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9話 ショタコンじゃないから。
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ねらわれてる・・・?
言葉の意味がちょっとの間理解できずに私は硬直した。
「気づかれないように、斜め右後ろ見て」
うつむき加減の少年の顔は影になってよく見えないけど、緊迫した声音からただならぬ事態だと察せられた。
私は少年の指示通り、素知らぬふりして斜め後ろを窺った。
!
明らかに普通の町人ではない剣呑なムードを漂わせたイカツイ男が私を見ている。
どう見てもカタギの人間な感じがしない。
どんなに普通の町人を装ってみても醸し出す雰囲気が違う。「目を合わせちゃいけない」筋の方だ。
あ、そうだ、私の護衛は?
こういう時のために護衛を連れてきてるんだった、と私は護衛の衛兵たちがいた場所を見た。
衛兵たちは壁に寄りかかって動かない。
この事態を見ても反応しないってことは。
まさか、気絶させられてる!?
えええっ、なにがあったのっ!?
どうしたらいいのっ1?
「逃げるよ、いい?」
パニクって頭真っ白の私は少年の言葉に従うしかなかった。
声も出せずにコクコクと頷く。
「走って!」私が答える暇もなく、少年は私の手を引いて、脱兎のごとく走り出した。
とっさの私たちの行動に意表をつかれたイカツイ男は慌てたようだったが、すぐに「逃げたぞ!」と叫ぶ。
仲間がいるんだ!
振り向くと屈強な男たちが数人、追ってくるのが見えた。
捕まったらヤバそうな感じがありありとする。
「速く」少年は鋭い声と同時にスピードを上げた。私は引きずられるように、いや、文字通り引きずられて少年についていった。
いくつもの角を曲がり、通行人を押しのけ、物を蹴飛ばし、細かい路地を抜け、私が酸欠で悲鳴を上げそうになったころ、ようやく少年は止まった。
肩で息をしながら後ろを見て、私は誰もついてきていないことを確認した。
「ここなら、大丈夫。警護団の宿舎だからね、やつら、ここには来れないよ」
少年の言葉に私は改めて自分の前にある建物を見た。
警護団って、警察みたいなものなんだろうか。建物は頑健な石造りで学校の体育館ほどの大きさだった。
建物を見ながらゼイゼイと息を吐く私に、少年は「ごめん、かなり無理させた?」
はい、かなり。
と、正直は言わず、私は強がってみせた。
「う、ううん。だい、じょう、ぶ」気丈に答えたけど、大丈夫じゃないことは丸わかりだ。
自分の運動不足を反省しながら、少年を改めて見る。あんなに走ったのに息も乱れていない・・・それに・・・
可愛い。
やばい、可愛い。可愛いよ!
いや、美少年って言ったほうがいいのかな。
紫がかった黒い短髪はカラスの濡れ羽色っていうやつ?不思議な光を放つ青緑の瞳。スッキリと整った清涼な目鼻立ち・・・って、やっぱりボキャブラリー不足だ。美しさの表現力に乏しい自分を呪う。
少年は薄汚れた町人の服を上等な服に変えたら、貴族の子息と言っても通りそうだ。
白いレースのシャツとが似合いそう。
私はショタコンじゃないけど、年下は趣味じゃないけど。
この少年の妖しい美しさは別格だ。
ああ・・・やっと!
私は天を仰いで神に感謝した。
異世界っていったらやっぱり現実にはいないような美形がいなくちゃ(というのは私の思い込みだけど)
やっと出会えた貴重な美しい少年だ。
「あ、あの、助けてくれて、どうも」思わず声がうわずってしまう。
アイドルを前に緊張したファンみたいじゃないのよ。いい年して恥ずかしい。
中身年齢25歳の私は恥じ入った。
「奴ら、あのあたりのチンピラでさ、強請、たかりは当たり前で。殺しもやってるってウワサなんだ。おねーさんをつけてるのが見えたから、ヤバイって思って」
声も可愛い・・・言ってることは殺伐としてるけど・・・って、え?
今、私をつけてる・・・って言った?
・・・どうしてあんなヤツラが私を・・・
私の顔が曇ったのを少年は気づかなかったようで、軽い口調で言った。
「家、どこ?送るよ」
少年の申し出に私は慌てた。家はお城よ、なんて言えるわけがない。
「大丈夫、一人で帰れるから」
「また奴らに会ったらどうすんの?」
少年は本気で心配してくれてるみたい。私を覗きこむ美しい瞳が真剣だ。
確かに、少年の言う通り、もしあの連中に会ったら、私ひとりじゃ逃げきれない。それに、もう少し美少年といっしょにいたいという、イケナイおねえさんの欲望も湧き上がってきていた。
「じゃあ・・・家の近くまで、お願い」
城の裏門まで少年は送ってくれた。
「ここ?城じゃん」少年は青緑の瞳を少し薄めて不思議そうな顔をする。私はとっさに
「あ、私、召使いで。城に住み込みで働いているの。きょうは休みをもらって・・・」
この世界にきて、ウソが抵抗なくスルリと出る自分に自己嫌悪を感じた。
ウソをつく後ろめたさも感じなくなってるし、私、ダメな方向に全力疾走してる気がする。
少年は疑うそぶりもなく「ふーん、そうなんだ、大変だね」
どういうことが大変なのか分からないけど、私は曖昧に頷いた。
「おねーさん、また町に来ることあんの?」
「え?うん・・・たぶん・・・」サラさんが許してくれたらの話だけど。
「だったらもっと粗末な服着て来なよ。そんな上等な絹の服を着た女が一人で市場なんか歩いてたら、チンピラに『誘拐してください』って言ってるようなもんだよ」
え?そうなの?
てか、そんなに簡単に誘拐とかされちゃうの?真っ昼間に?
どんだけ治安が悪いわけ?
「俺、いつもだいたいあの市場にいるからさ。また、会えるといいね」少年はそう言うと帰りかけたが、
「あ、そうだ」と自分の左手首に巻いてあったミサンガのような紐をほどいて、私に投げてよこした。
「それ、また会えるオマジナイ」
照れくさそうに笑った顔に不覚にもキュンとなった。
油断すると見惚れしまうので、私は渡されたミサンガのようなものに目を向けた。1センチくらいの幅で、黒と紫色の紐で編み込みされていた。
私がお礼を言おうと目を上げたときには、もう少年の姿は遠くの陽炎になっていた。
まるで薫風みたいな少年だ。
また、会える・・・かな?会えるといいな。私はミサンガを握りしめた。
誰かに会いたいと思ったのは、ここに来て初めてのことだった。
断じて、私はショタコンじゃないのだけれど。
町での出来事を知ったサラさんは
「もう、お忍びで町に出ることはなりません」と断言した。静かな口調だけど、目が据わってて怖い。
私はサラさんにはないしょにしようって思ってたのに(町に行けなくなるってわかってるから)チンピラにのされた護衛の衛兵たちが報告してしまったのだ。
彼らの立場なら仕方ないってわかっているけど。
減俸にされちゃった衛兵も気の毒だけど、町を自由に歩けなくなった私も気の毒だ。
「それにしても」サラさんは怖い表情を張りつけたまま、つぶやくように言った。「町民に扮した護衛がなぜ気づかれたのでしょう」
はっ、とした。
そういえば、そうだ。私に護衛がついてるって、どうしてわかったの。
変だよ。
城の護衛を見破れるのは、護衛の顔を知ってる者だけだ。
ということは、私を襲った・・・襲わせたのは、私の周囲のことをよく知ってる人間ってことじゃないの?
今まで、それに思い当たらなかった自分のまぬけさかげんに呆れる。
「レーナ様がお忍びで町に行くことを知っている何者かが企てたとしか・・・」そこまで言ってサラさんは口を閉じた。
「憶測でレーナ様を不安がらせてはなりませんね」
憶測もなにも、誰かが今回の襲撃を企てたのだとしたら、私の町行きを知っていた人間ってことだ。
私は思い出していた。
町に出る支度が済んだ部屋で、『酔狂な衣装ですな。これからどこかにお出かけで?』そう言った、あの男、キリウスの顔を。
キリウスなら私がどこに行くのか感づいただろう。
結婚の申し出を何度も断る私に、脅しをかけてきたってこと?
私が自分に従わないからって、なんて、傲慢で自分勝手なんだろう。
それに、あきらめていないんだ、国王の座も。
私が頷くまで、こんな脅しをこれからもするつもりかもしれない。
私との結婚はできないって、完膚なきまでに諦めさせる手を私は考えた。
その方法は一つしかない。
この国の法律でいけば、王女と結婚できるのは大臣位にあるものだけらしい。
なら、キリウスを大臣位から降ろせばいい。
今度私になにか仕掛けてきたら、必ずシッポをつかんで罪を暴いて退位させる。
草食動物の私が、肉食動物に噛みついてやろうという、勇ましい決意をしたのだった。
言葉の意味がちょっとの間理解できずに私は硬直した。
「気づかれないように、斜め右後ろ見て」
うつむき加減の少年の顔は影になってよく見えないけど、緊迫した声音からただならぬ事態だと察せられた。
私は少年の指示通り、素知らぬふりして斜め後ろを窺った。
!
明らかに普通の町人ではない剣呑なムードを漂わせたイカツイ男が私を見ている。
どう見てもカタギの人間な感じがしない。
どんなに普通の町人を装ってみても醸し出す雰囲気が違う。「目を合わせちゃいけない」筋の方だ。
あ、そうだ、私の護衛は?
こういう時のために護衛を連れてきてるんだった、と私は護衛の衛兵たちがいた場所を見た。
衛兵たちは壁に寄りかかって動かない。
この事態を見ても反応しないってことは。
まさか、気絶させられてる!?
えええっ、なにがあったのっ!?
どうしたらいいのっ1?
「逃げるよ、いい?」
パニクって頭真っ白の私は少年の言葉に従うしかなかった。
声も出せずにコクコクと頷く。
「走って!」私が答える暇もなく、少年は私の手を引いて、脱兎のごとく走り出した。
とっさの私たちの行動に意表をつかれたイカツイ男は慌てたようだったが、すぐに「逃げたぞ!」と叫ぶ。
仲間がいるんだ!
振り向くと屈強な男たちが数人、追ってくるのが見えた。
捕まったらヤバそうな感じがありありとする。
「速く」少年は鋭い声と同時にスピードを上げた。私は引きずられるように、いや、文字通り引きずられて少年についていった。
いくつもの角を曲がり、通行人を押しのけ、物を蹴飛ばし、細かい路地を抜け、私が酸欠で悲鳴を上げそうになったころ、ようやく少年は止まった。
肩で息をしながら後ろを見て、私は誰もついてきていないことを確認した。
「ここなら、大丈夫。警護団の宿舎だからね、やつら、ここには来れないよ」
少年の言葉に私は改めて自分の前にある建物を見た。
警護団って、警察みたいなものなんだろうか。建物は頑健な石造りで学校の体育館ほどの大きさだった。
建物を見ながらゼイゼイと息を吐く私に、少年は「ごめん、かなり無理させた?」
はい、かなり。
と、正直は言わず、私は強がってみせた。
「う、ううん。だい、じょう、ぶ」気丈に答えたけど、大丈夫じゃないことは丸わかりだ。
自分の運動不足を反省しながら、少年を改めて見る。あんなに走ったのに息も乱れていない・・・それに・・・
可愛い。
やばい、可愛い。可愛いよ!
いや、美少年って言ったほうがいいのかな。
紫がかった黒い短髪はカラスの濡れ羽色っていうやつ?不思議な光を放つ青緑の瞳。スッキリと整った清涼な目鼻立ち・・・って、やっぱりボキャブラリー不足だ。美しさの表現力に乏しい自分を呪う。
少年は薄汚れた町人の服を上等な服に変えたら、貴族の子息と言っても通りそうだ。
白いレースのシャツとが似合いそう。
私はショタコンじゃないけど、年下は趣味じゃないけど。
この少年の妖しい美しさは別格だ。
ああ・・・やっと!
私は天を仰いで神に感謝した。
異世界っていったらやっぱり現実にはいないような美形がいなくちゃ(というのは私の思い込みだけど)
やっと出会えた貴重な美しい少年だ。
「あ、あの、助けてくれて、どうも」思わず声がうわずってしまう。
アイドルを前に緊張したファンみたいじゃないのよ。いい年して恥ずかしい。
中身年齢25歳の私は恥じ入った。
「奴ら、あのあたりのチンピラでさ、強請、たかりは当たり前で。殺しもやってるってウワサなんだ。おねーさんをつけてるのが見えたから、ヤバイって思って」
声も可愛い・・・言ってることは殺伐としてるけど・・・って、え?
今、私をつけてる・・・って言った?
・・・どうしてあんなヤツラが私を・・・
私の顔が曇ったのを少年は気づかなかったようで、軽い口調で言った。
「家、どこ?送るよ」
少年の申し出に私は慌てた。家はお城よ、なんて言えるわけがない。
「大丈夫、一人で帰れるから」
「また奴らに会ったらどうすんの?」
少年は本気で心配してくれてるみたい。私を覗きこむ美しい瞳が真剣だ。
確かに、少年の言う通り、もしあの連中に会ったら、私ひとりじゃ逃げきれない。それに、もう少し美少年といっしょにいたいという、イケナイおねえさんの欲望も湧き上がってきていた。
「じゃあ・・・家の近くまで、お願い」
城の裏門まで少年は送ってくれた。
「ここ?城じゃん」少年は青緑の瞳を少し薄めて不思議そうな顔をする。私はとっさに
「あ、私、召使いで。城に住み込みで働いているの。きょうは休みをもらって・・・」
この世界にきて、ウソが抵抗なくスルリと出る自分に自己嫌悪を感じた。
ウソをつく後ろめたさも感じなくなってるし、私、ダメな方向に全力疾走してる気がする。
少年は疑うそぶりもなく「ふーん、そうなんだ、大変だね」
どういうことが大変なのか分からないけど、私は曖昧に頷いた。
「おねーさん、また町に来ることあんの?」
「え?うん・・・たぶん・・・」サラさんが許してくれたらの話だけど。
「だったらもっと粗末な服着て来なよ。そんな上等な絹の服を着た女が一人で市場なんか歩いてたら、チンピラに『誘拐してください』って言ってるようなもんだよ」
え?そうなの?
てか、そんなに簡単に誘拐とかされちゃうの?真っ昼間に?
どんだけ治安が悪いわけ?
「俺、いつもだいたいあの市場にいるからさ。また、会えるといいね」少年はそう言うと帰りかけたが、
「あ、そうだ」と自分の左手首に巻いてあったミサンガのような紐をほどいて、私に投げてよこした。
「それ、また会えるオマジナイ」
照れくさそうに笑った顔に不覚にもキュンとなった。
油断すると見惚れしまうので、私は渡されたミサンガのようなものに目を向けた。1センチくらいの幅で、黒と紫色の紐で編み込みされていた。
私がお礼を言おうと目を上げたときには、もう少年の姿は遠くの陽炎になっていた。
まるで薫風みたいな少年だ。
また、会える・・・かな?会えるといいな。私はミサンガを握りしめた。
誰かに会いたいと思ったのは、ここに来て初めてのことだった。
断じて、私はショタコンじゃないのだけれど。
町での出来事を知ったサラさんは
「もう、お忍びで町に出ることはなりません」と断言した。静かな口調だけど、目が据わってて怖い。
私はサラさんにはないしょにしようって思ってたのに(町に行けなくなるってわかってるから)チンピラにのされた護衛の衛兵たちが報告してしまったのだ。
彼らの立場なら仕方ないってわかっているけど。
減俸にされちゃった衛兵も気の毒だけど、町を自由に歩けなくなった私も気の毒だ。
「それにしても」サラさんは怖い表情を張りつけたまま、つぶやくように言った。「町民に扮した護衛がなぜ気づかれたのでしょう」
はっ、とした。
そういえば、そうだ。私に護衛がついてるって、どうしてわかったの。
変だよ。
城の護衛を見破れるのは、護衛の顔を知ってる者だけだ。
ということは、私を襲った・・・襲わせたのは、私の周囲のことをよく知ってる人間ってことじゃないの?
今まで、それに思い当たらなかった自分のまぬけさかげんに呆れる。
「レーナ様がお忍びで町に行くことを知っている何者かが企てたとしか・・・」そこまで言ってサラさんは口を閉じた。
「憶測でレーナ様を不安がらせてはなりませんね」
憶測もなにも、誰かが今回の襲撃を企てたのだとしたら、私の町行きを知っていた人間ってことだ。
私は思い出していた。
町に出る支度が済んだ部屋で、『酔狂な衣装ですな。これからどこかにお出かけで?』そう言った、あの男、キリウスの顔を。
キリウスなら私がどこに行くのか感づいただろう。
結婚の申し出を何度も断る私に、脅しをかけてきたってこと?
私が自分に従わないからって、なんて、傲慢で自分勝手なんだろう。
それに、あきらめていないんだ、国王の座も。
私が頷くまで、こんな脅しをこれからもするつもりかもしれない。
私との結婚はできないって、完膚なきまでに諦めさせる手を私は考えた。
その方法は一つしかない。
この国の法律でいけば、王女と結婚できるのは大臣位にあるものだけらしい。
なら、キリウスを大臣位から降ろせばいい。
今度私になにか仕掛けてきたら、必ずシッポをつかんで罪を暴いて退位させる。
草食動物の私が、肉食動物に噛みついてやろうという、勇ましい決意をしたのだった。
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