33 / 69
31. 明るい朝
しおりを挟む
「チュンチョン、チチチ、チュッ、チュッ、チチチ」
小鳥の声がする。凄く近い。耳もとで聞こえるような気がする……、まだ目が覚めないけど、ウーンと無理やり目を開けると白い小鳥のドアップ!
「ハイハイ、マドレーヌね」
「ピッピ、チュンチュン」
えっ、ちょっと待って! ここはどこ? アッ、離宮に泊ったんだった。目の前には首を傾げてチュンチュンとなく白い小鳥さん。どうやって入って来たのかしら。ひょっとして、換気のために窓が少し開いていた?
ともあれ、久しぶりの小鳥さんに会えたのは嬉しい事だし、びっくりしたので目が覚めた。この小鳥さん、やっぱり王宮が住処なのかしら。前、王宮から追い出された時は途中まで付いて来てたみたいだけど、やっぱり巣があるところからはあまり離れたくないものね。
「小鳥さん、あなたのお家はここなの?」
「ピ、ピピピ、ピー」
「そうなの、お水が欲しいのかしら? それともマドレーヌ? パンのほうが良い? 実は美味しいパンがあるのよ」
「ピ、ピピピ」
「うーん、いまいち、言葉が通じているのかいないのか。とりあえず着替えてしまおう」
私は昨晩、侍女さんが用意してくれたデイドレスに着替えた。これまで着ていた庶民の服に比べると生地が滑らかで気持ちが良い。これ、かなり高いんじゃないかしら。
一応、侍従という事にしているので男装したほうがいいかなとも思うんだけど、用意されていたのが、このドレスだったので来てみました。
鏡に映る私の姿は金髪に青い目。目鼻立ちは変わらないけど、外国の人に見える。この国では最初から外国人だけどね。でも、地毛で金髪。凄くキラキラして綺麗な金髪。昨日までは茶髪だったのに、この変化はどういう事かしら。
レナード王子が聖女は茶髪って言っていたから、聖女のせいで金髪になったわけではないし……。でも、相変わらず私のステータスには聖女ってなってたから、聖女なのは間違いない。聖女は聖女でも日本の聖女だったりして? まさかね。
この姿ならシオリが見てもわからないかも。でも、日本だって髪は染められるし、カラーコンタクトもあるから、会わないに越したことはないか。
そんな事を考えながら、小鳥さんにお水とマドレーヌの欠片を用意してから居間のソファーに座ろうとしたら、トントンとノックの音がしたかと思えばすぐに扉が開いた。「お早う」といいながらアランが入ってくる。
「アランったらノックをして直ぐに開けたらノックの意味がないじゃない」
「ごめん。でも、ほらここは居間だから。大丈夫かなって」
「まぁ、そうだけど」
「玲ちゃんとはずっと一緒だったから離れていると何だか寂しいよ」
「村では別々の部屋にいたじゃない」
「そうだけどさ、冷蔵庫の中にいた時は近くにいるなって安心してたから」
「そうね。アランとは空気のような距離感かも」
「俺、実際に空気みたいな存在だったよ」
「他人には見えなかったものね。でも、レナード王子は存在がレベル2でも何となくアランの事がわかっていたみたいじゃない。やっぱり、身内だからかしら」
「そう、なのかな……」
「ピピピ、ピピ」
大人しくマドレーヌを食べていた小鳥さんが「そうだよ」と言わんばかりにさえずった。その声にアランが小鳥さんを見て
「えっ、なにこの鳥? なんだか凄く人慣れしてる? なんで、ここにいるの?」
「あー、この小鳥さん、私のお友達なの」
「友達?」
「ええ、ほら、ここの王宮で監禁されていた時、話し相手になってくれていたの」
「この鳥、しゃべれるのか!」
「うん。私が一方的に話しているだけなんだけど、ピピピって返事をしてくれるから、あの時は凄く慰められたの」
「ああ、ピピピね」
「そう、ピピピって可愛いのよ。でね、マドレーヌが好きなの」
「俺もマドレーヌ、好きだぞ」
「そ、そう良かったわ。アランもマドレーヌ食べる?」
「うん。食べる。で、この鳥の名前は何て言うんだ」
「名前、何かしら? わからないわ。小鳥さんって呼んでいたから」
「小鳥さんって、それは名前じゃないし」
「そういえば、そうね。じゃぁルナってどうかしら? ルナ!」
何故か、頭の中にその名前が浮かんだので、私が白い小鳥さんにルナって呼びかけると、小鳥さんが光に包まれて輝いた。あっ、これアランと同じように名付けてしまったから、従者ならぬ、従鳥、じゃない、えーと、テイムした事になってペットになったという事かしら。
「おう、光った。何か、最近よく光るな。玲ちゃんの髪も光っているし」
「アランも昨日、光ったわ」
「玲ちゃん、ステータス、見てみれば? テイム、ルナって出ているんじゃない?」
「うーん。そうかも。私が名付けたら何かしら関わりができてしまうというならば、今度から気を付けないと」
「そうだよ。バカとか名付けたら、従者にバカって加わるし」
「もう、そんなわけないでしょ。ちょっと見てみるわね。ステータスオープン」
『玲。冷蔵庫(広義)と共に玲の祝福を持つ聖女』
聖女 レベル2
冷蔵庫 レベル5
浄化 レベル3
光魔法 レベル2
水魔法 レベル3
火魔法 レベル2
従者 アラン(アラード・ドゥ・スピーリトゥス) レベル3 許可を得る事で冷蔵庫の恩恵を受けられる。
聖鳥 ルナ レベル1
聖鳥、聖鳥、って何かしら。聖獣が何とかって聞いた事があるような気がするけど、聖鳥って聖なる鳥って事で……。
「聖女のペットだから聖鳥としても、俺は聖従者じゃないんだ……」
アラン、何だか負けたって雰囲気ですけど、聖従者なんて聞いた事もないし。それより聖なる鳥ってことが問題だと思う。
小鳥の声がする。凄く近い。耳もとで聞こえるような気がする……、まだ目が覚めないけど、ウーンと無理やり目を開けると白い小鳥のドアップ!
「ハイハイ、マドレーヌね」
「ピッピ、チュンチュン」
えっ、ちょっと待って! ここはどこ? アッ、離宮に泊ったんだった。目の前には首を傾げてチュンチュンとなく白い小鳥さん。どうやって入って来たのかしら。ひょっとして、換気のために窓が少し開いていた?
ともあれ、久しぶりの小鳥さんに会えたのは嬉しい事だし、びっくりしたので目が覚めた。この小鳥さん、やっぱり王宮が住処なのかしら。前、王宮から追い出された時は途中まで付いて来てたみたいだけど、やっぱり巣があるところからはあまり離れたくないものね。
「小鳥さん、あなたのお家はここなの?」
「ピ、ピピピ、ピー」
「そうなの、お水が欲しいのかしら? それともマドレーヌ? パンのほうが良い? 実は美味しいパンがあるのよ」
「ピ、ピピピ」
「うーん、いまいち、言葉が通じているのかいないのか。とりあえず着替えてしまおう」
私は昨晩、侍女さんが用意してくれたデイドレスに着替えた。これまで着ていた庶民の服に比べると生地が滑らかで気持ちが良い。これ、かなり高いんじゃないかしら。
一応、侍従という事にしているので男装したほうがいいかなとも思うんだけど、用意されていたのが、このドレスだったので来てみました。
鏡に映る私の姿は金髪に青い目。目鼻立ちは変わらないけど、外国の人に見える。この国では最初から外国人だけどね。でも、地毛で金髪。凄くキラキラして綺麗な金髪。昨日までは茶髪だったのに、この変化はどういう事かしら。
レナード王子が聖女は茶髪って言っていたから、聖女のせいで金髪になったわけではないし……。でも、相変わらず私のステータスには聖女ってなってたから、聖女なのは間違いない。聖女は聖女でも日本の聖女だったりして? まさかね。
この姿ならシオリが見てもわからないかも。でも、日本だって髪は染められるし、カラーコンタクトもあるから、会わないに越したことはないか。
そんな事を考えながら、小鳥さんにお水とマドレーヌの欠片を用意してから居間のソファーに座ろうとしたら、トントンとノックの音がしたかと思えばすぐに扉が開いた。「お早う」といいながらアランが入ってくる。
「アランったらノックをして直ぐに開けたらノックの意味がないじゃない」
「ごめん。でも、ほらここは居間だから。大丈夫かなって」
「まぁ、そうだけど」
「玲ちゃんとはずっと一緒だったから離れていると何だか寂しいよ」
「村では別々の部屋にいたじゃない」
「そうだけどさ、冷蔵庫の中にいた時は近くにいるなって安心してたから」
「そうね。アランとは空気のような距離感かも」
「俺、実際に空気みたいな存在だったよ」
「他人には見えなかったものね。でも、レナード王子は存在がレベル2でも何となくアランの事がわかっていたみたいじゃない。やっぱり、身内だからかしら」
「そう、なのかな……」
「ピピピ、ピピ」
大人しくマドレーヌを食べていた小鳥さんが「そうだよ」と言わんばかりにさえずった。その声にアランが小鳥さんを見て
「えっ、なにこの鳥? なんだか凄く人慣れしてる? なんで、ここにいるの?」
「あー、この小鳥さん、私のお友達なの」
「友達?」
「ええ、ほら、ここの王宮で監禁されていた時、話し相手になってくれていたの」
「この鳥、しゃべれるのか!」
「うん。私が一方的に話しているだけなんだけど、ピピピって返事をしてくれるから、あの時は凄く慰められたの」
「ああ、ピピピね」
「そう、ピピピって可愛いのよ。でね、マドレーヌが好きなの」
「俺もマドレーヌ、好きだぞ」
「そ、そう良かったわ。アランもマドレーヌ食べる?」
「うん。食べる。で、この鳥の名前は何て言うんだ」
「名前、何かしら? わからないわ。小鳥さんって呼んでいたから」
「小鳥さんって、それは名前じゃないし」
「そういえば、そうね。じゃぁルナってどうかしら? ルナ!」
何故か、頭の中にその名前が浮かんだので、私が白い小鳥さんにルナって呼びかけると、小鳥さんが光に包まれて輝いた。あっ、これアランと同じように名付けてしまったから、従者ならぬ、従鳥、じゃない、えーと、テイムした事になってペットになったという事かしら。
「おう、光った。何か、最近よく光るな。玲ちゃんの髪も光っているし」
「アランも昨日、光ったわ」
「玲ちゃん、ステータス、見てみれば? テイム、ルナって出ているんじゃない?」
「うーん。そうかも。私が名付けたら何かしら関わりができてしまうというならば、今度から気を付けないと」
「そうだよ。バカとか名付けたら、従者にバカって加わるし」
「もう、そんなわけないでしょ。ちょっと見てみるわね。ステータスオープン」
『玲。冷蔵庫(広義)と共に玲の祝福を持つ聖女』
聖女 レベル2
冷蔵庫 レベル5
浄化 レベル3
光魔法 レベル2
水魔法 レベル3
火魔法 レベル2
従者 アラン(アラード・ドゥ・スピーリトゥス) レベル3 許可を得る事で冷蔵庫の恩恵を受けられる。
聖鳥 ルナ レベル1
聖鳥、聖鳥、って何かしら。聖獣が何とかって聞いた事があるような気がするけど、聖鳥って聖なる鳥って事で……。
「聖女のペットだから聖鳥としても、俺は聖従者じゃないんだ……」
アラン、何だか負けたって雰囲気ですけど、聖従者なんて聞いた事もないし。それより聖なる鳥ってことが問題だと思う。
5
お気に入りに追加
110
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
召喚聖女に嫌われた召喚娘
ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。
どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
最後に言い残した事は
白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
どうして、こんな事になったんだろう……
断頭台の上で、元王妃リテラシーは呆然と己を罵倒する民衆を見下ろしていた。世界中から尊敬を集めていた宰相である父の暗殺。全てが狂い出したのはそこから……いや、もっと前だったかもしれない。
本日、リテラシーは公開処刑される。家族ぐるみで悪魔崇拝を行っていたという謂れなき罪のために王妃の位を剥奪され、邪悪な魔女として。
「最後に、言い残した事はあるか?」
かつての夫だった若き国王の言葉に、リテラシーは父から教えられていた『呪文』を発する。
※ファンタジーです。ややグロ表現注意。
※「小説家になろう」にも掲載。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】慈愛の聖女様は、告げました。
BBやっこ
ファンタジー
1.契約を自分勝手に曲げた王子の誓いは、どうなるのでしょう?
2.非道を働いた者たちへ告げる聖女の言葉は?
3.私は誓い、祈りましょう。
ずっと修行を教えを受けたままに、慈愛を持って。
しかし。、誰のためのものなのでしょう?戸惑いも悲しみも成長の糧に。
後に、慈愛の聖女と言われる少女の羽化の時。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】徒花の王妃
つくも茄子
ファンタジー
その日、王妃は王都を去った。
何故か勝手についてきた宰相と共に。今は亡き、王国の最後の王女。そして今また滅びゆく国の最後の王妃となった彼女の胸の内は誰にも分からない。亡命した先で名前と身分を変えたテレジア王女。テレサとなった彼女を知る数少ない宰相。国のために生きた王妃の物語が今始まる。
「婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?」の王妃の物語。単体で読めます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
聖女なんて御免です
章槻雅希
ファンタジー
「聖女様」
「聖女ではありません! 回復術師ですわ!!」
辺境の地ではそんな会話が繰り返されている。治癒・回復術師のアルセリナは聖女と呼ばれるたびに否定し訂正する。そう、何度も何十度も何百度も何千度も。
聖女断罪ものを読んでて思いついた小ネタ。
軽度のざまぁというか、自業自得の没落があります。
『小説家になろう』様・『Pixiv』様に重複投稿。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】聖女が性格良いと誰が決めたの?
仲村 嘉高
ファンタジー
子供の頃から、出来の良い姉と可愛い妹ばかりを優遇していた両親。
そしてそれを当たり前だと、主人公を蔑んでいた姉と妹。
「出来の悪い妹で恥ずかしい」
「姉だと知られたくないから、外では声を掛けないで」
そう言ってましたよね?
ある日、聖王国に神のお告げがあった。
この世界のどこかに聖女が誕生していたと。
「うちの娘のどちらかに違いない」
喜ぶ両親と姉妹。
しかし教会へ行くと、両親や姉妹の予想と違い、聖女だと選ばれたのは「出来損ない」の次女で……。
因果応報なお話(笑)
今回は、一人称です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる