143 / 343
Ⅰ-143 容赦なく
しおりを挟む
■王都ゲイル 下町の宿
前日の偵察でストレージから出るときは危なかった。日の出前にアラームで目を覚ますと周りには黒い死人達がたくさん野宿していた。夜中のうちに到着したやつらが、アジトの中には入り切れなかったようだ。黒い目だし帽をかぶり暗闇に紛れてストレージから出てショーイと一緒に宿まで戻って来た。
宿の方は変わりが無かったが、通りの角で見張っているやつが居るのに気が付いた。黒い死人達も俺達の居場所を把握しているのだろうが、そのままにしておいた。昼間に襲ってくることは無いだろう。
俺が戻るとすぐに組合から紹介された大工が来てくれた。やってほしいことを伝えるのに時間が掛かったが、今の扉の枠を大きくして、俺が用意したアルミ製のドアをはめ込むことをなんとか理解してくれた。やり方は俺には判らなかったのでお任せにしてある。
二階の食堂にみんなを集めて、朝食を取りながら偵察の報告と今夜の予定を伝える。パンとサンドイッチ、ペットボトル飲料をテーブルの上に並べながら説明した。
「奴らは既に100人ぐらい集まってるけど、今日も大勢集まるらしい。おそらく今晩ここを襲うつもりだと思う」
「この間のように待ち伏せをするのか?」
ミーシャは相手の人数を聞いても反応を示さなかった。
「いや、今日は日暮れと同時にこちらから襲撃する。最初は俺とミーシャが撃っていくから、みんなは近寄ってくる奴が居ないか、見張ってくれるだけで良い」
「リンネには使えるやつを出しとくから。俺達が撃つ方向と反対側に逃げないように配置しておいてくれ」
「ああ、お安い御用だよ」
「サリナはどうすればいいの?」
「お前も俺達の近くを守っておいてくれ」
「わかった!」
ちびっ娘もやる気満々だが今回は大人しくしてもらおう。前回見逃してしまったゲイルの頭は生け捕りにする必要があるのだ。
「じゃあ、ハンスやショーイ達は眠いだろうから、夕方までは部屋でゆっくり休んでてよ」
「サトルは大丈夫なのか?お前もアジトの近くで一晩中起きていたんだろ?」
「あ、ああ、俺も後で少し昼寝するよ」
一人だけ安全なストレージで寝ていたといはショーイに言えなかった。
■ゲイルの町はずれ 黒い死人達のアジト
大工の腕は良かった。夕方までにはアルミ製のドアを玄関と勝手口のそれぞれに隙間なくはめ込んで、動かないように固定してくれた。アルミサッシの窓枠設置も追加で発注しておいた。
日暮れ前に、まずは見張りの男たちを片付けることにした。ハンスをおとりにして、後をつけてくるヤツを狭い路地まで誘い込んで、俺が後ろからテイザー銃で仕留めた。おとり役をサリナとミーシャも使い分けながら、同じ要領で無力化していく。4人とも後ろ手に手錠をかけたうえで両足も縛って近くの廃屋へ転がしておいた。
アジトの傍に来た時にはすっかり日が沈んで、林の中は真っ暗になっていた。遠くに見えるアジト前でたき火をしている赤い光が白い壁をゆらゆらと照らしている。今朝見た時よりも人も馬も増えているのは間違いない。外にいる数だけでも100は超えている。こっちは6人だが全く不安を感じない。むしろ、優しい俺は俺達を殺しに来る相手を可哀想だぐらいに思っていた。
「じゃあ、リンネ。こいつらを反対側に回り込ませて、ゆっくりとアジトの方に来るようにさせてくれ」
「あいよ」
今日も頑張るラプトルと氷獣の狼はリンネに触られると暗闇の中をアジトとは違う方向に静かに走り去っていった。
「俺はもう少し近づくから、ミーシャはもう少し右側に回り込んで撃って」
「わかった」
アジトまで300メートルぐらいの場所だったが、林の中は真っ暗でこちらの動きは見えないはずだ。俺もミーシャも暗視装置をつけているから、たき火の光が届かないところの方が良く見えていた。前方から大きな笑い声も聞えてきた。俺達を襲撃するのを楽しみにしているのかもしれない。200メートル地点まで進んで、ミーシャに無線で声を掛ける。
「ミーシャ、用意は良い?」
「いつでも大丈夫だ」
「良し、撃とう。俺は左から、ミーシャは右から」
「承知した」
無線からいつもの落ち着いた声が聞えてきて、静かな掃討作戦が始まった。アジト前にたむろしているやつへスコープの十字線を合わせて、狙撃銃のトリガーを引き始める。サプレッサーから空気が漏れる音が続き、空薬莢が飛んで行く、暗視装置の緑色の世界の中で男たちが倒れて行く。
-何だ!? -どうした!? -痛え!・・・
男たちの悲鳴と騒ぎが広がって行く。聞えてくる声を無視して動いているやつを見つけては次々とトリガーを引いて行く。3本目のマガジンを交換していると、アジトの中から何人か出てきたが、立て続けにミーシャが撃ち倒した。5分もしないうちに見えている範囲に立っているやつは見えなくなった。
「よし、じゃあ。アジトに乗り込もう。ミーシャは裏にまわって、窓から逃げるやつが居ないか見といて」
「承知した」
俺は後ろにサリナ達を引き連れて、アサルトライフルを構えながら、ゆっくりと林の中を進んで行く。立ち上がろうとしているやつへは銃弾を撃ちこむ。今日は手加減をするつもりが一切無い。
アジトの中には大勢が居るはずだが、玄関で倒された奴を見たのだろう。誰も外には出て来なくなっている。玄関の扉は倒れた男が挟まって半開きになっていた。いつものようにスタングレネード(閃光音響弾)から使うことにした。玄関脇に背中をつけて、ピンを抜いて開いている扉の中に二本投げ込んだ。
「おい、これは?」
扉の中の声を聴いて耳を塞いでしゃがみ込むと爆音が扉の隙間から聞えてきた。アサルトライフルを構えて扉の中に突入する。廊下にうずくまる5人の男が居たので、銃弾を叩きこむ。廊下からは左右と正面に閉まっているドアがあったので、左側のドアを開けてスタングレネードを投げ込んだ。爆音と悲鳴を聞いて中に入ると元は厨房と食堂だったようだ。10人ほどの男たちがうずくまっていたのでアサルトライフルで撃ち倒していく。マガジンを交換して、廊下の反対にある部屋でも同じ手順で制圧した。廊下の突き当りにもう一つドアがあるが、手前には二階へ上がる階段があった。
「ショーイ、ハンス、2階から誰も降りてこないように見張っといて!」
「わかった、任せておけ」
ショーイは既に炎の剣に火を灯し、ハンスも槍を右手に持っていた。間取り的には奥の部屋が一番広そうな気がしていた。扉に近づくと、中の声が聞えてきた。
-さっさと行かねえか!
扉のすぐ向こうにいるようだったので、ドア越しにアサルトライフルで連射した。サプレッサーから出る空気音と飛び散る薬きょうの合間に部屋の中から悲鳴が聞えてくる。この部屋にも穴だらけの扉を開けてスタングレネードを使った。爆発音の後にサブマシンガンを構えて部屋へ入ると、扉の周りには血だらけの男たちが5・6人倒れている。広い居間の壁際には方向感覚を失って耳を押さえている奴らが並んでいたので、サブマシンガンで薙ぎ払いながら倒していった。
-ガァッ! -ギャッ! -グゥッ!
男たちは様々な悲鳴を上げながら床に倒れて行った。
俺のお目当ての男が大きなソファから立ち上がろうとしているのを見つけた。よろめきながら床に手を着いている。サブマシンガンで手と足の両方へ短く連射する。
「グゥァッ!」
男は短い悲鳴を上げて顔から床に倒れ込んだ。居間の制圧が終わったので、廊下に戻ってショーイ達の様子を見た。ショーイは階段の下から上に居るやつを睨んでいたが、部屋から廊下に出てきた俺を見てニヤリと笑った。
「二階の奴らは俺に任せてくれよ」
「まだ、大勢いるけど大丈夫か?」
「問題ない。この刀の試し切りには不足だが、慣れるにはちょうどいいだろう」
「じゃあ、どうぞ」
階段を駆け上るショーイを見送って、もう一度部屋の中に戻る。ゲイルの頭は床の上でもがいていた。
「この間言ったよな? もう二度と俺達に手を出すなって」
「ち、畜生、さっさと殺せ!」
「いや、殺さないよ。死ぬよりつらい思いをしてもらうから」
俺はうつ伏せになっている男の両肩をハンドガンで撃ちぬいた。
「ガァーーー!」
男の絶叫が部屋の中に響いた。
「サリナ、足を治療してやってくれ」
「うん、わかった」
ちびっ娘は残虐な光景も気にならないようで、ニコニコしながら男の足に手を向けた。
「ヒール!」
膝のあたりから大量に出ていた血が止まったようだ。
「よし、お前に聞きたいことがある。黒い死人達の首領にはどうやったら会えるんだ?」
「・・・」
今度は左足の裏を銃で撃ちぬいた。
「クッゥーー!」
痛みを押し殺す苦鳴が口から洩れたが出血は大したことが無いようだ。まだ、話す気にならないようなので、映画で勉強した拷問をやってみることにした。重たい大男を仰向けにして、口の上に広げたタオルを置いた。両肩を撃ちぬかれた男はてが全く動かなくなっている。タオルの上から口の中にペットボトルで水を・・・。
「グボゥ、ガフゥッ!」
この拷問は濡れタオルに鼻と口をふさがれて空気を求めて呼吸をすると、流し込まれる水が器官に入って胸が焼けるようになる・・・らしい。やるのは初めてだったが、大男はのたうちまわるほど苦しがっているから、効果があるのは間違いない。
1リットルほど水をかけて、タオルを取ってやった。
「話す気になったか?」
「・・・」
同じことをして欲しいようだったので、今度は2リットルが空になるまで水を口の中に注ぎ込んだ。必死で顔を振ってタオルを外そうとするので動かないように額を足で抑える。
「ブガゥ、グフゥッ! ゲホッ!」
「話す気になったか?」
「は、話す! だからもうやめてくれ!」
「そうか、それで首領にはどうやったら会えるんだ?」
「それは・・・」
前日の偵察でストレージから出るときは危なかった。日の出前にアラームで目を覚ますと周りには黒い死人達がたくさん野宿していた。夜中のうちに到着したやつらが、アジトの中には入り切れなかったようだ。黒い目だし帽をかぶり暗闇に紛れてストレージから出てショーイと一緒に宿まで戻って来た。
宿の方は変わりが無かったが、通りの角で見張っているやつが居るのに気が付いた。黒い死人達も俺達の居場所を把握しているのだろうが、そのままにしておいた。昼間に襲ってくることは無いだろう。
俺が戻るとすぐに組合から紹介された大工が来てくれた。やってほしいことを伝えるのに時間が掛かったが、今の扉の枠を大きくして、俺が用意したアルミ製のドアをはめ込むことをなんとか理解してくれた。やり方は俺には判らなかったのでお任せにしてある。
二階の食堂にみんなを集めて、朝食を取りながら偵察の報告と今夜の予定を伝える。パンとサンドイッチ、ペットボトル飲料をテーブルの上に並べながら説明した。
「奴らは既に100人ぐらい集まってるけど、今日も大勢集まるらしい。おそらく今晩ここを襲うつもりだと思う」
「この間のように待ち伏せをするのか?」
ミーシャは相手の人数を聞いても反応を示さなかった。
「いや、今日は日暮れと同時にこちらから襲撃する。最初は俺とミーシャが撃っていくから、みんなは近寄ってくる奴が居ないか、見張ってくれるだけで良い」
「リンネには使えるやつを出しとくから。俺達が撃つ方向と反対側に逃げないように配置しておいてくれ」
「ああ、お安い御用だよ」
「サリナはどうすればいいの?」
「お前も俺達の近くを守っておいてくれ」
「わかった!」
ちびっ娘もやる気満々だが今回は大人しくしてもらおう。前回見逃してしまったゲイルの頭は生け捕りにする必要があるのだ。
「じゃあ、ハンスやショーイ達は眠いだろうから、夕方までは部屋でゆっくり休んでてよ」
「サトルは大丈夫なのか?お前もアジトの近くで一晩中起きていたんだろ?」
「あ、ああ、俺も後で少し昼寝するよ」
一人だけ安全なストレージで寝ていたといはショーイに言えなかった。
■ゲイルの町はずれ 黒い死人達のアジト
大工の腕は良かった。夕方までにはアルミ製のドアを玄関と勝手口のそれぞれに隙間なくはめ込んで、動かないように固定してくれた。アルミサッシの窓枠設置も追加で発注しておいた。
日暮れ前に、まずは見張りの男たちを片付けることにした。ハンスをおとりにして、後をつけてくるヤツを狭い路地まで誘い込んで、俺が後ろからテイザー銃で仕留めた。おとり役をサリナとミーシャも使い分けながら、同じ要領で無力化していく。4人とも後ろ手に手錠をかけたうえで両足も縛って近くの廃屋へ転がしておいた。
アジトの傍に来た時にはすっかり日が沈んで、林の中は真っ暗になっていた。遠くに見えるアジト前でたき火をしている赤い光が白い壁をゆらゆらと照らしている。今朝見た時よりも人も馬も増えているのは間違いない。外にいる数だけでも100は超えている。こっちは6人だが全く不安を感じない。むしろ、優しい俺は俺達を殺しに来る相手を可哀想だぐらいに思っていた。
「じゃあ、リンネ。こいつらを反対側に回り込ませて、ゆっくりとアジトの方に来るようにさせてくれ」
「あいよ」
今日も頑張るラプトルと氷獣の狼はリンネに触られると暗闇の中をアジトとは違う方向に静かに走り去っていった。
「俺はもう少し近づくから、ミーシャはもう少し右側に回り込んで撃って」
「わかった」
アジトまで300メートルぐらいの場所だったが、林の中は真っ暗でこちらの動きは見えないはずだ。俺もミーシャも暗視装置をつけているから、たき火の光が届かないところの方が良く見えていた。前方から大きな笑い声も聞えてきた。俺達を襲撃するのを楽しみにしているのかもしれない。200メートル地点まで進んで、ミーシャに無線で声を掛ける。
「ミーシャ、用意は良い?」
「いつでも大丈夫だ」
「良し、撃とう。俺は左から、ミーシャは右から」
「承知した」
無線からいつもの落ち着いた声が聞えてきて、静かな掃討作戦が始まった。アジト前にたむろしているやつへスコープの十字線を合わせて、狙撃銃のトリガーを引き始める。サプレッサーから空気が漏れる音が続き、空薬莢が飛んで行く、暗視装置の緑色の世界の中で男たちが倒れて行く。
-何だ!? -どうした!? -痛え!・・・
男たちの悲鳴と騒ぎが広がって行く。聞えてくる声を無視して動いているやつを見つけては次々とトリガーを引いて行く。3本目のマガジンを交換していると、アジトの中から何人か出てきたが、立て続けにミーシャが撃ち倒した。5分もしないうちに見えている範囲に立っているやつは見えなくなった。
「よし、じゃあ。アジトに乗り込もう。ミーシャは裏にまわって、窓から逃げるやつが居ないか見といて」
「承知した」
俺は後ろにサリナ達を引き連れて、アサルトライフルを構えながら、ゆっくりと林の中を進んで行く。立ち上がろうとしているやつへは銃弾を撃ちこむ。今日は手加減をするつもりが一切無い。
アジトの中には大勢が居るはずだが、玄関で倒された奴を見たのだろう。誰も外には出て来なくなっている。玄関の扉は倒れた男が挟まって半開きになっていた。いつものようにスタングレネード(閃光音響弾)から使うことにした。玄関脇に背中をつけて、ピンを抜いて開いている扉の中に二本投げ込んだ。
「おい、これは?」
扉の中の声を聴いて耳を塞いでしゃがみ込むと爆音が扉の隙間から聞えてきた。アサルトライフルを構えて扉の中に突入する。廊下にうずくまる5人の男が居たので、銃弾を叩きこむ。廊下からは左右と正面に閉まっているドアがあったので、左側のドアを開けてスタングレネードを投げ込んだ。爆音と悲鳴を聞いて中に入ると元は厨房と食堂だったようだ。10人ほどの男たちがうずくまっていたのでアサルトライフルで撃ち倒していく。マガジンを交換して、廊下の反対にある部屋でも同じ手順で制圧した。廊下の突き当りにもう一つドアがあるが、手前には二階へ上がる階段があった。
「ショーイ、ハンス、2階から誰も降りてこないように見張っといて!」
「わかった、任せておけ」
ショーイは既に炎の剣に火を灯し、ハンスも槍を右手に持っていた。間取り的には奥の部屋が一番広そうな気がしていた。扉に近づくと、中の声が聞えてきた。
-さっさと行かねえか!
扉のすぐ向こうにいるようだったので、ドア越しにアサルトライフルで連射した。サプレッサーから出る空気音と飛び散る薬きょうの合間に部屋の中から悲鳴が聞えてくる。この部屋にも穴だらけの扉を開けてスタングレネードを使った。爆発音の後にサブマシンガンを構えて部屋へ入ると、扉の周りには血だらけの男たちが5・6人倒れている。広い居間の壁際には方向感覚を失って耳を押さえている奴らが並んでいたので、サブマシンガンで薙ぎ払いながら倒していった。
-ガァッ! -ギャッ! -グゥッ!
男たちは様々な悲鳴を上げながら床に倒れて行った。
俺のお目当ての男が大きなソファから立ち上がろうとしているのを見つけた。よろめきながら床に手を着いている。サブマシンガンで手と足の両方へ短く連射する。
「グゥァッ!」
男は短い悲鳴を上げて顔から床に倒れ込んだ。居間の制圧が終わったので、廊下に戻ってショーイ達の様子を見た。ショーイは階段の下から上に居るやつを睨んでいたが、部屋から廊下に出てきた俺を見てニヤリと笑った。
「二階の奴らは俺に任せてくれよ」
「まだ、大勢いるけど大丈夫か?」
「問題ない。この刀の試し切りには不足だが、慣れるにはちょうどいいだろう」
「じゃあ、どうぞ」
階段を駆け上るショーイを見送って、もう一度部屋の中に戻る。ゲイルの頭は床の上でもがいていた。
「この間言ったよな? もう二度と俺達に手を出すなって」
「ち、畜生、さっさと殺せ!」
「いや、殺さないよ。死ぬよりつらい思いをしてもらうから」
俺はうつ伏せになっている男の両肩をハンドガンで撃ちぬいた。
「ガァーーー!」
男の絶叫が部屋の中に響いた。
「サリナ、足を治療してやってくれ」
「うん、わかった」
ちびっ娘は残虐な光景も気にならないようで、ニコニコしながら男の足に手を向けた。
「ヒール!」
膝のあたりから大量に出ていた血が止まったようだ。
「よし、お前に聞きたいことがある。黒い死人達の首領にはどうやったら会えるんだ?」
「・・・」
今度は左足の裏を銃で撃ちぬいた。
「クッゥーー!」
痛みを押し殺す苦鳴が口から洩れたが出血は大したことが無いようだ。まだ、話す気にならないようなので、映画で勉強した拷問をやってみることにした。重たい大男を仰向けにして、口の上に広げたタオルを置いた。両肩を撃ちぬかれた男はてが全く動かなくなっている。タオルの上から口の中にペットボトルで水を・・・。
「グボゥ、ガフゥッ!」
この拷問は濡れタオルに鼻と口をふさがれて空気を求めて呼吸をすると、流し込まれる水が器官に入って胸が焼けるようになる・・・らしい。やるのは初めてだったが、大男はのたうちまわるほど苦しがっているから、効果があるのは間違いない。
1リットルほど水をかけて、タオルを取ってやった。
「話す気になったか?」
「・・・」
同じことをして欲しいようだったので、今度は2リットルが空になるまで水を口の中に注ぎ込んだ。必死で顔を振ってタオルを外そうとするので動かないように額を足で抑える。
「ブガゥ、グフゥッ! ゲホッ!」
「話す気になったか?」
「は、話す! だからもうやめてくれ!」
「そうか、それで首領にはどうやったら会えるんだ?」
「それは・・・」
0
お気に入りに追加
909
あなたにおすすめの小説

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。

異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

お願いだから俺に構わないで下さい
大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。
17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。
高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。
本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。
折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。
それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。
これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。
有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる