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Ⅱ-129 勇者の資質
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■神殿の森
タロウは飛んで行ったサトル達に気が付いていたが、あえて見つかろうとはせずに大地の盛り上がりで吹き飛ばされた車の方へと戻った。突然現れたサトルに連れられて、ここまでついて来ていたが、マリアンヌやサリナが言う通りにサトルがこの時代の勇者であることは間違いないと既に確信していた。であれば、タロウも先の勇者の一族として、サトルの魔竜討伐に全身全霊で協力するつもりであった。しかし、そのためにはサトルの戦いぶりや考え方などをもっと理解する必要がある。
サトルはタロウたちが使っている魔法も使えるらしいが、それほど魔法力が強い訳では無いようだ。その代わりに不思議な魔法・・・、物が自在に取り出せる魔法を操っている。いろんな武器や道具、車等がいくらでも出て来るし、消すこともできる。タロウには理解できない魔法だが、便利で役に立つことは間違いない。
-しかし、あの魔法で魔竜は倒せるのか・・・。
魔法力という点ではマリアンヌもサリナも成長していた。魔法制御という点ではタロウが上回っているだろうが、力の強さでは既に二人ともタロウを凌駕しているはずだ。特にサリナの魔法力は桁外れだった。いまだに制御が満足に出来ているとは言えないが、あれだけの破壊力があれば、滅多なことで後れを取ることは無いだろう。マリアンヌが許してくれば、サリナに魔法制御を教えたいとも思っていた。
-マリアンヌ・・・。
マリアンヌ自身はタロウと別れてからも魔法の修練は続けていたようだ。決して、勇者の一族としての使命を放棄したわけではない・・・、そういう事なのだろう。マリアンヌに対しては申し訳ないと言う気持ちしかなかった。あの男と結ばれた聞いた時は立ち直れないほどのショックを受けたが、よくよく考えれば自分自身の育て方が間違っていたのだ。
タロウは生まれた時から厳しく魔法の修練だけをさせてきた。母親はマリアンヌが生まれた時に死んでいるが、男親一人で娘を育てるのは年頃になると難しくなりつつあった。勇者の一族としての役割を果たす、それだけを考えていたのだが・・・。結局のところ我が娘を一人の娘として扱ってやれなかったと言う事だったのだ。
しかし、神は我らを正しい道へと導き、サトルとサリナを引き合わせてくれた。今からでも遅くはないのだ。タロウは車の荷台に積んでいた檻の中で額から血を流した男を引きずり出して地面に手を突いた。ついた場所の地面が沈み込んでいき、タロウと男が地面よりはるかに低い位置まで下がったところで、頭上の穴は閉じ始めて二人は土に囲まれた暗闇の空間に閉じ込められた。
-ボゥッ
炎の魔法で頭上に明かりと灯すと、転がっている男の怪我の状況を確認して治療魔法で治してやった。打ち身と切り傷ぐらいで大したことは無いが、完全な状態から始めた方が効果があるからだ。
「さてと・・・、お前に質問があるが、私はあの若い男とは違う。まずは私がお前にどれだけの痛みを与えられるかを理解させてから質問をする。舌をかみ切っても良いが、すぐに治療をするから死ねんぞ」
「ま、待てよ! 聞きたいことがあるなら、何でも・・・グァーっ! あ、熱い! 」
タロウは男の話を聞かずに、いきなり足を炎魔法で焼き両ひざまで燃えたところで、魔法の火を止めた。男は涙を流しながら絶叫しているが、両手両足には手錠が掛けられて火を消すことも逃げることもできなかった。タロウは熱傷による痛みを十分に味あわせた頃を見計らって、火傷でケロイド上になった足に治療魔法を使うと、今度は頭を炎で焼き始めた・・・。
「では、神殿の中に巫女が残っているのだな? 黒い死人の首領は崖の上・・・、お前は本当に崖の上に行ったことが無いのか?」
「無い! あそこには巫女と神官しか入ったことが無いはずだ! 本当だ!」
剣士の男は全身を焼かれ、睾丸をつぶされ、目を串刺しにされてからようやく質問してくれたタロウに何でも答え始めていた。狭い空間には男の漏らした大小便と汗の匂いが充満している。
「神官の行先は見当がつかないのか?」
「本当にわからない。だが、定期的にこの神殿を離れている」
「その間は巫女が祭事を行うのか? 生贄を捧げたり?」
「そうだ、神官がいるときでも巫女が祭事を行うことも多い」
「なるほど・・・、では最後にもう一度聞くが、崖の上に行く方法は?」
「わからない・・・、巫女の部屋から繋がっているかもしれないが、出入りするところは見たことが無い」
「そうか・・・」
「た、頼む! 俺が知っていることは全部話した! もう、これで・・・殺してくれ」
「いや、簡単には殺さんよ。お前たちネフロスの信者がしてきたこと考えれば、あっさり殺すわけにはいかん」
「ちくしょう・・・」
タロウが城で匿っている娘たちは黒い死人達から助け出した女だが、女たちが攫われるときにはその家族も多く犠牲になっている。奴隷として売る価値が無いものは容赦せずに殺すというのが黒い死人達のやり方だ。それを真似たとして、とやかく言われる筋合いはないだろう。この男から聞き出せる神殿の情報はこれぐらいが限界だろう。神殿は見えている部分よりも崖の中にアリの巣のように張り巡らされた迷路になっている部分が広いことが分かった。中には大勢の魔法士たちがまだ残っているらしいが、タロウは皆殺しにするつもりだった。
サトルは“人を殺す”ということにまだ抵抗があるようだが、それは仕方のないことだ。おそらく、サトルのいる世界では”人を殺す“と言うことが禁じられ、禁忌を破れば重い罰が下る。だから、人殺しが少ない世界になる・・・そういう考え方で育ったはずだ。タロウも”人殺し“が忌むべきものだと言うことは理解しているし、できるだけ他人の命を奪わないようにするべきだと思っていた。しかし、それが適用される相手はこちらと同じ考え方の者だけで良いだろう。命を大事にしない相手の命は守ってやる必要が無い。特に使命を帯びた勇者の一族としては、使命を達成するためには非常にならざるを得ないことが多くなる。
-今回の勇者にはその覚悟はあるだろうか?
サトルの年齢は17歳と聞いたが、考え方が少し若い・・・というか子供の考え方に近い部分が多いようだ。今回のネフロス神殿の襲撃も目的はミーシャというエルフの娘の呪術を解くために無計画に行われている。あの娘がサトルにとってどれだけ重要かは分からないが、魔竜討伐に必ず必要な人材とも思えない。
もっとも、“仲間”を大事にするのは勇者の資質の一つではあるのは間違いない。しかし、勇者として冷静に目的に向かっていく非情な心-覚悟が無ければ、その仲間を守ることもできないだろう。
タロウはサトルの資質を考えながら、剣士の男を地下に残したまま地上へと出た。
-いずれにせよ、勇者の手助けをするのが我が使命。
-勇者はその心の赴くままに・・・。
タロウが立ち去った後の地面の下では、完全な暗闇となった地下室で両手両足を焼かれた男が苦鳴をあげながら、身もだえしていた。
タロウは飛んで行ったサトル達に気が付いていたが、あえて見つかろうとはせずに大地の盛り上がりで吹き飛ばされた車の方へと戻った。突然現れたサトルに連れられて、ここまでついて来ていたが、マリアンヌやサリナが言う通りにサトルがこの時代の勇者であることは間違いないと既に確信していた。であれば、タロウも先の勇者の一族として、サトルの魔竜討伐に全身全霊で協力するつもりであった。しかし、そのためにはサトルの戦いぶりや考え方などをもっと理解する必要がある。
サトルはタロウたちが使っている魔法も使えるらしいが、それほど魔法力が強い訳では無いようだ。その代わりに不思議な魔法・・・、物が自在に取り出せる魔法を操っている。いろんな武器や道具、車等がいくらでも出て来るし、消すこともできる。タロウには理解できない魔法だが、便利で役に立つことは間違いない。
-しかし、あの魔法で魔竜は倒せるのか・・・。
魔法力という点ではマリアンヌもサリナも成長していた。魔法制御という点ではタロウが上回っているだろうが、力の強さでは既に二人ともタロウを凌駕しているはずだ。特にサリナの魔法力は桁外れだった。いまだに制御が満足に出来ているとは言えないが、あれだけの破壊力があれば、滅多なことで後れを取ることは無いだろう。マリアンヌが許してくれば、サリナに魔法制御を教えたいとも思っていた。
-マリアンヌ・・・。
マリアンヌ自身はタロウと別れてからも魔法の修練は続けていたようだ。決して、勇者の一族としての使命を放棄したわけではない・・・、そういう事なのだろう。マリアンヌに対しては申し訳ないと言う気持ちしかなかった。あの男と結ばれた聞いた時は立ち直れないほどのショックを受けたが、よくよく考えれば自分自身の育て方が間違っていたのだ。
タロウは生まれた時から厳しく魔法の修練だけをさせてきた。母親はマリアンヌが生まれた時に死んでいるが、男親一人で娘を育てるのは年頃になると難しくなりつつあった。勇者の一族としての役割を果たす、それだけを考えていたのだが・・・。結局のところ我が娘を一人の娘として扱ってやれなかったと言う事だったのだ。
しかし、神は我らを正しい道へと導き、サトルとサリナを引き合わせてくれた。今からでも遅くはないのだ。タロウは車の荷台に積んでいた檻の中で額から血を流した男を引きずり出して地面に手を突いた。ついた場所の地面が沈み込んでいき、タロウと男が地面よりはるかに低い位置まで下がったところで、頭上の穴は閉じ始めて二人は土に囲まれた暗闇の空間に閉じ込められた。
-ボゥッ
炎の魔法で頭上に明かりと灯すと、転がっている男の怪我の状況を確認して治療魔法で治してやった。打ち身と切り傷ぐらいで大したことは無いが、完全な状態から始めた方が効果があるからだ。
「さてと・・・、お前に質問があるが、私はあの若い男とは違う。まずは私がお前にどれだけの痛みを与えられるかを理解させてから質問をする。舌をかみ切っても良いが、すぐに治療をするから死ねんぞ」
「ま、待てよ! 聞きたいことがあるなら、何でも・・・グァーっ! あ、熱い! 」
タロウは男の話を聞かずに、いきなり足を炎魔法で焼き両ひざまで燃えたところで、魔法の火を止めた。男は涙を流しながら絶叫しているが、両手両足には手錠が掛けられて火を消すことも逃げることもできなかった。タロウは熱傷による痛みを十分に味あわせた頃を見計らって、火傷でケロイド上になった足に治療魔法を使うと、今度は頭を炎で焼き始めた・・・。
「では、神殿の中に巫女が残っているのだな? 黒い死人の首領は崖の上・・・、お前は本当に崖の上に行ったことが無いのか?」
「無い! あそこには巫女と神官しか入ったことが無いはずだ! 本当だ!」
剣士の男は全身を焼かれ、睾丸をつぶされ、目を串刺しにされてからようやく質問してくれたタロウに何でも答え始めていた。狭い空間には男の漏らした大小便と汗の匂いが充満している。
「神官の行先は見当がつかないのか?」
「本当にわからない。だが、定期的にこの神殿を離れている」
「その間は巫女が祭事を行うのか? 生贄を捧げたり?」
「そうだ、神官がいるときでも巫女が祭事を行うことも多い」
「なるほど・・・、では最後にもう一度聞くが、崖の上に行く方法は?」
「わからない・・・、巫女の部屋から繋がっているかもしれないが、出入りするところは見たことが無い」
「そうか・・・」
「た、頼む! 俺が知っていることは全部話した! もう、これで・・・殺してくれ」
「いや、簡単には殺さんよ。お前たちネフロスの信者がしてきたこと考えれば、あっさり殺すわけにはいかん」
「ちくしょう・・・」
タロウが城で匿っている娘たちは黒い死人達から助け出した女だが、女たちが攫われるときにはその家族も多く犠牲になっている。奴隷として売る価値が無いものは容赦せずに殺すというのが黒い死人達のやり方だ。それを真似たとして、とやかく言われる筋合いはないだろう。この男から聞き出せる神殿の情報はこれぐらいが限界だろう。神殿は見えている部分よりも崖の中にアリの巣のように張り巡らされた迷路になっている部分が広いことが分かった。中には大勢の魔法士たちがまだ残っているらしいが、タロウは皆殺しにするつもりだった。
サトルは“人を殺す”ということにまだ抵抗があるようだが、それは仕方のないことだ。おそらく、サトルのいる世界では”人を殺す“と言うことが禁じられ、禁忌を破れば重い罰が下る。だから、人殺しが少ない世界になる・・・そういう考え方で育ったはずだ。タロウも”人殺し“が忌むべきものだと言うことは理解しているし、できるだけ他人の命を奪わないようにするべきだと思っていた。しかし、それが適用される相手はこちらと同じ考え方の者だけで良いだろう。命を大事にしない相手の命は守ってやる必要が無い。特に使命を帯びた勇者の一族としては、使命を達成するためには非常にならざるを得ないことが多くなる。
-今回の勇者にはその覚悟はあるだろうか?
サトルの年齢は17歳と聞いたが、考え方が少し若い・・・というか子供の考え方に近い部分が多いようだ。今回のネフロス神殿の襲撃も目的はミーシャというエルフの娘の呪術を解くために無計画に行われている。あの娘がサトルにとってどれだけ重要かは分からないが、魔竜討伐に必ず必要な人材とも思えない。
もっとも、“仲間”を大事にするのは勇者の資質の一つではあるのは間違いない。しかし、勇者として冷静に目的に向かっていく非情な心-覚悟が無ければ、その仲間を守ることもできないだろう。
タロウはサトルの資質を考えながら、剣士の男を地下に残したまま地上へと出た。
-いずれにせよ、勇者の手助けをするのが我が使命。
-勇者はその心の赴くままに・・・。
タロウが立ち去った後の地面の下では、完全な暗闇となった地下室で両手両足を焼かれた男が苦鳴をあげながら、身もだえしていた。
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