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4章 交渉編
101話 今後の方針について話そう
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「街……か。ダンジョンとは本来、外敵から核となるコアを守る為の防衛装置と言われてる。コアを成長させダンジョンを広げていくことがダンジョンマスターの役目というが、本当にそれがダンジョンマスターの総意という事でいいのか?」
此方からわざわざ街について話すことについて何か企んでいるのではないか、とルネス侯爵は思っているようだ。
確かに普通だったらダンジョンを守る存在であるダンジョンマスターが、脅威になりえる街建設という事を黙認するどころか積極的にお願いする事態はまずありえないのだろう。
一般的な認識がそのようなことであったとしてもその辺詳しいことを知らないし、そもそも前提としてダンジョンマスターが言葉を話す事は今までに無いことらしい。
それを踏まえての交渉になるのだろうが、街建設という面白そうなイベントを見逃すはずがない。
故に、今後も積極的に街に関わっていくことだろう。
寧ろダンジョンだけでなく街も育成することも視野に入れるかもしれない。
そのような事をニヤニヤしながら考えていると再び声が掛かった。
「レイ殿よ、街を建設することについては賛成の様子だが理由をお聞かせ願えないかな? なに、この歳になると少々好奇心が強うなってな色々気になってしょうがない! よければ教えてくれると今後の参考になる」
沈黙を見かねてぺトラ侯爵が賛成の理由について質問して来た。
歳を重ねるとどうも好奇心が強くなると笑いながら髭を擦るり、どこか期待に満ちた瞳からは少年の様な純粋な思いが伝わってくる。
「うーん、特にこれと言って深い理由はないんだけど、強いてあげるなら……街ってなんだか楽しそうだなって思ってね」
期待に満ちたぺトラ侯爵には申し訳ないところだが、街建設については単純に面白そうだなと思っているだけで特に理由はない。
そんな単純な理由を口に出すとぺトラ侯爵は口元を緩めた。
「はっはっはっ、街建設が面白いときたか。なるほどの、何となくじゃがお主の性格が読めてきたようだわい。そうか面白そうか……。ルネス卿、もうそろそろいいのではないかな?」
「そうだな、何か企んでいるのか真意を見極めようと思っていたのだが、その必要もなかったか。なら再度質問するが、ダンジョン周辺に街をつくっていいのだな?」
「うん、いいよ! 大きいのを建てちゃってよ!」
ルネス卿は此方を見極めるようだったらしいが、どうやら思惑ははずれたらしい。
そんな訳で今後について話を進めることにして、街をつくるにしてもどの辺に作るのが妥当なのか規模はどうするのか、或いは職人の手配はどうなのかとか、最後の方はダンジョンマスターの出る幕は殆どなかった。
ルネス侯爵とぺトラ侯爵は仲がいいようで、終始お互いの話で盛り上がっていた。
話もそろそろ終わりに近づいて来たようなので、具体的な話はダンジョンマスターの確認の必要がある案件に対して打ち合わせることを約束した。
「それにしてお主は何だかダンジョンマスターらしくないな。何かこうもっと厳つい者を想像していたのだが……」
帰り際、不意に話し掛けてきたルネス侯爵。
今までもそうだが、この先ダンジョンマスターっぽくないというのは言われ続ける未来が見えた気がした。
か弱い乙女の姿をしたダンジョンマスターなど強そうに見えないのは確かなのだが……。
「まぁ厳ついおっさんよりか弱き乙女の方が愛嬌があっていいでしょ?」
「ほぉっほぉっほぉっ、確かにその通りじゃて! なあ? ルネス卿」
「はぁ…………どうもぺトラ殿はこちらのダンジョンマスターを気に入ったようだな」
「うむ、これほど面白いダンジョンマスターとは思いもせなんだ。我ももっとごつい男を想像していたしな! そんなことより今後は良き友人として接してくれるといいのだがどうじゃろうか? レイ殿」
ルネス侯爵を揶揄っていると隣のぺトラ侯爵もまた会話に参加してきた。
今回話した限りだとこの二人はいい人達だということがわかり、フレンドリーに打ち解けることができ、特にこのぺトラ侯爵の方は、気のいいお爺さんを相手にいる感じがしてとても話し易かった。
そんなこんなで転移魔法陣を使って送ってあげようと思い付き提案すると興味あり気に食いついて来た。
転移の魔法自体は存在するが扱える者が極端に少なく、稀少な魔法で滅多にお目に掛かれないらしい。
侯爵達の護衛について来た冒険者は別途転移させるとして、魔法陣を展開する準備をしている時に冒険者で思い出したことがあり、今後のダンジョン育成に必要不可欠な事を思い出した。
「あっ! もう一つ重要な事を思い出したんだけど、このダンジョンの場所はルネスさんの領地に管轄されてるんだよね?」
「ん? そうだが、それがどうかしたのか?」
「いや、侯爵様達が来る前というよりつい最近なんだけどね、冒険者が通って来る人たちが結構いるんだけどさ、今後も活用してくれると嬉しい」
「ふむ」
この発言に対してルネス侯爵は顎に手をやり考える仕草をした後、ぺトラ侯爵に意見を求めていた。
聞くところによると、ダンジョンを発見した際は国に報告する義務が生じるらしく、今回は調査という名目でまだ国には報告をしていないらしいのだが、ダンジョンの有用性が高いと国の管轄になるとのこと。
なのでできることなら目立たない様にしていきたいというのがルネス侯爵の本音らしい。
となると大々的に冒険者を入れるのは難しのかもしれないが、そこは此方で調整すれば大丈夫だろう。
「要はあまり有用性のあるダンジョンじゃない様にすればいいんでしょ? ならドロップするアイテムの質を変えればこの問題はクリアだね!」
考えなしに発言したことに、後々後悔する羽目になることをこの時点では知る由もなかったのである。
此方からわざわざ街について話すことについて何か企んでいるのではないか、とルネス侯爵は思っているようだ。
確かに普通だったらダンジョンを守る存在であるダンジョンマスターが、脅威になりえる街建設という事を黙認するどころか積極的にお願いする事態はまずありえないのだろう。
一般的な認識がそのようなことであったとしてもその辺詳しいことを知らないし、そもそも前提としてダンジョンマスターが言葉を話す事は今までに無いことらしい。
それを踏まえての交渉になるのだろうが、街建設という面白そうなイベントを見逃すはずがない。
故に、今後も積極的に街に関わっていくことだろう。
寧ろダンジョンだけでなく街も育成することも視野に入れるかもしれない。
そのような事をニヤニヤしながら考えていると再び声が掛かった。
「レイ殿よ、街を建設することについては賛成の様子だが理由をお聞かせ願えないかな? なに、この歳になると少々好奇心が強うなってな色々気になってしょうがない! よければ教えてくれると今後の参考になる」
沈黙を見かねてぺトラ侯爵が賛成の理由について質問して来た。
歳を重ねるとどうも好奇心が強くなると笑いながら髭を擦るり、どこか期待に満ちた瞳からは少年の様な純粋な思いが伝わってくる。
「うーん、特にこれと言って深い理由はないんだけど、強いてあげるなら……街ってなんだか楽しそうだなって思ってね」
期待に満ちたぺトラ侯爵には申し訳ないところだが、街建設については単純に面白そうだなと思っているだけで特に理由はない。
そんな単純な理由を口に出すとぺトラ侯爵は口元を緩めた。
「はっはっはっ、街建設が面白いときたか。なるほどの、何となくじゃがお主の性格が読めてきたようだわい。そうか面白そうか……。ルネス卿、もうそろそろいいのではないかな?」
「そうだな、何か企んでいるのか真意を見極めようと思っていたのだが、その必要もなかったか。なら再度質問するが、ダンジョン周辺に街をつくっていいのだな?」
「うん、いいよ! 大きいのを建てちゃってよ!」
ルネス卿は此方を見極めるようだったらしいが、どうやら思惑ははずれたらしい。
そんな訳で今後について話を進めることにして、街をつくるにしてもどの辺に作るのが妥当なのか規模はどうするのか、或いは職人の手配はどうなのかとか、最後の方はダンジョンマスターの出る幕は殆どなかった。
ルネス侯爵とぺトラ侯爵は仲がいいようで、終始お互いの話で盛り上がっていた。
話もそろそろ終わりに近づいて来たようなので、具体的な話はダンジョンマスターの確認の必要がある案件に対して打ち合わせることを約束した。
「それにしてお主は何だかダンジョンマスターらしくないな。何かこうもっと厳つい者を想像していたのだが……」
帰り際、不意に話し掛けてきたルネス侯爵。
今までもそうだが、この先ダンジョンマスターっぽくないというのは言われ続ける未来が見えた気がした。
か弱い乙女の姿をしたダンジョンマスターなど強そうに見えないのは確かなのだが……。
「まぁ厳ついおっさんよりか弱き乙女の方が愛嬌があっていいでしょ?」
「ほぉっほぉっほぉっ、確かにその通りじゃて! なあ? ルネス卿」
「はぁ…………どうもぺトラ殿はこちらのダンジョンマスターを気に入ったようだな」
「うむ、これほど面白いダンジョンマスターとは思いもせなんだ。我ももっとごつい男を想像していたしな! そんなことより今後は良き友人として接してくれるといいのだがどうじゃろうか? レイ殿」
ルネス侯爵を揶揄っていると隣のぺトラ侯爵もまた会話に参加してきた。
今回話した限りだとこの二人はいい人達だということがわかり、フレンドリーに打ち解けることができ、特にこのぺトラ侯爵の方は、気のいいお爺さんを相手にいる感じがしてとても話し易かった。
そんなこんなで転移魔法陣を使って送ってあげようと思い付き提案すると興味あり気に食いついて来た。
転移の魔法自体は存在するが扱える者が極端に少なく、稀少な魔法で滅多にお目に掛かれないらしい。
侯爵達の護衛について来た冒険者は別途転移させるとして、魔法陣を展開する準備をしている時に冒険者で思い出したことがあり、今後のダンジョン育成に必要不可欠な事を思い出した。
「あっ! もう一つ重要な事を思い出したんだけど、このダンジョンの場所はルネスさんの領地に管轄されてるんだよね?」
「ん? そうだが、それがどうかしたのか?」
「いや、侯爵様達が来る前というよりつい最近なんだけどね、冒険者が通って来る人たちが結構いるんだけどさ、今後も活用してくれると嬉しい」
「ふむ」
この発言に対してルネス侯爵は顎に手をやり考える仕草をした後、ぺトラ侯爵に意見を求めていた。
聞くところによると、ダンジョンを発見した際は国に報告する義務が生じるらしく、今回は調査という名目でまだ国には報告をしていないらしいのだが、ダンジョンの有用性が高いと国の管轄になるとのこと。
なのでできることなら目立たない様にしていきたいというのがルネス侯爵の本音らしい。
となると大々的に冒険者を入れるのは難しのかもしれないが、そこは此方で調整すれば大丈夫だろう。
「要はあまり有用性のあるダンジョンじゃない様にすればいいんでしょ? ならドロップするアイテムの質を変えればこの問題はクリアだね!」
考えなしに発言したことに、後々後悔する羽目になることをこの時点では知る由もなかったのである。
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