11 / 13
【山本五十六】ミッドウェー島を攻め落とせ
しおりを挟む
山本五十六は部下から受け取った無線通信に目を通していた。それには、「ソロモン諸島、攻略成功」と書かれていた。山本五十六は目の前のミッドウェー島をいかに攻略するか、戦略を練っていた。
ソロモン諸島での戦いと同時にミッドウェー島を攻める手はずだったが、天候が悪く、予定よりも半日遅れていた。しかし、それだけで山本五十六たちの有利が揺らぐことはない。
「航空部隊の準備状況を報告いたします。赤城、加賀の零戦は準備完了。蒼龍、飛龍の準備もまもなく完了します!」
「ご苦労」
山本五十六は改めて、ミッドウェー島の地図を見る。半月型の岩礁の両端に島がある。この島々を攻略すれば、山本五十六の勝ちとなる。だが、単に攻めるだけでは、多大な犠牲を払うことになる。
「この時期のミッドウェー島付近には東風が吹く。これを活かさない手はない……。君、今から言うものを偵察機に積み込んで欲しい」山本五十六は部下に耳打ちをする。
「かしこまりました。そのようにいたします」
二時間後、偵察機がミッドウェー島のはるか手前で戻ってくると、島は煙で覆われていた。偵察機が投下した煙幕によって。
「零戦は順次発進! 目標は視覚を奪われている。こちらへの対空砲火も当たらなければ、どうという事はない」
山本五十六は東風によって、煙がミッドウェー島に流れることを計算に入れていた。そして、向かい風によってアメリカ軍側の航空部隊の発着が遅れることも。赤城をはじめとした空母から発進した零戦は、一撃離脱を繰り返し、敵に反撃の隙を与えない。しかし、敵もさるもの、徐々に零戦を捉え始める。
「ど、どういたしましょうか。このままでは――」
「落ち着け。奴らも馬鹿じゃない。レーダーでこちらの居場所を探っているんだろう。しかし、それも無駄になる」山本五十六は冷静さを失わない。
零戦は次第に海面に近い低高度での飛行に切り替える。
「アメリカのレーダーは、低高度の目標を捉えるのが難しい。我々の精鋭パイロットなら、低空飛行も問題なく出来る。さて、ミッドウェー島の陥落も時間の問題だ。大本営への無線通信を準備しておけ。『ミッドウェー島を攻略完了。次の指示を求む』と」
数時間後、ミッドウェー島に白旗が上がった。山本五十六は上陸すると、アメリカ軍の司令部に乗り込む。
「ご報告いたします。敵は極秘資料のすべてを焼却した模様です」
「構うものか。我々は太平洋すべての島々を支配下に置いている。大日本帝国に歯向かうからこうなるのだ」
山本五十六の頭の中では次の作戦を練っていた。この勢いでアメリカ本土を目指すか。それとも、他のターゲットを攻め落とすか。その時、焼けこげたドアがノックされる。
「大本営から、次の目的地の指示がありました。こちらです」
山本五十六が受け取った紙にはこう書かれていた。「アメリカ本土に攻め入る足がかりとして、アリューシャン列島のキスカ島を攻略せよ」と。
「アリューシャン列島、キスカ島か……」山本五十六はその地名を小さく反芻する。「アメリカ本土への第一歩だ。進むしかない。帝国のために、我が道を行くのみだ」山本五十六は自らに言い聞かせるようにそう呟いた。
ソロモン諸島での戦いと同時にミッドウェー島を攻める手はずだったが、天候が悪く、予定よりも半日遅れていた。しかし、それだけで山本五十六たちの有利が揺らぐことはない。
「航空部隊の準備状況を報告いたします。赤城、加賀の零戦は準備完了。蒼龍、飛龍の準備もまもなく完了します!」
「ご苦労」
山本五十六は改めて、ミッドウェー島の地図を見る。半月型の岩礁の両端に島がある。この島々を攻略すれば、山本五十六の勝ちとなる。だが、単に攻めるだけでは、多大な犠牲を払うことになる。
「この時期のミッドウェー島付近には東風が吹く。これを活かさない手はない……。君、今から言うものを偵察機に積み込んで欲しい」山本五十六は部下に耳打ちをする。
「かしこまりました。そのようにいたします」
二時間後、偵察機がミッドウェー島のはるか手前で戻ってくると、島は煙で覆われていた。偵察機が投下した煙幕によって。
「零戦は順次発進! 目標は視覚を奪われている。こちらへの対空砲火も当たらなければ、どうという事はない」
山本五十六は東風によって、煙がミッドウェー島に流れることを計算に入れていた。そして、向かい風によってアメリカ軍側の航空部隊の発着が遅れることも。赤城をはじめとした空母から発進した零戦は、一撃離脱を繰り返し、敵に反撃の隙を与えない。しかし、敵もさるもの、徐々に零戦を捉え始める。
「ど、どういたしましょうか。このままでは――」
「落ち着け。奴らも馬鹿じゃない。レーダーでこちらの居場所を探っているんだろう。しかし、それも無駄になる」山本五十六は冷静さを失わない。
零戦は次第に海面に近い低高度での飛行に切り替える。
「アメリカのレーダーは、低高度の目標を捉えるのが難しい。我々の精鋭パイロットなら、低空飛行も問題なく出来る。さて、ミッドウェー島の陥落も時間の問題だ。大本営への無線通信を準備しておけ。『ミッドウェー島を攻略完了。次の指示を求む』と」
数時間後、ミッドウェー島に白旗が上がった。山本五十六は上陸すると、アメリカ軍の司令部に乗り込む。
「ご報告いたします。敵は極秘資料のすべてを焼却した模様です」
「構うものか。我々は太平洋すべての島々を支配下に置いている。大日本帝国に歯向かうからこうなるのだ」
山本五十六の頭の中では次の作戦を練っていた。この勢いでアメリカ本土を目指すか。それとも、他のターゲットを攻め落とすか。その時、焼けこげたドアがノックされる。
「大本営から、次の目的地の指示がありました。こちらです」
山本五十六が受け取った紙にはこう書かれていた。「アメリカ本土に攻め入る足がかりとして、アリューシャン列島のキスカ島を攻略せよ」と。
「アリューシャン列島、キスカ島か……」山本五十六はその地名を小さく反芻する。「アメリカ本土への第一歩だ。進むしかない。帝国のために、我が道を行くのみだ」山本五十六は自らに言い聞かせるようにそう呟いた。
1
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
大日本帝国、アラスカを購入して無双する
雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。
大日本帝国VS全世界、ここに開幕!
※架空の日本史・世界史です。
※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。
※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。
暁のミッドウェー
三笠 陣
歴史・時代
一九四二年七月五日、日本海軍はその空母戦力の総力を挙げて中部太平洋ミッドウェー島へと進撃していた。
真珠湾以来の歴戦の六空母、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴が目指すのは、アメリカ海軍空母部隊の撃滅。
一方のアメリカ海軍は、暗号解読によって日本海軍の作戦を察知していた。
そしてアメリカ海軍もまた、太平洋にある空母部隊の総力を結集して日本艦隊の迎撃に向かう。
ミッドウェー沖で、レキシントン、サラトガ、ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネットが、日本艦隊を待ち構えていた。
日米数百機の航空機が入り乱れる激戦となった、日米初の空母決戦たるミッドウェー海戦。
その幕が、今まさに切って落とされようとしていた。
(※本作は、「小説家になろう」様にて連載中の同名の作品を転載したものです。)
蒼雷の艦隊
和蘭芹わこ
歴史・時代
第五回歴史時代小説大賞に応募しています。
よろしければ、お気に入り登録と投票是非宜しくお願いします。
一九四二年、三月二日。
スラバヤ沖海戦中に、英国の軍兵四二二人が、駆逐艦『雷』によって救助され、その命を助けられた。
雷艦長、その名は「工藤俊作」。
身長一八八センチの大柄な身体……ではなく、その姿は一三○センチにも満たない身体であった。
これ程までに小さな身体で、一体どういう風に指示を送ったのか。
これは、史実とは少し違う、そんな小さな艦長の物語。
皇国の栄光
ypaaaaaaa
歴史・時代
1929年に起こった世界恐慌。
日本はこの影響で不況に陥るが、大々的な植民地の開発や産業の重工業化によっていち早く不況から抜け出した。この功績を受け犬養毅首相は国民から熱烈に支持されていた。そして彼は社会改革と並行して秘密裏に軍備の拡張を開始していた。
激動の昭和時代。
皇国の行く末は旭日が輝く朝だろうか?
それとも47の星が照らす夜だろうか?
趣味の範囲で書いているので違うところもあると思います。
こんなことがあったらいいな程度で見ていただくと幸いです
日は沈まず
ミリタリー好きの人
歴史・時代
1929年世界恐慌により大日本帝國も含め世界は大恐慌に陥る。これに対し大日本帝國は満州事変で満州を勢力圏に置き、積極的に工場や造船所などを建造し、経済再建と大幅な軍備拡張に成功する。そして1937年大日本帝國は志那事変をきっかけに戦争の道に走っていくことになる。当初、帝國軍は順調に進撃していたが、英米の援蔣ルートによる援助と和平の断念により戦争は泥沼化していくことになった。さらに1941年には英米とも戦争は避けられなくなっていた・・・あくまでも趣味の範囲での制作です。なので文章がおかしい場合もあります。
また参考資料も乏しいので設定がおかしい場合がありますがご了承ください。また、おかしな部分を次々に直していくので最初見た時から内容がかなり変わっている場合がありますので何か前の話と一致していないところがあった場合前の話を見直して見てください。おかしなところがあったら感想でお伝えしてもらえると幸いです。表紙は自作です。
日本が危機に?第二次日露戦争
杏
歴史・時代
2023年2月24日ロシアのウクライナ侵攻の開始から一年たった。その日ロシアの極東地域で大きな動きがあった。それはロシア海軍太平洋艦隊が黒海艦隊の援助のために主力を引き連れてウラジオストクを離れた。それと同時に日本とアメリカを牽制する為にロシアは3つの種類の新しい極超音速ミサイルの発射実験を行った。そこで事故が起きた。それはこの事故によって発生した戦争の物語である。ただし3発も間違えた方向に飛ぶのは故意だと思われた。実際には事故だったがそもそも飛ばす場所をセッティングした将校は日本に向けて飛ばすようにセッティングをわざとしていた。これは太平洋艦隊の司令官の命令だ。司令官は黒海艦隊を支援するのが不服でこれを企んだのだ。ただ実際に戦争をするとは考えていなかったし過激な思想を持っていた為普通に海の上を進んでいた。
なろう、カクヨムでも連載しています。
戦国三法師伝
kya
歴史・時代
歴史物だけれども、誰にでも見てもらえるような作品にしていこうと思っています。
異世界転生物を見る気分で読んでみてください。
本能寺の変は戦国の覇王織田信長ばかりではなく織田家当主織田信忠をも戦国の世から葬り去り、織田家没落の危機を迎えるはずだったが。
信忠が子、三法師は平成日本の人間が転生した者だった…
戦神の星・武神の翼 ~ もしも日本に2000馬力エンジンが最初からあったなら
もろこし
歴史・時代
架空戦記ファンが一生に一度は思うこと。
『もし日本に最初から2000馬力エンジンがあったなら……』
よろしい。ならば作りましょう!
史実では中途半端な馬力だった『火星エンジン』を太平洋戦争前に2000馬力エンジンとして登場させます。そのために達成すべき課題を一つ一つ潰していく開発ストーリーをお送りします。
そして火星エンジンと言えば、皆さんもうお分かりですね。はい『一式陸攻』の運命も大きく変わります。
しかも史実より遙かに強力になって、さらに1年早く登場します。それは戦争そのものにも大きな影響を与えていきます。
え?火星エンジンなら『雷電』だろうって?そんなヒコーキ知りませんw
お楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる