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17. 小話 氷の魔女(リリアージュ視点)
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教皇猊下とメリー神官のお話を聞いて、ビックリした。
これまでずっと心の中に蟠っていた『氷の魔女』の挿絵。その際絵は聖国の神官であるこの方が描かれていた……。それも私の生まれる前に前世の知識で書かれたお話だったなんて。
はっ、まさかこれはいわゆる予言というモノだろうか。いえ、いえ、この童話のお話の挿絵と私はソックリだったけど性格は全然違うから顔が似ているだけの別人だわ。
でも、あの魔術師の女の子がウンデさんだと、聖女に成るのは私ではなくウンデさんだった……それは別に構わないけど、けど、あの挿絵の中、後ろ姿で描かれているのはカンジーン様みたいに見える。
お話の中のカンジーン様、私ではなくウンデさんと仲良しで私に剣を向けるという事なのかしら。そう考えると、お話なのに悲しい。
「リリアージュ、どうした? 何か悲しいのか」
「えっ、いいえカンジーン様、どうして」
「わかるよ。リリアージュが悲しい気持ちになると俺も悲しい。あの童話の事を思い出したからか?」
「いいえ。もうあのお話は気にしていないの。ただ、お話の中なのにカンジーン様が私じゃなくて、ウンデさんと仲良くしてると考えたら悲しくなってしまって」
「リリアージュ、俺にはリリアージュだけだよ」
「カンジーン様」
カンジーン様は私をご自分の胸の中に抱き込んでくださったので、カンジーン様の心臓の鼓動がドクドクと聞こえてきて、なんだか安心した。
「アーッ、ゴホン。仲がよくて何よりです。しかし、この童話ですがリリアージュ様が悲しむ元になってしまっているので、全面的に変えてしまってはどうでしょうか。お話の筋、そのものを変えましょう。リリアージュ様の髪と目の色を湖の女神様として新しい童話を書きましょう」
「女神様ですか。それは良いですね」
「ええ、具体的に女神様の色と言うのは伝承にはないのですが、銀髪に水色の目と言うのは清浄な美しさがありますし、リリアージュは顔立ちも女神様の像にどこか似ています」
私がボーッとしている間に話は進み、聖国の中でお話をつくって、『湖の女神様』と言う童話の中で私の髪と目の色を使う事になった。『氷の魔女』のお話は既に私達の国では色合いも顔立ちも違うものに変えられているけど、各国にある教会で以前の挿絵の付いた童話を回収して、子供向けの聖書、もしくは『湖の女神様』という童話と交換していく事で話がついた、とカンジーン様が後から教えてくれた。
そして、メリー神官は何と、私達の国に神官として赴任する事になってしまった。童話と挿絵の絵をカンジーン様が納得できる絵にするために側にいてもらう事になったそうだ。彼女は次期枢機卿の予定だったので、これは左遷になるのではないかと思ったのだけど、聖女の側付きという立場は誉ある立ち位置になるんですって。
「本当はあの神官はうさん臭い笑顔を浮かべているし信用できないんだけど、離れて暗躍されるよりは近くに置いて監視したほうが良いと思うんだ」
「うさん臭いですか? 親切にして下さると思っていたんですけど」
「何か、腹に一物があるような気がする。まぁ、近くだとこちらの監視がつけやすいから良いかな」
カンジーン様がそういうのなら、多分いいのだと思う。それに、どうして『氷の魔女』の挿絵が私にソックリだったのかがわかったのは良かった。
これまでずっと心の中に蟠っていた『氷の魔女』の挿絵。その際絵は聖国の神官であるこの方が描かれていた……。それも私の生まれる前に前世の知識で書かれたお話だったなんて。
はっ、まさかこれはいわゆる予言というモノだろうか。いえ、いえ、この童話のお話の挿絵と私はソックリだったけど性格は全然違うから顔が似ているだけの別人だわ。
でも、あの魔術師の女の子がウンデさんだと、聖女に成るのは私ではなくウンデさんだった……それは別に構わないけど、けど、あの挿絵の中、後ろ姿で描かれているのはカンジーン様みたいに見える。
お話の中のカンジーン様、私ではなくウンデさんと仲良しで私に剣を向けるという事なのかしら。そう考えると、お話なのに悲しい。
「リリアージュ、どうした? 何か悲しいのか」
「えっ、いいえカンジーン様、どうして」
「わかるよ。リリアージュが悲しい気持ちになると俺も悲しい。あの童話の事を思い出したからか?」
「いいえ。もうあのお話は気にしていないの。ただ、お話の中なのにカンジーン様が私じゃなくて、ウンデさんと仲良くしてると考えたら悲しくなってしまって」
「リリアージュ、俺にはリリアージュだけだよ」
「カンジーン様」
カンジーン様は私をご自分の胸の中に抱き込んでくださったので、カンジーン様の心臓の鼓動がドクドクと聞こえてきて、なんだか安心した。
「アーッ、ゴホン。仲がよくて何よりです。しかし、この童話ですがリリアージュ様が悲しむ元になってしまっているので、全面的に変えてしまってはどうでしょうか。お話の筋、そのものを変えましょう。リリアージュ様の髪と目の色を湖の女神様として新しい童話を書きましょう」
「女神様ですか。それは良いですね」
「ええ、具体的に女神様の色と言うのは伝承にはないのですが、銀髪に水色の目と言うのは清浄な美しさがありますし、リリアージュは顔立ちも女神様の像にどこか似ています」
私がボーッとしている間に話は進み、聖国の中でお話をつくって、『湖の女神様』と言う童話の中で私の髪と目の色を使う事になった。『氷の魔女』のお話は既に私達の国では色合いも顔立ちも違うものに変えられているけど、各国にある教会で以前の挿絵の付いた童話を回収して、子供向けの聖書、もしくは『湖の女神様』という童話と交換していく事で話がついた、とカンジーン様が後から教えてくれた。
そして、メリー神官は何と、私達の国に神官として赴任する事になってしまった。童話と挿絵の絵をカンジーン様が納得できる絵にするために側にいてもらう事になったそうだ。彼女は次期枢機卿の予定だったので、これは左遷になるのではないかと思ったのだけど、聖女の側付きという立場は誉ある立ち位置になるんですって。
「本当はあの神官はうさん臭い笑顔を浮かべているし信用できないんだけど、離れて暗躍されるよりは近くに置いて監視したほうが良いと思うんだ」
「うさん臭いですか? 親切にして下さると思っていたんですけど」
「何か、腹に一物があるような気がする。まぁ、近くだとこちらの監視がつけやすいから良いかな」
カンジーン様がそういうのなら、多分いいのだと思う。それに、どうして『氷の魔女』の挿絵が私にソックリだったのかがわかったのは良かった。
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