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【伊藤博文】フランスに殴り込みますか

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 イギリスと約束を交わしてから数日後、伊藤博文は西郷隆盛と勝海舟を呼び出し、作戦会議をしていた。目の前に広げられた世界地図には各国の領土が色とりどりに塗られている。東南アジアはほとんどを大日本帝国とイギリスが占めている。フランス領はほんのわずかだった。こうしてみると、いかに大日本帝国が領土を広げているか良く分かる。北米中米、そしてインドネシア。伊藤博文は「もし、世界征服がうまく出来たら、西郷隆盛と勝海舟にも領土の一部のトップに任命しよう」と考えていた。まだまだ、先の話だし、明治天皇の許可が必要だが。


「勝、海軍をどれくらいインドに投入できそうだ? もちろん我が国にも戦力を残すことを考慮に入れろよ?」


 勝海舟は顎に手をやると考え込む。深く考え込んでいるようだった。目もつむりだした。こういうときは思考の邪魔をしてはならない。伊藤博文は経験からそう学んでいた。しばらくすると、勝海舟は口を開いた。


「そうですね……。わが軍を配置するのは本土、インドネシア、インドです。それに北米中米。主力をベトナムに割くのなら、投入戦力は3分の1でしょうか」


「なるほど。北米中米は陸軍も投入すれば、あまり戦力を割く必要はなさそうだな」


「それで、陸軍はどうだ? 西郷」と陸軍大将に話を振る。


「そうですね……。陸軍が活躍するのは、上陸してからです。まずは海軍に頑張ってもらいますよ」


 西郷隆盛は勝海舟へ意味深な言葉を口に出す。


 伊藤博文は気がついた。以前、勝海舟が西郷隆盛を煽ったときと同じだ。伊藤博文は「ちょっと待った」と割って入る。味方で喧嘩をするなんて、馬鹿馬鹿しい。


「それで、陸軍はどれくらい活躍できそうだ?」


「そうですな、今回はイギリス陸軍の方が役に立つと思われます。大日本帝国陸軍の武器はダイナマイトや自動式機関銃です。特にダイナマイトは防御戦でこそ威力を発揮します。ここはイギリス軍を盾にすべきかと」


 伊藤博文は納得した。イギリスには手を貸すが、今回の戦いで貴重な戦力を失ってはならない。伊藤博文は二人に戦略通りに作戦を展開するように指示すると「もう大丈夫だ。下がってくれ」と言う。


 そのとき、伊藤博文は勝海舟だけを呼び止める。そして、こそこそと指示をする。杞憂に終わることを祈って。
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