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21. 聖女、レベルアップ。
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アランは嬉しそうに冷凍庫の隣に設置したベッドに横になった。
「寝袋も良いけどさ、こうやって野外で寝るっていうのも新鮮でワクワクするね。空を見ると暗いから星が良く見える。まさに降るような星空だ。」
「そうでしょう。日本の星座とは違うけど」
「本当に、違う世界にきたんだな、知っている星座が何もない」
「新しく星座を作ってみる?」
「それも良いかも。ほら、あれは大きな星が三角だから三角のキツネ座」
「どうして、三角がキツネ座なの?」
「ほら、寿司揚げが三角じゃないか。俺、久しぶりにお稲荷さんが食べたい。それにしても、あーっ、星が多すぎてどうやって星座を作ればいいのか」
「フフッ、この世界の星座ってどうなっているのかしら、意外と精霊に因んだ星座とか有るかもね」
「確かに、精霊の名前が付いているのが有るかもしれない」
「じゃぁ、アラン座はどれ?」
「ウッ、それはちょっと」
「まぁ、フフッ。それはそうと、私の聖女のレベルが2になったのは火魔法が2になったせいだと思う?」
「どうだろう? それより、聖女のレベルが上がって何かできるようになった?」
「うーん、わからないけど聖女のとこをじっと見ているとレベル2の横に癒しって見えるの」
「癒し! やったじゃないか」
「聖女っぽいよね、でもどうしたら使えるのかしら? 私達ってケガしないもの。私、走っても疲れないし、こっちの世界に来て随分、丈夫になったような気がする」
「俺もそうなんだよ。身体がないからかな、とも思うんだけど。そうだな……、やっぱり王子様たちで確かめる?」
「ええっ、どうやって?」
「王子たちが怪我をするのを待つか。この世界でも神聖魔法というのがあって、ケガや病気も直せるけど、その神聖魔法の使い手は滅多にいないんだ。聖女は神聖魔法の使い手が多いみたいだけど。怪我を直したら聖女ってバレるかもしれないから俺が癒しを使った事にする?」
「アランが私に加護を与えたって事にすればいいんじゃない。アランは癒しの精霊」
「いやしい?」
「もう、イヤシイ精霊じゃないわよ、食いしん坊ではあるけど」
「うーん、自覚はある」
「いやーね」
アランと私はとりとめのない話をしてから明日の事は明日考えようという事にして、それぞれのベッドで休む事にした。
ここは冷蔵庫の結界の中、と考えれば私達、同じ部屋で休んでいるとも言えるけど、アランは同士というか友達だけど身内のような感じであまり男の子って感じがしない。アランの見た目が少年に見えるせいかもしれない。私の見た目も少女だけどね。
さて、王子様御一行は食事の後、少し距離を置いて野宿をするとの事で野営の準備を始めた。
私はどうするのか聞かれたので、秘密の部屋で休みます、と伝えるとウン、ウンと納得をされてしまった。一応、テーブルと椅子は片付けて、アランのキャンプ用品は彼らには見えないし、触っても存在しないみたいだから、そのままにしておいた。
ベッドに横になると滝の水音が聞こえる。アランとも冷蔵庫を挟んで寝ているし王子様御一行は離れたところで野営しているから、河原にポツンと一人で寝ているみたいで何となく寂しい。
そういえば、聖女召喚の後、王宮で閉じ込められていた時、側にいてくれた白い鳥はどうしたんだろう。
王宮を馬車で出た時も途中までは付いて来てくれたはずなのに、いつの間にかいなくなってしまった。やっぱり、王宮とかに巣があって遠くまでは来られなかったのかしら。
独りぼっちが身に染みるこんな時、側にいてくれればいいのに。
そう思いながら寝てしまったせいか夢の中に白い鳥が出てきて、私に何か訴えかけるように鳴いた。何て言っているのかわからないけど、服の端を嘴で摘まんで引っ張っているのは行かないで、と言われているような気がする。
そうして、夢の中の世界が綺麗なブルーの世界に染まってまるで海の中にいるみたいと思ったら、その中から青い鳥が飛んできたような気がした。
朝起きて、浄化をかけてから着替えをして、アランを見に行くとまだぐっすりと寝ていた。アラン、たしかあまり寝なくても良いようなことを言っていたけど、冷蔵庫の中だから安心して寝ているのかもしれない。収納中だしね。
さて、村に滞在していた時に作ってもらった鉄板と三角形の焚火台を取り出してセッテング。
ちなみに私は力も強くなっていて重い物も軽々持てる。これも聖女になったせいかもしれない。
昨日まではアランと二人だったからアランのキャンプ道具を使っていたけれど、王子様御一行は3人いるし、沢山食べるから鉄板の上でトーストとベーコンエッグを作ることにした。トースターはないけど、手動でパンをひっくり返せば両面を焼く事が出来るし。
アランの持っていたパンは3枚入りだったけど、冷蔵庫のレベルが上がったせいで冷凍室が使えるようになって、冷凍食パンが食べられるようになった。
高級食パンは食パンスライサーを使い綺麗にカットして冷凍してあるので、使う分だけ取り出せば後は焼くだけ。
だけど、沢山食べそうなので2斤、10枚とアランの食パン3枚じゃ足りないような気がして昨夜のうちに冷凍庫から取り出して、アランのパンもアイテムボックスに入れておいた。
だので、食パンは26枚もある。これだけあれば足らないって事はないはず。
サラダとチキンの丸焼きもあるし大丈夫よね、多分。スープも大鍋に鶏肉と野菜の千切り、コンソメスープの素を入れて作ったから量はあると思う。
それと、聖女のレベルが上がったせいかもしれないけど、アイテムボックスが昨日から二つに分かれた。
いつものアイテムボックスと時間経過なしのアイテムボックス。使い分けができるようになったのは助かる。といっても、みかけは変わらぬトートバックだけどね。
「寝袋も良いけどさ、こうやって野外で寝るっていうのも新鮮でワクワクするね。空を見ると暗いから星が良く見える。まさに降るような星空だ。」
「そうでしょう。日本の星座とは違うけど」
「本当に、違う世界にきたんだな、知っている星座が何もない」
「新しく星座を作ってみる?」
「それも良いかも。ほら、あれは大きな星が三角だから三角のキツネ座」
「どうして、三角がキツネ座なの?」
「ほら、寿司揚げが三角じゃないか。俺、久しぶりにお稲荷さんが食べたい。それにしても、あーっ、星が多すぎてどうやって星座を作ればいいのか」
「フフッ、この世界の星座ってどうなっているのかしら、意外と精霊に因んだ星座とか有るかもね」
「確かに、精霊の名前が付いているのが有るかもしれない」
「じゃぁ、アラン座はどれ?」
「ウッ、それはちょっと」
「まぁ、フフッ。それはそうと、私の聖女のレベルが2になったのは火魔法が2になったせいだと思う?」
「どうだろう? それより、聖女のレベルが上がって何かできるようになった?」
「うーん、わからないけど聖女のとこをじっと見ているとレベル2の横に癒しって見えるの」
「癒し! やったじゃないか」
「聖女っぽいよね、でもどうしたら使えるのかしら? 私達ってケガしないもの。私、走っても疲れないし、こっちの世界に来て随分、丈夫になったような気がする」
「俺もそうなんだよ。身体がないからかな、とも思うんだけど。そうだな……、やっぱり王子様たちで確かめる?」
「ええっ、どうやって?」
「王子たちが怪我をするのを待つか。この世界でも神聖魔法というのがあって、ケガや病気も直せるけど、その神聖魔法の使い手は滅多にいないんだ。聖女は神聖魔法の使い手が多いみたいだけど。怪我を直したら聖女ってバレるかもしれないから俺が癒しを使った事にする?」
「アランが私に加護を与えたって事にすればいいんじゃない。アランは癒しの精霊」
「いやしい?」
「もう、イヤシイ精霊じゃないわよ、食いしん坊ではあるけど」
「うーん、自覚はある」
「いやーね」
アランと私はとりとめのない話をしてから明日の事は明日考えようという事にして、それぞれのベッドで休む事にした。
ここは冷蔵庫の結界の中、と考えれば私達、同じ部屋で休んでいるとも言えるけど、アランは同士というか友達だけど身内のような感じであまり男の子って感じがしない。アランの見た目が少年に見えるせいかもしれない。私の見た目も少女だけどね。
さて、王子様御一行は食事の後、少し距離を置いて野宿をするとの事で野営の準備を始めた。
私はどうするのか聞かれたので、秘密の部屋で休みます、と伝えるとウン、ウンと納得をされてしまった。一応、テーブルと椅子は片付けて、アランのキャンプ用品は彼らには見えないし、触っても存在しないみたいだから、そのままにしておいた。
ベッドに横になると滝の水音が聞こえる。アランとも冷蔵庫を挟んで寝ているし王子様御一行は離れたところで野営しているから、河原にポツンと一人で寝ているみたいで何となく寂しい。
そういえば、聖女召喚の後、王宮で閉じ込められていた時、側にいてくれた白い鳥はどうしたんだろう。
王宮を馬車で出た時も途中までは付いて来てくれたはずなのに、いつの間にかいなくなってしまった。やっぱり、王宮とかに巣があって遠くまでは来られなかったのかしら。
独りぼっちが身に染みるこんな時、側にいてくれればいいのに。
そう思いながら寝てしまったせいか夢の中に白い鳥が出てきて、私に何か訴えかけるように鳴いた。何て言っているのかわからないけど、服の端を嘴で摘まんで引っ張っているのは行かないで、と言われているような気がする。
そうして、夢の中の世界が綺麗なブルーの世界に染まってまるで海の中にいるみたいと思ったら、その中から青い鳥が飛んできたような気がした。
朝起きて、浄化をかけてから着替えをして、アランを見に行くとまだぐっすりと寝ていた。アラン、たしかあまり寝なくても良いようなことを言っていたけど、冷蔵庫の中だから安心して寝ているのかもしれない。収納中だしね。
さて、村に滞在していた時に作ってもらった鉄板と三角形の焚火台を取り出してセッテング。
ちなみに私は力も強くなっていて重い物も軽々持てる。これも聖女になったせいかもしれない。
昨日まではアランと二人だったからアランのキャンプ道具を使っていたけれど、王子様御一行は3人いるし、沢山食べるから鉄板の上でトーストとベーコンエッグを作ることにした。トースターはないけど、手動でパンをひっくり返せば両面を焼く事が出来るし。
アランの持っていたパンは3枚入りだったけど、冷蔵庫のレベルが上がったせいで冷凍室が使えるようになって、冷凍食パンが食べられるようになった。
高級食パンは食パンスライサーを使い綺麗にカットして冷凍してあるので、使う分だけ取り出せば後は焼くだけ。
だけど、沢山食べそうなので2斤、10枚とアランの食パン3枚じゃ足りないような気がして昨夜のうちに冷凍庫から取り出して、アランのパンもアイテムボックスに入れておいた。
だので、食パンは26枚もある。これだけあれば足らないって事はないはず。
サラダとチキンの丸焼きもあるし大丈夫よね、多分。スープも大鍋に鶏肉と野菜の千切り、コンソメスープの素を入れて作ったから量はあると思う。
それと、聖女のレベルが上がったせいかもしれないけど、アイテムボックスが昨日から二つに分かれた。
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