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Ⅰ-19 魔法剣と炎の魔法
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■レイジーの町
結局、昨晩はサリナの隣のベッドに一人で寝ることにした。
腕枕を抜いてもサリナは目が覚めなかったし、横に人がいると俺自身が寝付けなかったからだ。
目が覚めたのも俺の方が早かった。
ひょっとするとサリナは一昨日の夜はあまり寝ていなかったのかもしれない。
今更だがサリナは寂しいのだろうと思うようになって来た。
事情はわからないが、サリナは両親とも兄とも離れて一人ぼっちなのだ。
15歳の少女・・・一人・・・少し可哀そうな気がするな。
そんな事を考えながら朝飯と今日の用意をすることにした。
リッグスに同行する時はストレージから物を出すのは避けたいので、あらかじめ装備品を出しておく。
サブマシンガンとハンドガンはホルスターで装備するがアサルトライフルとショットガンは麻の生地を取り出して筒のように巻いておくことにした。
ショットガンはレミントンのポンプアクション式をチョイスしてある。
それと大き目の登山用ザックを用意して銃のマガジンやタブレットを入れておく。
ザックは物を持ち歩くのが目的では無い、この中からストレージの物を取り出してカモフラージュするためのカバーだ。
太陽が昇ったので、サリナを起こす。
「フワァーイ・・・」
ベッドから起き上がった寝ぼけた顔を見て気が付いた。
こいつに歯磨きも教えないと・・・チューもできない。
菓子パンとカフェオレで朝食を済ませてから歯磨きの用意をした。
最初に歯磨きの手本を見せた。一通り磨いた後にうがいをして水をバケツに吐き出す。
歯磨き粉を乗せた歯ブラシを渡したが、手本では口の中で歯ブラシの使い方が判らないようだ。
仕方が無いので、椅子に座らせてから俺が口の中に突っ込んで磨いてやった。
「ウュー! アィー!」
何か変な声を出しているが、だらだら垂れる唾液をタオルで受けながら磨ききった。
ペットボトルの水を渡して、飲まずにバケツへ吐き出すように指導する。
-初めての歯磨きだ! って、おれは父親か!
ついでに洗面器に水も入れて顔を洗わせる。
よし、満足した。そろそろ出かけよう。
この世界では日の出と共に生活が始まる。
ギルドの前では既にリッグスが待っていた。
「おはようございます、お待たせしました」
「いや、構わんよ。教会の裏に修練場があるからそこに行こう」
-修練場?
リッグスの言う修練場は教会裏の空き地だった。
テニスコート2面ぐらいの広さがある。
「じゃあ、炎の魔法剣をやるから、そこで見とけよ」
リッグスは腰の両手剣を鞘から抜いて右上段に構えた。
一瞬呼吸を止めて気合を入れた瞬間に剣先に炎が灯った!
「ハァッ!!」
気合とともに上から斜め下に切り込んだが、横から見ていると炎で剣先が1mぐらい伸びたように見える!!
そのまま、回転して2撃目3撃目を放つが、炎をまとった剣は実際の剣先より大きな弧を描いている。
-スゲェ。カッケェ。
銃マニアの俺でも少しあこがれる剣捌きだった。
「凄いですね! 剣先が伸びるんですか?」
「ああ、実際には刃が無いところまで届くし、剣の刃よりも切れ味は鋭くなっているはずだ」
そいつは厄介だ、戦う時は間合いを遠めに取る必要があると言うことか。
「リッグスさんは魔法も使えるってことですよね?」
「ああ、火を出すだけなら出来るよ」
「魔法も見せてもらっていいですか?」
「いいよ、そんな物でよければ」
リッグスは無造作に右手を伸ばして、少し目を細めた。
-ブォッ-
「!」
リッグスの右手の上に、30cmぐらいの炎が立ち上がった!
-魔法だ!魔法だ!
-やっぱり凄いじゃん魔法!
心の中で叫びまくったが、平静を装う。
「ありがとうございます、リッグスさんは魔法をどこで習ったんですか?」
「俺は若いころ一緒にいた魔法士からだな」
「どうやったら魔法が使えるようになったんですか?」
「それは・・・、一生懸命に神様に祈るしか無いだろ?」
「?」
-なんじゃそりゃ? そんなんで魔法が使えるのか?
「魔法の本とか、呪文とか、魔法学校とか、そう言うのは無いんですか?」
「本?・・じゅ、呪文? 何だそりゃ? 魔法は神様への祈りの強さで決まるもんだぜ?」
「神様ってアシーネ様っていう神でしたっけ?」
「それは、光の神様だろ。炎を出したければ火の神グレン様に祈らなきゃ」
相変らず『?』だな。
呪文や魔道書がないと、むしろどうやって魔法を使っているのかがイメージできない。
引き続きの宿題としておこう。
「それで、バーンまでは一緒に行ってくれるのか?」
「ええ、色々教えていただいたので、ですけど馬車に乗せてもらうのが条件です」
「自分達の馬があるんじゃなかったか?」
「ありますけど、魔法の馬車ですから皆さんと一緒には行けないんですよ」
「・・・やっぱりそうか。お前達が呼んだ救援が来たのが早すぎたんだよ。1時間以上は早く来てくれたからな。おかしいと思っていたのさ、だけど馬車の件はいいだろう。そっちのお嬢ちゃんと一緒に馬車に乗ればいいさ」
ばれていたか、だが大勢には影響ないし良しとしよう。
それよりも今日一日が馬車なら退屈だろうな。
馬車の中でトランプでもするか?
結局、昨晩はサリナの隣のベッドに一人で寝ることにした。
腕枕を抜いてもサリナは目が覚めなかったし、横に人がいると俺自身が寝付けなかったからだ。
目が覚めたのも俺の方が早かった。
ひょっとするとサリナは一昨日の夜はあまり寝ていなかったのかもしれない。
今更だがサリナは寂しいのだろうと思うようになって来た。
事情はわからないが、サリナは両親とも兄とも離れて一人ぼっちなのだ。
15歳の少女・・・一人・・・少し可哀そうな気がするな。
そんな事を考えながら朝飯と今日の用意をすることにした。
リッグスに同行する時はストレージから物を出すのは避けたいので、あらかじめ装備品を出しておく。
サブマシンガンとハンドガンはホルスターで装備するがアサルトライフルとショットガンは麻の生地を取り出して筒のように巻いておくことにした。
ショットガンはレミントンのポンプアクション式をチョイスしてある。
それと大き目の登山用ザックを用意して銃のマガジンやタブレットを入れておく。
ザックは物を持ち歩くのが目的では無い、この中からストレージの物を取り出してカモフラージュするためのカバーだ。
太陽が昇ったので、サリナを起こす。
「フワァーイ・・・」
ベッドから起き上がった寝ぼけた顔を見て気が付いた。
こいつに歯磨きも教えないと・・・チューもできない。
菓子パンとカフェオレで朝食を済ませてから歯磨きの用意をした。
最初に歯磨きの手本を見せた。一通り磨いた後にうがいをして水をバケツに吐き出す。
歯磨き粉を乗せた歯ブラシを渡したが、手本では口の中で歯ブラシの使い方が判らないようだ。
仕方が無いので、椅子に座らせてから俺が口の中に突っ込んで磨いてやった。
「ウュー! アィー!」
何か変な声を出しているが、だらだら垂れる唾液をタオルで受けながら磨ききった。
ペットボトルの水を渡して、飲まずにバケツへ吐き出すように指導する。
-初めての歯磨きだ! って、おれは父親か!
ついでに洗面器に水も入れて顔を洗わせる。
よし、満足した。そろそろ出かけよう。
この世界では日の出と共に生活が始まる。
ギルドの前では既にリッグスが待っていた。
「おはようございます、お待たせしました」
「いや、構わんよ。教会の裏に修練場があるからそこに行こう」
-修練場?
リッグスの言う修練場は教会裏の空き地だった。
テニスコート2面ぐらいの広さがある。
「じゃあ、炎の魔法剣をやるから、そこで見とけよ」
リッグスは腰の両手剣を鞘から抜いて右上段に構えた。
一瞬呼吸を止めて気合を入れた瞬間に剣先に炎が灯った!
「ハァッ!!」
気合とともに上から斜め下に切り込んだが、横から見ていると炎で剣先が1mぐらい伸びたように見える!!
そのまま、回転して2撃目3撃目を放つが、炎をまとった剣は実際の剣先より大きな弧を描いている。
-スゲェ。カッケェ。
銃マニアの俺でも少しあこがれる剣捌きだった。
「凄いですね! 剣先が伸びるんですか?」
「ああ、実際には刃が無いところまで届くし、剣の刃よりも切れ味は鋭くなっているはずだ」
そいつは厄介だ、戦う時は間合いを遠めに取る必要があると言うことか。
「リッグスさんは魔法も使えるってことですよね?」
「ああ、火を出すだけなら出来るよ」
「魔法も見せてもらっていいですか?」
「いいよ、そんな物でよければ」
リッグスは無造作に右手を伸ばして、少し目を細めた。
-ブォッ-
「!」
リッグスの右手の上に、30cmぐらいの炎が立ち上がった!
-魔法だ!魔法だ!
-やっぱり凄いじゃん魔法!
心の中で叫びまくったが、平静を装う。
「ありがとうございます、リッグスさんは魔法をどこで習ったんですか?」
「俺は若いころ一緒にいた魔法士からだな」
「どうやったら魔法が使えるようになったんですか?」
「それは・・・、一生懸命に神様に祈るしか無いだろ?」
「?」
-なんじゃそりゃ? そんなんで魔法が使えるのか?
「魔法の本とか、呪文とか、魔法学校とか、そう言うのは無いんですか?」
「本?・・じゅ、呪文? 何だそりゃ? 魔法は神様への祈りの強さで決まるもんだぜ?」
「神様ってアシーネ様っていう神でしたっけ?」
「それは、光の神様だろ。炎を出したければ火の神グレン様に祈らなきゃ」
相変らず『?』だな。
呪文や魔道書がないと、むしろどうやって魔法を使っているのかがイメージできない。
引き続きの宿題としておこう。
「それで、バーンまでは一緒に行ってくれるのか?」
「ええ、色々教えていただいたので、ですけど馬車に乗せてもらうのが条件です」
「自分達の馬があるんじゃなかったか?」
「ありますけど、魔法の馬車ですから皆さんと一緒には行けないんですよ」
「・・・やっぱりそうか。お前達が呼んだ救援が来たのが早すぎたんだよ。1時間以上は早く来てくれたからな。おかしいと思っていたのさ、だけど馬車の件はいいだろう。そっちのお嬢ちゃんと一緒に馬車に乗ればいいさ」
ばれていたか、だが大勢には影響ないし良しとしよう。
それよりも今日一日が馬車なら退屈だろうな。
馬車の中でトランプでもするか?
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