21 / 69
21. 聖女、レベルアップ。
しおりを挟む
アランは嬉しそうに冷凍庫の隣に設置したベッドに横になった。
「寝袋も良いけどさ、こうやって野外で寝るっていうのも新鮮でワクワクするね。空を見ると暗いから星が良く見える。まさに降るような星空だ。」
「そうでしょう。日本の星座とは違うけど」
「本当に、違う世界にきたんだな、知っている星座が何もない」
「新しく星座を作ってみる?」
「それも良いかも。ほら、あれは大きな星が三角だから三角のキツネ座」
「どうして、三角がキツネ座なの?」
「ほら、寿司揚げが三角じゃないか。俺、久しぶりにお稲荷さんが食べたい。それにしても、あーっ、星が多すぎてどうやって星座を作ればいいのか」
「フフッ、この世界の星座ってどうなっているのかしら、意外と精霊に因んだ星座とか有るかもね」
「確かに、精霊の名前が付いているのが有るかもしれない」
「じゃぁ、アラン座はどれ?」
「ウッ、それはちょっと」
「まぁ、フフッ。それはそうと、私の聖女のレベルが2になったのは火魔法が2になったせいだと思う?」
「どうだろう? それより、聖女のレベルが上がって何かできるようになった?」
「うーん、わからないけど聖女のとこをじっと見ているとレベル2の横に癒しって見えるの」
「癒し! やったじゃないか」
「聖女っぽいよね、でもどうしたら使えるのかしら? 私達ってケガしないもの。私、走っても疲れないし、こっちの世界に来て随分、丈夫になったような気がする」
「俺もそうなんだよ。身体がないからかな、とも思うんだけど。そうだな……、やっぱり王子様たちで確かめる?」
「ええっ、どうやって?」
「王子たちが怪我をするのを待つか。この世界でも神聖魔法というのがあって、ケガや病気も直せるけど、その神聖魔法の使い手は滅多にいないんだ。聖女は神聖魔法の使い手が多いみたいだけど。怪我を直したら聖女ってバレるかもしれないから俺が癒しを使った事にする?」
「アランが私に加護を与えたって事にすればいいんじゃない。アランは癒しの精霊」
「いやしい?」
「もう、イヤシイ精霊じゃないわよ、食いしん坊ではあるけど」
「うーん、自覚はある」
「いやーね」
アランと私はとりとめのない話をしてから明日の事は明日考えようという事にして、それぞれのベッドで休む事にした。
ここは冷蔵庫の結界の中、と考えれば私達、同じ部屋で休んでいるとも言えるけど、アランは同士というか友達だけど身内のような感じであまり男の子って感じがしない。アランの見た目が少年に見えるせいかもしれない。私の見た目も少女だけどね。
さて、王子様御一行は食事の後、少し距離を置いて野宿をするとの事で野営の準備を始めた。
私はどうするのか聞かれたので、秘密の部屋で休みます、と伝えるとウン、ウンと納得をされてしまった。一応、テーブルと椅子は片付けて、アランのキャンプ用品は彼らには見えないし、触っても存在しないみたいだから、そのままにしておいた。
ベッドに横になると滝の水音が聞こえる。アランとも冷蔵庫を挟んで寝ているし王子様御一行は離れたところで野営しているから、河原にポツンと一人で寝ているみたいで何となく寂しい。
そういえば、聖女召喚の後、王宮で閉じ込められていた時、側にいてくれた白い鳥はどうしたんだろう。
王宮を馬車で出た時も途中までは付いて来てくれたはずなのに、いつの間にかいなくなってしまった。やっぱり、王宮とかに巣があって遠くまでは来られなかったのかしら。
独りぼっちが身に染みるこんな時、側にいてくれればいいのに。
そう思いながら寝てしまったせいか夢の中に白い鳥が出てきて、私に何か訴えかけるように鳴いた。何て言っているのかわからないけど、服の端を嘴で摘まんで引っ張っているのは行かないで、と言われているような気がする。
そうして、夢の中の世界が綺麗なブルーの世界に染まってまるで海の中にいるみたいと思ったら、その中から青い鳥が飛んできたような気がした。
朝起きて、浄化をかけてから着替えをして、アランを見に行くとまだぐっすりと寝ていた。アラン、たしかあまり寝なくても良いようなことを言っていたけど、冷蔵庫の中だから安心して寝ているのかもしれない。収納中だしね。
さて、村に滞在していた時に作ってもらった鉄板と三角形の焚火台を取り出してセッテング。
ちなみに私は力も強くなっていて重い物も軽々持てる。これも聖女になったせいかもしれない。
昨日まではアランと二人だったからアランのキャンプ道具を使っていたけれど、王子様御一行は3人いるし、沢山食べるから鉄板の上でトーストとベーコンエッグを作ることにした。トースターはないけど、手動でパンをひっくり返せば両面を焼く事が出来るし。
アランの持っていたパンは3枚入りだったけど、冷蔵庫のレベルが上がったせいで冷凍室が使えるようになって、冷凍食パンが食べられるようになった。
高級食パンは食パンスライサーを使い綺麗にカットして冷凍してあるので、使う分だけ取り出せば後は焼くだけ。
だけど、沢山食べそうなので2斤、10枚とアランの食パン3枚じゃ足りないような気がして昨夜のうちに冷凍庫から取り出して、アランのパンもアイテムボックスに入れておいた。
だので、食パンは26枚もある。これだけあれば足らないって事はないはず。
サラダとチキンの丸焼きもあるし大丈夫よね、多分。スープも大鍋に鶏肉と野菜の千切り、コンソメスープの素を入れて作ったから量はあると思う。
それと、聖女のレベルが上がったせいかもしれないけど、アイテムボックスが昨日から二つに分かれた。
いつものアイテムボックスと時間経過なしのアイテムボックス。使い分けができるようになったのは助かる。といっても、みかけは変わらぬトートバックだけどね。
「寝袋も良いけどさ、こうやって野外で寝るっていうのも新鮮でワクワクするね。空を見ると暗いから星が良く見える。まさに降るような星空だ。」
「そうでしょう。日本の星座とは違うけど」
「本当に、違う世界にきたんだな、知っている星座が何もない」
「新しく星座を作ってみる?」
「それも良いかも。ほら、あれは大きな星が三角だから三角のキツネ座」
「どうして、三角がキツネ座なの?」
「ほら、寿司揚げが三角じゃないか。俺、久しぶりにお稲荷さんが食べたい。それにしても、あーっ、星が多すぎてどうやって星座を作ればいいのか」
「フフッ、この世界の星座ってどうなっているのかしら、意外と精霊に因んだ星座とか有るかもね」
「確かに、精霊の名前が付いているのが有るかもしれない」
「じゃぁ、アラン座はどれ?」
「ウッ、それはちょっと」
「まぁ、フフッ。それはそうと、私の聖女のレベルが2になったのは火魔法が2になったせいだと思う?」
「どうだろう? それより、聖女のレベルが上がって何かできるようになった?」
「うーん、わからないけど聖女のとこをじっと見ているとレベル2の横に癒しって見えるの」
「癒し! やったじゃないか」
「聖女っぽいよね、でもどうしたら使えるのかしら? 私達ってケガしないもの。私、走っても疲れないし、こっちの世界に来て随分、丈夫になったような気がする」
「俺もそうなんだよ。身体がないからかな、とも思うんだけど。そうだな……、やっぱり王子様たちで確かめる?」
「ええっ、どうやって?」
「王子たちが怪我をするのを待つか。この世界でも神聖魔法というのがあって、ケガや病気も直せるけど、その神聖魔法の使い手は滅多にいないんだ。聖女は神聖魔法の使い手が多いみたいだけど。怪我を直したら聖女ってバレるかもしれないから俺が癒しを使った事にする?」
「アランが私に加護を与えたって事にすればいいんじゃない。アランは癒しの精霊」
「いやしい?」
「もう、イヤシイ精霊じゃないわよ、食いしん坊ではあるけど」
「うーん、自覚はある」
「いやーね」
アランと私はとりとめのない話をしてから明日の事は明日考えようという事にして、それぞれのベッドで休む事にした。
ここは冷蔵庫の結界の中、と考えれば私達、同じ部屋で休んでいるとも言えるけど、アランは同士というか友達だけど身内のような感じであまり男の子って感じがしない。アランの見た目が少年に見えるせいかもしれない。私の見た目も少女だけどね。
さて、王子様御一行は食事の後、少し距離を置いて野宿をするとの事で野営の準備を始めた。
私はどうするのか聞かれたので、秘密の部屋で休みます、と伝えるとウン、ウンと納得をされてしまった。一応、テーブルと椅子は片付けて、アランのキャンプ用品は彼らには見えないし、触っても存在しないみたいだから、そのままにしておいた。
ベッドに横になると滝の水音が聞こえる。アランとも冷蔵庫を挟んで寝ているし王子様御一行は離れたところで野営しているから、河原にポツンと一人で寝ているみたいで何となく寂しい。
そういえば、聖女召喚の後、王宮で閉じ込められていた時、側にいてくれた白い鳥はどうしたんだろう。
王宮を馬車で出た時も途中までは付いて来てくれたはずなのに、いつの間にかいなくなってしまった。やっぱり、王宮とかに巣があって遠くまでは来られなかったのかしら。
独りぼっちが身に染みるこんな時、側にいてくれればいいのに。
そう思いながら寝てしまったせいか夢の中に白い鳥が出てきて、私に何か訴えかけるように鳴いた。何て言っているのかわからないけど、服の端を嘴で摘まんで引っ張っているのは行かないで、と言われているような気がする。
そうして、夢の中の世界が綺麗なブルーの世界に染まってまるで海の中にいるみたいと思ったら、その中から青い鳥が飛んできたような気がした。
朝起きて、浄化をかけてから着替えをして、アランを見に行くとまだぐっすりと寝ていた。アラン、たしかあまり寝なくても良いようなことを言っていたけど、冷蔵庫の中だから安心して寝ているのかもしれない。収納中だしね。
さて、村に滞在していた時に作ってもらった鉄板と三角形の焚火台を取り出してセッテング。
ちなみに私は力も強くなっていて重い物も軽々持てる。これも聖女になったせいかもしれない。
昨日まではアランと二人だったからアランのキャンプ道具を使っていたけれど、王子様御一行は3人いるし、沢山食べるから鉄板の上でトーストとベーコンエッグを作ることにした。トースターはないけど、手動でパンをひっくり返せば両面を焼く事が出来るし。
アランの持っていたパンは3枚入りだったけど、冷蔵庫のレベルが上がったせいで冷凍室が使えるようになって、冷凍食パンが食べられるようになった。
高級食パンは食パンスライサーを使い綺麗にカットして冷凍してあるので、使う分だけ取り出せば後は焼くだけ。
だけど、沢山食べそうなので2斤、10枚とアランの食パン3枚じゃ足りないような気がして昨夜のうちに冷凍庫から取り出して、アランのパンもアイテムボックスに入れておいた。
だので、食パンは26枚もある。これだけあれば足らないって事はないはず。
サラダとチキンの丸焼きもあるし大丈夫よね、多分。スープも大鍋に鶏肉と野菜の千切り、コンソメスープの素を入れて作ったから量はあると思う。
それと、聖女のレベルが上がったせいかもしれないけど、アイテムボックスが昨日から二つに分かれた。
いつものアイテムボックスと時間経過なしのアイテムボックス。使い分けができるようになったのは助かる。といっても、みかけは変わらぬトートバックだけどね。
5
お気に入りに追加
110
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
最後に言い残した事は
白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
どうして、こんな事になったんだろう……
断頭台の上で、元王妃リテラシーは呆然と己を罵倒する民衆を見下ろしていた。世界中から尊敬を集めていた宰相である父の暗殺。全てが狂い出したのはそこから……いや、もっと前だったかもしれない。
本日、リテラシーは公開処刑される。家族ぐるみで悪魔崇拝を行っていたという謂れなき罪のために王妃の位を剥奪され、邪悪な魔女として。
「最後に、言い残した事はあるか?」
かつての夫だった若き国王の言葉に、リテラシーは父から教えられていた『呪文』を発する。
※ファンタジーです。ややグロ表現注意。
※「小説家になろう」にも掲載。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
常識的に考えて
章槻雅希
ファンタジー
アッヘンヴァル王国に聖女が現れた。王国の第一王子とその側近は彼女の世話係に選ばれた。女神教正教会の依頼を国王が了承したためだ。
しかし、これに第一王女が異を唱えた。なぜ未婚の少女の世話係を同年代の異性が行うのかと。
『小説家になろう』様・『アルファポリス』様に重複投稿、自サイトにも掲載。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
聖女なんて御免です
章槻雅希
ファンタジー
「聖女様」
「聖女ではありません! 回復術師ですわ!!」
辺境の地ではそんな会話が繰り返されている。治癒・回復術師のアルセリナは聖女と呼ばれるたびに否定し訂正する。そう、何度も何十度も何百度も何千度も。
聖女断罪ものを読んでて思いついた小ネタ。
軽度のざまぁというか、自業自得の没落があります。
『小説家になろう』様・『Pixiv』様に重複投稿。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】聖女召喚に巻き込まれたバリキャリですが、追い出されそうになったのでお金と魔獣をもらって出て行きます!
チャららA12・山もり
恋愛
二十七歳バリバリキャリアウーマンの鎌本博美(かまもとひろみ)が、交差点で後ろから背中を押された。死んだと思った博美だが、突如、異世界へ召喚される。召喚された博美が発した言葉を誤解したハロルド王子の前に、もうひとりの女性が現れた。博美の方が、聖女召喚に巻き込まれた一般人だと決めつけ、追い出されそうになる。しかし、バリキャリの博美は、そのまま追い出されることを拒否し、彼らに慰謝料を要求する。
お金を受け取るまで、博美は屋敷で暮らすことになり、数々の騒動に巻き込まれながら地下で暮らす魔獣と交流を深めていく。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
聖女に巻き込まれた、愛されなかった彼女の話
下菊みこと
恋愛
転生聖女に嵌められた現地主人公が幸せになるだけ。
主人公は誰にも愛されなかった。そんな彼女が幸せになるためには過去彼女を愛さなかった人々への制裁が必要なのである。
小説家になろう様でも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完)聖女様は頑張らない
青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。
それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。
私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!!
もう全力でこの国の為になんか働くもんか!
異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる