアート様たちは監視つきで放置。
私達は相変わらず要請のあるダンジョンに時折出向く日々が続いている。
7月7日、今日は私の誕生日。
アルファント殿下はじめ仲良くしていただいている人たちが集まって内輪での小さなパーティーがある予定。
この世界では誕生日だからといって大きなパーティーを開く事はない。だって、高位貴族の家族の誕生日ごとにパーティーがあって、招いたり招かれたりしていたら切りがないから。
だので、家族でお祝いするのが主流になっている。
だけど、アルファント殿下がどうしても私の成人のお祝いを兼ねた誕生日のお祝いをしたいとおしゃって、去年までは誕生日プレゼントを渡すだけだったので、「今年こそは直接、顔を見て祝いたい、俺のリーナ」ってとても良い声でお願いされて、もう「はい」というしかない。
けれど流石に殿下だけというわけにはいかなくて、殿下にもれなく付いてくる人と私に付いてくださる人達を考えると、小さなパーティーとなってしまった。
ちなみにアプリコット家からはお祝いの品は頂いたけど、お父様に呼び出されてお母様と一緒にお父様の有難いご高説「成人とは」「大人になってからの責任」「家のために尽くすとは」を只管聞かされた。
お父様のご高説を延々と聞かされるのがアプリコット家の成人のお祝い、らしい。お兄様は聞いているふりで何を話していたのか覚えていないと言っていた。
「ああ、リーナ。お前に付いていた侍女だが横領をしていたから、乳母と一緒に留置所に入っているぞ」
「えっ? シオですか?」
「ああ、王宮から連絡があって、乳母も調べるように言われたから調査してみたら、アイツら好き勝手にリーナの宝飾品を売りさばいていた。乳母だけでなくリーナの別邸にいた連中も皆グルだった」
「えっ皆ですか」
「ああ。しかも学園に入ってから届けておいた宝飾品もかなり無くなっていたと思うが気が付かなかったのか?」
「ドレスだけが贈られているのかと思っていました。アクセサリーに関してはフルール様やエーアリア様が侍女の方と一緒に貸してくださっていましたから」
「まったく、何故言わなかった。まさか、食事まで入れ替えていたとは思わなかった。乳母の奴、加護を本神殿で確認してみたら『盗賊と詐欺』という負の加護を持っておった。よく無事で育ったものだ」
「お兄様のところでご飯を食べていました」
「アークがいて良かったな」
「はい。本当に」
いつの日かこっそり、仕返しの予定だったのに悪事が表ざたになる日が来るとは。
お父様は気が付かなかっただけで、特に私が嫌いとかではなかったらしい。ちょっと複雑な心境になってしまった。
アルファント殿下に侍従のランディ様とお兄様、護衛のトーリスト様。何かあるともれなく付いてくるノヴァ神官。
私の侍女兼護衛のノームル様にお手伝いさせてくださいと申し出てくれたチョコレート供給元のフルール様とその侍女エラーナ様に何故か、卒業されたエーアリア様が侍女と共に来られる事になった。
公爵令嬢のエーアリア様は隣国の王太子と婚約していて、来年の春に結婚が予定されている。
だので、今の内に国内の仲良くしている皆さまと親睦を深めておきたいと積極的に社交を行っているのだ。私も時々、お茶に呼ばれている。
今回、乳母の件があったので、お父様からはかなりの装飾品が各種、贈られてきた。
そして、アルファント殿下からはネックレスとティアラに指輪。その指輪は直接、殿下が口づけをしてそれから私の指に嵌めてくれた。
「リーナ。愛をこめて。いつまでも私の側にいてほしい」
「は、はい」
「オーッ、リーナ、真っ赤っか」
「もう、お兄様」
「アークもついでに側にいてくれるか?」
「はい。追加で側にいます。三位一体ですし」
「あっ、殿下。私も側にいますよ。お邪魔でしょうけど」
「あんまり、邪魔してくれるなよ」
「約束はできません」
殿下とランディ様は相変わらず仲が良い。そして、和やかに誕生日パーティーは終了し、お兄様だけがリビングでミルク入り麦茶を飲んでいる。お兄様、ほんとに寝る間際までここにいて寛いでいるから以前とあまり変わらないような感じ。
「リーナ、今日は誕生日だからレベルが上がったよな」
「ええ、お兄様は何を期待しているのかしら?」
「うーん。なんだろうって、何かな~」
「じゃーん。はい、どうぞ」
「うわー、カルピス?」
「ええ、懐かしいでしょう?」
「カルピスは恋の味」
「えっ、そう言えば聞いた事があるような」
「まさに、今のリーナにぴったりだ」
「もう、お兄様。はい、これも見て」
「うわ、ウソ! これ、アイスコーヒー!」
「カフェオレにする?」
「うん。ついにコーヒーが出せるようになったんだ」
「それだけじゃないわ。味醂に料理酒に梅酒が出せるの。料理の幅が広がるわ」
「いまでさえ物凄く美味いのにさらに美味しくなるのか。もう、リーナ、天下無敵」
「もう、お兄様はどうなの?」
「えっ、俺? 忘れてた。レベル上がっているかな? おおっ、リーナ、見て」
お兄様が急いで生やしたパンの木、その実の中から出てきたのはメロンパン。
「わぉ、また、あの美味しいパン屋のメロンパンだ。俺、ほんとにあの学校に行ってて良かった」
焼き立てのメロンパンは美味しかった。
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