異之国奇譚番外編~女王の秘め事~

月乃 影

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秘め事

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   ~ 一夜 ~


愛されすぎる。

 それが、嬉しいと思う気持ちと、怖いという気持ちと、複雑に絡み合う。
 
   無限に続く螺旋のように。
 
 「貴女以外は何もいらない」と、言われても、私は「貴方以外は何もいらない」と、応えられない。
 
 それでも、 貴方が私を壊すと言うのなら、私はそれを受け入れよう。

 

 

「今夜は抑えきれそうもない・・・少し、キツイかもしれないけど、いいか?」
 キリウスにそう聞かれて私は返答に困った。
 じゃ、今までのエッチって抑えてたわけ?キツイって・・・いったい何をしようとしてるワケ?
「え・・と。なんで、抑えてたのか、教えてくれる?」
「レーナが壊れそうで、怖かった」
 それは、精神的にだろうか、物理的にだろうか、う・・ん、たぶん、後者のほうだろう、と私は思い
「人間は簡単に壊れたりしないわ。キリウスの好きにしていいのよ」
 言ってしまった後で、本当に壊れないものか、自信が無くなって
「壊れそうになったら、言うから」
 と付け加えた。
 今まで壊れ物を扱うような優しい愛撫をしてくれたり、ゆっくりと私を絶頂へと導いてくれたのも、けっこう本人は気を使っていたんだ。
 それに気か付かなかった私が愚かだった。
 
 いつものように、私を裸に剥いてしまうと、ベッドに横たえ、自身も服を脱ぐ。
 やっぱり、キリウスの引き締まった裸体は、きれいだと、私はうっとりと眺めた。
 あ、でも、なんでポキポキと指を鳴らすかな。
 そこまで激しい運動は考えてないんだけど。
 私の内心の焦りを気づくこともなく、彼が私にキスをする。
 いつもの睦み事の始まりのキス。
「ん・・・んっ・・・」
 私の唇を、舌を、口内を、味わい尽くそうとでもするような・・・なんだか今夜はいつもより荒々しい。
「ん~んん」
 息が苦しくなって、空気を求めて離そうとしたけれど、強い力で押さえつけられた。
 息ができない。
 私はキリウスの厚い胸を押したけどびくともしない。
 抑えられない・・・ってこういうこと?
 私の唇を舐めとった彼の舌が首筋に移る。やっと空気にありつけた私の胸は大きく波打っている。
「あ・・・っつ」
 まだ鼓動の静まらない胸の膨らみを揉まれて、私の口から声が出た。
 彼の手の思わぬ強さを知った驚きの声だ。
「貴女の胸は、こんなに柔らかかったんだな」
 キリウスは初めて知ったかのようにつぶやくと、私の胸の膨らみを揉みしだく。揉まれて、こねられて、痛みすら感じるのに、その痛みがなぜか愛しく感じた。
 手のひらで膨らみの弾力を確かめながら、彼の唇が先端の小さな果実を捕える。
「あっ」
 吸われて、私は短い声を上げる。
 赤ん坊の乳を吸う力は思った以上に強いって聞いたことがあるけど。
 このくらい強いのだろうかと、頭の隅で思いながら、私は彼の肩を抱いた。
 肩はしっとりと汗ばんでいて、彼の熱が高くなっているのを感じる。

 「あっ・・・やっ・・・あ」
 いつ移動したのか、キリウスの指が私の秘部に侵入した。不意の侵入さえ容易く許すほど私の秘部は蜜で溢れていた。
「女人のここはいつもこんなに潤っているのか」と、彼が真顔で聞いた。
 そんな些細なことに、とても、愛おしくなってしまう。
「愛してる人に触れられたときだけ」
 そう、答えて、そうなのだろうと、思う。
「俺を愛してる?」
 どことなく、不安げに聞くキリウス。
「本当に愛してる?」
 なぜ、不安なんだろう。
 私はそんなに愛しているようには見えないのだろうか。
 彼は私に愛されてないと思っているのだろうか。
「愛してる・・・すごく・・・愛し・・・」
 彼の指に花芯の深いところを刺激されて、私は喘ぎながら、愛してるを繰り返した。
「こうしているときの貴女は、素直に見えるのに・・・」
 粘膜の奏でる淫らな音に、彼の言葉がかき消された。
「あ・・・あぁん、だめぇ」
 2本目の指の侵入を許してしまった自分の秘部の淫らさに、私は身悶えする。
 肉体もしなやかだけれども、指もそうなのだと、痺れそうな頭の中で気がついた。
「おねがい・・・2本は・・・だめ」
「だめ?なら、こんなに指が溶けそうなくらい濡れてるわけを知りたい」
 彼の目の中に猫が捕えた獲物を殺さずにいたぶるような光を見て、私は煽情的に鳴いた。
 わけ・・・わけなんて・・・
「言えない・・・っや・・・やめ・・・」
 長い繊細な指で中をかき乱されて、意識が飛ぼうとするのを耐えた。
「指で・・・イクの、いや。おねがい・・・ゆるして」

 唐突に抜かれた指の代わりに、彼の猛るモノを押し込まれて、私は悲鳴にも似た喘ぎ声を出して仰け反った。
「や・・・いや・・・そんなの、入れられたら・・・」
「指じゃ嫌だって言ったのは貴女だ」
 やっぱり、どこか、いたぶるのを楽しむような口調に普段の彼を思い出す。
 太ももを押さえられ、膝が胸に着きそうなくらい足を折り曲げられた。結ばれている部分が彼の目に晒される。
「いやぁ、見ちゃだめ」
 恥ずかしさに手で隠そうとする抵抗も、簡単に外される。
「俺が貴女の中に入ってるところが見たい」
「いや・・・あっつ・・・見ないで」
 仰け反ることも許されない体勢で、私はイヤイヤをするように首を振る。
「俺の好きにしていいと言った」
「そう・・・だけど・・・でも、こんなの」
 キリウスは分かってやってるのか、この体位は・・・
「や・・あぁ・・・深すぎ・・・」
 深部に届いてしまう。
「貴女の中はどうしてこんなに気持ちいいんだろう」
「あ・・・っく・・・だめ・・・そんなに動いちゃ・・・」
 届いてしまう・・・奥の、奥・・・
 絶頂前の快感に体が引き締められる。夢中で彼のモノを貪る。
「んんっ・・・いっ・・・いっちゃう・・・あっ・・い・・く」

 気がつくと、弛緩した私の顔をキリウスが見つめている。恥ずかしさに顔を覆って
「やだ、見ちゃだめ」
「貴女はダメが多いな」
 キリウスの声は優しさを含むようなからかいだった。
 体を起こそうとして私の中に、彼の残したものがないのに気づいた。
「キリウスは・・・イッてないの?」
「いって・・・?ああ・・・レーナの顔が見たかったから」
 ・・・顔って・・・イクときの?
「ど、どうして、やだ、もう、恥ずかしい」
 顔を覆った私の手をキリウスが掴んで外す。
「・・・もう1度見たい。いや、何度でも見たい」
 
 蜜で潤う私の中が、彼のモノで満たされる。

 何度でも・・・

 何度でも・・・

 



 私は「愛してる」と声を上げ続ける。

 心で、体で、貴方の想いを受け止める。

「貴方以外は何もいらない」とは、言えないけれど。

 貴方が求めるものはすべて与えよう。



   ~ 二夜 ~




 私はずっと今まで、愛とは与えるものだと思っていた。

 それが人を愛することだと思っていた。

 でも、ときに愛は求めることも必要なのだと知った。

 求めなければ、想いを伝えられない事もあるのだと・・・・・
 




 今夜の私はちょっと違う。いつもとは違う。
 

 いつもの夜のように私を組み敷きそうになったキリウスを、私は力を込めてベッドに押し倒して彼の上になった。
「レーナ・・・?」
 何が起こったのか分からない、という表情のキリウスの両肩を手で押さえると耳元に唇を寄せて
 
 「貴方が欲しいの」
 
 そう、私は囁いた。
 
 私の言葉に、キリウスの全身は緊張で固まった。
 まるで、信じられない神のお告げを聞いたみたいに・・・

 「レーナ、今、なんと?」
 金縛りから解けたキリウスが私に尋ねた。
 あれ?聞こえたはずよね。
「聞こえなかった?」
「聞こえた・・・と、思う。でも、もう1度聞きたい」
 もう1度と愛しい男性ひとに乞われて、断れるはずはない。
 私はキリウスの耳朶じだに唇を寄せて、彼の欲している言葉を囁いた。
「貴方が・・・欲しい」
 キリウスの口から溜息のような切なげな吐息が漏れた。
「俺は、何をすれば貴女の欲しい物を与えられる?」
 キリウスの言葉は想定外だったので、私はちょっと考えた。何をすれば・・・いい?
 なにも・・・・・そうだ
「なにもしなくていい」
「けど・・・」
 言いかけるキリウスの唇を口づけで塞いだ。いつも彼が私にするように、唇を割って舌を滑り込ませた。今まで寝ていたせいか、キリウスの口内は少し乾いていた。
 私の潤いを分けてあげるように彼の舌を舐る。きれいに整った歯に舌を添わせる。
 キリウスが音をたてて貪るように私の舌を吸った。
 下で受けるキスと上から攻めるキスは違う・・・そう思った。
 まだ欲しそうにしているキリウスの唇から離れて、私は彼の首筋に舌を這わせた。
「っ・・く」
 キリウスの口から喘ぎ声が漏れる。
 気持ちいいのかしら?と、私は首筋に心もち強く舌を押し付けてみた。
「レーナ・・・そこは・・・!」
 彼の体が大きく反応した。
 そこは?・・・って、ここは・・・もしかして。
 キリウスの『性感帯』ってやつ?
「ここがいいの?」
「んっ・・・いや、だめだ、レーナ」
 首筋は確かに舐められるとゾクッとするけど、普通はここまで身悶えはしない。
 私を押しのけようとするキリウスの手は力なく、私の微々たる力でも軽く抑えられた。
 吸血鬼が獲物に牙を立てる場所が性感帯なんだ。
 ホラー映画の中の美女が血を吸われるときに恍惚の表情を浮かべる理由がわかったような気がする。
 牙を立てる代わりに舐めて吸った。
 私の舌の動きに切なげに喘ぐ彼のことがたまらなく愛しいと思う。
 首筋を愛撫しながら、自分の胸の膨らみを彼の胸に当てた。
 それだけでイッてしまいそうな声を上げながら、キリウスが私の背中に腕を回して強く抱いた。柔らかい肉の塊は彼の硬い筋肉で潰されそうになる。
「キリウス・・・苦しい」
「あ」
 私の声に彼が腕の力を弱める。解放された私はずるっと移動して彼の足の間に入った。
「レーナ、そこは・・・いけない」
 禁忌の声を上げても、私が手を添えたソノ部分は彼の意思に反抗して硬く起立している。
 私の手が粘質な液で濡れた。
 キリウスと睦み合うようになって、男性も愛の蜜を出すのだと私は知った。
 先端を濡らした透明な蜜を私は吸うように舐めとった。
「あ・・・あっ」
 苦鳴にも似た声を上げてキリウスの体が反った。
「やめっ・・・レーナ、そこは・・・」
 私の中にいるときには暴君のように私を蹂躙するソレは、今は私の手の中で怯えているようにビクビクしている。
 可哀想だから、うんと優しくしてあげよう。
 傷ついた獣を癒すように、舌で絡めるようにゆっくりと舐めあげた。
「やっ・・・レーナ、やめてくれ、貴女にこんなこと・・・」
 やめて欲しいって思っているなら、貴方の力なら私なんか簡単に撥ね退けられるはず。
 本当はして欲しいのだよね?私にしてほしいんだよね?だから、やめない。
 でも、彼のモノは半分も口に納まらなくて、私は口に含んだモノの先しか舐めることはできない。
 「あ・・・くっ・・・レーナが、悪い・・・こんなこと、するから・・・もうっ」
 とめられない、と呻いてキリウスは私の頭を押さえた。
 限界に達したキリウスは、私の口内に深く侵入すると温かい液を喉の奥まで流しこんだ。
 咽返りそうになって、慌てて口を押さえる。
 まるで、飲み下したものに淫靡な気持ちになるフェロモンでも入っていたかのように、まだ恍惚に息を荒くしている彼を見ていると、私の秘所が満たされることを求めて疼き始める。
「・・・ごめんなさい、キリウス。私も・・・我慢できない」
 キリウスが身じろぎした。
「待て、我慢できないって・・・」
 今、放ったばかりで、と彼は言いたかったのだろうか。
「貴方が、欲しいの・・・すごく」
「・・・わかった」
 彼は覚悟を決めたように、私の体を浮かすと彼の一部を私の秘部に潜り込ませた。
「ああっ」
 下から突き上げられ私の体が撓む。
 自分の体の重みで、望まなくても、彼のモノが深い奥まで入ってしまう。
 放ったばかりのモノが私の中で硬さを取り戻していくのがわかった。
 そういえば、キリウスの上になるなんて、初めてのことだ、と私はぼんやりと思った。
「レーナ、俺の、欲しいだけ貴女にやる。俺は、貴女のものだ」
 うん、と答えたのか、私は。
 自分の言葉さえ耳に届かないほど、私はキリウスに支配されている。
 ぎこちない私の動きをキリウスが私の腰に手を添えてサポートする。
「あっ・・・いやっ、だめ、擦れちゃう」
 中が硬いモノで擦られる快感に喘ぎの声が出た。
 いきたい
 いきたい
 いきたい
 ただ、それだけを切望する。
「レーナ、だめだ、そんなに動いたら・・・」
 キリウスが私を止めようとしてるけど 
 もう、とめられない
 とめたら、おかしくなっちゃう
「動くな・・って、あっ・・・」
「ごめんなさい、だめ・・も・・・いくの、いく」
 私の最後の足掻きが彼のモノを締め上げてしまう。
「レーナ・・・も・・・でる」
「あっ、私も・・・い、く・・・いっちゃう」
 喘ぎと痙攣を残して、絶頂へと誘う波に私は身を任せた。
 

 キリウスの胸が大きく上下している。息ができないのじゃないかと、私は心配になった。
「だいじょうぶ?」
「・・・・・・じゃ・・・ない」
「ん?」
「死ぬかと・・・思った」
 私はまだ上下している彼の胸板に頬をつけて鼓動を聞いていた。
「気持ちよくて・・死ぬかと思った・・・だけど。でも・・・いやだ」
「なぜ?」
「貴女に全部してもらった感じがする」
 罪悪感と後悔の混じるキリウスの言葉に、私の胸が温かいもので満たされる。
「いいの・・・私が欲しかったの、だから」
「レーナ、俺は全部、貴女のものだ。俺に与えられるものならば何でもやる」
 私の黄金色の髪を優しく撫でながら彼がそう言った。






 貴方が欲しい

 貴方が必要だ


 与えるよりも欲しがるほうが、ときには想いを伝えることが

 できるのかもしれない
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