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24. 学生会の皆さまとお茶会ですって、どうしよう。
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信じられない事に学生会の皆さま、全員から出席のお返事が来た。
私としてはラクアート様と、ピンクの彼女が「ガーヤとかリンドン」って呼び捨てにしている侯爵家のガーヤ・ジートリス様と魔法庁長官の子息、リンドン・マジーク様の3人がいらっしゃると思っていたので困ってしまった。
学生会7人とトーリスト・ガーター様、アルファント殿下の侍従と護衛2人をあわせて11名。
この大勢の男性陣をどうしろと。
もう、すぐに逃げ出したい。
「お兄様、どういう事かしら? ピンクの彼女が絡んでいるとわかっているのに普通、出席する?」
「うーん。むしろ嫌がらせ?」
「誰に?!」
「リーナの婚約者に。招待状の主催はラクアート様みたいに見えるから。いつもピンク頭のせいで迷惑かけられているから全員で行くことで困らせようと思っているのかも」
「だって、ラクアート様は何もしないのよ、名前だけで」
「そうなんだよな。リーナはとんだ、とばっちりだ」
「どうしましょう? フルール様は頼りにならないし私だってお茶会の主催なんてしたことないのに、いきなり王族なんて困るわ」
「うーん。先輩に相談してみたらどうだろう。リーナはまだ1年生だし4年生の公爵令嬢に頼ってみよう」
という事で、同じ公爵令嬢であるフルール様にお願いしてみると付き添いで一緒にきてくれる事になった。
フルール様は事情を聞くと驚いた顔で
「あり得ない」
と呟き
「リーナ様。常識的に考えてラクアート様のなさりようはおかしいですわ。何を考えているのでしょう」
「何も考えていないのでは?」
「そ、そうかもしれません。どうしましょう」
とオロオロした様子になってしまったので、4年生のエーアリア・ソルムテラ様に相談に行くので付いてきてほしいと頼んでみるとあっさり頷いてくれた。
フルール様、結構メンタルが弱いのかもしれない。
エーアリア様はソルムテラ公爵家の長女で知的な美人だが笑うと柔和な雰囲気になる先輩だ。
突然の訪問(もちろん先ぶれをだして許可を得た)にも拘わらず快く迎えてくださったエーアリア様はあきれていた。
もちろん、ラクアート様とフレグランス嬢のなさりように。
「噂には聞いていましたが、ラクアート様とその愛人候補の方はひどいですわね」
ピンクさん、愛人候補……なのね。傍から見ると。
「実は2,3年前からあまり男女間でのお茶会は開かれなくなってきていたのです。この学園では貴族どうしで親睦を深める事が推奨されていますが、3年前にお茶会での揉め事があったせいで主催を敬遠する風潮になってしまって。無難に異性を避けているうちに気づけばお茶会は同性ばかりになっていますね。タウンハウスに於いてはですが」
「そうだったんですか」
「ええ、でもいい機会かもしれません。会場はリーナ様のタウンハウスを使わせていただいて、今回のお茶会は私が仕切らせていただきましょう。今、タウンハウスにいる皆さま、私たちを含めて8人ですね。全員で学生会を迎え撃ちましょう」
「学生会を迎え撃ち!」
「ええ、そして、流れ弾でラクアート様とピンクの愛人を倒してしまいましょう」
「倒してしまう! ですか」
「ええ、身の程しらずのピンクの方には立場をわきまえていただかなくては」
にっこりと笑ったエーアリア様は怖かった。
でも、ピンク嬢、でなかったフレグランス嬢は常識が通じない人だから、貴族的言い回しでいくら嫌味を言っても堪えないと思います。
むしろ、ラクアート様を攻撃したほうが何とかなるかもしれない。
ともかく、今回のお茶会はエーアリア様が仕切り、お菓子や軽食はエーアリア様とフルール様が手配してくださる事になった。ソルムテラ公爵家から手慣れた料理人や侍女も呼んでくださるそうなので、私たちはよく見て学ぶようにと言われた。
アルファント殿下が来るのなら、張り切る人もいるだろうし、とおっしゃったけど、そういえば殿下にはまだ婚約者はいないのだった。
近年は成人してからの婚約が推奨されているので、王族もまだ婚約している人はいないし、王族が婚約しないので高位貴族を始め貴族たちの婚約も成人を過ぎてからが多くなった。
よほどの事情がないと婚約はしないのだが、私の場合はそのよほどの事情にあたるらしい。
あぁ、いやだ。
「リーナ様も殿下に見初められたら、ラクアート様と婚約破棄ができるかもしれませんね」
「えっ!?」
「ラクアート様なんてポイッと捨ててしまうとよろしいのですわ」
エーアリア様は綺麗な笑顔でそう言い放った。
婚約破棄、できると嬉しい。
でも、ラクアート様は捨てたいけど、アルファント殿下もお断りしたい。
私は平凡で優しい男性が好みです。
「お兄様、どうなると思う」
「嵐がくるかな」
「うちのタウンハウスに! 嫌だなぁ」
「皆さん、穏やかな方ばかりじゃないか。大丈夫だよ。多分」
「多分って。当日、ピンクの彼女にだけ時間変更して伝えようかしら」
「ラクアート様と一緒だから無駄じゃないか」
「だよね。ああ、嫌になっちゃう。まだ、ゲームは始まっていないはずなのに」
「ほんとになぁ」
と、私たちはきんつばをお供に抹茶を飲んでいた。お兄様は抹茶に牛乳と蜂蜜をタップリと入れた。お兄様も疲れていたらしい。私は抹茶をちょっと薄めて蜂蜜を入れて飲んだ。
美味しい。
最近は和風のお菓子をよく食べている。
シオが此のところタウンハウスに全然、帰ってこないのですごく楽。お菓子や料理も作りやすいしお互いに不干渉が良いと思う。
今回のお茶会、これって男性11名と女性9名の合コンと言えるかもしれない。
貴族の思惑が絡み合う社交のひな型。
ああ、怖い。
私としてはラクアート様と、ピンクの彼女が「ガーヤとかリンドン」って呼び捨てにしている侯爵家のガーヤ・ジートリス様と魔法庁長官の子息、リンドン・マジーク様の3人がいらっしゃると思っていたので困ってしまった。
学生会7人とトーリスト・ガーター様、アルファント殿下の侍従と護衛2人をあわせて11名。
この大勢の男性陣をどうしろと。
もう、すぐに逃げ出したい。
「お兄様、どういう事かしら? ピンクの彼女が絡んでいるとわかっているのに普通、出席する?」
「うーん。むしろ嫌がらせ?」
「誰に?!」
「リーナの婚約者に。招待状の主催はラクアート様みたいに見えるから。いつもピンク頭のせいで迷惑かけられているから全員で行くことで困らせようと思っているのかも」
「だって、ラクアート様は何もしないのよ、名前だけで」
「そうなんだよな。リーナはとんだ、とばっちりだ」
「どうしましょう? フルール様は頼りにならないし私だってお茶会の主催なんてしたことないのに、いきなり王族なんて困るわ」
「うーん。先輩に相談してみたらどうだろう。リーナはまだ1年生だし4年生の公爵令嬢に頼ってみよう」
という事で、同じ公爵令嬢であるフルール様にお願いしてみると付き添いで一緒にきてくれる事になった。
フルール様は事情を聞くと驚いた顔で
「あり得ない」
と呟き
「リーナ様。常識的に考えてラクアート様のなさりようはおかしいですわ。何を考えているのでしょう」
「何も考えていないのでは?」
「そ、そうかもしれません。どうしましょう」
とオロオロした様子になってしまったので、4年生のエーアリア・ソルムテラ様に相談に行くので付いてきてほしいと頼んでみるとあっさり頷いてくれた。
フルール様、結構メンタルが弱いのかもしれない。
エーアリア様はソルムテラ公爵家の長女で知的な美人だが笑うと柔和な雰囲気になる先輩だ。
突然の訪問(もちろん先ぶれをだして許可を得た)にも拘わらず快く迎えてくださったエーアリア様はあきれていた。
もちろん、ラクアート様とフレグランス嬢のなさりように。
「噂には聞いていましたが、ラクアート様とその愛人候補の方はひどいですわね」
ピンクさん、愛人候補……なのね。傍から見ると。
「実は2,3年前からあまり男女間でのお茶会は開かれなくなってきていたのです。この学園では貴族どうしで親睦を深める事が推奨されていますが、3年前にお茶会での揉め事があったせいで主催を敬遠する風潮になってしまって。無難に異性を避けているうちに気づけばお茶会は同性ばかりになっていますね。タウンハウスに於いてはですが」
「そうだったんですか」
「ええ、でもいい機会かもしれません。会場はリーナ様のタウンハウスを使わせていただいて、今回のお茶会は私が仕切らせていただきましょう。今、タウンハウスにいる皆さま、私たちを含めて8人ですね。全員で学生会を迎え撃ちましょう」
「学生会を迎え撃ち!」
「ええ、そして、流れ弾でラクアート様とピンクの愛人を倒してしまいましょう」
「倒してしまう! ですか」
「ええ、身の程しらずのピンクの方には立場をわきまえていただかなくては」
にっこりと笑ったエーアリア様は怖かった。
でも、ピンク嬢、でなかったフレグランス嬢は常識が通じない人だから、貴族的言い回しでいくら嫌味を言っても堪えないと思います。
むしろ、ラクアート様を攻撃したほうが何とかなるかもしれない。
ともかく、今回のお茶会はエーアリア様が仕切り、お菓子や軽食はエーアリア様とフルール様が手配してくださる事になった。ソルムテラ公爵家から手慣れた料理人や侍女も呼んでくださるそうなので、私たちはよく見て学ぶようにと言われた。
アルファント殿下が来るのなら、張り切る人もいるだろうし、とおっしゃったけど、そういえば殿下にはまだ婚約者はいないのだった。
近年は成人してからの婚約が推奨されているので、王族もまだ婚約している人はいないし、王族が婚約しないので高位貴族を始め貴族たちの婚約も成人を過ぎてからが多くなった。
よほどの事情がないと婚約はしないのだが、私の場合はそのよほどの事情にあたるらしい。
あぁ、いやだ。
「リーナ様も殿下に見初められたら、ラクアート様と婚約破棄ができるかもしれませんね」
「えっ!?」
「ラクアート様なんてポイッと捨ててしまうとよろしいのですわ」
エーアリア様は綺麗な笑顔でそう言い放った。
婚約破棄、できると嬉しい。
でも、ラクアート様は捨てたいけど、アルファント殿下もお断りしたい。
私は平凡で優しい男性が好みです。
「お兄様、どうなると思う」
「嵐がくるかな」
「うちのタウンハウスに! 嫌だなぁ」
「皆さん、穏やかな方ばかりじゃないか。大丈夫だよ。多分」
「多分って。当日、ピンクの彼女にだけ時間変更して伝えようかしら」
「ラクアート様と一緒だから無駄じゃないか」
「だよね。ああ、嫌になっちゃう。まだ、ゲームは始まっていないはずなのに」
「ほんとになぁ」
と、私たちはきんつばをお供に抹茶を飲んでいた。お兄様は抹茶に牛乳と蜂蜜をタップリと入れた。お兄様も疲れていたらしい。私は抹茶をちょっと薄めて蜂蜜を入れて飲んだ。
美味しい。
最近は和風のお菓子をよく食べている。
シオが此のところタウンハウスに全然、帰ってこないのですごく楽。お菓子や料理も作りやすいしお互いに不干渉が良いと思う。
今回のお茶会、これって男性11名と女性9名の合コンと言えるかもしれない。
貴族の思惑が絡み合う社交のひな型。
ああ、怖い。
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