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第1話
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そこには古本が雑然と並べられていた。どの本も無名の画家で、そのせいか昼間だというのに客は一人もいない。建物や内装自体は掃除も行き届いていて、清潔感が感じられる。しかし看板すら無いこの古本屋に来る者は限られてた。
興味本位で何の店かすら知らないのに迷い込む観光客、一部の物好き、そしてやっとの思いでこの店を見つけ、駆け込んでくる客。
カリカはその店のカウンターに座り、酒を煽りながら書類に目を通していた。すでにそのカウンターの後ろには何本ものボトルが開いている。カリカは暇そうに欠伸しながらページを捲った。
「おい、客が来るぞ」
「分かってる。珍しいな、こんな時間に」
カリカは酒を一気に飲み干しグラスを置くと、腰を重そうにしながら立ち上がった。カランコロンとベルが鳴り、一人の客が足を踏み入れた。その人物はかなりの高身長で、茶色い裾が地面まで着きそうな大きなマントを身に纏っていた。重そうな大きいトランクケースを持っている。カリカはその顔を見ると驚いた顔をした。
「トーマスじゃないか、久しぶりだな。431年前のパーティ以来か」
カリカはトーマスを見上げながら笑ったが、彼は少しも表情を変えなかった。
「すまないがそのパーティは覚えていない」
トーマスは無愛想にそう答えた。
「まあそういうものだろう。気にするな、私の記憶力が異常なだけだから。そういえば元気にしていたか?飽きもせず本を書いているみたいだな。前は私ぐらいしか読者がいなかったのに、今では人気作家様だ」
カリカは相変わらず大口を開けて笑いながら、トーマスを本屋の奥へと誘導する。その時入り口から音がし、先程までclosedの札が店内を向いていたが、今はopenになっている。
「そういえば説明をするのを忘れていたな。私の助手だ」
何もない壁を見ながらカリカが説明すると、突然そこを通り抜けて鎧を着た人物が出てきた。兜は被っておらず、中性的な顔をしているのが分かった。
「初めまして、フィアと申します」
フィアが丁寧に礼をすると、トーマスも軽く礼を返した。しかし二人共それ以上喋る気はないようで、少しの間沈黙が流れた。
「挨拶は終わったようだから、さっさと部屋へ案内するよ。ここ暫く使っていなかったから少し埃っぽいかもしれないが気にしないでくれよ。あ、そういえば飲み物は血液でいいだろ?ホットとアイスどちらがいい?」
カリカは喋りながら本を数冊棚から取り出して床に置くと、徐に煙草をポケットから取り出して棚にある小さな丸い穴に刺した。
「どちらでも構わない」
「そうか?じゃあ両方用意しよう」
大きな物音を立てながら本棚が横に動いた。薄暗い廊下へと続いており、カリカが先導して進んでいくと、壁に取り付けられたランプが徐々に明るくなっていき、辺りが鮮明に見渡せるようになっていく。
そこは驚くべきことにとても広い空間で、白い彫刻に囲まれていた。行き止まりにドアがあり、カリカが開くとそこは比較的小さな部屋で、中心地に円卓があった。
「さて、そこへ座っていてくれ。今からフィアに血液を持ってきてもらおう。私は酒を適当に何種類か頼む」
「血液だけな」
そういうとフィアは壁をすり抜けて消えた。カリカは腰を下ろすと、煙草を取り出して火を付けた。
「ああ、無意識だった。すまないが吸わせてもらうぞ。さて、本題に入ろうか。今日は依頼があってきたんだろう」
カリカは一瞬真剣な顔をしてトーマスを見たが、すぐに笑い出した。
「そんな固くなる必要はないぞ。勿論秘密は守るし、心配するな。まあ相談料を先に払って貰おう、と言いたいところだが、古い付き合いだしそれはタダでいい。あ、しかし依頼するんだったら依頼金はちゃんと払ってもらうぞ。前金として依頼金の半分を貰う決まりだ。依頼金は相談が終わってから私が決める。依頼を受けるからには私が完璧に解決してやる。
最近は本当に依頼も少なくてな。金がなくて困っていたんだよ。いや、生活に困るほどではないんだがな。トーマスも当然知っていると思うが、私は酒と煙草がないと生きていけない。私の命だからな。
あ、血族はそういう嗜好品も楽しめないんだよな。同情するよ。まあ私たちは逆に血液の味は楽しめないが。でも知ってるか?ある国では動物の血液で作るスープがあるらしい。私達の住む国では馴染みがないが、それだったら血族も楽しめるかもしれないな」
「くだらない話をするなといつも言っているだろう」
壁からフィアが赤い液体が入っている2つのグラスを持ってきて、トーマスの前に置いた。
「そうだったな。今日はどんな用件で来た?」
カリカがそう尋ねたが、トーマスは壁の方を向いて無言を貫いている。まるで魂が抜けているようだ。
「おーい聞いてるか」
立ち上がってカリカがトーマスの目の前で手を振ると、彼はようやく気がついたようで座り直した。
「ある人物を探して欲しい」
「詳しく話を聞こう」
カリカは煙草に火をつけた。
26年前。その日は雪が降っていて、まだ昼間だというのに外を出歩いている者は少なかった。トーマスは散歩をしていた。彼は小説に行き詰まった時、時間も行先も決めずにただ街を徘徊するのが癖だった。
昨日の朝から先程までトーマスはずっと机に向かっていたが、とうとう筆が止まってしまった。普段通り彼はカフェに行って、周りの人間を観察することにした。飲みもしないブラックコーヒーを頼み、窓の前の席に座り込む。ベストのポケットから手のひらサイズのメモとペンを用意する。
ここは人間観察には絶好の場所だった。何故かというと、外を歩く人間達も店内でコーヒーやお茶を楽しむもの達の会話も聞くことができるからだ。パーティにもたまに顔を出すが、人が多すぎてすぐ人酔いしてしまう。それに対してカフェは比較的静かだから煩わしくないし、これほど絶好の場所があるだろうか。店内には数組の客がいた。読書をする客、コーヒーを飲みながら外の景色を眺める客、談笑する二人組、滅多に喋らずただデザートとコーヒーを楽しむ老年の夫婦、初々しい恋人らしき二人組の客。彼等の会話に耳を傾けながら、トーマスは外の人間達を眺めていた。
外には服屋や時計屋、宝石屋などが並んでいて、時折それらの店から人間達が出てくる。ガラス張りなのでそれぞれの店の中も少し伺うことが出来た。トーマスは宝石店にいる貴族の男女二人組を観察していた。その二人は指輪を店員に見せてもらっていた。記念日か結婚式用だろうか。幸せそうな二人は仲睦まじく微笑んでいる。
「コーヒーをお持ちしました」
ウェイターが丁寧な手つきでコーヒーをトーマスの前に置いた。
「ありがとう」
トーマスはウェイターを一瞬見て言った。馴染みがあるその人物を、名前こそ知らないがトーマスがこのカフェに通うようになってから何度か見たことがあった。いつもきちんとした身なりで乱れが一つもなく、好感があった。しかし今回は少しだけ違った。彼が履いていた革靴に少しだけ擦り傷が見受けられた。急いでいて何かに当たってしまったとか、理由は何通りでもあるのでトーマスはあまり気に留めなかった。
コーヒーのカップを手に持ち、トーマスは香りを嗅いだ。人間と同じ飲食は勿論楽しむことが出来ないので飲むことはしないが、苦手だったコーヒーの香りはこのカフェに通うようになってからいつの間にか楽しみになっていた。
二時間ほどトーマスは時折メモを取りながらそのカフェに居座っていたが、そろそろ屋敷に戻る事にした。普段は馬車を使うが、散歩をする時は使用人さえもつけることはなかった。今日は珍しく裏通りを通って帰る事にした。表通りと同じように様々な人間達、たまに人外もいて収穫があるからだ。薄暗く異臭がする裏通りは、好んで人が近づくことはない。酔っ払う者、妙な言動を繰り返す者、物乞いをする者、誘惑しようとする者。トーマスはその者達を観察しながら歩いていた。
狭い路地裏に入ったところで、不意に血液の匂いがすることに気がついた。匂いの強さからしてかなり大量の血液だ。その臭いを辿っていくと、死体があった。一目でそれが死体だと分かったのは、頭部が無かったからだ。その死体は首から下しか残っていない。切断されたと思われる首から流れる血液は、元々白かったと思われるドレスを染めていた。
それにしても、今まで嗅いだことのない血液の香りにトーマスは眩暈がしそうだった。なんとも形容し難いが、本能を刺激する、そんな香りだった。彼は革の手袋を付けた手をその流血に浸した。それをゆっくりと口に含んだ瞬間、身体中に電流が走った。舌が麻痺してしまいそうなくらい甘美だった。もっと、もっとこの血液が欲しい。全て飲み干してしまいたい。トーマスは理性を失いそうになったが、止まった。それよりもこの死体を観察したいという好奇心が勝ったからだった。
「そうしてその死体を観察していたら、市民が私を通報し、警察に連行されたんだ」
興味本位で何の店かすら知らないのに迷い込む観光客、一部の物好き、そしてやっとの思いでこの店を見つけ、駆け込んでくる客。
カリカはその店のカウンターに座り、酒を煽りながら書類に目を通していた。すでにそのカウンターの後ろには何本ものボトルが開いている。カリカは暇そうに欠伸しながらページを捲った。
「おい、客が来るぞ」
「分かってる。珍しいな、こんな時間に」
カリカは酒を一気に飲み干しグラスを置くと、腰を重そうにしながら立ち上がった。カランコロンとベルが鳴り、一人の客が足を踏み入れた。その人物はかなりの高身長で、茶色い裾が地面まで着きそうな大きなマントを身に纏っていた。重そうな大きいトランクケースを持っている。カリカはその顔を見ると驚いた顔をした。
「トーマスじゃないか、久しぶりだな。431年前のパーティ以来か」
カリカはトーマスを見上げながら笑ったが、彼は少しも表情を変えなかった。
「すまないがそのパーティは覚えていない」
トーマスは無愛想にそう答えた。
「まあそういうものだろう。気にするな、私の記憶力が異常なだけだから。そういえば元気にしていたか?飽きもせず本を書いているみたいだな。前は私ぐらいしか読者がいなかったのに、今では人気作家様だ」
カリカは相変わらず大口を開けて笑いながら、トーマスを本屋の奥へと誘導する。その時入り口から音がし、先程までclosedの札が店内を向いていたが、今はopenになっている。
「そういえば説明をするのを忘れていたな。私の助手だ」
何もない壁を見ながらカリカが説明すると、突然そこを通り抜けて鎧を着た人物が出てきた。兜は被っておらず、中性的な顔をしているのが分かった。
「初めまして、フィアと申します」
フィアが丁寧に礼をすると、トーマスも軽く礼を返した。しかし二人共それ以上喋る気はないようで、少しの間沈黙が流れた。
「挨拶は終わったようだから、さっさと部屋へ案内するよ。ここ暫く使っていなかったから少し埃っぽいかもしれないが気にしないでくれよ。あ、そういえば飲み物は血液でいいだろ?ホットとアイスどちらがいい?」
カリカは喋りながら本を数冊棚から取り出して床に置くと、徐に煙草をポケットから取り出して棚にある小さな丸い穴に刺した。
「どちらでも構わない」
「そうか?じゃあ両方用意しよう」
大きな物音を立てながら本棚が横に動いた。薄暗い廊下へと続いており、カリカが先導して進んでいくと、壁に取り付けられたランプが徐々に明るくなっていき、辺りが鮮明に見渡せるようになっていく。
そこは驚くべきことにとても広い空間で、白い彫刻に囲まれていた。行き止まりにドアがあり、カリカが開くとそこは比較的小さな部屋で、中心地に円卓があった。
「さて、そこへ座っていてくれ。今からフィアに血液を持ってきてもらおう。私は酒を適当に何種類か頼む」
「血液だけな」
そういうとフィアは壁をすり抜けて消えた。カリカは腰を下ろすと、煙草を取り出して火を付けた。
「ああ、無意識だった。すまないが吸わせてもらうぞ。さて、本題に入ろうか。今日は依頼があってきたんだろう」
カリカは一瞬真剣な顔をしてトーマスを見たが、すぐに笑い出した。
「そんな固くなる必要はないぞ。勿論秘密は守るし、心配するな。まあ相談料を先に払って貰おう、と言いたいところだが、古い付き合いだしそれはタダでいい。あ、しかし依頼するんだったら依頼金はちゃんと払ってもらうぞ。前金として依頼金の半分を貰う決まりだ。依頼金は相談が終わってから私が決める。依頼を受けるからには私が完璧に解決してやる。
最近は本当に依頼も少なくてな。金がなくて困っていたんだよ。いや、生活に困るほどではないんだがな。トーマスも当然知っていると思うが、私は酒と煙草がないと生きていけない。私の命だからな。
あ、血族はそういう嗜好品も楽しめないんだよな。同情するよ。まあ私たちは逆に血液の味は楽しめないが。でも知ってるか?ある国では動物の血液で作るスープがあるらしい。私達の住む国では馴染みがないが、それだったら血族も楽しめるかもしれないな」
「くだらない話をするなといつも言っているだろう」
壁からフィアが赤い液体が入っている2つのグラスを持ってきて、トーマスの前に置いた。
「そうだったな。今日はどんな用件で来た?」
カリカがそう尋ねたが、トーマスは壁の方を向いて無言を貫いている。まるで魂が抜けているようだ。
「おーい聞いてるか」
立ち上がってカリカがトーマスの目の前で手を振ると、彼はようやく気がついたようで座り直した。
「ある人物を探して欲しい」
「詳しく話を聞こう」
カリカは煙草に火をつけた。
26年前。その日は雪が降っていて、まだ昼間だというのに外を出歩いている者は少なかった。トーマスは散歩をしていた。彼は小説に行き詰まった時、時間も行先も決めずにただ街を徘徊するのが癖だった。
昨日の朝から先程までトーマスはずっと机に向かっていたが、とうとう筆が止まってしまった。普段通り彼はカフェに行って、周りの人間を観察することにした。飲みもしないブラックコーヒーを頼み、窓の前の席に座り込む。ベストのポケットから手のひらサイズのメモとペンを用意する。
ここは人間観察には絶好の場所だった。何故かというと、外を歩く人間達も店内でコーヒーやお茶を楽しむもの達の会話も聞くことができるからだ。パーティにもたまに顔を出すが、人が多すぎてすぐ人酔いしてしまう。それに対してカフェは比較的静かだから煩わしくないし、これほど絶好の場所があるだろうか。店内には数組の客がいた。読書をする客、コーヒーを飲みながら外の景色を眺める客、談笑する二人組、滅多に喋らずただデザートとコーヒーを楽しむ老年の夫婦、初々しい恋人らしき二人組の客。彼等の会話に耳を傾けながら、トーマスは外の人間達を眺めていた。
外には服屋や時計屋、宝石屋などが並んでいて、時折それらの店から人間達が出てくる。ガラス張りなのでそれぞれの店の中も少し伺うことが出来た。トーマスは宝石店にいる貴族の男女二人組を観察していた。その二人は指輪を店員に見せてもらっていた。記念日か結婚式用だろうか。幸せそうな二人は仲睦まじく微笑んでいる。
「コーヒーをお持ちしました」
ウェイターが丁寧な手つきでコーヒーをトーマスの前に置いた。
「ありがとう」
トーマスはウェイターを一瞬見て言った。馴染みがあるその人物を、名前こそ知らないがトーマスがこのカフェに通うようになってから何度か見たことがあった。いつもきちんとした身なりで乱れが一つもなく、好感があった。しかし今回は少しだけ違った。彼が履いていた革靴に少しだけ擦り傷が見受けられた。急いでいて何かに当たってしまったとか、理由は何通りでもあるのでトーマスはあまり気に留めなかった。
コーヒーのカップを手に持ち、トーマスは香りを嗅いだ。人間と同じ飲食は勿論楽しむことが出来ないので飲むことはしないが、苦手だったコーヒーの香りはこのカフェに通うようになってからいつの間にか楽しみになっていた。
二時間ほどトーマスは時折メモを取りながらそのカフェに居座っていたが、そろそろ屋敷に戻る事にした。普段は馬車を使うが、散歩をする時は使用人さえもつけることはなかった。今日は珍しく裏通りを通って帰る事にした。表通りと同じように様々な人間達、たまに人外もいて収穫があるからだ。薄暗く異臭がする裏通りは、好んで人が近づくことはない。酔っ払う者、妙な言動を繰り返す者、物乞いをする者、誘惑しようとする者。トーマスはその者達を観察しながら歩いていた。
狭い路地裏に入ったところで、不意に血液の匂いがすることに気がついた。匂いの強さからしてかなり大量の血液だ。その臭いを辿っていくと、死体があった。一目でそれが死体だと分かったのは、頭部が無かったからだ。その死体は首から下しか残っていない。切断されたと思われる首から流れる血液は、元々白かったと思われるドレスを染めていた。
それにしても、今まで嗅いだことのない血液の香りにトーマスは眩暈がしそうだった。なんとも形容し難いが、本能を刺激する、そんな香りだった。彼は革の手袋を付けた手をその流血に浸した。それをゆっくりと口に含んだ瞬間、身体中に電流が走った。舌が麻痺してしまいそうなくらい甘美だった。もっと、もっとこの血液が欲しい。全て飲み干してしまいたい。トーマスは理性を失いそうになったが、止まった。それよりもこの死体を観察したいという好奇心が勝ったからだった。
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