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俺の逆襲劇

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「さて、オオクニヌシよ。次は俺の頭のしらみを取れ!」

 しらみをとる? 冗談じゃない。しかし、今までの試練に比べたらマシかもしれない。

 いざ、スサノオの頭を見るとムカデがうじゃうじゃいる。うへぇ、これどうするよ?


「あなた、こちらへ」スセリビメが小声で俺を呼ぶ。

「ここにきのみと赤土があります。これを口に含んで唾を吐くのです。きっとお父さんはムカデを噛み砕いているの勘違いするに違いないわ」

 さすがおれの妻だ。いつもいつも俺のピンチを救ってくれる。


 スセリビメの言う通りにしたらスサノオの親父、眠り出したぞ。これは逆襲する千載一遇のチャンスだ!

 俺はスサノオの髪を掴むと丸太に結びつけた。よし、これでスサノオは動けまい。さて、お宝でも貰って妻とトンズラしよう、そうしよう。


 さて、どれがいいかな。お、かっこいい刀と弓矢があるじゃないか。これにしよう。あとはここからさよならするだけだ。そうだ、ここにある琴ももらおう。ゴロローン。何か大きな音がした。しまった、琴が木に触れて大きな音がしたのか! ふとスサノオを見ると目があった。スサノオの目は殺気に満ちている。これはまずい。さっさとズラかるぞ!

◇  ◇  ◇

 ふう、だいぶ走ったぞ。これならスサノオも追いつけまい。後ろを振り向くと黄泉の国との境でスサノオが何か大声を出している。

「お前が持っている刀と弓矢でお前の兄弟に逆襲するがいい。そして、貴様は我が娘スセリビメと結婚して山の麓に大きな宮殿を建てて暮らすがいい!」

 お、たまにはいいこと言うじゃんか。そうするか。

◇  ◇  ◇

 それからしばらくしてだった。俺は兄弟全員に逆襲すると、やることがなくなってしまった。

「ねえ、あなた。そろそろ地に足をつけて、どこかで暮らしましょう」

 スセリビメの言うことももっともだ。そういえば、スサノオもそんなこと言ってたな。

「よーし、ここに大きな宮殿を建てるか」

 素敵な妻に巨大な我が家。きっと輝かしい未来が待っているに違いない。
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