27 / 44
【伊藤博文】ちょっと、巻き込まないでくださいよ
しおりを挟む
伊藤博文は側近からの報告に愕然としていた。イギリスとフランスが戦争を始めた!? 大日本帝国はイギリスと同盟関係にある。必然的にフランスは敵国になる。以前、フランスから同盟関係にならないか打診があったことを思い出す。あの時、フランスと同盟を結んでも、今度はイギリスが敵になっていた。どちらを選んでも、この状況には変わりがなかったのだ。
伊藤博文は判断に迷っていた。同盟国である以上、イギリスに手を貸すのが義理だろう。震災の時も助けてもらった。しかし、フランスと戦争となると話は別だ。フランスはアフリカ西部を植民地にしている。パナマ海峡を制したとはいえ、フランス本土もアフリカも距離がありすぎる。ここはイギリスに物的支援をするのが利口だろう。
待てよ。フランスは東南アジアの要所であるベトナムとカンボジアを押さえている。つまり、無闇にイギリスを援助しようとすると、返り討ちになりかねない。下手に動けば、フランスが我が国に侵略してくるかもしれない。
では、イギリスはどうか。インドとオーストラリアを植民地にしている。そして、大日本帝国はインドネシアを持っている。ここまでくれば、やることは一つ。イギリスと手を組んで、フランスを東南アジアから締め出すのが最優先事項だろう。側近に西郷隆盛を呼ぶように伝えると、伊藤博文は世界地図に目をむける。三方向からの同時攻撃。さすがにフランスも降伏するだろう。伊藤博文がイギリスに協力を申し出ると「ぜひお願いしたい」とのことだった。
イギリスの外交官が執務室に入ってくると力強く握手をかわす。
「早速、作戦会議といきましょう。大日本帝国はどれほどの戦力を投入できますか?」とイギリス側。
「人員についてはすぐに答えられないが、こちらから提供できる武器はたくさんあります。ダイナマイトに自動式機関銃。今回攻めるのはベトナムとカンボジア。上陸さえできれば、こちらのものです」
伊藤博文には自信があった。陸上戦ならイギリスの役に立てるという自信が。そして、大日本帝国の活躍を見れば、イギリス側も評価し直すに違いない。日英は対等な関係にあると。
「では、作戦を本国に伝えましょう。そうそう、インドにもそちらの海軍を配備していただきたい。フランスが攻めてくるかもしれませんから」
伊藤博文は違和感を持った。ベトナムとカンボジアを守るのに必死なフランスがインドにまで軍隊を投入できるのだろうか。攻めるのなら大日本帝国の本土ではないだろうか。そして、一番気になったのはイギリスの外交官の不気味な表情だった。
伊藤博文は判断に迷っていた。同盟国である以上、イギリスに手を貸すのが義理だろう。震災の時も助けてもらった。しかし、フランスと戦争となると話は別だ。フランスはアフリカ西部を植民地にしている。パナマ海峡を制したとはいえ、フランス本土もアフリカも距離がありすぎる。ここはイギリスに物的支援をするのが利口だろう。
待てよ。フランスは東南アジアの要所であるベトナムとカンボジアを押さえている。つまり、無闇にイギリスを援助しようとすると、返り討ちになりかねない。下手に動けば、フランスが我が国に侵略してくるかもしれない。
では、イギリスはどうか。インドとオーストラリアを植民地にしている。そして、大日本帝国はインドネシアを持っている。ここまでくれば、やることは一つ。イギリスと手を組んで、フランスを東南アジアから締め出すのが最優先事項だろう。側近に西郷隆盛を呼ぶように伝えると、伊藤博文は世界地図に目をむける。三方向からの同時攻撃。さすがにフランスも降伏するだろう。伊藤博文がイギリスに協力を申し出ると「ぜひお願いしたい」とのことだった。
イギリスの外交官が執務室に入ってくると力強く握手をかわす。
「早速、作戦会議といきましょう。大日本帝国はどれほどの戦力を投入できますか?」とイギリス側。
「人員についてはすぐに答えられないが、こちらから提供できる武器はたくさんあります。ダイナマイトに自動式機関銃。今回攻めるのはベトナムとカンボジア。上陸さえできれば、こちらのものです」
伊藤博文には自信があった。陸上戦ならイギリスの役に立てるという自信が。そして、大日本帝国の活躍を見れば、イギリス側も評価し直すに違いない。日英は対等な関係にあると。
「では、作戦を本国に伝えましょう。そうそう、インドにもそちらの海軍を配備していただきたい。フランスが攻めてくるかもしれませんから」
伊藤博文は違和感を持った。ベトナムとカンボジアを守るのに必死なフランスがインドにまで軍隊を投入できるのだろうか。攻めるのなら大日本帝国の本土ではないだろうか。そして、一番気になったのはイギリスの外交官の不気味な表情だった。
12
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
【新訳】帝国の海~大日本帝国海軍よ、世界に平和をもたらせ!第一部
山本 双六
歴史・時代
たくさんの人が亡くなった太平洋戦争。では、もし日本が勝てば原爆が落とされず、何万人の人が助かったかもしれないそう思い執筆しました。(一部史実と異なることがあるためご了承ください)初投稿ということで俊也さんの『re:太平洋戦争・大東亜の旭日となれ』を参考にさせて頂きました。
これからどうかよろしくお願い致します!
ちなみに、作品の表紙は、AIで生成しております。
明日の海
山本五十六の孫
歴史・時代
4月7日、天一号作戦の下、大和は坊ノ岬沖海戦を行う。多数の爆撃や魚雷が大和を襲う。そして、一発の爆弾が弾薬庫に被弾し、大和は乗組員と共に轟沈する、はずだった。しかし大和は2015年、戦後70年の世へとタイムスリップしてしまう。大和は現代の艦艇、航空機、そして日本国に翻弄される。そしてそんな中、中国が尖閣諸島への攻撃を行い、その動乱に艦長の江熊たちと共に大和も巻き込まれていく。
世界最大の戦艦と呼ばれた戦艦と、艦長江熊をはじめとした乗組員が現代と戦う、逆ジパング的なストーリー←これを言って良かったのか
主な登場人物
艦長 江熊 副長兼砲雷長 尾崎 船務長 須田 航海長 嶋田 機関長 池田
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
戦神の星・武神の翼 ~ もしも日本に2000馬力エンジンが最初からあったなら
もろこし
歴史・時代
架空戦記ファンが一生に一度は思うこと。
『もし日本に最初から2000馬力エンジンがあったなら……』
よろしい。ならば作りましょう!
史実では中途半端な馬力だった『火星エンジン』を太平洋戦争前に2000馬力エンジンとして登場させます。そのために達成すべき課題を一つ一つ潰していく開発ストーリーをお送りします。
そして火星エンジンと言えば、皆さんもうお分かりですね。はい『一式陸攻』の運命も大きく変わります。
しかも史実より遙かに強力になって、さらに1年早く登場します。それは戦争そのものにも大きな影響を与えていきます。
え?火星エンジンなら『雷電』だろうって?そんなヒコーキ知りませんw
お楽しみください。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
江戸時代改装計画
城闕崇華研究所(呼称は「えねこ」でヨロ
歴史・時代
皇紀2603年7月4日、大和甲板にて。皮肉にもアメリカが独立したとされる日にアメリカ史上最も屈辱的である条約は結ばれることになった。
「では大統領、この降伏文書にサインして貰いたい。まさかペリーを派遣した君等が嫌とは言うまいね?」
頭髪を全て刈り取った男が日本代表として流暢なキングズ・イングリッシュで話していた。後に「白人から世界を解放した男」として讃えられる有名人、石原莞爾だ。
ここはトラック、言うまでも無く日本の内南洋であり、停泊しているのは軍艦大和。その後部甲板でルーズベルトは憤死せんがばかりに震えていた。
(何故だ、どうしてこうなった……!!)
自問自答するも答えは出ず、一年以内には火刑に処される彼はその人生最期の一年を巧妙に憤死しないように体調を管理されながら過ごすことになる。
トラック講和条約と称される講和条約の内容は以下の通り。
・アメリカ合衆国は満州国を承認
・アメリカ合衆国は、ウェーキ島、グアム島、アリューシャン島、ハワイ諸島、ライン諸島を大日本帝国へ割譲
・アメリカ合衆国はフィリピンの国際連盟委任独立準備政府設立の承認
・アメリカ合衆国は大日本帝国に戦費賠償金300億ドルの支払い
・アメリカ合衆国の軍備縮小
・アメリカ合衆国の関税自主権の撤廃
・アメリカ合衆国の移民法の撤廃
・アメリカ合衆国首脳部及び戦争煽動者は国際裁判の判決に従うこと
確かに、多少は苛酷な内容であったが、「最も屈辱」とは少々大げさであろう。何せ、彼らの我々の世界に於ける悪行三昧に比べたら、この程度で済んだことに感謝するべきなのだから……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる