クラスで人気の完璧美少女が殺意増し増しで怖い件。そしていつしかデレデレになる

ぽてさら

文字の大きさ
上 下
19 / 35

アレルギー① 男女で出掛けるのはデート?

しおりを挟む






「きっさらーぎさん、デートしーましょ♡」
「やだ」
「即答ですか!? こんな完璧美少女のお誘いを断るなんて暑さで頭っちゃってるんじゃないですか!?」


 土曜日の休日、小梅が部活に出かけた後に聖梨華からスマホに電話がかかってきたのでなんだろうと思って出ると『今からそちらに行きますので今すぐ着替えて下さい!』と一方的に言い放ってきた。
 突然の事で不思議に思うが、まぁ小梅も美雪も今日は部活だと言っていたのでテレビや小説を見ていようと思っていたところ。

 ひとまず彼女の言う通りにして準備を完了したらチャイムが鳴ったので玄関のドアを開けたら最初の第一声である。
 思わず即答してしまったのは反射的なので許して欲しい。


「まぁそれよりも、この格好を見て何か言うことがあるんじゃないですかぁ?」


 よよよ、と形だけ泣き崩れていた彼女だが、すぐさま立ち直るとその場でくるりと回転する。ふんわりと髪が揺れると軽く香水を吹きかけているのだろうか、仄かに甘い良い香りがこちらに届いた。

 彼女の服装を見る限り余所行きの為の格好をしていることが分かる。
 白いレース生地のオフショルダーに濃紺色のスカート、黒のパンプスを履いていて、肩には小さなバックが掛けられていた。
 豊満な胸が煽情的に強調されているのだけど、同時に彼女の清楚さを前面に引き出しているとても綺麗で可愛いファッションだ。

 僅かに上目遣いをしながらこちらを見ている彼女にドキッとするが、なんとか悟られない様に頬を搔きながら答えた。


「あーうん、水色の髪に映えてるし、すっごく可愛いと思うよ」
「………ふふっ、まぁ今回はそれで良しとしましょう!」


 彼女そう言ってはにかんだ笑みを浮かべていたが、僅かに頬が赤く染まっていた。なんとなく気まずい雰囲気が漂うも、一体何の用事なのか改めて聞くことにする。


「あ、あー………そういえばいきなり電話してきたけどどうしたの? どこかに出かけるの?」
「もう、さっきも言った通りデートですよデート! 私調べましたよ、男女で出かける事をデートって言うらしいですね! なんか隣町の駅前通りのお店でパンケーキやタピオカミルクティーが美味しいお店があるらしいので一緒に行きましょう!」


 確かにこの前テレビでパンケーキとタピオカの専門店としてインタビューされていたと思う。若い女性客ばかりを映していて、メニューの味は良く取り上げていなかったが、SNS上で見た目が『える』ということを中心的に取り上げられていた気がする。味が紹介されていなかったのは、美味しいのが当たり前だったからなのだろうか。

 この前美雪が話していたが、今爆発的に人気で、行列が出来ているほどらしい。彼女の言うデートと通常のデートとは少し違うだろうが、丁度家に居ても暇なので付き合っても良いだろう。


「わかった。じゃあ行こうか」
「はい、レッツゴー!」





 早速二人は電車に乗って移動し、隣町の駅に着いた。そこから階段を昇ったり下りたりした後に駅前すぐ近くにあるという店の周辺を見渡すと、なんだか人だかりが多く出来ている。隣に立っている聖梨華も気が付いたのか、声を上げた。


「ん、あそこってお店がある辺りじゃないですか? なんですかねぇ?」
「なんか声が聞こえたりしてピリピリしてるけどいったいどうしたんだろ」


 周囲に囲まれてよく見えないが、男性の怒号のようなものが聞こえた。周りを良く見ると、スマホのカメラを構えている人もいる。カシャカシャッという音を聞きつつ近くにいた男女カップルの内、男性へ声を掛けてみる。


「すみません、これって何の騒ぎなんですか?」
「え、あぁ………元々は行列が出来てたんだけど、マナーのなっていないチャラそうなカップルが割り込みをしてきたんだ。それを近くにいた人が注意したけど、相手は逆上して運悪く近くにあったスタンド看板を振り回して怪我をしてしまった人がでてね。ちょうど有名マッスル責任者が出てきたところさ」


 なんか面白そうな単語が出てきたが、その人に感謝を伝えると、人だかりから離れていた聖梨華へ先程の男性から聞いた内容を話した。彼女はさほど残念そうな様子も無く、少しだけ思案すると口を開いた。


「う~ん………こんな騒ぎですし、しばらく店の中に入れそうにありませんねぇ。違うお店に行きましょっか!」
「え、良いの? 聖梨華さんがどうしても行きたかったんじゃないの?」
「別に問題ナッシングですよ! まぁカップルメニューの『生クリームのせ抹茶っ茶♡パンケーキ』が食べられないのは遺憾ですが………この際、別のお店を開拓しましょー!!」


 元気よく拳を天に振りかざすや否や聖梨華はその人だかりとは別の方向へとずんずんと歩いて行った。その背中を目で追うと、暮人は溜息を吐きながらも追いかける。


 そうして二人が辿り着いた場所は―――、


「あ、あー、ここが良いんじゃないですか?」
「えーと、………『猫々にゃんにゃん喫茶きっさ』?」


 様々な猫のイラストがあって可愛らしいが、どういうコンセプトの店なのだろうかと考える。幼い頃からアレルギー持ちなので実際にリアル猫が居たらどうしようかと思うもの、ある事に気が付く。


(そういえば、頭がキーンとなっていないということは、危険じゃない………?)
「さ、如月さん! なんだか良い料理を出してくれるセンサーがビンビン来てますよっ! 早速中に行きましょー!」
「………っと!」





 そう聖梨華は言うと、彼女に手を引かれながら入店した。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

覚えたての催眠術で幼馴染(悔しいが美少女)の弱味を握ろうとしたら俺のことを好きだとカミングアウトされたのだが、この後どうしたらいい?

みずがめ
恋愛
覚えたての催眠術を幼馴染で試してみた。結果は大成功。催眠術にかかった幼馴染は俺の言うことをなんでも聞くようになった。 普段からわがままな幼馴染の従順な姿に、ある考えが思いつく。 「そうだ、弱味を聞き出そう」 弱点を知れば俺の前で好き勝手なことをされずに済む。催眠術の力で口を割らせようとしたのだが。 「あたしの好きな人は、マーくん……」 幼馴染がカミングアウトしたのは俺の名前だった。 よく見れば美少女となっていた幼馴染からの告白。俺は一体どうすればいいんだ?

僕(じゃない人)が幸せにします。

暇魷フミユキ
恋愛
【副題に☆が付いている話だけでだいたい分かります!】 ・第1章  彼、〈君島奏向〉の悩み。それはもし将来、恋人が、妻ができたとしても、彼女を不幸にすることだった。  そんな彼を想う二人。  席が隣でもありよく立ち寄る喫茶店のバイトでもある〈草壁美頼〉。  所属する部の部長でたまに一緒に帰る仲の〈西沖幸恵〉。  そして彼は幸せにする方法を考えつく―――― 「僕よりもっと相応しい人にその好意が向くようにしたいんだ」  本当にそんなこと上手くいくのか!?  それで本当に幸せなのか!?  そもそも幸せにするってなんだ!? ・第2章  草壁・西沖の二人にそれぞれの相応しいと考える人物を近付けるところまでは進んだ夏休み前。君島のもとにさらに二人の女子、〈深町冴羅〉と〈深町凛紗〉の双子姉妹が別々にやってくる。  その目的は―――― 「付き合ってほしいの!!」 「付き合ってほしいんです!!」  なぜこうなったのか!?  二人の本当の想いは!?  それを叶えるにはどうすれば良いのか!? ・第3章  文化祭に向け、君島と西沖は映像部として広報動画を撮影・編集することになっていた。  君島は西沖の劇への参加だけでも心配だったのだが……  深町と付き合おうとする別府!  ぼーっとする深町冴羅!  心配事が重なる中無事に文化祭を成功することはできるのか!? ・第4章  二年生は修学旅行と進路調査票の提出を控えていた。  期待と不安の間で揺れ動く中で、君島奏向は決意する―― 「僕のこれまでの行動を二人に明かそうと思う」  二人は何を思い何をするのか!?  修学旅行がそこにもたらすものとは!?  彼ら彼女らの行く先は!? ・第5章  冬休みが過ぎ、受験に向けた勉強が始まる二年生の三学期。  そんな中、深町凛紗が行動を起こす――  君島の草津・西沖に対するこれまでの行動の調査!  映像部への入部!  全ては幸せのために!  ――これは誰かが誰かを幸せにする物語。 ここでは毎日1話ずつ投稿してまいります。 作者ページの「僕(じゃない人)が幸せにします。(「小説家になろう」投稿済み全話版)」から全話読むこともできます!

サクラブストーリー

桜庭かなめ
恋愛
 高校1年生の速水大輝には、桜井文香という同い年の幼馴染の女の子がいる。美人でクールなので、高校では人気のある生徒だ。幼稚園のときからよく遊んだり、お互いの家に泊まったりする仲。大輝は小学生のときからずっと文香に好意を抱いている。  しかし、中学2年生のときに友人からかわれた際に放った言葉で文香を傷つけ、彼女とは疎遠になってしまう。高校生になった今、挨拶したり、軽く話したりするようになったが、かつてのような関係には戻れていなかった。  桜も咲く1年生の修了式の日、大輝は文香が親の転勤を理由に、翌日に自分の家に引っ越してくることを知る。そのことに驚く大輝だが、同居をきっかけに文香と仲直りし、恋人として付き合えるように頑張ろうと決意する。大好物を作ってくれたり、バイトから帰るとおかえりと言ってくれたりと、同居生活を送る中で文香との距離を少しずつ縮めていく。甘くて温かな春の同居&学園青春ラブストーリー。  ※特別編7-球技大会と夏休みの始まり編-が完結しました!(2024.5.30)  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!

みずがめ
恋愛
 杉藤千夏はツンデレ少女である。  そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。  千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。  徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い! ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。

覚えたての催眠術で幼馴染(悔しいが美少女)の弱味を握ろうとしたら俺のことを好きだとカミングアウトされたので、欲望に身を任せてみることにした

みずがめ
恋愛
覚えたての催眠術を幼馴染で試してみた。結果は大成功。催眠術にかかった幼馴染は俺の言うことをなんでも聞くようになった。 普段からわがままな幼馴染の従順な姿に、ある考えが思いつく。 「そうだ、弱味を聞き出そう」 弱点を知れば俺の前で好き勝手なことをされずに済む。催眠術の力で口を割らせようとしたのだが。 「あたしの好きな人は、マーくん……」 幼馴染がカミングアウトしたのは俺の名前だった。 よく見れば美少女となっていた幼馴染からの告白。彼女を女として見た時、俺は欲望を抑えることなんかできなかった。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

処理中です...