271 / 343
Ⅱ-110 長い夜
しおりを挟む
■カインの町
俺が消火活動を終えて町に戻ると町の中は大騒ぎになっていた。ほとんどの家に明かりが灯り、町長の屋敷がある広場には大勢の人が集まっている。バギーを見た住民たちは怯えたまなざしを向けてきているが、町の外から聞いたことの無い音の爆音が鳴り響いていたのだから当然の結果だった。町の通りをゆっくりと町長の屋敷まで進むと屋敷の前にはママさんが立って周りの人間と話をしていたので、俺とショーイも合流した。
「町長、こちらが今話していた勇者です。それで、さっきの女は逃げてしまったのですか?」
ママさんは町長に俺を紹介した後で俺とショーイを冷ややかな目を向けた。まるで、出来の悪い試験結果を見た後の母親のような目をしている。
「ええ、黒い死人達が集まっている小屋を見つけたんですが、尋問をしているときに魔法士に襲われてしまって・・・」
「そうですか、残念ですね。さっきの大きな音はあなたの魔法ですか?」
「敵の魔法士と戦うときの音です。それで、あの女は町長の奥さんなんですか?」
「ええ、町長はそう言っていますが・・・」
ママさんは町長を見て少し困ったような表情を浮かべた。
「うちの、うちの家内をどうしたんだ?」
「質問はこっちがする。あんたの妻は黒い死人達の仲間だったんだよ。俺の仲間を森に誘い込んだのも計画のうちだろ。お前も知っていたのか?」
俺は自分の父親より年上と思われる町長に向かって見下すように詰問した。こいつがグルなら、しっかりと聞き取りをしなければいけないと思っている。
「そんな! あいつが・・・、あいつが黒い死人と関わりがあるなんて!そんなことは絶対ないはずだ!」
「ですけど、仲間に眠り薬を飲ませたのは間違いないようですよ」
ママさんが柔らかく割って入ったが、俺同様に町長の妻が敵だと言うことは疑っていない。そう言われて町長も難しい顔で眉間に皺を浮かべている。
「だが・・・、確かに昨日から様子がおかしかったんだ・・・。あいつはそんなにしっかりした女じゃないんだが、てきぱきといろんなことができるようになって・・・」
「だったら操られていたのか?」
「もしくは、入れ替わっていたのかもしれませんね」
「操る? 入れ替わる? あんたたちは一体何の話をしているんだ!?」
町長は俺とママさんの話に全くついて来られないが仕方ないだろう。知っていて、とぼけているなら大した役者だが・・・。敵は何らかの方法で町長の妻を自分達の意のままにしたはずだ。もっとも、最初から黒い死人達の仲間だった可能性も残っているが・・・。
「その件も大事だが、それよりも重要な話がある。見つけた奴らは全員死んだが、まだ黒い死人達の応援がこの町にくるはずだ。この町に兵士はいないのか?」
「えっ!? なんで、こんな田舎の町に? この町に専門の兵士などおりません、私も含めて臨時で徴用されることはありますが・・・、で?そいつらは何をしにこの町へ?」
「ああ、あんたたちを皆殺しにするつもりだよ」
「!?」
ショックで倒れそうになっている町長に経緯を説明して、奴らが来たらショーイ中心に追い払う段取りにしておいた。応援が来ると言っても、本隊が壊滅したのだから何もできないだろう。10人や20人ならショーイ一人で何とかしてくれるはずだ。無責任な話だが、俺には他に責任を取らないといけないことがあった。そう、まずはミーシャだ。早く元に戻したいが、ここから連れ出すのを急ぐ必要がある。
カインの町は即席の自警団が町の周りを警戒して、不審者を見つけたら町の中心で陣取るショーイに連絡する体勢が整ったことを確認すると、俺とママさんはミーシャを車にのせてすぐにスタートスに向かって走り始めた。その道中で今後の動きを決めておいた。
「スタートスからセントレアの屋敷に戻るのですか?」
「いや、敵の手が届きにくいところにしたいから、エルフの里に行きます」
「そうですね。その方が良いでしょう」
セントレアには敵の目があるはずだった、今回の襲撃は事前に準備されたものなのだろう。俺達は常に監視されている・・・、そういう風に考えておかなければならない。エルフの里なら敵の目も届きにくいから安心だ。だが、俺はミーシャの母親にどんな風に説明すれば良いか分からなかった。今回の件は俺が発案者だから大きな意味では俺に責任があることは間違いない。しかし、責任があるとしてどうすれば・・・。今のところは謝罪して、解決策を急いで探すしかないだろう。一番確実なのは呪術の術者を探すと言うことだが、果たしてどこに?それに、もう一つの心配事も残っているのだ。
「その後はムーアの倉庫に戻ってサリナ達がいるか確認しないと・・・」
「ええ、ですけど、もう遅い時間です。そろそろ休まないといけません」
ママさんの言う通り、時間は既に24時を過ぎている。しかし、サリナが戻っていなければミーシャ達と同じように敵の罠にはまっている可能性がある。
「心配じゃないんですか? サリナのことが」
「もちろん心配です。ですけど、あなたの事も心配なのですよ。休息をとらずに無理をすると判断を誤って失敗することも多いですから。倉庫に戻ったら、日が昇るまでは寝なさい。サリナの事は明日にしましょう。もともと、期限は明日迄なのですから」
確かに心配性の俺が3日で終わるはずだと思い込んでいるだけで、そもそもは4日目までに戻れば良い計画だったのだ。
「判りました。じゃあ、もし、今日戻っていなければ明日は5時に起きて出発します」
「ええ、そうしましょう」
暗い夜道を飛ばすミニバンの後方で眠ったままのミーシャをバックミラーで見ながら、全てを甘く考えすぎていた自分を呪った。こっちから攻撃するのは容易いが、仲間を守るのは難しかったのだ。普段から襲われると言うことに備える必要があったのに、あまりにも鈍感だった。
-じゃあ、これからどうする? 何もせずに隠れて暮らすか?
自分に問いかけたが、今となってはそれも無理だろう。あまりにもこの世界に関わりすぎている。となると・・・、敵を殲滅するしかない。
-攻撃は最大の防御ということだな。
より一層冷酷にならなければこの世界では生きていけないのだ。
俺が消火活動を終えて町に戻ると町の中は大騒ぎになっていた。ほとんどの家に明かりが灯り、町長の屋敷がある広場には大勢の人が集まっている。バギーを見た住民たちは怯えたまなざしを向けてきているが、町の外から聞いたことの無い音の爆音が鳴り響いていたのだから当然の結果だった。町の通りをゆっくりと町長の屋敷まで進むと屋敷の前にはママさんが立って周りの人間と話をしていたので、俺とショーイも合流した。
「町長、こちらが今話していた勇者です。それで、さっきの女は逃げてしまったのですか?」
ママさんは町長に俺を紹介した後で俺とショーイを冷ややかな目を向けた。まるで、出来の悪い試験結果を見た後の母親のような目をしている。
「ええ、黒い死人達が集まっている小屋を見つけたんですが、尋問をしているときに魔法士に襲われてしまって・・・」
「そうですか、残念ですね。さっきの大きな音はあなたの魔法ですか?」
「敵の魔法士と戦うときの音です。それで、あの女は町長の奥さんなんですか?」
「ええ、町長はそう言っていますが・・・」
ママさんは町長を見て少し困ったような表情を浮かべた。
「うちの、うちの家内をどうしたんだ?」
「質問はこっちがする。あんたの妻は黒い死人達の仲間だったんだよ。俺の仲間を森に誘い込んだのも計画のうちだろ。お前も知っていたのか?」
俺は自分の父親より年上と思われる町長に向かって見下すように詰問した。こいつがグルなら、しっかりと聞き取りをしなければいけないと思っている。
「そんな! あいつが・・・、あいつが黒い死人と関わりがあるなんて!そんなことは絶対ないはずだ!」
「ですけど、仲間に眠り薬を飲ませたのは間違いないようですよ」
ママさんが柔らかく割って入ったが、俺同様に町長の妻が敵だと言うことは疑っていない。そう言われて町長も難しい顔で眉間に皺を浮かべている。
「だが・・・、確かに昨日から様子がおかしかったんだ・・・。あいつはそんなにしっかりした女じゃないんだが、てきぱきといろんなことができるようになって・・・」
「だったら操られていたのか?」
「もしくは、入れ替わっていたのかもしれませんね」
「操る? 入れ替わる? あんたたちは一体何の話をしているんだ!?」
町長は俺とママさんの話に全くついて来られないが仕方ないだろう。知っていて、とぼけているなら大した役者だが・・・。敵は何らかの方法で町長の妻を自分達の意のままにしたはずだ。もっとも、最初から黒い死人達の仲間だった可能性も残っているが・・・。
「その件も大事だが、それよりも重要な話がある。見つけた奴らは全員死んだが、まだ黒い死人達の応援がこの町にくるはずだ。この町に兵士はいないのか?」
「えっ!? なんで、こんな田舎の町に? この町に専門の兵士などおりません、私も含めて臨時で徴用されることはありますが・・・、で?そいつらは何をしにこの町へ?」
「ああ、あんたたちを皆殺しにするつもりだよ」
「!?」
ショックで倒れそうになっている町長に経緯を説明して、奴らが来たらショーイ中心に追い払う段取りにしておいた。応援が来ると言っても、本隊が壊滅したのだから何もできないだろう。10人や20人ならショーイ一人で何とかしてくれるはずだ。無責任な話だが、俺には他に責任を取らないといけないことがあった。そう、まずはミーシャだ。早く元に戻したいが、ここから連れ出すのを急ぐ必要がある。
カインの町は即席の自警団が町の周りを警戒して、不審者を見つけたら町の中心で陣取るショーイに連絡する体勢が整ったことを確認すると、俺とママさんはミーシャを車にのせてすぐにスタートスに向かって走り始めた。その道中で今後の動きを決めておいた。
「スタートスからセントレアの屋敷に戻るのですか?」
「いや、敵の手が届きにくいところにしたいから、エルフの里に行きます」
「そうですね。その方が良いでしょう」
セントレアには敵の目があるはずだった、今回の襲撃は事前に準備されたものなのだろう。俺達は常に監視されている・・・、そういう風に考えておかなければならない。エルフの里なら敵の目も届きにくいから安心だ。だが、俺はミーシャの母親にどんな風に説明すれば良いか分からなかった。今回の件は俺が発案者だから大きな意味では俺に責任があることは間違いない。しかし、責任があるとしてどうすれば・・・。今のところは謝罪して、解決策を急いで探すしかないだろう。一番確実なのは呪術の術者を探すと言うことだが、果たしてどこに?それに、もう一つの心配事も残っているのだ。
「その後はムーアの倉庫に戻ってサリナ達がいるか確認しないと・・・」
「ええ、ですけど、もう遅い時間です。そろそろ休まないといけません」
ママさんの言う通り、時間は既に24時を過ぎている。しかし、サリナが戻っていなければミーシャ達と同じように敵の罠にはまっている可能性がある。
「心配じゃないんですか? サリナのことが」
「もちろん心配です。ですけど、あなたの事も心配なのですよ。休息をとらずに無理をすると判断を誤って失敗することも多いですから。倉庫に戻ったら、日が昇るまでは寝なさい。サリナの事は明日にしましょう。もともと、期限は明日迄なのですから」
確かに心配性の俺が3日で終わるはずだと思い込んでいるだけで、そもそもは4日目までに戻れば良い計画だったのだ。
「判りました。じゃあ、もし、今日戻っていなければ明日は5時に起きて出発します」
「ええ、そうしましょう」
暗い夜道を飛ばすミニバンの後方で眠ったままのミーシャをバックミラーで見ながら、全てを甘く考えすぎていた自分を呪った。こっちから攻撃するのは容易いが、仲間を守るのは難しかったのだ。普段から襲われると言うことに備える必要があったのに、あまりにも鈍感だった。
-じゃあ、これからどうする? 何もせずに隠れて暮らすか?
自分に問いかけたが、今となってはそれも無理だろう。あまりにもこの世界に関わりすぎている。となると・・・、敵を殲滅するしかない。
-攻撃は最大の防御ということだな。
より一層冷酷にならなければこの世界では生きていけないのだ。
0
お気に入りに追加
909
あなたにおすすめの小説
おおぅ、神よ……ここからってマジですか?
夢限
ファンタジー
俺こと高良雄星は39歳の一見すると普通の日本人だったが、実際は違った。
人見知りやトラウマなどが原因で、友人も恋人もいない、孤独だった。
そんな俺は、突如病に倒れ死亡。
次に気が付いたときそこには神様がいた。
どうやら、異世界転生ができるらしい。
よーし、今度こそまっとうに生きてやるぞー。
……なんて、思っていた時が、ありました。
なんで、奴隷スタートなんだよ。
最底辺過ぎる。
そんな俺の新たな人生が始まったわけだが、問題があった。
それは、新たな俺には名前がない。
そこで、知っている人に聞きに行ったり、復讐したり。
それから、旅に出て生涯の友と出会い、恩を返したりと。
まぁ、いろいろやってみようと思う。
これは、そんな俺の新たな人生の物語だ。
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
とあるオタが勇者召喚に巻き込まれた件~イレギュラーバグチートスキルで異世界漫遊~
剣伎 竜星
ファンタジー
仕事の修羅場を乗り越えて、徹夜明けもなんのその、年2回ある有○の戦場を駆けた夏。長期休暇を取得し、自宅に引きこもって戦利品を堪能すべく、帰宅の途上で食材を購入して後はただ帰るだけだった。しかし、学生4人組とすれ違ったと思ったら、俺はスマホの電波が届かない中世ヨーロッパと思しき建築物の複雑な幾何学模様の上にいた。学生4人組とともに。やってきた召喚者と思しき王女様達の魔族侵略の話を聞いて、俺は察した。これあかん系異世界勇者召喚だと。しかも、どうやら肝心の勇者は学生4人組みの方で俺は巻き込まれた一般人らしい。【鑑定】や【空間収納】といった鉄板スキルを保有して、とんでもないバグと思えるチートスキルいるが、違うらしい。そして、安定の「元の世界に帰る方法」は不明→絶望的な難易度。勇者系の称号がないとわかると王女達は掌返しをして俺を奴隷扱いするのは必至。1人を除いて学生共も俺を馬鹿にしだしたので俺は迷惑料を(強制的に)もらって早々に国を脱出し、この異世界をチートスキルを駆使して漫遊することにした。※10話前後までスタート地点の王城での話になります。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
転生王子の異世界無双
海凪
ファンタジー
幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。
特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……
魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!
それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!
転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!
東導 号
ファンタジー
雑魚モブキャラだって負けない! 俺は絶対!前世より1億倍!幸せになる!
俺、ケン・アキヤマ25歳は、某・ダークサイド企業に勤める貧乏リーマン。
絶対的支配者のようにふるまう超ワンマン社長、コバンザメのような超ごますり部長に、
あごでこきつかわれながら、いつか幸せになりたいと夢見ていた。
社長と部長は、100倍くらい盛りに盛った昔の自分自慢語りをさく裂させ、
1日働きづめで疲れ切った俺に対して、意味のない精神論に終始していた。
そして、ふたり揃って、具体的な施策も提示せず、最後には
「全社員、足で稼げ! 知恵を絞り、営業数字を上げろ!」
と言うばかり。
社員達の先頭を切って戦いへ挑む、重い責任を背負う役職者のはずなのに、
完全に口先だけ、自分の部屋へ閉じこもり『外部の評論家』と化していた。
そんな状況で、社長、部長とも「業務成績、V字回復だ!」
「営業売上の前年比プラス150%目標だ!」とか抜かすから、
何をか言わんや……
そんな過酷な状況に生きる俺は、転職活動をしながら、
超シビアでリアルな地獄の現実から逃避しようと、
ヴァーチャル世界へ癒しを求めていた。
中でも最近は、世界で最高峰とうたわれる恋愛ファンタジーアクションRPG、
『ステディ・リインカネーション』に、はまっていた。
日々の激務の疲れから、ある日、俺は寝落ちし、
……『寝落ち』から目が覚め、気が付いたら、何と何と!!
16歳の、ど平民少年ロイク・アルシェとなり、
中世西洋風の異世界へ転生していた……
その異世界こそが、熱中していたアクションRPG、
『ステディ・リインカネーション』の世界だった。
もう元の世界には戻れそうもない。
覚悟を決めた俺は、数多のラノベ、アニメ、ゲームで積み重ねたおたく知識。
そして『ステディ・リインカネーション』をやり込んだプレイ経験、攻略知識を使って、
絶対! 前世より1億倍! 幸せになる!
と固く決意。
素晴らしきゲーム世界で、新生活を始めたのである。
カクヨム様でも連載中です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる