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15. 王都へ
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月日の経つのは早いもので12歳の春が来た。
魔法学園の入学式は4月1日なので3月の始めに王都に行くことになった。
王都まで馬車で10日かかる。
辺境の中では割と王都に近いそうだ。それでも馬車の旅はつらかった。馬車で移動するけれど、その馬車をひいているのは馬ではなく馬に似た魔獣、魔馬と言って私の知っている馬の2倍くらい大きい。
丈夫で力は強いけれど馬車は揺れる。クッションに埋もれてなるべく振動に耐えながらこっそりとポーションを飲んで回復していた。お兄様の水筒とアイテムボックスにもポーションをしっかり詰め込んで置いた。
最初、乳母が侍女として名乗りを上げて学園まで付いて来ようとしたのだけれど、乳母の娘のシオが17歳になったので侍女として付いてくることになった。領主の加護が付いたので、シオが私に危害を加える事はできない。
乳母は長年の虐待のせいか苦手なので別れられて嬉しいけど、それでも怠け者のシオが付いてくるのは邪魔にしかならない。
お兄様が何かと直ぐ「殲滅してしまえ!」とかいうのは困ったものだけど、内心ではちょっと頷いている。
ホントにちょっとだけ。
実際『液体』の加護、氷の威力はありすぎる。
特に氷雨は少し密度を上げて狐で試してみたら見事に潰してしまった。殺傷能力が高すぎる。
普通の氷雨で囲って凍えさせるくらいがちょうどいいかもしれない。
お兄様が「これはチートだし、上位にあたるレア加護じゃないか」と言うのだけれど、そんな事誰かにバレたら怖い。
でなくても、『隠蔽』の加護もレアで有力な加護だから、バレないようにしなくてはならないし。
なるべく目立たず無難に過ごしてコッソリと逃げようと決めた。
ベテランの侍女が魔法学園までの道中と慣れるまでは寮生活に付き添う事になったけど、無表情ながら細やかに面倒を見られて面映ゆい。
彼女がシオに指導がてら色々と細かく注意をしていく。
「これまでは何となく過ごしてきたのかもしれませんが、これからはきちんと辺境伯家の侍女としての自覚を持ってお嬢様にお仕えしてください」
「はーい。わっかりました~」
「お返事の時、語尾は伸ばさない! 全く何度言ったら覚えるのです」
「一体どんな躾けを受けてきたのだか」
小さい声で呟いていたけど、シオは侍女の役目なんて果たしてなかったから。むしろ、シオのほうが本当のお嬢様みたいに威張ってきたからね。
これ迄なんでも自分でしてきたのに、
「お嬢様はそのような事はなさらないでください」
と言われて着せ替え人形になっている。お兄様が従僕として側についてくれるのは有難いけど、馬車の中にも侍女がいるので気が抜けない。
幸い、宿の続き部屋に侍女は居るけど夜は一人になれるので『隠蔽』の加護を使ってお兄様の部屋に忍んでいる。
で、こっそりオヤツを食べて小さな声で愚痴をこぼす。荷物があるので馬車2台で移動しているけれど、日によって馬車に乗るのが私と侍女と護衛、私とシオと護衛、私とお兄様と護衛となる。
いつでも無表情な護衛が付いているのは気づまりだ。せっかくお兄様と一緒でも当たり障りのない話しかできなかった。
退屈で窮屈な馬車の旅が終わりやっと王都に着いた。
一旦、王都にある辺境伯の屋敷で3日ほど休んだ後、婚約者との顔合わせがある。
憂鬱だ。
王都に着いた翌日にお兄様と二人、領主の執務室に呼ばれたらそこにお父様が居た。
どうして? と思ったらお父様はニヤリと笑って「転移魔法だ」とおっしゃった。
ズルい。馬車の旅をしなくていいなんて。
「転移魔法は魔力を食うし本人しか運べない。お前たちはまだ転移魔法を学んでいないし、登録もしていないからこの魔法は当分使えない。だが、魔力はかなり大きいからやがて覚えたら領都との連絡役にしてやろう」
とニヤニヤしながらおっしゃった。
「しかし、馬車の旅をした後にしては元気そうだ。ウオーター公爵家との顔合わせだが、明後日の昼を予定している。昼食を食べてその後は婚約者と過ごすがいい。いずれ、公爵夫人となるのだから仲良くするんだぞ!」
あぁ、いやだ。
侍女から淑女の言葉使いとか会話内容とかスパルタで詰め込まれたけど、余計な事は言わずに只管微笑んでいればいいらしい。
どこのお嬢様! ……私だよ! ゎたしはお嬢様だった。
「お兄様、公爵家に行きたくない! 婚約なんてしたくない」
「うーん。可哀そうに。でも、ほら、今だけの辛抱……じゃないけど学年が違うとそんなに接点はないよ。きっと」
「もう、他人事かと思って。私は男の人と付き合った事はないのよ」
「えっ? リーナ、転生前に結婚してなかった?」
「していたけど親が決めた結婚だったし、いわゆる仮面夫婦だったから夫の顔も思いだせないし特にデートもしたことはないと思う。一度くらいデートしてみたいと思った記憶はあるから」
「リーナ……」
「もう、可哀そうな子みたいな顔で見ないで。せっかく生まれ変わったのだから、今度こそ普通の恋愛をして、愛し愛されて結婚したいの」
「もし、もしもだよ。公爵家の嫡男が良い人で一目ぼれとか」
「それでも、公爵家なんて嫌。この世界の上位貴族は正妻の他に側妃とか愛人をもつのが普通なのよ。良い加護を得るためになるべく子供は沢山作る事が推奨されているし」
「うーん。じゃぁ、やっぱり逃げるしかないね」
「そうよ。それに私の加護は『水魔法』じゃないのよ。公爵家の子供には『水魔法』が望まれているのにバレたらどうなるのか」
「そうしたら殲滅だね」
「もう、お兄様ったら」
お兄様は微妙な立ち位置のせいでお部屋が客室の一番端になっていた。間に空き部屋がいくつもあるので忍び込みやすい。
私たちはお兄様に与えられた部屋でこっそりと、ストックしてあった小さなパンケーキとミルクティ(お兄様は麦茶に牛乳)を頂いた。この世界の小麦粉より私の加護で得られる高濃度の液状小麦粉のほうが、質が良いみたいでお菓子がとても美味しい。
お兄様のパンもワンランクどころかツーランクくらい上質なので、辺境伯家の食事がちょっと物足らない。
誰にも言えないけどね。
魔法学園の入学式は4月1日なので3月の始めに王都に行くことになった。
王都まで馬車で10日かかる。
辺境の中では割と王都に近いそうだ。それでも馬車の旅はつらかった。馬車で移動するけれど、その馬車をひいているのは馬ではなく馬に似た魔獣、魔馬と言って私の知っている馬の2倍くらい大きい。
丈夫で力は強いけれど馬車は揺れる。クッションに埋もれてなるべく振動に耐えながらこっそりとポーションを飲んで回復していた。お兄様の水筒とアイテムボックスにもポーションをしっかり詰め込んで置いた。
最初、乳母が侍女として名乗りを上げて学園まで付いて来ようとしたのだけれど、乳母の娘のシオが17歳になったので侍女として付いてくることになった。領主の加護が付いたので、シオが私に危害を加える事はできない。
乳母は長年の虐待のせいか苦手なので別れられて嬉しいけど、それでも怠け者のシオが付いてくるのは邪魔にしかならない。
お兄様が何かと直ぐ「殲滅してしまえ!」とかいうのは困ったものだけど、内心ではちょっと頷いている。
ホントにちょっとだけ。
実際『液体』の加護、氷の威力はありすぎる。
特に氷雨は少し密度を上げて狐で試してみたら見事に潰してしまった。殺傷能力が高すぎる。
普通の氷雨で囲って凍えさせるくらいがちょうどいいかもしれない。
お兄様が「これはチートだし、上位にあたるレア加護じゃないか」と言うのだけれど、そんな事誰かにバレたら怖い。
でなくても、『隠蔽』の加護もレアで有力な加護だから、バレないようにしなくてはならないし。
なるべく目立たず無難に過ごしてコッソリと逃げようと決めた。
ベテランの侍女が魔法学園までの道中と慣れるまでは寮生活に付き添う事になったけど、無表情ながら細やかに面倒を見られて面映ゆい。
彼女がシオに指導がてら色々と細かく注意をしていく。
「これまでは何となく過ごしてきたのかもしれませんが、これからはきちんと辺境伯家の侍女としての自覚を持ってお嬢様にお仕えしてください」
「はーい。わっかりました~」
「お返事の時、語尾は伸ばさない! 全く何度言ったら覚えるのです」
「一体どんな躾けを受けてきたのだか」
小さい声で呟いていたけど、シオは侍女の役目なんて果たしてなかったから。むしろ、シオのほうが本当のお嬢様みたいに威張ってきたからね。
これ迄なんでも自分でしてきたのに、
「お嬢様はそのような事はなさらないでください」
と言われて着せ替え人形になっている。お兄様が従僕として側についてくれるのは有難いけど、馬車の中にも侍女がいるので気が抜けない。
幸い、宿の続き部屋に侍女は居るけど夜は一人になれるので『隠蔽』の加護を使ってお兄様の部屋に忍んでいる。
で、こっそりオヤツを食べて小さな声で愚痴をこぼす。荷物があるので馬車2台で移動しているけれど、日によって馬車に乗るのが私と侍女と護衛、私とシオと護衛、私とお兄様と護衛となる。
いつでも無表情な護衛が付いているのは気づまりだ。せっかくお兄様と一緒でも当たり障りのない話しかできなかった。
退屈で窮屈な馬車の旅が終わりやっと王都に着いた。
一旦、王都にある辺境伯の屋敷で3日ほど休んだ後、婚約者との顔合わせがある。
憂鬱だ。
王都に着いた翌日にお兄様と二人、領主の執務室に呼ばれたらそこにお父様が居た。
どうして? と思ったらお父様はニヤリと笑って「転移魔法だ」とおっしゃった。
ズルい。馬車の旅をしなくていいなんて。
「転移魔法は魔力を食うし本人しか運べない。お前たちはまだ転移魔法を学んでいないし、登録もしていないからこの魔法は当分使えない。だが、魔力はかなり大きいからやがて覚えたら領都との連絡役にしてやろう」
とニヤニヤしながらおっしゃった。
「しかし、馬車の旅をした後にしては元気そうだ。ウオーター公爵家との顔合わせだが、明後日の昼を予定している。昼食を食べてその後は婚約者と過ごすがいい。いずれ、公爵夫人となるのだから仲良くするんだぞ!」
あぁ、いやだ。
侍女から淑女の言葉使いとか会話内容とかスパルタで詰め込まれたけど、余計な事は言わずに只管微笑んでいればいいらしい。
どこのお嬢様! ……私だよ! ゎたしはお嬢様だった。
「お兄様、公爵家に行きたくない! 婚約なんてしたくない」
「うーん。可哀そうに。でも、ほら、今だけの辛抱……じゃないけど学年が違うとそんなに接点はないよ。きっと」
「もう、他人事かと思って。私は男の人と付き合った事はないのよ」
「えっ? リーナ、転生前に結婚してなかった?」
「していたけど親が決めた結婚だったし、いわゆる仮面夫婦だったから夫の顔も思いだせないし特にデートもしたことはないと思う。一度くらいデートしてみたいと思った記憶はあるから」
「リーナ……」
「もう、可哀そうな子みたいな顔で見ないで。せっかく生まれ変わったのだから、今度こそ普通の恋愛をして、愛し愛されて結婚したいの」
「もし、もしもだよ。公爵家の嫡男が良い人で一目ぼれとか」
「それでも、公爵家なんて嫌。この世界の上位貴族は正妻の他に側妃とか愛人をもつのが普通なのよ。良い加護を得るためになるべく子供は沢山作る事が推奨されているし」
「うーん。じゃぁ、やっぱり逃げるしかないね」
「そうよ。それに私の加護は『水魔法』じゃないのよ。公爵家の子供には『水魔法』が望まれているのにバレたらどうなるのか」
「そうしたら殲滅だね」
「もう、お兄様ったら」
お兄様は微妙な立ち位置のせいでお部屋が客室の一番端になっていた。間に空き部屋がいくつもあるので忍び込みやすい。
私たちはお兄様に与えられた部屋でこっそりと、ストックしてあった小さなパンケーキとミルクティ(お兄様は麦茶に牛乳)を頂いた。この世界の小麦粉より私の加護で得られる高濃度の液状小麦粉のほうが、質が良いみたいでお菓子がとても美味しい。
お兄様のパンもワンランクどころかツーランクくらい上質なので、辺境伯家の食事がちょっと物足らない。
誰にも言えないけどね。
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