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5歳児と軍事演習
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■ブリリアント平原 演習地
はぁ、ギリギリだった。
あと5分走っていれば大惨事になるところだ。
黒狼と白虎は何事も無かったような顔で、馬車から降りる俺を見上げていた。
馬車の上部は輿(こし)となっていて、外せば俺を運んでいける。
だが、これ以上の揺れは勘弁だ。
いつものように白虎に乗ろう。
「陛下、このような場所までお運びいただき、恐悦至極に存じます。」
「軍務卿こそ、短時間で準備を整え、ご苦労である。」
いや、本当にこのような場所だからね。
二度と視察したいとか言わないでおこう。
「では、早速ですが、あちらの草原で、帝国の騎馬部隊を木棍(もっこん)を槍に見立てた槍歩兵部隊にて撃退する模擬戦闘をご覧ください。」
丘の上に陣取った俺たちの下で、数百人の兵が対峙している。
軍務卿の合図でときの声を上げて、両者がぶつかった。
なるほど、何人か勇猛なやつがいて、そいつが突破口をひらいてから、後続がトドメを刺すやり方のようだ。
うまく連携が取れているように見える。
最終的に騎馬兵を追っ払った。
まあ、演習だしね。
だが、頭の中で違う違うと言う。
ヤリブスマとか、ノブナガとか言う言葉と映像が流れる。
なるほど、そう言うイメージなのか。
「陛下、いかがでございましたか。」
「うむ。見事であった。かなりの修練をつんだのであろう。特に何名か際立って槍術(そうじゅつ)に秀でたものがいた。」
「さすが、ご慧眼(けいがん)。彼のものたちはリーブル5本槍といわれる猛者でごさいます。」
「こちらへ呼んでまいれ、指揮官のグレイブル将軍と一緒にじゃ。」
「御意。」
頭の中のイメージをこいつらに伝えるには・・・
「陛下、連れてまいりました。」
-白玉軍団が来た。
「うむ、苦しうない。面を上げよ。そなたたちの槍さばき見事であった。これまでの鍛錬がうかがい知れる。グレイブルもここまで良く鍛え上げてくれた。後ほど皆には褒美をとらせよう。」
「もったいなきお言葉、ありがたき幸せでございます。」
-もう、涙ぐんでるよ。
「ところで軍務卿。この猛者達と同じレベルのものはわが国には何名ほどおるのじゃ。」
「おりましても5名ほどかと。」
「さすれば、同じレベルに鍛えるにはどのぐらいの時間が必要だ?」
「5年はかかるかと。」
「では、軍務卿は気がついたであろう。帝国は5年も待ってはくれぬ。全部で10名の猛者では、1万の帝国騎馬兵をとめることはできぬとな。」
「陛下の仰せの通りでございます。いかなる処分も・・・」
「良い、咎めておるのではない。だが、わが国は騎兵を破る新たな槍兵を増やさねばならぬ。それも短い時間でじゃ。」
「仰せの通りです。」
「そこでじゃ、将軍よ剣を持って馬に乗れ。そなたら5名は木昆を持って馬の前に並んで立て。」
「陛下の御前で馬上になど・・・」
「良い、余が許すのだ。早くせよ。」
「では、馬上の将軍よ。おぬしの剣は槍を持つものに届くか?」
「届きませぬ。」
「槍の者たちよ、馬を突くのは容易いか?」
「容易に突けます。」
「将軍よ、槍を馬がかわすのは容易いか?」
「5本もありますと、流石に難しいかと。」
「軍務卿よ、余が言いたいことがわかるか?」
「ハァッ。槍兵は5名一組として、馬を突く訓練を集中的に行うようにいたします。至らぬ私に、貴重な陛下のお時間を・・・」
「やめい、責めてはおらぬ。余はできるだけ兵に傷ついて欲しくないのだ。」
「農民上がりの兵が難しいことは出来ぬであろう。であれば、できるだけ刃から遠くに身を置き、出来ることだけをやらせて欲しいのじゃ。」
「陛下、もったいなきお言葉。」
-また泣いた。兵どもはすぐに泣きおる。
-チョロイな。ダメを押すか。
「だが、将軍と槍の者たちよ。貴兄らには貴兄にしか出来ぬ仕事がある。おぬしたちは常に戦場を見極め、敵の猛者のみを狩るのじゃ。おぬしらの知恵と技はそのために活かせ。」
「ハァッ この身の全てを陛下に捧げます!!」
-では、そろそろ締めるとしよう。
「兵を集めよ、余から声を掛ける!」
-ウム、白玉がこれだけ並ぶと気持ちよい。
-むしろ、黒玉にはその理由を聞きたくなるな・・・
「忠実なるリーブルの兵よ。余が第18代リーブル皇帝 エリック フォン ローエングラムである。」
「諸君らの日頃の献身と愛国精神には心から感謝しておる。」
「本日の演習はまことに見事であった。皆の成長に感動した!!」
「これからも愛するわが国と、そして愛する家族を守るために死力を尽くせ!」
「良いな!!」
-ウォーッ、 皇帝陛下万歳!! 皇帝陛下万歳!!-
白虎にまたがる俺は神童に見えただろう。
白玉が確実に増えた。
こいつらも死ぬ気で働くだろう。
当分クーデターは起こらんと信じよう。
はぁ、ギリギリだった。
あと5分走っていれば大惨事になるところだ。
黒狼と白虎は何事も無かったような顔で、馬車から降りる俺を見上げていた。
馬車の上部は輿(こし)となっていて、外せば俺を運んでいける。
だが、これ以上の揺れは勘弁だ。
いつものように白虎に乗ろう。
「陛下、このような場所までお運びいただき、恐悦至極に存じます。」
「軍務卿こそ、短時間で準備を整え、ご苦労である。」
いや、本当にこのような場所だからね。
二度と視察したいとか言わないでおこう。
「では、早速ですが、あちらの草原で、帝国の騎馬部隊を木棍(もっこん)を槍に見立てた槍歩兵部隊にて撃退する模擬戦闘をご覧ください。」
丘の上に陣取った俺たちの下で、数百人の兵が対峙している。
軍務卿の合図でときの声を上げて、両者がぶつかった。
なるほど、何人か勇猛なやつがいて、そいつが突破口をひらいてから、後続がトドメを刺すやり方のようだ。
うまく連携が取れているように見える。
最終的に騎馬兵を追っ払った。
まあ、演習だしね。
だが、頭の中で違う違うと言う。
ヤリブスマとか、ノブナガとか言う言葉と映像が流れる。
なるほど、そう言うイメージなのか。
「陛下、いかがでございましたか。」
「うむ。見事であった。かなりの修練をつんだのであろう。特に何名か際立って槍術(そうじゅつ)に秀でたものがいた。」
「さすが、ご慧眼(けいがん)。彼のものたちはリーブル5本槍といわれる猛者でごさいます。」
「こちらへ呼んでまいれ、指揮官のグレイブル将軍と一緒にじゃ。」
「御意。」
頭の中のイメージをこいつらに伝えるには・・・
「陛下、連れてまいりました。」
-白玉軍団が来た。
「うむ、苦しうない。面を上げよ。そなたたちの槍さばき見事であった。これまでの鍛錬がうかがい知れる。グレイブルもここまで良く鍛え上げてくれた。後ほど皆には褒美をとらせよう。」
「もったいなきお言葉、ありがたき幸せでございます。」
-もう、涙ぐんでるよ。
「ところで軍務卿。この猛者達と同じレベルのものはわが国には何名ほどおるのじゃ。」
「おりましても5名ほどかと。」
「さすれば、同じレベルに鍛えるにはどのぐらいの時間が必要だ?」
「5年はかかるかと。」
「では、軍務卿は気がついたであろう。帝国は5年も待ってはくれぬ。全部で10名の猛者では、1万の帝国騎馬兵をとめることはできぬとな。」
「陛下の仰せの通りでございます。いかなる処分も・・・」
「良い、咎めておるのではない。だが、わが国は騎兵を破る新たな槍兵を増やさねばならぬ。それも短い時間でじゃ。」
「仰せの通りです。」
「そこでじゃ、将軍よ剣を持って馬に乗れ。そなたら5名は木昆を持って馬の前に並んで立て。」
「陛下の御前で馬上になど・・・」
「良い、余が許すのだ。早くせよ。」
「では、馬上の将軍よ。おぬしの剣は槍を持つものに届くか?」
「届きませぬ。」
「槍の者たちよ、馬を突くのは容易いか?」
「容易に突けます。」
「将軍よ、槍を馬がかわすのは容易いか?」
「5本もありますと、流石に難しいかと。」
「軍務卿よ、余が言いたいことがわかるか?」
「ハァッ。槍兵は5名一組として、馬を突く訓練を集中的に行うようにいたします。至らぬ私に、貴重な陛下のお時間を・・・」
「やめい、責めてはおらぬ。余はできるだけ兵に傷ついて欲しくないのだ。」
「農民上がりの兵が難しいことは出来ぬであろう。であれば、できるだけ刃から遠くに身を置き、出来ることだけをやらせて欲しいのじゃ。」
「陛下、もったいなきお言葉。」
-また泣いた。兵どもはすぐに泣きおる。
-チョロイな。ダメを押すか。
「だが、将軍と槍の者たちよ。貴兄らには貴兄にしか出来ぬ仕事がある。おぬしたちは常に戦場を見極め、敵の猛者のみを狩るのじゃ。おぬしらの知恵と技はそのために活かせ。」
「ハァッ この身の全てを陛下に捧げます!!」
-では、そろそろ締めるとしよう。
「兵を集めよ、余から声を掛ける!」
-ウム、白玉がこれだけ並ぶと気持ちよい。
-むしろ、黒玉にはその理由を聞きたくなるな・・・
「忠実なるリーブルの兵よ。余が第18代リーブル皇帝 エリック フォン ローエングラムである。」
「諸君らの日頃の献身と愛国精神には心から感謝しておる。」
「本日の演習はまことに見事であった。皆の成長に感動した!!」
「これからも愛するわが国と、そして愛する家族を守るために死力を尽くせ!」
「良いな!!」
-ウォーッ、 皇帝陛下万歳!! 皇帝陛下万歳!!-
白虎にまたがる俺は神童に見えただろう。
白玉が確実に増えた。
こいつらも死ぬ気で働くだろう。
当分クーデターは起こらんと信じよう。
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