暗号を作成しろ!? それは出来ないので、知識チートで成り上がります!

雨宮 徹

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素人に暗号作成は無理です

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「これで、3回目の転生となりますね」


 暗号の女神は微笑みながら言う。いや、また転生させられるのかよ。今度はいつの時代だろうか。


「今度は太平洋戦争中の日本です」


 なるほど。今までよりは知識がある時代だ。まあ、義務教育より少し詳しい程度だけど。


「今度は暗号を『作成する側』になってもらいます」


 は? 暗号を作成せよと? 今までは解読する側だったのに?


「それでは、また会う日までご機嫌よう」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「おい、如月! 何をぼさっとしている! とっとと暗号作成に取りかかれ」


 そこは、薄暗く狭い部屋だった。部屋にあるのは古びた机とイスだけ。


「暗号作成課に日本のすべてがかかっているんだ」


 どうやら、俺が転生したのは暗号作成課と言うらしい。今まで、俺は2回転生してきた。暗号の女神の力で。


 どちらの時代でも、暗号を解く側だった。古代ギリシャでは、棒を使った暗号だった。決まった太さの棒に布を巻きつけて、本文を書く。そして、空きスペースにはデタラメな文字を書く。受け取り側は同じ太さの棒に巻きつけて復号していた。


 俺がその暗号を解くのに使った手段は、。敵がどの太さの棒を使うか分からなければ、棒の太さを変えまくればいい。


 別の時代ではシーザー暗号に苦しめられた。アルファベットを何文字ズラすか忘れた、いや、知らなかったため、やはり総当たりで無理やり解読した。


 それが今回は暗号を作る側だという。今までと明らかに難易度が高い。それも太平洋戦争の時代となれば、今までのようにはいかない。これまた、めんどくさい時代に転生させられたな。


「それで、今日の進捗は?」


 進捗なんてあるわけがない。今、転生したばかりなのだから。いや、もしかしたら、もとの人物は暗号作成の天才だったかもしれない。


「おい、これが今日の成果か?」


 上司と思われる人物が紙片をヒラヒラと目の前で振る。どうやら、転生元の人物も無能だったらしい。これは参った。


「今日は俺がいいと言うまで帰るな!」


 そんな無茶苦茶な。一般人に暗号を作成しろなんて無理難題だ。


 ちょっと待った。本当に暗号を作成するしか道はないのだろうか。それ以外の道があるではないか! 現代での知識を活かせばいい。中途半端だが、太平洋戦争の基礎知識はある。暗号作成ではなく、知識を使って一種のチートをすればいいのだ。日本を勝たせれば、方法は違えど問題ない。


「あの、暗号作成ではなく、結果的に日本が勝てば文句はありませんよね?」


「この馬鹿者! 上司に向かって、そんな言葉づかいが許されるわけないだろ」


 ゲンコツが頭を直撃する。痛い! 現代ならパワハラだが、この時代では当たり前に違いない。


 いいだろう。この上司をギャフンと言わせてやる。俺の予言という名の知識チートを使って。
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