辺境伯の5女ですが 加護が『液体』なので ばれる前に逃げます。

サラ

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11. 12歳の加護

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 リーナ12歳です。

 7月7日、12歳の誕生日の朝が来たと同時にレベルが上がった。そして、『液体』レベル10で、ついにお茶が出た。紅茶、麦茶、日本茶、フレーバーティー、他にもお茶の種類はあるけど紅茶と日本茶があるのでもう十分。

 日本茶の中に煎茶と玄米茶、ほうじ茶、番茶、抹茶、玉露。久々のお茶は美味しかった。玉露があるのはお呼ばれした時に飲んだせいなのかもしれない。
 でも今日、飲んだのは普通の煎茶。懐かしいよく飲んでいた煎茶の味がした。
 お兄様は麦茶を所望した。夏だし、麦茶はさっぱりして美味しい。けど……

「お兄様、何故麦茶に牛乳を入れて飲んでいるの?」
「美味しいよ。俺んちではこれは特別な贅沢だったんだ。普段は麦茶だけど給食で余った牛乳を貰って帰ったら、いれて飲んでいた。懐かしい味だ」
「そうなの。私は紅茶にミルクが良いけど。紅茶もいくつか種類はあるけどやっぱりミルクティーにするならアッサムかな」
「俺、紅茶はティーバックしか知らないけど色々あるんだよね?」
「そうね。でも私もそんなに詳しくはないわ。お茶のメーカーが出す福袋に入っていたのを色々飲んでいただけだから。どうも、この紅茶の種類はその福袋に入っていたのがベースになっているみたい」
「リーナの経験がレベルに反映されているのか」
「そうみたい」

 私たち二人はお茶を飲んでまったりとした。
 ついに12歳になってしまったので、逃げなければならない。さんざん逃げる為の方法については話しあってきたし、準備もしていた。
 でも、実はすぐに逃げなくてもいいかもしれない方法が見つかったのだ。

「お兄様、私の『隠蔽』の加護のレベルが8に上がったでしょう」
「ああ、今度はなにができるようになった?」
「それがね。何と加護の名称を書換えられるの」
「えっ?! ウソ! 加護の書き換え?」
「書き換えというか、ごまかしなんだけどほら、見て」

 そういうと私はリーナ・アプリコット、ステータスとつぶやいた。
 声に出して名前を呼び、「ステータス」と呼ぶ事で白い枠に囲まれた半透明なステータスが目の前に現れる。

 リーナ・アプリコット。
 12歳
 加護『液体』レベル10
 加護『隠蔽』レベル8

「おお、ステータスだ! 俺の目にも見える」
「これをね、直接『リーナ・アプリコット』の部分を触ると……」
「キーボードが出てきた」
「ええ。で、『液体』を選択してキーボードに水魔法と打ち込むと」

 リーナ・アプリコット。
 12歳
 加護『水魔法』レベル10
 加護『隠蔽』レベル8

「うわ! 加護が変わった」
「レベルも変えられるの。指を置くことでカーソルが動かせるし、キーボードの前にタッチパッドも付いているから、ほらレベル10をキーボード操作すると」

 リーナ・アプリコット。
 12歳
 加護『水魔法』レベル1
 加護『隠蔽』レベル8

「そして加護『隠蔽』レベル8を選択してデリートすると」

 リーナ・アプリコット。
 12歳
 加護『水魔法』レベル1

「加護が水魔法になるのか?」
「そういうわけではないの。ごまかすだけ。ただ、『液体』の加護を隠蔽している、というのかな。私の頭の中でこのままステータスと唱えると本来のステータスが出てくるから」
「加護の儀をごまかせるかな? 俺たちは辺境に住んでいるから加護の儀は出張してきた神官が簡易の水晶で行うって聞いたけど」
「その加護の儀って私が今、出したみたいに白い枠に囲まれた半透明なステータスが出るって聞いていたでしょう? 見て」
「リーナ・アプリコット、ステータス」

 もう一度ステータスと唱えると白枠のステータスは消えたが、又、リーナ・アプリコット、ステータスと唱えると水魔法がレベル1になったステータスが出てきた。

「凄い。ステータスが変わったままだ」
「ええ、どこまでごまかせるか分らないけど」
「あっ、リーナ。普通はレベルは出てこない!」
「ああ、そうだったわ」

 急いでレベル1をデリートした。

 リーナ・アプリコット。
 12歳
 加護『水魔法』

「これで私は加護の儀を乗り切れると思うの。で、お兄様だけど」
「ああ~俺か!」
「アーク、アプリコット、ステータス」

 お兄様の名前を唱えるとお兄様のステータスが出てきた。

 アーク・アプリコット。
 12歳
 加護『パンの木』レベル5

「おお、俺のステータスだ。レベルは5か」
「ちょっと待ってね」

 そういってレベル5の横にカーソルを置くと「小さな▼」と打ち込んだ。すると▼が現れたので其れを指で押さえると

 レベル1 パンの実
 レベル2 食パン
 レベル3 アンパン
 レベル4 クロワッサン
 レベル5 ぶどうパン
 ※パンの殻 自由自在

 と出てきた。

「凄いな。これまでレベルって両手をこう丸くしてジッと見つめる事で浮かんできて、それを視線で強く念じて出してきたから。これがあればタブレットみたいに使えるのか」
「お兄様、自分の名前を呼んでからステータスって言ってみて」
「アーク・アプリコット、ステータス」

 お兄様がステータスと言うとステータスは消えた。
 でも、もう一度アーク・アプリコット、ステータスというと消したステータスが出てきた。そして、お兄様がアーク・アプリコットを指で触るとキーボードが出てきたが、そのキーボードにはDELとBACKSPACE、スペースキー、タッチパッドはあるけどその他の部分はすべて透明になっていた。

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