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27. お茶会、その後

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 お茶会が無事に終わり、エーアリア様とフルール様のお家の使用人の方たちがササっとお片付けをしてくださって、皆さまが引き上げていった。
 お茶会の参加者は皆さま、良いお茶会でしたと笑顔で帰って行かれたので良かったと思う。

「お兄様、何とか無事に終わって良かったけど、良かったのかしら?」
「うーん。お茶会的には無事で良かったけど、ピンク頭の事を考えるとなぁ~。なんかあれ、魔王を復活させるみたいな事、言っていたし」
「何か余計な事をしそうなのが怖いわ」
「殿下は転生者みたいだから、どうしよう。話してしまうか? いや、まだゲームは始まっていないし、どうしたものか。でも、殿下が攻略対象という事はあのピンク頭を殿下が好きになる事もあり得るのか」

「うわー、見たくないわ。ピンクの彼女にデレデレしているアルファント殿下なんて」
「ゲームが始まる前にピンク頭を丸焼きにしてしまうか」
「もう。お兄様ったら。せめて修道院とか」
「ヒロイン的にはバッドエンドだな。それでも、ゲームの内容は聞き出しておかないと。殿下の様子を見るに乙女ゲームの知識は持って無いみたいなんだよなぁ~」
「誰かゲームに詳しい人がいるといいのに」

 私たちはドラ焼きと煎茶で一息ついていた。
 アルファント殿下があまりに美味しそうにドラ焼きを食べるので食べたくなったのだ。
 あの時、戸棚に置いてあったドラ焼きはお兄様が広間の最終チェックをする時に摘まんで食べようと置いたまま忘れていたモノだった。

 アルファント殿下の侍従の方が言うには愛想笑いに疲れた殿下がちょっと人除けに厨房に入って、直ぐに「何かある」と言いながら戸棚を開けてドラ焼きを見つけたのだそうだ。

「殿下は時々、犬なみの嗅覚を発揮しますから」と言っていた。特に食べ物に関してはとても優れた感覚をお持ちだそうだ。
 殿下と侍従はとても仲が良さそうに見える。「小さな頃からの仲なので遠慮が無くなってしまったのです。殿下もそれで良い、と言われるものですから」という侍従に殿下も苦笑いをしていた。

 お茶会はとりあえず無事に終わったけど後が怖い、と思っていると、翌日ラクアート様から呼び出しがあった。

 どうしてエーアリア様たちがお茶会に参加していたのかと責められたけど、初めてのお茶会で相談したらエーアリア様が仕切りますと言われたという話に「うーん、彼女がそう言ったら仕方ないか」と納得されたようだった。

「だが、せめてタウンハウスの女性全員が参加するなら、そうと教えてくれてもいいじゃないか、それも皆がお揃いのテーマで着飾っていて。フレーが仲間外れにされたと煩かったんだぞ」

 あっ、ラクアート様でもお揃いのテーマってわかったんだ、とちょっと嬉しくなった。

 ラクアート様への連絡はエーアリア様がしてくださると言われたので、とお話するとまた難しい顔で唸ってしまった。

「なぁ、ミス・エーアリアはフレーの事を嫌っていると思うか?」
「えっ! それはその、どうでしょう」
「リーナはフレーの事、何か言ったのか?」
「いえ、私はお茶会の相談にフルール様と伺っただけですわ。フレグランス様については何もお話しておりません。エーアリア様は以前からフレグランス様の事はご存じでいらしたようですわ」
「フレーは何時も私と一緒に居たがるから。ひょっとして噂になっているのか」
「ええ、皆さま、ラクアート様がフレグランス嬢を大切になされているのはご存じのようでした」
「そうか。フレーは何れ聖女になるけど今は知られてないから。いや、この間、聖女になると宣言してしまったから、どうしたものか」

 ラクアート様、ほんとにピンクの彼女が聖女になると信じているらしい。その根拠はどこにあるのだか。この世界は乙女ゲームの世界であなたは攻略対象者ですって聞いているのかしら?

「ラクアート様、フレグランス様が聖女になるのは何時とかどういった経緯でなられるとか聞かれていますか?」
「うん。フレーが聖女になるのは14歳だと言っていた。15歳になる前に聖なるお告げによって試練を受けて聖女の杖が与えられるそうだ」
「そのお告げは大聖堂から神託として告げられますの?」
「いや、フレーに直接、降りてくるそうだ」
「そうですか……」

「本来は魔王が復活して、それを聖女が仲間と共に封ずるのだが、フレーの力で魔王の復活を阻止していると言っていた。だが、先日のミス・エーアリアの発言でフレーが怒ってしまって、魔王を抑える為の集中力が途切れそう、と言っているんだ。何とかしないと魔王が復活してしまう」
「集中力が、ですか……」
「リーナ、君が何とかフレーを慰めてくれないか。女どうしのほうが話しやすいと思うし。フレーはどうしても異性に好かれてしまうから、あまり友人がいないんだ」

 そうですか、そうですか。恋愛脳って恐ろしいと思う。何でも良いほうに取れるんだね。
 ピンクの彼女に会って、愚痴をきくのは凄くイヤ! だけど仕方ないのでご招待する事にした。なるべく情報を引き出しておきたいし。

 どうして、私がこんな苦労をしなくてはいけないのでしょう。
 ラクアート様なんていらないし、婚約破棄、できたらいいのに。
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