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Ⅰ-21 バーンのギルド
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■バーンの町
シグマからバーンの間は馬車の中に乗ってきた。
残念ながら狩りの成果は無い。
銃を持ち替えるのが面倒だったので、ショットガンとサブマシンガンで追い払うだけにしたからだ。
散弾を浴びると流石に逃げて行ってくれるが、虎相手では致命傷になら無いようだ。
サブマシンガンの4.6mm弾も頭部に当たれば倒せるがクリーンヒットは難しい。
それでもバンバン撃てたので個人的には満足した。
馬車の中にいたランディとサリナにもイヤーマフを付けさせたが、音、匂い、飛び散る薬きょうで俺が銃を使い出すと二人とも硬直していた。
それでも、サリナは懸命に床に散らばる薬きょうを拾い集めてザックに入れてくれた。
そして今、目の前にバーンの町が見えている。
バーンは見るからにデカイ町だった。
今までの町の10倍、いや20倍ぐらいあるかもしれない。
この町にも3階建て相当の城壁があり堀で囲まれている。
つり橋の外側に兵士小屋があって、そこで入市税等を徴収しているようだ。
ここの兵士も全員獣人だが、エドウィンで見た獣人と種類もサイズも違う。
身長は2メートルを超えている。
種類はバラバラだ、モフモフ系じゃないのもいる。
爬虫類系? トカゲ系? 毛が無くてうろこで顔が覆われて、口が尖っている。
モフモフ系も猿っぽいのじゃなくて、狼? 犬? に近い顔立ちが多い。
これは確かに普通の人間が戦士になっても勝てないだろう。
リッグスの魔法剣みたいな武術を覚えないと素手で殺されそうだ。
極力近づかないようにしたい。
馬車に乗ったまま町へ入った俺達はそのまま町役場の前まで進んだ。
馬車から降りた俺達を、正確にはランディを大勢のオッサン達が取り囲み役場の中へ連れて行った。
ランディは俺に礼を言っていたようだが、俺は軽く頷くだけで別れた。
「助かったぜ、しかしお前の・・・魔法道具? すごいな! 離れた相手を倒せるなら凄い魔法だぞ!」
「そうですね、ですけど出来るだけ内緒にして置いてください」
「そうなのか? 判った。命の恩人のいう事だから約束しよう。それで、お前達はこれからどうするんだ?」
「とりあえずギルドに行って、情報を集めるつもりです。ランディさんはどうするんですか?」
「俺もギルドに行くつもりだ、一緒に行くか?」
「ええ、お願いします」
一緒に行けば何かと教えてもらえることがあるだろう。
俺は護衛料として金貨5枚をリッグスから受け取ってギルドへ向かった。
■バーンのギルド
想像通りギルドの建物もでかかった、隣にある教会もでかかったが、ギルドは中に入ると途中の柱で向こうの壁が見えない大きさのホールになっている。
両側の壁にカウンターがあって食事が出されていて、巨大ショッピングモールのフードコートのようだ。
しかし、ここには役所のようなカウンターが無い・・・
1階のホールで他にも気づいたことがあった。
集団が色分けされている。
集まっている奴らが3つの色に分かれているのだ、赤、白、緑。
いずれかの色が着いたバンダナのような物を頭や肩、首に巻いている。
これがチーム制なのだろう。
そして色に応じて獣人の種類が固まっているようだ。
いわゆる普通の人はここでは少数派のようだ、各チームにパラパラいるが比率では1割ぐらいだ。
俺はいやな予感がした。
この手のチーム制なら縄張り争いや諍いがあるだろう。
巻き込まれたくない、そのためには目立たないようにしなければ。
「上の階に行けば、倒した魔獣の懸賞金がもらえるぜ、それとこの辺りの仕事や求人も張ってあるから見に行くといい。おれは、知り合いがいるはずだからちょっと探してくる。また機会があったら助けてくれ、助かったぜ。又な」
「こちらこそ、又よろしくお願いします」
まずは情報収集からだ。
サリナを連れて二階に上がった。
二階に役所のようなカウンターはあったが、他の町と違って衝立があるセパレートな受付になっている。
お姉さんが何人か座っているが木の格子の向こう側に顔がある。
行った事は無いが刑務所の面会室みたいな感じ?
一番タイプのほっそりした美人を目指して声を掛けた。
「換金と教えて欲しいことがいくつかあるんですけど、良いですか」
「どうぞ、お座りください」
美人はそっけなかった。
「まずは、これを・・・」
既に橙色に変った組合員証をお姉さんに見せた。
「これは・・・お一人でこれだけを?」
ちょっと驚いている。
「いえ、仲間もいますよ」
「ですが、パーティー登録をされていませんよね?」
-パーティー登録? ここに来て初めて聞くな。
「・・・、ええ登録はまだです。何か問題が?」
「問題? いえ・・問題では無いですが懸賞を分配する時にトラブルになるのではと」
-???
「えーっと、具体的にはどうすればパーティー登録できるんでしたっけ?」
「ひょっとして初心者の?・・・、でもこの数は・・・」
お姉さんは実績と俺の知識にギャップがありすぎて、処理が追いついていない。
どうやらパーティー登録というのも基本知識のようだ。
「では、最初からご説明します。パーティーはリーダーがギルドにメンバー名と懸賞の配分を登録します。そうすると懸賞はあらかじめ決められた通りの受け取りになりますので、後で懸賞金をめぐる争いがおこらないようになります」
「誰でもリーダーになれるのですか?」
「パーティーに所属して居ない人だったら、どなたでもリーダーになれます。それから、このギルドではパーティー単位で登録できる『旅団』というのもあります。旅団に登録すると会費が必要になっていきますが、旅団単位で獲得した懸賞の配分も事前に決められた通りに支払われます」
「旅団の会費って幾らぐらいなんですか?」
「それは旅団独自に決めることができるので、旅団と人によっても違うようですがギルドは直接関与していません」
「その旅団って言うのは、やっぱり3つですか?」
「はい、1階で色分けをご覧になったのですね。現在ある旅団は『赤の獣爪団』、「白の刃牙団」そして、『緑の堅鱗団』です」
「なんで、バーンにはこんな旅団があるんですか?」
「それは・・・、出来るだけ諍いを減らそうとギルドマスターが縄張りを整理されたからです。以前も獣人ごとの集まりはありましたが、無秩序に魔獣退治を行っていたので揉め事が絶えませんでした。マスターは三つのチームにエリアを与える代わりに旅団ごとに統制を取るように交渉されたのです」
-暴力団の抗争を縄張りで整理した? ヤクザ映画の世界か?
-新入りが狩りをするためには・・・
「じゃあ、ここで魔獣討伐をするにはどこかの旅団に入らないと駄目なんでしょうか?」
「駄目と言うわけではありませんが、旅団以外が入って良い場所はこの町の周りと、誰も行かない未開地のいずれかですから」
「未開地? それはどこなんでしょうか?」
「・・・駄目ですよ! 旅団単位で行ってもたどり着けないぐらいの魔獣が出てきますから!旅団に入って居ない人が行けば絶対生きて帰ってこれません!」
-意外と心配してくれているのか。
「いえいえ、間違って行かないようにしないといけないでしょ」
「それはそうですねぇ。この辺りの地図はお持ちでは無いのですか?」
「持ってないです、どこで買えるのでしょうか?」
「ギルドでテリトリーを示した地図を売っています。それと魔獣の解説書もお持ちでは無いのですか?」
「ええ、どちらも持っていません。両方売って下さい」
「よくそれで、ここまで・・・。地図は銀貨5枚で、魔獣解説書は金貨1枚とどちらも高額ですけどよろしいですか?」
「ええ、お願いします」
-既に金貨40枚近くを持っているから何の問題も無い。
-日本円なら、金貨1枚が10万円、銀貨が1万円ぐらいだろう。
俺は美人のお姉さんから地図と魔獣解説書をゲットした。
地図は丈夫な紙で新聞紙を開いたぐらいの大きさだ、魔獣解説書は同じ丈夫な紙が5cmぐらい重ねられたものが紐で縛ってあるだけだった。
持ち歩くのは不自由だからどちらも写真で取り込んでスマホかタブレットで見るようにしよう。
それよりも問題は旅団だ。
入る必要があるのか?
損得を良く考えなければ・・・
シグマからバーンの間は馬車の中に乗ってきた。
残念ながら狩りの成果は無い。
銃を持ち替えるのが面倒だったので、ショットガンとサブマシンガンで追い払うだけにしたからだ。
散弾を浴びると流石に逃げて行ってくれるが、虎相手では致命傷になら無いようだ。
サブマシンガンの4.6mm弾も頭部に当たれば倒せるがクリーンヒットは難しい。
それでもバンバン撃てたので個人的には満足した。
馬車の中にいたランディとサリナにもイヤーマフを付けさせたが、音、匂い、飛び散る薬きょうで俺が銃を使い出すと二人とも硬直していた。
それでも、サリナは懸命に床に散らばる薬きょうを拾い集めてザックに入れてくれた。
そして今、目の前にバーンの町が見えている。
バーンは見るからにデカイ町だった。
今までの町の10倍、いや20倍ぐらいあるかもしれない。
この町にも3階建て相当の城壁があり堀で囲まれている。
つり橋の外側に兵士小屋があって、そこで入市税等を徴収しているようだ。
ここの兵士も全員獣人だが、エドウィンで見た獣人と種類もサイズも違う。
身長は2メートルを超えている。
種類はバラバラだ、モフモフ系じゃないのもいる。
爬虫類系? トカゲ系? 毛が無くてうろこで顔が覆われて、口が尖っている。
モフモフ系も猿っぽいのじゃなくて、狼? 犬? に近い顔立ちが多い。
これは確かに普通の人間が戦士になっても勝てないだろう。
リッグスの魔法剣みたいな武術を覚えないと素手で殺されそうだ。
極力近づかないようにしたい。
馬車に乗ったまま町へ入った俺達はそのまま町役場の前まで進んだ。
馬車から降りた俺達を、正確にはランディを大勢のオッサン達が取り囲み役場の中へ連れて行った。
ランディは俺に礼を言っていたようだが、俺は軽く頷くだけで別れた。
「助かったぜ、しかしお前の・・・魔法道具? すごいな! 離れた相手を倒せるなら凄い魔法だぞ!」
「そうですね、ですけど出来るだけ内緒にして置いてください」
「そうなのか? 判った。命の恩人のいう事だから約束しよう。それで、お前達はこれからどうするんだ?」
「とりあえずギルドに行って、情報を集めるつもりです。ランディさんはどうするんですか?」
「俺もギルドに行くつもりだ、一緒に行くか?」
「ええ、お願いします」
一緒に行けば何かと教えてもらえることがあるだろう。
俺は護衛料として金貨5枚をリッグスから受け取ってギルドへ向かった。
■バーンのギルド
想像通りギルドの建物もでかかった、隣にある教会もでかかったが、ギルドは中に入ると途中の柱で向こうの壁が見えない大きさのホールになっている。
両側の壁にカウンターがあって食事が出されていて、巨大ショッピングモールのフードコートのようだ。
しかし、ここには役所のようなカウンターが無い・・・
1階のホールで他にも気づいたことがあった。
集団が色分けされている。
集まっている奴らが3つの色に分かれているのだ、赤、白、緑。
いずれかの色が着いたバンダナのような物を頭や肩、首に巻いている。
これがチーム制なのだろう。
そして色に応じて獣人の種類が固まっているようだ。
いわゆる普通の人はここでは少数派のようだ、各チームにパラパラいるが比率では1割ぐらいだ。
俺はいやな予感がした。
この手のチーム制なら縄張り争いや諍いがあるだろう。
巻き込まれたくない、そのためには目立たないようにしなければ。
「上の階に行けば、倒した魔獣の懸賞金がもらえるぜ、それとこの辺りの仕事や求人も張ってあるから見に行くといい。おれは、知り合いがいるはずだからちょっと探してくる。また機会があったら助けてくれ、助かったぜ。又な」
「こちらこそ、又よろしくお願いします」
まずは情報収集からだ。
サリナを連れて二階に上がった。
二階に役所のようなカウンターはあったが、他の町と違って衝立があるセパレートな受付になっている。
お姉さんが何人か座っているが木の格子の向こう側に顔がある。
行った事は無いが刑務所の面会室みたいな感じ?
一番タイプのほっそりした美人を目指して声を掛けた。
「換金と教えて欲しいことがいくつかあるんですけど、良いですか」
「どうぞ、お座りください」
美人はそっけなかった。
「まずは、これを・・・」
既に橙色に変った組合員証をお姉さんに見せた。
「これは・・・お一人でこれだけを?」
ちょっと驚いている。
「いえ、仲間もいますよ」
「ですが、パーティー登録をされていませんよね?」
-パーティー登録? ここに来て初めて聞くな。
「・・・、ええ登録はまだです。何か問題が?」
「問題? いえ・・問題では無いですが懸賞を分配する時にトラブルになるのではと」
-???
「えーっと、具体的にはどうすればパーティー登録できるんでしたっけ?」
「ひょっとして初心者の?・・・、でもこの数は・・・」
お姉さんは実績と俺の知識にギャップがありすぎて、処理が追いついていない。
どうやらパーティー登録というのも基本知識のようだ。
「では、最初からご説明します。パーティーはリーダーがギルドにメンバー名と懸賞の配分を登録します。そうすると懸賞はあらかじめ決められた通りの受け取りになりますので、後で懸賞金をめぐる争いがおこらないようになります」
「誰でもリーダーになれるのですか?」
「パーティーに所属して居ない人だったら、どなたでもリーダーになれます。それから、このギルドではパーティー単位で登録できる『旅団』というのもあります。旅団に登録すると会費が必要になっていきますが、旅団単位で獲得した懸賞の配分も事前に決められた通りに支払われます」
「旅団の会費って幾らぐらいなんですか?」
「それは旅団独自に決めることができるので、旅団と人によっても違うようですがギルドは直接関与していません」
「その旅団って言うのは、やっぱり3つですか?」
「はい、1階で色分けをご覧になったのですね。現在ある旅団は『赤の獣爪団』、「白の刃牙団」そして、『緑の堅鱗団』です」
「なんで、バーンにはこんな旅団があるんですか?」
「それは・・・、出来るだけ諍いを減らそうとギルドマスターが縄張りを整理されたからです。以前も獣人ごとの集まりはありましたが、無秩序に魔獣退治を行っていたので揉め事が絶えませんでした。マスターは三つのチームにエリアを与える代わりに旅団ごとに統制を取るように交渉されたのです」
-暴力団の抗争を縄張りで整理した? ヤクザ映画の世界か?
-新入りが狩りをするためには・・・
「じゃあ、ここで魔獣討伐をするにはどこかの旅団に入らないと駄目なんでしょうか?」
「駄目と言うわけではありませんが、旅団以外が入って良い場所はこの町の周りと、誰も行かない未開地のいずれかですから」
「未開地? それはどこなんでしょうか?」
「・・・駄目ですよ! 旅団単位で行ってもたどり着けないぐらいの魔獣が出てきますから!旅団に入って居ない人が行けば絶対生きて帰ってこれません!」
-意外と心配してくれているのか。
「いえいえ、間違って行かないようにしないといけないでしょ」
「それはそうですねぇ。この辺りの地図はお持ちでは無いのですか?」
「持ってないです、どこで買えるのでしょうか?」
「ギルドでテリトリーを示した地図を売っています。それと魔獣の解説書もお持ちでは無いのですか?」
「ええ、どちらも持っていません。両方売って下さい」
「よくそれで、ここまで・・・。地図は銀貨5枚で、魔獣解説書は金貨1枚とどちらも高額ですけどよろしいですか?」
「ええ、お願いします」
-既に金貨40枚近くを持っているから何の問題も無い。
-日本円なら、金貨1枚が10万円、銀貨が1万円ぐらいだろう。
俺は美人のお姉さんから地図と魔獣解説書をゲットした。
地図は丈夫な紙で新聞紙を開いたぐらいの大きさだ、魔獣解説書は同じ丈夫な紙が5cmぐらい重ねられたものが紐で縛ってあるだけだった。
持ち歩くのは不自由だからどちらも写真で取り込んでスマホかタブレットで見るようにしよう。
それよりも問題は旅団だ。
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