愛しの My Buddy --イケメン准教授に知らぬ間に溺愛されてました--

せせらぎバッタ

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 梅雨の長雨で洗濯ものが乾かない。ジーパンやバスタオル等の厚手の生地は部屋干しだと、とんでもないことになる。菜穂はコインランドリーに洗濯物を持っていった。本を読みながら待っているとLINEが入ってきた。

「明日とか、どう?」

 柏木からのお誘いメールだ。週末は雄太と会うことが多いので平日にデートを重ねている。すでに2か月になろうとしていた。雄太にはバレていない。柏木もそこは気を遣ってくれている。
 雄太のことは好きだと思う。柏木は嫌いじゃない。答えは雄太なのだろう。でも柏木に会いたくなる気持ちが抑えられない。

「柏木さんに喰われた!」
 榛名に報告すると、ふふんと笑われた。
「まっ、そうなるかなと、実は思っていた」
 菜穂は目を丸くする。「えー、どうしてそう思うかな」
「なーんか、そういうのって、わかっちゃうんだよね。もっとも柏木さんは熱い眼差しで菜穂を見てたし、菜穂も悪い気してない感じだったから」
「わたしって、自分がビッチだったことにビックリしてる」
「雄太だって浮気したんだし、いいんじゃないの」
「自分はそういうタイプの人間だと思ってなかった。このままじゃいけないと思う」
「どっちがいいの?」

 菜穂は考える。でも答えはでない。雄太とは倦怠期なのかなぁ。でも柏木さんとは未来をまったく考えられない。年も20以上離れているし。

「まあ、柏木さんとディズニーランドとか想像できないかな。イケオジだけどさぁ。パパ活みたいだよね」
「年の離れたカップルってさ、二人でいても違和感がないんだよね。年上の方が若く見えるとか、若い方が老けて見えるとか、そういうんじゃないんだよね。なんつうか、芸能人見てて思うんだけど、年齢不詳なんだな、二人とも。まあ、年齢を超越した愛だかんね」
「わたしと柏木さんは?」
「うん、すっごい違和感!でも、りんごは新鮮なうちにほおばるのがおいしいから。おいしい時に食べとけば」

 榛名はケラケラ笑う。
 最近彼女は、なんと、あのわんこ系の峰岸とつきあいだしたのだ。
「だって、ピンクのアフロヘアだよ。カットしてないプードルなんだもの、散歩させたくなるじゃん。ピンクだぜい!」
 それでいいのかとも思うが、峰岸の捨て身の努力には頭がさがる。

 考えてもわからない。二人に満たされないと満足できない。どちらかでは足りない?
 疲れてきて、本を閉じた。

 また新しいLINEが入った。藤枝先生からだ。ゼミメンバーのグルーラインだが。

(履歴もかねて連絡しておきます。8月にアメリカから友人がやってきます。つきましては試験明けの8月5日に彼の歓迎会を藤枝宅で行いますので、希望者は出欠の可否をお知らせください。ちなみに日本語は話せませんので、参加希望者は今から英語を特訓しておくように)

 おっと、ドキドキする。先生の家に行けるなんて思ってもみなかった。
 ぞくぞくとメンバーから連絡が入る。みんな出席だ。菜穂も微笑みながら参加の旨を連絡した。

 8月からは週に3回、2か月の予定でインターンを経験することになっている。勤務先は憧れのお姉さまの外資系ファンド会社。卒論の英文記事検索も常態化しており、英語を本格的に習いはじめた。
 通学時間はリスニング。部屋ではAFNがBGM。働く前に語学力がどれだけ身に着いたか、確認できる。プレテストだ!

 インターン用に服を少し買った。落ち着いたデザインのモスグリーンのひざ下までのロングタイトスカートに、トップスは七分丈の黒のニット。使いまわしもできるし、汚れも目立たない。榛名にアドバイスされて買ったものだ。

 待ち合わせ場所は原宿のラフォーレ前。柏木が懇意にしているアーティストの写真展があり、それに誘われたのだ。こんな若い人ばかりで、イケオジとはいえ、どんだけ浮くのか楽しみでもあった。

「な・ほ・ちゃん!」

 約束の5分くらい前に現れた柏木はブラックジーンズに白のカットソー。サングラスをかけた姿は街にフィットし、いや、ここの住人と思わせるような華やかさにあふれていた。OLファッションを意識した菜穂の方が浮いて見えるのではと、逆に心配になってくる。

「今日はいつもとファッションがちがうね。シックで色っぽくて、スリットからのぞく脚にぞくぞくするよ。ああ、早く触りたいな。せめて腕を組みたいけど我慢する。俺は愛人だからさ」

 頬をつまみながら言う。いや、それも困るんだけど。スリットの切れ込みは深くないはずなんだけど。

 竹下通りを過ぎ、さらに千駄ヶ谷の方向に進むと、だいぶ人通りが少なくなってきた。路地をいくつか曲がり人影がいなくなると柏木が自然に抱き寄せ、早速キスをしてきた。

「ああ、会いたかったよ。さっきからキスしたくて仕方がなかった。今日は何時まで一緒にいられるの」
「18時くらいまでかな」

 愛人はつらいとぼやきながら、さっさと挨拶してホテルにしけこもう、と笑いながらいった。なに、名刺を置いてくればいいだけさ。当人は今日いないしな。

 個展の写真はモノクロの女性のポートレートが多かった。夜の静けさを思わせるような照明に、山の中で朝焼けを待つ横顔の女性。乱れた着衣で物憂げに椅子に腰かける女性。立膝立ちで、壁にもたれながら髪を梳く女性等。
 モノクロの世界はどれもこれもアンニュイで見ているものを惹きつける。
 印象に残るのは唇にだけ色があることだ。朝焼けとも夕焼けともつかない、血がにじんだようなトキ色。薄く開いていたり、ギュッとかたく閉じられていたり、穏やかに微笑んでいたりするそれは何かを伝えているようだ。

 菜穂はしばらく考え、なぜだろうと思った。画像なんか、感じればいいだけの話なのに。
 あ、これはすべて情事のあとの顔なのだ。ど、どゆことなんだろう。

「おっ柏木さん来てくれたの。ありがとう」
 見終わって受付に行くと、50才前後の男が声をかけてきた。

「なんだ、山岸さん、いたんだ。いないと思ったから来たんだけどね」
 山岸は柏木の肩を叩きながら、口を開けて笑っている。旧知の仲のようだ。

「今日、ステキな子連れてるじゃない。紹介してくれないの」
「ああ、こちらは知り合いのお嬢さんで、大事な人ですからね。失礼のないようにお願いしますよ」

「ああ、なるほど。ところで、俺のモデルになってくれない?」
 山岸の視線が値踏みするように全身を上から下へと流れていく。落ち着かない。白昼堂々と視姦されている。目があうと、好色そうな笑みを向けられた。

「えっと、君島さんね。俺は山岸。さっきの件、よく考えといて」

 握手のように右手を差し出され、菜穂もおずおずと手をだした。咄嗟にガッチリつかまれる。嫌悪感でいっぱいになる。逃げようとする手に追い打ちをかけ、左手も加えられた。ホールド状態。

「山岸さん、だめですよ。大事なお嬢さんなんだから、オイタはだめ」
「わかった、わかった、柏木さんの大事なお嬢さん、ね」

 柏木は居合わせた他のお客さんとも気軽に挨拶をかわし、その場を後にした。皆オシャレな格好でグラビアに出てきそうな人たちだ。二人でいる時は気にならなかったが、柏木はこの世界の住人で、菜穂とは階層がちがうことを思い知らされたような気分だ。圧倒されているだけか、気後れなのか。出会いの偶然は、どちらかがどちらかの世界に迷い込んだとしか思えない。

「さあて、軽くメシ食べて、早く二人っきりになれるとこに行こう」
 促されるままに、パスタを食べ、タクシーで新大久保のホテルに向かった。誰かに見られる可能性がないところを柏木はチョイスする。

「なほっち、さっきは悪かったね。山岸さん、悪い人じゃないんだけど、女に手が早くて。わざわざいない時を狙ったんだけど。リサーチ不足だった。ごめん。でも、写真はいいだろう。機嫌直して」
「あの人、モデルの人と必ず寝てるんでしょ」
「うん、たぶん、そうだね。寝てなくても、のようなことはしていると思う」
「なんかそれ、やだな。セックスは二人だけのものなのに、公開するなんて」
「俺はそんなことしないから。安心して」
「写真家じゃなくて、若い子好きのスケベなおじさんだもんね」

 菜穂がクスリと笑うと、ひどいなぁといって、菜穂を愛撫し始めた。いつものように顔中にキスの雨を降らし、耳から、首筋、うなじ、背中と舌を這わせていく。起立筋を指でスーッとなでられると声が漏れた。足の裏から指先、くるぶしからふくらはぎ、太腿を伝ってゆっくりとお尻にまで這い上がってくる。菜穂からほとばしってくる蜜は無視し、周辺を焦らすように指と舌で触れてくる。
 反対向きにされ、唇からあご、首筋、鎖骨まわり、乳輪を舐めあげ、乳首に到達すると菜穂は懇願した。
「お願い、もっと吸って。ああん、胸も、もっと」

 雄太にさえ言えない言葉を菜穂は口走る。柏木とは貪欲にセックスを楽しめる、望むことを声にだして伝えたくなる。自分は今どんな顔をしているのだろう。今さら恥ずかしくなってきた。

「なほ、ああ、色っぽいね。恥じらう声がたまらない。ずっと聞いていたいよ。どんどんよくしてあげるから」
 乳首を強く吸われ、同時に指が膣口にすっぽりおさまると、菜穂の喘ぎ声はさらに大きくなった。
「ああ、あん」
 Gスポットを探り当てられ、指のピストン運動が始まると全身が性器になったような感覚になる。どこもかしこも柏木の指を求め、じれったそうに震える。

「もう、ダメ。欲しいの」
「まだ挿れない。もうちょっと我慢して、他にもして欲しいことあるだろ。舐めてって、言ってごらん」
 柏木はそういうと、菜穂にまたがりペニスを顔の前に突き出した。
「咥えて」
 エラの部分を舌でなぞりながら、睾丸をサラサラと触る。カウパー汁を先端から吸うように舐めると柏木がうめいた。
「ああ、上手になったね。イキそうだ。さあ、早く舐めてって言ってごらん」
「いじわる」菜穂のヴァギナは柏木が欲しくてしびれたようになっている。「お願い、舐めて」
「いい子だ」
 そういうと、菜穂のヴァギナを顔全体で愛撫し始めた。唇や舌は言うに及ばず、甘嚙みしながら、額や鼻まで使い刺激を与えてくる。

 焦れてくる。快感が全身を貫いていく。腰をあげて揺らす自分に怖くなる。彼のたてる卑猥な音さえも効果的なBGMとなり、切なくて、欲しくて、欲しくてたまらなくなる。

 性の悦びを教えてくれたのは雄太。性の解放を教えてくれたのは柏木なのだろう。セックスは愛を確認することもさることながら、生きるということを確認する行為なのかもしれない。
 だって、わたしの身体は恥ずかしいくらい、こんなに悦んでいる。

 体勢を変え、脚をV字に広げられ、性器が露わになる。挿れる前に柏木は蜜を音をたてながら啜った。目は菜穂の顔を食い入るように見つめる。それに気づき菜穂は顔を隠そうとした。

「だめ、見ないで」
「どうして、可愛くて、見ないなんてできないよ。ああ、淫らな顔がたまらなくそそるよ」
「いじわ、」

 最後は挿入の衝撃で言葉にならなかった。荒い息遣いと性器の激しい摩擦音。柏木に舌を吸われ、胸をもみしだかれ、ピストン運動に身を任せる。

 激しい絶頂感に襲われそうになり、涙目になってきた。それを確認すると柏木の動きは加速を増した。つま先から脳天に電流が走りスパークした。
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