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小話5. 私の世界4(シオリ視点)
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どういう事か良く分からないけど、あの忌々しい公爵令嬢たちが消えてからこっちの国はバタバタしている。
ヨシンババアが公爵令嬢なんて笑っちゃう。ありえへんだろ! でも、どうやってあの皮を被ったのかな。あたしも金髪で青い目でお人形のような顔になりたい。
転移じゃなくて転生? どうすれば良いのかとっちめておけば良かった。
ヨシンババアはライバルになりえないけど、もう一人のほうは如何してくれよう。邪魔だし、サクッと消えてもらうのがいいかもね。
それにしても、本当にレナード様はどこへ行ってしまったんだろう、大事なあたしを放って。
レナード様が消えたのは予想外だった。せっかくレナード様の妻になって、それから王妃になって、ついでに二つの国を一つにして、そんな偉業を成し遂げるなんて! と褒め称えられるのも良いかな、って思ってた計画が台無し。
もう、仕方ないから側にいて甘い言葉を捧げてくれるトルーイ様に決めちゃおうかな。トルーイ様はあたしに夢中みたいだし、お顔も細マッチョなところも好み。
トルーイ様はあたしの為なら王様になっても良いと言っているから、まずはトルーイ様を王様にしてから二つの国を一つにしたら良いんじゃない!
でも、トルーイ様は王様というより帝王のほうが似合うかも。うん。国王じゃなくて帝王にしよう。
じゃぁ、「新しい帝国には君の名前を付けよう」とか言われて「シオリ帝国」が誕生する、うん、良い! 実際に国を運営するのはトルーイ様だけど、実質の黒幕、いえ、女王はあたし。
「シオリ女王、このように法律を作りたいと思いますが宜しいでしょうか?」とか「シオリ女王の大きな銅像を建てたいのでどうぞ、わたくしめにお命じ下さい」とかトルーイ様が跪いてお願いしてくるの。
でも、あたしは「そんな贅沢はいけません。あたしの事は後回しで良いのです」なんて、一度は拒否しなくては。それに、銅像より宝石のほうがいいし。
「貴様、シオリ女王が控えめにしているからと言って、その偉業を称えないでどうするんだ!」
「そうだ、私がシオリ女王のために説得してやろう! シオリ様は帝国中の人気者だから例え、遠慮されていても何とかするのが、第一夫の役目だろう!」
「止めて、あたしのために争わないで」
ふふん、此処であたしのために、あたしの寵愛を得るために夫たちが争う。もう、仕方がないわねぇ。あたしが取り合いされて困っているのを羨ましそうに見ているのは取り巻きの子たち。もう皆、聖女で女王のあたしの事が好きで、好きでたまらないのね。どうしよう!
二つの国が一つになったら、派手なパレードをそれぞれの国でするのも良いかも。新しい豪華な王宮を建てて、そこにトルーイ様と一緒に暮らすんだけど、二つの国の首都はブギウとレナード様にそれぞれ任せて、時々会いに行くと、何時も会えないのは寂しいって二人が拗ねるの。もう、仕方ない人達ね。あたしは誰かのものじゃなくて、みんなのシオリなんだから。
此処はあたしの世界。もう、笑いが止まらない。
「オーホッホ、オーホホホ」
もう少し、この国で貴族の人たちからチヤホヤされていたいとは思ったんだけど、トルーイ様が一緒に国へ帰ってほしいと懇願するから、仕方ないから戻る事にした。
「どうぞ、気を付けて帰られよ」
「お会い出来て光栄でした」
気のせいかこっちの王族の対応が冷たいような気がする。でも、レナード様が公爵令嬢と一緒に消えたから気が気じゃないのね。
本当はレナード様とあたしをくっ付けたいと思っていたのに当てが外れて、ごめんなさいね。
でも、いずれ、あなた達もあたしの部下? シモベだっけ、そういうのになるからそん時は思う存分崇め奉ればいいわ。何だか、笑いが止まらない。
「オーホッホ、オーホッホ」
※セイント国の王子たち
「オーホッホ、オーホッホ」
聖女、シオリの高笑いが遠くまで響き渡る。
「……」
「……」
二人の王子は顔を見合わせてため息をついた。側近たちもゲンナリしている。
「最近、よく高笑いをしているな」
「俺、あの声が苦手なんだ」
「あれが良いという人間はいない」
「あれとずっと一緒と思うと気が滅入る」
「私はずっと一緒で、しかも何くれとなく機嫌を取っていたんだ。心にもない事を言って」
「大変だったな」
「大変だった」
「今は俺がお世辞三昧だ。見るだけで疲れるのに」
「聖女の好みそのままだからな。頑張れ」
「頑張りたくない」
二人の王子は又、同時にため息をついた。
性格が合わず、何となく近づかないように育ったため疎遠であった二人の王子に共通の敵、ではなく共通のお荷物のおかげで仲間意識が生まれつつあった。お互いの側近たちも反発していたのに、同病相憐れむ状態になっているのかもしれない。
彼らは揃ってセイント国に帰る事になった。聖女、シオリを連れて。
セイント国では聖女の能力を移すために乙女の選定が行われている。相性の良いものでないとうまくいかないので、これ迄の聖女を参考にして選定を行っているそうだが、二人の王子は内心、うまくいくだろうかと心配だった。
この聖女は規格外すぎて普通の人間の手には負えないのではないかと……。
ヨシンババアが公爵令嬢なんて笑っちゃう。ありえへんだろ! でも、どうやってあの皮を被ったのかな。あたしも金髪で青い目でお人形のような顔になりたい。
転移じゃなくて転生? どうすれば良いのかとっちめておけば良かった。
ヨシンババアはライバルになりえないけど、もう一人のほうは如何してくれよう。邪魔だし、サクッと消えてもらうのがいいかもね。
それにしても、本当にレナード様はどこへ行ってしまったんだろう、大事なあたしを放って。
レナード様が消えたのは予想外だった。せっかくレナード様の妻になって、それから王妃になって、ついでに二つの国を一つにして、そんな偉業を成し遂げるなんて! と褒め称えられるのも良いかな、って思ってた計画が台無し。
もう、仕方ないから側にいて甘い言葉を捧げてくれるトルーイ様に決めちゃおうかな。トルーイ様はあたしに夢中みたいだし、お顔も細マッチョなところも好み。
トルーイ様はあたしの為なら王様になっても良いと言っているから、まずはトルーイ様を王様にしてから二つの国を一つにしたら良いんじゃない!
でも、トルーイ様は王様というより帝王のほうが似合うかも。うん。国王じゃなくて帝王にしよう。
じゃぁ、「新しい帝国には君の名前を付けよう」とか言われて「シオリ帝国」が誕生する、うん、良い! 実際に国を運営するのはトルーイ様だけど、実質の黒幕、いえ、女王はあたし。
「シオリ女王、このように法律を作りたいと思いますが宜しいでしょうか?」とか「シオリ女王の大きな銅像を建てたいのでどうぞ、わたくしめにお命じ下さい」とかトルーイ様が跪いてお願いしてくるの。
でも、あたしは「そんな贅沢はいけません。あたしの事は後回しで良いのです」なんて、一度は拒否しなくては。それに、銅像より宝石のほうがいいし。
「貴様、シオリ女王が控えめにしているからと言って、その偉業を称えないでどうするんだ!」
「そうだ、私がシオリ女王のために説得してやろう! シオリ様は帝国中の人気者だから例え、遠慮されていても何とかするのが、第一夫の役目だろう!」
「止めて、あたしのために争わないで」
ふふん、此処であたしのために、あたしの寵愛を得るために夫たちが争う。もう、仕方がないわねぇ。あたしが取り合いされて困っているのを羨ましそうに見ているのは取り巻きの子たち。もう皆、聖女で女王のあたしの事が好きで、好きでたまらないのね。どうしよう!
二つの国が一つになったら、派手なパレードをそれぞれの国でするのも良いかも。新しい豪華な王宮を建てて、そこにトルーイ様と一緒に暮らすんだけど、二つの国の首都はブギウとレナード様にそれぞれ任せて、時々会いに行くと、何時も会えないのは寂しいって二人が拗ねるの。もう、仕方ない人達ね。あたしは誰かのものじゃなくて、みんなのシオリなんだから。
此処はあたしの世界。もう、笑いが止まらない。
「オーホッホ、オーホホホ」
もう少し、この国で貴族の人たちからチヤホヤされていたいとは思ったんだけど、トルーイ様が一緒に国へ帰ってほしいと懇願するから、仕方ないから戻る事にした。
「どうぞ、気を付けて帰られよ」
「お会い出来て光栄でした」
気のせいかこっちの王族の対応が冷たいような気がする。でも、レナード様が公爵令嬢と一緒に消えたから気が気じゃないのね。
本当はレナード様とあたしをくっ付けたいと思っていたのに当てが外れて、ごめんなさいね。
でも、いずれ、あなた達もあたしの部下? シモベだっけ、そういうのになるからそん時は思う存分崇め奉ればいいわ。何だか、笑いが止まらない。
「オーホッホ、オーホッホ」
※セイント国の王子たち
「オーホッホ、オーホッホ」
聖女、シオリの高笑いが遠くまで響き渡る。
「……」
「……」
二人の王子は顔を見合わせてため息をついた。側近たちもゲンナリしている。
「最近、よく高笑いをしているな」
「俺、あの声が苦手なんだ」
「あれが良いという人間はいない」
「あれとずっと一緒と思うと気が滅入る」
「私はずっと一緒で、しかも何くれとなく機嫌を取っていたんだ。心にもない事を言って」
「大変だったな」
「大変だった」
「今は俺がお世辞三昧だ。見るだけで疲れるのに」
「聖女の好みそのままだからな。頑張れ」
「頑張りたくない」
二人の王子は又、同時にため息をついた。
性格が合わず、何となく近づかないように育ったため疎遠であった二人の王子に共通の敵、ではなく共通のお荷物のおかげで仲間意識が生まれつつあった。お互いの側近たちも反発していたのに、同病相憐れむ状態になっているのかもしれない。
彼らは揃ってセイント国に帰る事になった。聖女、シオリを連れて。
セイント国では聖女の能力を移すために乙女の選定が行われている。相性の良いものでないとうまくいかないので、これ迄の聖女を参考にして選定を行っているそうだが、二人の王子は内心、うまくいくだろうかと心配だった。
この聖女は規格外すぎて普通の人間の手には負えないのではないかと……。
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