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4章 交渉編

57話 将軍同士は仲が悪いようです

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 馬車から降りてそうそう言い争いを始めた二人。
 一人はブロンド色の髪を腰まで伸ばした女性で、端正な顔立ちからは凛々しさを感じさせる。
 背はあたしより高くほっそりとした体を包むのは白を基調に青いラインが入った鎧。
 よく手入れが行き届いた鎧からは木漏れ日に照らされ輝きを放ち、細い体をギュッと引き締めている為か胸元がとても窮屈そうに見える。
 腰には鞘に納められた複雑な彫刻が施されたロングソードを下げていた。
 それに対してもう一人は、銀色の髪を短く顎のラインで切り揃えた短髪で間から愛らしいクリッとした瞳が印象的な可憐さを感じさせる人だ。
 身長はそこまで高くはなく小柄で全体的に細いく、革のブーツを履いきその上からは長く青いローブを着込む。
 ローブには緑と白の花が刺繍され髪色と調和し、腰に二振りのショートソードを携えていた。

(何かまた厄介なのが来たような気がする)

 二人からは独特のオーラと呼べる何かを感じられ、周囲の調査隊も黙り込みながら様子を窺っている。

『レグスさん、私が聞かされているのはミリア将軍だけかと思ったのですがロマーリア将軍まで同伴なんですね』

『そりゃー俺も同意見だ』

 それからロマーリアとミリアはじゃれ合うように言い争いを数分続けた後、レグスとアレンの方へ近づいていく。

『お主が調査隊のリーダーか?』

『ああ、レグスと言う。よろしく頼む』

 ロマーリアの問い掛けに自己紹介を含め返答すると右手を突き出したレグス。
 突き出さられた右手を握りながら挨拶をした。

『うむ、ロマーリアだ。こちらこそよろしく頼む』

『あっ知ってると思うけど私ミリア、よろしくね』

 挨拶を交わしていたロマーリアの脇からひょこっと顔を出したミリアは片手を上げ挨拶をする。

『ふっお主の話など聞いておらん』

『貴方には言った覚えはないのだけど、これだからガサツな人は困るわぁ~』

『ちっ! お主と話をしていたら先に進まん……それで先にダンジョンへ潜ったのだろ? 中の様子はどうだった?』

 またも言い争いになりそうな雰囲気だったが、ロマーリアが話を進めるべくミリアを無視することに決めたようだ。
 ロマーリアの問い掛けにレグスは、調査済みのダンジョン階層数と魔物の種類や系統などを詳しく説明していく。
 ボス部屋の事、手に入れたお宝なども話の中にあった。

『ほう、20階層からは砂漠地帯だと? それもかなりの規模の砂漠か』

『ああ、20階層はかなり大規模な砂漠地帯と考えられる。今の装備じゃ先に進めないと思って引き返してきたところだ』

『なるほどな、なら私達も確認がてら潜ってみるか』

『そうね、こんな近くにダンジョンがあるとは思わなかったけど、ダンジョンに潜るのは早い方がいいわね。それにどの道、目的の為には確認しないといけないからね』

 レグスの説明を聞いた後、将軍二人は早々ダンジョンへ潜ることを決める。
 具体的に話をつめる際、少々罵声も飛び交ったりしたが、最終的には将軍二人とレグスとアレンの四人パーティーで再度探索することになった。
 後発隊のメンバーは、先発隊と合流しダンジョン周辺の調査や引き続き内部の様子などを細かく調べるらしい。

(となるとあの四人を中心にこのダンジョンを探索するということか……)

 一階層から順に進んで行く四人。
 レグスとアレンだけでもすごかったのに、ロマーリアとミリアが加わった事により更に探索速度が上がる。

『このダンジョンはこんな感じになってるのかぁールステンの所も確か洞窟から始まってたっけ』

『そうなのか? 私は迷宮都市には行ったことがないから分からんが、こっちにあるダンジョンもこんな感じだったな』

 階層を歩きながら意見を交わす将軍二人の後をついていく形でレグスとアレンが呟く。

『なぁー俺達っていらなかったんじゃないか?』

『そうですね、この様子だとそう思いますよね』

 目の前では会話をしながら風の刃で魔物を切り飛ばすロマーリアと、氷の槍で突き差すミリアの姿が映る。

(確かにあたしも思ったよ。それにしてもこの二人凄いね!)

 ダンジョン探索開始の時にチラッと詳細を確認したが、大よそ嫉妬することしか書かれていなかった。
 武器に関してはアレンとレグスに比べれば低いが、それでも二人ともレア度八や九の装備をしていた。
 それと恐ろしい事にDP吸収率が余りに良すぎてウハウハだ。

(私にとっては神様みたいな人達よね。1時間足らずで24000DPって凄すぎるわ!)

 現在、六階層を進行中でここまで一度も武器は抜いておらず魔法のみで対処している。

「はぁ、またとんでもない人達が来たわねぇー」

≪確かにレイのいう事もわかるよ! ちょっと僕心配になってきちゃった≫

 どうやらタマちゃんも同じ意見らしく共に会話を交わす。

「これだけ稼がして貰ってるんだしお宝プレゼントしちゃおっかなー」

≪いいねいいね! 何かプレゼントしたらいいことあるかも!≫

 管理画面の[お宝]を眺めていたると突然それは画面に表示された。

【ダンジョンレベルが4へ上がりました。ステータスptが2付与されます。レベル上昇に伴い『念話』の機能が解禁されました】

 どうやらそういう事らしい。
 画面にはレベル上昇の通知が静かに表示されていた。
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