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【井上成美】フィリピンを攻略せよ③
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「次の目的地であるルソン島のマニラへ向けて全速前進!」
井上はダバオを攻略し、飛行場を確保すると、すぐさまにミンダナオ島を時計回りに移動していた。マニラも入り江だが、ダバオよりも狭く、浅い。つまり、戦艦である大和、武蔵が敵陣深くまで入り込むことは難しい。そうなると、頼みの綱は零戦による爆撃になる。
「どうしたものか……」井上は自室で地図を見つつ、つぶやいた。
フィリピンの南に位置するミンダナオ島から目的地のルソン島までは距離がある。この二つの島の間には小さな島が点々としており、飛行場から出撃しても撃ち落される可能性が大きい。そう考えた井上は、飛行場に残した部隊には「ミンダナオ島の守備を固めるように」と指示をしている。
「マニラ攻略に使える戦力は大和、武蔵と空母に艦載された少数精鋭の零戦のみか」
しかし、ダバオ攻略でアメリカ海軍の戦力は大幅に落ちたはずだ。井上はその前提のもと、考えを進める。
マニラ攻略での問題は「いかに少数の零戦で爆撃できるか」だ。今回、戦艦は援護に回るしかない。その時、井上はある作戦を閃いた。
井上たちはマニラ沖に到着すると、「大和、武蔵の主砲で砲撃を開始する!」と号令をかけた。もちろん、敵地の防空施設を叩くことが主目的だが、それだけではない。
「各機、弾道の後ろを飛行、煙や爆風を利用して敵の視界に入らず、安全に敵陣へ爆撃して欲しい」
そう、真の狙いは零戦が砲弾を盾にして安全に飛行・爆撃することだった。そして、井上はこう指示していた。「無理に切り込まず、早期に帰還するように」と。
貴重な戦力を失うわけにはいかない。波状攻撃が重要なのだ。井上は戦艦の砲撃と零戦による爆撃のコンビネーションに絶対の信頼を置いていた。ここにいるのは精鋭のパイロットたちだ。
「それはつまり、我々の腕を信じての作戦ということですね」「期待に応えてみせますよ」とパイロットたちの士気は上がる。
「もちろんだ。君たちの奮闘を祈る」
数時間後に、マニラは大日本帝国のものとなった。井上は大和を降りると、フィリピンの地に降り立つ。先ほどまでの砲撃と爆撃の影響で煙がひどいが、井上はある場所を目指していた。それは、アメリカ陸軍の司令官であるマッカーサーの隠れ家だった。
井上が扉を開けると、そこには夜逃げしたような跡が残っていた。
「くそ、遅かったか!」
思わず壁を殴りつける。拳から血が滲む。
「どうされますか? 追いかけますか?」
「いや、もう遠くまで逃げているに違いない。奴が逃げるなら、オーストラリアだろう。アメリカ本土に向かうには、我々のハワイ基地を横切る必要がある。そんな危険を犯すほど馬鹿じゃないだろうさ」
数日後、井上のもとに無線通信で「マッカーサーはオーストラリアに逃げた」との情報が入ってきた。そして「私は必ず帰る」と言ったことも。井上はその情報を聞いてこう思った。フィリピンの地を踏ませないように、徹底的にマッカーサーを追い詰めようと。次は逃がさない。「待っていろよ、マッカーサー。必ずお前を捕まえてみせる」と、彼は自らに誓った。
井上はダバオを攻略し、飛行場を確保すると、すぐさまにミンダナオ島を時計回りに移動していた。マニラも入り江だが、ダバオよりも狭く、浅い。つまり、戦艦である大和、武蔵が敵陣深くまで入り込むことは難しい。そうなると、頼みの綱は零戦による爆撃になる。
「どうしたものか……」井上は自室で地図を見つつ、つぶやいた。
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しかし、ダバオ攻略でアメリカ海軍の戦力は大幅に落ちたはずだ。井上はその前提のもと、考えを進める。
マニラ攻略での問題は「いかに少数の零戦で爆撃できるか」だ。今回、戦艦は援護に回るしかない。その時、井上はある作戦を閃いた。
井上たちはマニラ沖に到着すると、「大和、武蔵の主砲で砲撃を開始する!」と号令をかけた。もちろん、敵地の防空施設を叩くことが主目的だが、それだけではない。
「各機、弾道の後ろを飛行、煙や爆風を利用して敵の視界に入らず、安全に敵陣へ爆撃して欲しい」
そう、真の狙いは零戦が砲弾を盾にして安全に飛行・爆撃することだった。そして、井上はこう指示していた。「無理に切り込まず、早期に帰還するように」と。
貴重な戦力を失うわけにはいかない。波状攻撃が重要なのだ。井上は戦艦の砲撃と零戦による爆撃のコンビネーションに絶対の信頼を置いていた。ここにいるのは精鋭のパイロットたちだ。
「それはつまり、我々の腕を信じての作戦ということですね」「期待に応えてみせますよ」とパイロットたちの士気は上がる。
「もちろんだ。君たちの奮闘を祈る」
数時間後に、マニラは大日本帝国のものとなった。井上は大和を降りると、フィリピンの地に降り立つ。先ほどまでの砲撃と爆撃の影響で煙がひどいが、井上はある場所を目指していた。それは、アメリカ陸軍の司令官であるマッカーサーの隠れ家だった。
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「くそ、遅かったか!」
思わず壁を殴りつける。拳から血が滲む。
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「いや、もう遠くまで逃げているに違いない。奴が逃げるなら、オーストラリアだろう。アメリカ本土に向かうには、我々のハワイ基地を横切る必要がある。そんな危険を犯すほど馬鹿じゃないだろうさ」
数日後、井上のもとに無線通信で「マッカーサーはオーストラリアに逃げた」との情報が入ってきた。そして「私は必ず帰る」と言ったことも。井上はその情報を聞いてこう思った。フィリピンの地を踏ませないように、徹底的にマッカーサーを追い詰めようと。次は逃がさない。「待っていろよ、マッカーサー。必ずお前を捕まえてみせる」と、彼は自らに誓った。
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