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第2章
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イオリとユーリが辿り着いたのは、砂漠だった。
地面にはごつごつした岩や丸みをおびた小石が転がっている。
どこにも草一本生えていない。
月の光を受けて輝く砂丘だけが、どこまでも続いている。そんな砂丘のひとつに立ち、ふたりはその人物が現われるのを待った。
そう時間はかからなかった。
「……来た」
短い友人の言葉に、イオリは砂丘の先へ目をこらした。そこ見えたのは、小さな人影。砂漠をさまようひとりの青年だった。
遠目にも、彼がこの砂漠の美しさなどまるで気にかけていないことがわかる。背中を曲げ、足を引きずるようにして、どうにか前へ進んでいた。
あれがこの夢の主らしい。
そしてイオリには、彼にとってこの夢は悪夢なのだとわかった。
バクである彼女には、夢の中ににじみ出た人間の感情を受け取ることができた。バクがその長い鼻でかすかな匂いの痕跡を嗅ぎ取るように。
青年は遭難者だった。人が住んでいるところから数百キロも離れた砂漠の真ん中に、ひとりぼっちで置き去りにされたのだ。
水もなく、食料もなく、通信手段もない。ここがどこなのか、どの方角へ歩けばオアシスに行き当たるのか、まるでわからない。
徐々に焦りが募ってくる。
この夜はいずれは明ける。そうなれば、彼は焼けつく太陽の下を歩かなければならなくなる。砂は熱砂となり、そこには人を十九時間で渇き死にさせるという砂漠の風が吹く。
その前にオアシスか井戸にでも行き当たらなければ、丸一日生き長らえることもできない。現実の世界で眠っている彼も、のどの渇きに苦しんでいるのだろうか。そう単純な話でもなさそうだ。
あるいはこの砂漠は、彼の生きる現実の世界を投影しているのかもしれない。
もうそこに何ひとつ期待することなどできない、渇ききった現実……。
イオリはらくだのことを考えた。もしここにらくだがいれば、彼はその背中に乗って、らくだの知っているオアシスへ連れて行ってもらえるはずだ。アラブ人の商隊に出会う、なんていうのもいい。
でも余計な手出しはしない。はじめに見つけた以上、この夢はユーリが受け持つべきだ。バクに妙な縄張り意識はないが、最低限の礼儀はある。
だからイオリは、ただ待っていた。
男が顔を上げたのと、イオリがその光に気づいたのは、ほぼ同時だった。
ずっと遠く、地平線の真ん中に、小さな明かりが灯っていた。
星とは違う光り方だった。その明かりは、うねる砂丘の先で、かすかに瞬いていた。砂漠の中に誰かを呼ぶ信号のようだ。
イオリは灯台の灯りを思った。ためらいがちな、やさしいリズム。
男は立ち尽くし、その灯りを見つめていた。信じていいのか迷っている。意地の悪い砂漠の蜃気楼が、幻を見せているのではないかと疑っている。
イオリは思わず、大丈夫だよ、と語りかけた。
あんまり褒められたことじゃないけど、ユーリなら気にしないだろう。
態度はそっけなくても、夢の世界は彼女の本当の心を見せてくれる。あの光の瞬きがユーリだ。
やがて、男はぐっと身体に力を入れなおす。そしてはるか彼方の光に向かって、ゆっくりと歩き出した……。
「のどが渇くって、どんな感じなんだと思う?」
青年を見送ったあとの砂漠で、イオリはそうたずねた。
ユーリは彼女が何を言いたいのかわからず、いぶかしげに首を曲げ、この変わり者の友人を見つめた。
「水の中で息ができなくなるのは、どんな感じなのかな?どこかに家族が待ってる家があるのに、そこに帰ることができないって、そんなにさみしいものなの?走りすぎて息が切れるって、やっぱり苦しいの?それとも、いっぱい走った後は、少しは気持ちいいのかな?」
「イオリ」
「変わっていくってどんな気持ちなの?背が伸びる。声が低くなる。いつか自分が自分じゃなくなる。それはいいこと?悪いこと?」
それから一度言葉を止め、
「『自分の人生』があるって、どんな気分なんだろう」
ひとり言のように呟いた。
ユーリはもう何も言わなかった。余計な口ははさまず、ただ耳を傾けていた。
「天文学者になりたい男の子の夢をのぞいたことがあるの。その子はまだ名前もついていない新しい星を見つけて、何度も叫んだ。『ぼくの星だ!』って。わたしたちは、そんなふうに何かを手に入れたことなんてなかったよね。これまでいくつもの夢を渡ってきたけど、それはみんなわたし以外の誰かのものだった。誰かの家、誰かの学校、誰かの街……。わたしたちは夢の中でその人の悲しみを癒そうとするけど、自分自身の悲しみを持ったことはない。ねえ、ユーリ」
顔を上げ、じっとユーリの顔を見つめるイオリ。そこには悲しみと寂しさと、そして困惑とが混じり合っていた。
自分の気持ちをもてあます、自分のものであるはずの気持ちをどうすればいいのかわからない。そんな困惑。
「夢に生きるって、すばらしいことだと思うよ。ここはすごく自由で、いろんな色や不思議に満ちていて、あらゆる世界を見せてくれる。でも、たまに……。たまにだけど、見ているだけの自分が、どうしようもなく寂しくなる」
「……………」
「天文学者になりたい男の子が、夢の中で新しい星を見つけた。見つけたのはわたしじゃない。仕事中に居眠りした男の人が、怪物に追いかけられる夢を見た。追いかけられたのはわたしじゃない。赤ちゃんを産んだばかりの女の人は、自分がイルカのお母さんになった夢を見た。赤ちゃんのイルカと海の中を泳いでた。わたしにお母さんはいない。子どもだって生まない。家族がどんなものなのかも、本当にはわからない」
そう。バクに家族はいない。帰っていく家もない。
ただ誰かの夢を横からのぞいて、こんなものかなと想像するだけ。
「べつに家族がほしいとか、家を建ててそこで暮らしたいってわけじゃないんだけど……。なんだろう。不自由さ、っていうのがどんなものなのか知りたい。時間も空間も飛び越えるような自由だけじゃなくて。魂を閉じ込める肉体とか、水なしじゃ生きられないようなか弱さとか、『早く帰ってきなさい』って小言を言う母親とか……。ねえ、こんなこと考えるなんて、おかしいかな?」
「いえ」
ユーリの返事に、イオリは少し意外な思いで目を瞬かせた。
「そういうことを言い出したのは、あなたが初めてってわけじゃない。ちゃんと考える頭があれば、誰だって自分の存在に疑問を持つものよ。わたしたちがもとは天使だったなんて議論したがる連中がいるけど、それだって似たようなものでしょ」
イオリはうなずいた。自分という存在の理由。それを知りたいという思い。イオリ自身も覚えがあった。
「みんな同じよ。バクだって、人間だって。考えても仕方ないことに頭を悩ませる。どうして自分は自分なのか。それ以外の存在になれたはずじゃないかって……」
「イルカに?」
いたずらっぽくつけ加えられた言葉に、ユーリは呆れ顔になった。イオリの動物好きも相変わらずだ。
「まあ、そんなところよ。だからそういうことを考えるのがいけないわけじゃない。むしろ必要なことよ」
「そうかな」
「疑問を持つくらいのほうがいい。無自覚に何も考えないでいるよりは」
ユーリのこういう話し方は、前にも聞いたことがあった。何かほかに言いたいことがある時にやる話し方だ。
間違っていないと言ったのは、ただイオリを慰めるためなのか。それともユーリ自身、同じ迷いにとらわれたことがあるのか。
ユーリは語る。まるで自分に言い聞かせるように。
間違ってはいない、と。
「ただ、その疑問を――前へ進めては、いけない」
イオリはどこか悲しげな微笑とともにうつむいた。
砂漠の情景が薄れ始める。濃い紫色の夜空。その端が白く染まり、砂丘と交じり合って消えていく。
「時間みたいね」
「うん」
夢の終わり。目覚めが近いらしい。
ふたりはお互いの間でだけ通用する、視線を合わせる挨拶を交わし、そのまま別れた。
まずはユーリ。それに続いてイオリも、砂漠を後にし、行くべき場所へ出発する。
そのころにはもう、砂漠の夢はすっかり消えうせ、一粒の砂も残っていなかった。
地面にはごつごつした岩や丸みをおびた小石が転がっている。
どこにも草一本生えていない。
月の光を受けて輝く砂丘だけが、どこまでも続いている。そんな砂丘のひとつに立ち、ふたりはその人物が現われるのを待った。
そう時間はかからなかった。
「……来た」
短い友人の言葉に、イオリは砂丘の先へ目をこらした。そこ見えたのは、小さな人影。砂漠をさまようひとりの青年だった。
遠目にも、彼がこの砂漠の美しさなどまるで気にかけていないことがわかる。背中を曲げ、足を引きずるようにして、どうにか前へ進んでいた。
あれがこの夢の主らしい。
そしてイオリには、彼にとってこの夢は悪夢なのだとわかった。
バクである彼女には、夢の中ににじみ出た人間の感情を受け取ることができた。バクがその長い鼻でかすかな匂いの痕跡を嗅ぎ取るように。
青年は遭難者だった。人が住んでいるところから数百キロも離れた砂漠の真ん中に、ひとりぼっちで置き去りにされたのだ。
水もなく、食料もなく、通信手段もない。ここがどこなのか、どの方角へ歩けばオアシスに行き当たるのか、まるでわからない。
徐々に焦りが募ってくる。
この夜はいずれは明ける。そうなれば、彼は焼けつく太陽の下を歩かなければならなくなる。砂は熱砂となり、そこには人を十九時間で渇き死にさせるという砂漠の風が吹く。
その前にオアシスか井戸にでも行き当たらなければ、丸一日生き長らえることもできない。現実の世界で眠っている彼も、のどの渇きに苦しんでいるのだろうか。そう単純な話でもなさそうだ。
あるいはこの砂漠は、彼の生きる現実の世界を投影しているのかもしれない。
もうそこに何ひとつ期待することなどできない、渇ききった現実……。
イオリはらくだのことを考えた。もしここにらくだがいれば、彼はその背中に乗って、らくだの知っているオアシスへ連れて行ってもらえるはずだ。アラブ人の商隊に出会う、なんていうのもいい。
でも余計な手出しはしない。はじめに見つけた以上、この夢はユーリが受け持つべきだ。バクに妙な縄張り意識はないが、最低限の礼儀はある。
だからイオリは、ただ待っていた。
男が顔を上げたのと、イオリがその光に気づいたのは、ほぼ同時だった。
ずっと遠く、地平線の真ん中に、小さな明かりが灯っていた。
星とは違う光り方だった。その明かりは、うねる砂丘の先で、かすかに瞬いていた。砂漠の中に誰かを呼ぶ信号のようだ。
イオリは灯台の灯りを思った。ためらいがちな、やさしいリズム。
男は立ち尽くし、その灯りを見つめていた。信じていいのか迷っている。意地の悪い砂漠の蜃気楼が、幻を見せているのではないかと疑っている。
イオリは思わず、大丈夫だよ、と語りかけた。
あんまり褒められたことじゃないけど、ユーリなら気にしないだろう。
態度はそっけなくても、夢の世界は彼女の本当の心を見せてくれる。あの光の瞬きがユーリだ。
やがて、男はぐっと身体に力を入れなおす。そしてはるか彼方の光に向かって、ゆっくりと歩き出した……。
「のどが渇くって、どんな感じなんだと思う?」
青年を見送ったあとの砂漠で、イオリはそうたずねた。
ユーリは彼女が何を言いたいのかわからず、いぶかしげに首を曲げ、この変わり者の友人を見つめた。
「水の中で息ができなくなるのは、どんな感じなのかな?どこかに家族が待ってる家があるのに、そこに帰ることができないって、そんなにさみしいものなの?走りすぎて息が切れるって、やっぱり苦しいの?それとも、いっぱい走った後は、少しは気持ちいいのかな?」
「イオリ」
「変わっていくってどんな気持ちなの?背が伸びる。声が低くなる。いつか自分が自分じゃなくなる。それはいいこと?悪いこと?」
それから一度言葉を止め、
「『自分の人生』があるって、どんな気分なんだろう」
ひとり言のように呟いた。
ユーリはもう何も言わなかった。余計な口ははさまず、ただ耳を傾けていた。
「天文学者になりたい男の子の夢をのぞいたことがあるの。その子はまだ名前もついていない新しい星を見つけて、何度も叫んだ。『ぼくの星だ!』って。わたしたちは、そんなふうに何かを手に入れたことなんてなかったよね。これまでいくつもの夢を渡ってきたけど、それはみんなわたし以外の誰かのものだった。誰かの家、誰かの学校、誰かの街……。わたしたちは夢の中でその人の悲しみを癒そうとするけど、自分自身の悲しみを持ったことはない。ねえ、ユーリ」
顔を上げ、じっとユーリの顔を見つめるイオリ。そこには悲しみと寂しさと、そして困惑とが混じり合っていた。
自分の気持ちをもてあます、自分のものであるはずの気持ちをどうすればいいのかわからない。そんな困惑。
「夢に生きるって、すばらしいことだと思うよ。ここはすごく自由で、いろんな色や不思議に満ちていて、あらゆる世界を見せてくれる。でも、たまに……。たまにだけど、見ているだけの自分が、どうしようもなく寂しくなる」
「……………」
「天文学者になりたい男の子が、夢の中で新しい星を見つけた。見つけたのはわたしじゃない。仕事中に居眠りした男の人が、怪物に追いかけられる夢を見た。追いかけられたのはわたしじゃない。赤ちゃんを産んだばかりの女の人は、自分がイルカのお母さんになった夢を見た。赤ちゃんのイルカと海の中を泳いでた。わたしにお母さんはいない。子どもだって生まない。家族がどんなものなのかも、本当にはわからない」
そう。バクに家族はいない。帰っていく家もない。
ただ誰かの夢を横からのぞいて、こんなものかなと想像するだけ。
「べつに家族がほしいとか、家を建ててそこで暮らしたいってわけじゃないんだけど……。なんだろう。不自由さ、っていうのがどんなものなのか知りたい。時間も空間も飛び越えるような自由だけじゃなくて。魂を閉じ込める肉体とか、水なしじゃ生きられないようなか弱さとか、『早く帰ってきなさい』って小言を言う母親とか……。ねえ、こんなこと考えるなんて、おかしいかな?」
「いえ」
ユーリの返事に、イオリは少し意外な思いで目を瞬かせた。
「そういうことを言い出したのは、あなたが初めてってわけじゃない。ちゃんと考える頭があれば、誰だって自分の存在に疑問を持つものよ。わたしたちがもとは天使だったなんて議論したがる連中がいるけど、それだって似たようなものでしょ」
イオリはうなずいた。自分という存在の理由。それを知りたいという思い。イオリ自身も覚えがあった。
「みんな同じよ。バクだって、人間だって。考えても仕方ないことに頭を悩ませる。どうして自分は自分なのか。それ以外の存在になれたはずじゃないかって……」
「イルカに?」
いたずらっぽくつけ加えられた言葉に、ユーリは呆れ顔になった。イオリの動物好きも相変わらずだ。
「まあ、そんなところよ。だからそういうことを考えるのがいけないわけじゃない。むしろ必要なことよ」
「そうかな」
「疑問を持つくらいのほうがいい。無自覚に何も考えないでいるよりは」
ユーリのこういう話し方は、前にも聞いたことがあった。何かほかに言いたいことがある時にやる話し方だ。
間違っていないと言ったのは、ただイオリを慰めるためなのか。それともユーリ自身、同じ迷いにとらわれたことがあるのか。
ユーリは語る。まるで自分に言い聞かせるように。
間違ってはいない、と。
「ただ、その疑問を――前へ進めては、いけない」
イオリはどこか悲しげな微笑とともにうつむいた。
砂漠の情景が薄れ始める。濃い紫色の夜空。その端が白く染まり、砂丘と交じり合って消えていく。
「時間みたいね」
「うん」
夢の終わり。目覚めが近いらしい。
ふたりはお互いの間でだけ通用する、視線を合わせる挨拶を交わし、そのまま別れた。
まずはユーリ。それに続いてイオリも、砂漠を後にし、行くべき場所へ出発する。
そのころにはもう、砂漠の夢はすっかり消えうせ、一粒の砂も残っていなかった。
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