1 / 9
素人に暗号作成は無理です
しおりを挟む
「これで、3回目の転生となりますね」
暗号の女神は微笑みながら言う。いや、また転生させられるのかよ。今度はいつの時代だろうか。
「今度は太平洋戦争中の日本です」
なるほど。今までよりは知識がある時代だ。まあ、義務教育より少し詳しい程度だけど。
「今度は暗号を『作成する側』になってもらいます」
は? 暗号を作成せよと? 今までは解読する側だったのに?
「それでは、また会う日までご機嫌よう」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「おい、如月! 何をぼさっとしている! とっとと暗号作成に取りかかれ」
そこは、薄暗く狭い部屋だった。部屋にあるのは古びた机とイスだけ。
「暗号作成課に日本のすべてがかかっているんだ」
どうやら、俺が転生したのは暗号作成課と言うらしい。今まで、俺は2回転生してきた。暗号の女神の力で。
どちらの時代でも、暗号を解く側だった。古代ギリシャでは、棒を使った暗号だった。決まった太さの棒に布を巻きつけて、本文を書く。そして、空きスペースにはデタラメな文字を書く。受け取り側は同じ太さの棒に巻きつけて復号していた。
俺がその暗号を解くのに使った手段は、総当たりだ。敵がどの太さの棒を使うか分からなければ、棒の太さを変えまくればいい。
別の時代ではシーザー暗号に苦しめられた。アルファベットを何文字ズラすか忘れた、いや、知らなかったため、やはり総当たりで無理やり解読した。
それが今回は暗号を作る側だという。今までと明らかに難易度が高い。それも太平洋戦争の時代となれば、今までのようにはいかない。これまた、めんどくさい時代に転生させられたな。
「それで、今日の進捗は?」
進捗なんてあるわけがない。今、転生したばかりなのだから。いや、もしかしたら、もとの人物は暗号作成の天才だったかもしれない。
「おい、これが今日の成果か?」
上司と思われる人物が紙片をヒラヒラと目の前で振る。どうやら、転生元の人物も無能だったらしい。これは参った。
「今日は俺がいいと言うまで帰るな!」
そんな無茶苦茶な。一般人に暗号を作成しろなんて無理難題だ。
ちょっと待った。本当に暗号を作成するしか道はないのだろうか。それ以外の道があるではないか! 現代での知識を活かせばいい。中途半端だが、太平洋戦争の基礎知識はある。暗号作成ではなく、知識を使って一種のチートをすればいいのだ。日本を勝たせれば、方法は違えど問題ない。
「あの、暗号作成ではなく、結果的に日本が勝てば文句はありませんよね?」
「この馬鹿者! 上司に向かって、そんな言葉づかいが許されるわけないだろ」
ゲンコツが頭を直撃する。痛い! 現代ならパワハラだが、この時代では当たり前に違いない。
いいだろう。この上司をギャフンと言わせてやる。俺の予言という名の知識チートを使って。
暗号の女神は微笑みながら言う。いや、また転生させられるのかよ。今度はいつの時代だろうか。
「今度は太平洋戦争中の日本です」
なるほど。今までよりは知識がある時代だ。まあ、義務教育より少し詳しい程度だけど。
「今度は暗号を『作成する側』になってもらいます」
は? 暗号を作成せよと? 今までは解読する側だったのに?
「それでは、また会う日までご機嫌よう」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「おい、如月! 何をぼさっとしている! とっとと暗号作成に取りかかれ」
そこは、薄暗く狭い部屋だった。部屋にあるのは古びた机とイスだけ。
「暗号作成課に日本のすべてがかかっているんだ」
どうやら、俺が転生したのは暗号作成課と言うらしい。今まで、俺は2回転生してきた。暗号の女神の力で。
どちらの時代でも、暗号を解く側だった。古代ギリシャでは、棒を使った暗号だった。決まった太さの棒に布を巻きつけて、本文を書く。そして、空きスペースにはデタラメな文字を書く。受け取り側は同じ太さの棒に巻きつけて復号していた。
俺がその暗号を解くのに使った手段は、総当たりだ。敵がどの太さの棒を使うか分からなければ、棒の太さを変えまくればいい。
別の時代ではシーザー暗号に苦しめられた。アルファベットを何文字ズラすか忘れた、いや、知らなかったため、やはり総当たりで無理やり解読した。
それが今回は暗号を作る側だという。今までと明らかに難易度が高い。それも太平洋戦争の時代となれば、今までのようにはいかない。これまた、めんどくさい時代に転生させられたな。
「それで、今日の進捗は?」
進捗なんてあるわけがない。今、転生したばかりなのだから。いや、もしかしたら、もとの人物は暗号作成の天才だったかもしれない。
「おい、これが今日の成果か?」
上司と思われる人物が紙片をヒラヒラと目の前で振る。どうやら、転生元の人物も無能だったらしい。これは参った。
「今日は俺がいいと言うまで帰るな!」
そんな無茶苦茶な。一般人に暗号を作成しろなんて無理難題だ。
ちょっと待った。本当に暗号を作成するしか道はないのだろうか。それ以外の道があるではないか! 現代での知識を活かせばいい。中途半端だが、太平洋戦争の基礎知識はある。暗号作成ではなく、知識を使って一種のチートをすればいいのだ。日本を勝たせれば、方法は違えど問題ない。
「あの、暗号作成ではなく、結果的に日本が勝てば文句はありませんよね?」
「この馬鹿者! 上司に向かって、そんな言葉づかいが許されるわけないだろ」
ゲンコツが頭を直撃する。痛い! 現代ならパワハラだが、この時代では当たり前に違いない。
いいだろう。この上司をギャフンと言わせてやる。俺の予言という名の知識チートを使って。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

大日本帝国領ハワイから始まる太平洋戦争〜真珠湾攻撃?そんなの知りません!〜
雨宮 徹
歴史・時代
1898年アメリカはスペインと戦争に敗れる。本来、アメリカが支配下に置くはずだったハワイを、大日本帝国は手中に収めることに成功する。
そして、時は1941年。太平洋戦争が始まると、大日本帝国はハワイを起点に太平洋全域への攻撃を開始する。
これは、史実とは異なる太平洋戦争の物語。
主要登場人物……山本五十六、南雲忠一、井上成美
※歴史考証は皆無です。中には現実性のない作戦もあります。ぶっ飛んだ物語をお楽しみください。
※根本から史実と異なるため、艦隊の動き、編成などは史実と大きく異なります。
※歴史初心者にも分かりやすいように、言葉などを現代風にしています。

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

ライバル令嬢に選択肢取られてるんですけど?
こうやさい
ファンタジー
気がつくと乙女ゲーの世界にヒロインとして転生していた。うん、フィクションなら良くある。
そのゲームの攻略キャラには婚約者がいた。うん、これもある。
けどその婚約者がヒロインの言うはずのセリフ言ってるのはありなの?
うん、タイトルまんまの話。恋愛には発展しません。
本編以外はセルフパロディです。本編のイメージ及び設定を著しく損なう可能性があります。ご了承ください。
ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
巷で噂の婚約破棄を見た!
F.conoe
ファンタジー
婚約破棄をみて「きたこれ!」ってなってるメイド視点。
元ネタはテンプレだけど、なんか色々違う!
シナリオと監修が「妖精」なのでいろいろおかしいことになってるけど逆らえない人間たちのてんやわんやな話。
謎の明るい婚約破棄。ざまぁ感は薄い。
ノリで書いたのでツッコミどころは許して。

少女漫画の当て馬女キャラに転生したけど、原作通りにはしません!
菜花
ファンタジー
亡くなったと思ったら、直前まで読んでいた漫画の中に転生した主人公。とあるキャラに成り代わっていることに気づくが、そのキャラは物凄く不遇なキャラだった……。カクヨム様でも投稿しています。

ズボラな私の異世界譚〜あれ?何も始まらない?〜
野鳥
ファンタジー
小町瀬良、享年35歳の枯れ女。日々の生活は会社と自宅の往復で、帰宅途中の不運な事故で死んでしまった。
気が付くと目の前には女神様がいて、私に世界を救えだなんて言い出した。
自慢じゃないけど、私、めちゃくちゃズボラなんで無理です。
そんな主人公が異世界に転生させられ、自由奔放に生きていくお話です。
※話のストックもない気ままに投稿していきますのでご了承ください。見切り発車もいいとこなので設定は穴だらけです。ご了承ください。
※シスコンとブラコンタグ増やしました。
短編は何処までが短編か分からないので、長くなりそうなら長編に変更いたします。
※シスコンタグ変更しました(笑)

大日本帝国、アラスカを購入して無双する
雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。
大日本帝国VS全世界、ここに開幕!
※架空の日本史・世界史です。
※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。
※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる