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4章 交渉編

56話 後発隊は遅れて到着します

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 エビルプラントを危うげなく討伐すると、大きめの魔石と銀色の宝箱が出現し喜びの声を上げる調査隊。
 レグスはアレンを伴いながら宝箱で群がるメンバーへと近づく。

『隊長、早く開けましょうよ!!』

『まあ待て……アレンお前が開けていいぞ!』

『えっ! 私が開けていいんですか?』

『ああいいぞ!』

『それでは……』

 アレンが調査隊の前に出ると宝箱の蓋に手を掛けると声が掛かった。

『あっ! ちょっと待った! マルス、罠がないか確かめてくれるか?』

『そう言えば銀等級なら罠があってもおかしくないっすよね』

 レグスに言われて宝箱の鍵穴を覗き込む薄青い髪のマルス、数秒程見ると罠は掛かっていないと口にしながら元の位置へ戻る。
 再びアレンが宝箱の蓋に手を掛けると持ち上げた。
 中には、雫型の白い宝石と木片に赤黒い玉、黄色い札に葉っぱのレリーフが入っている。

『ほぉ銀色で魔力玉が入っているとは』

 そう言ってレグスは右手で赤黒い玉を取り出し頷きながら確認する。
 それ以外も品々を確認すると次の階層へ歩き出す。

(あれぇ~あたしが求めていた反応とは違うんですけど) 

 ボス部屋にある下層への階段を下って行くと目の前には広大な砂漠地帯が現れた。

『くっ! 森林の次は砂漠か!!』

『うわぁー熱気が凄い!!』

 見渡す限り砂で厳しい表情をする調査隊は一端階段へ退避した。

『隊長、これからどうするんですか? まさか進むとか言わないですよね?』

『当たり前だ!! 何の対策もなしで渡れる程俺も強くはないからな。ここは引き返すしかないだろう』

 調査隊のメンバーから冗談交じりの問い掛けに答えたレグスは溜息を上げながらアレンへ向き直る。

『というわけでアレン、調査は一端終了だ。今から引き返すが何か質問はあるか?』

『いえ、私の方からは特にありませんよ』

『よし、んじゃお前らぁーここらが潮時だ! 一端入り口まで引き返すぞ!』

 レグスの言葉に一同頷くと階段を上り始めた。

(おっ! 引き返していく……一先ずは安心だよ。やっぱり暑いのは堪えるよね、そう言えばヴァジリスクちゃん大丈夫かな?)

 あたしも一端、盗聴は止め伸びをするとスラリンへ沈み込む。

(うきゃー最高ぉぉーーー!!)

 ひとしきりスラリンの感触を満喫した後、管理画面を見ると驚く。

「おおぉーDPめっちゃ増えてる!!」

≪DPが増えてる? ああ、侵入者が入ってたんだったね。それで幾ら増えてるの?≫

 DPの増え具合に驚きの声を上げたあたしにタマちゃんが反応して問いかけてきた。

「それがねぇ~なんと驚きの184000DP増えてるんです!!」

≪えっ! 本当に!? それは確かにすごいねぇ≫

 始めは確か二時間で六万DPぐらいだったので、ざっと六時間で十八万DP。
 一時間当たり三万DPとゲリライベント時に稼いだポイントと近い数字だ。
 労力を考えると圧倒的にこっちの方が楽に稼げる。

(ヤバい!! 侵入者で稼いだ方が楽でいいよこれ)

 侵入者での稼ぎが余りにも良すぎるので今後の在り方を考えてしまう。
 再び画面を見ると調査隊は十二階層にいた。
 帰りの速度は異様に早くやはり何かしらの能力を持っていると予想できる。

 それから一時間足らずでダンジョンを抜けると入口付近で休憩をとる。
 数十分後、遠くの方から大きな音を立てながら近づいて来るものがいた。

『ありゃー後発隊の組か?』

『予定ではもう少し後だと思いましたが、どうやら急いできたようですね』

 レグスとアレンが音の正体を考察すると視界に確認できたのは此方へ向かってくる、複数の馬車だった。
 暫く眺めていると馬車が並ぶように停車していき、中からは後発組の調査隊メンバーが現れた。

『早かったなお前達!』

『それが……』

 レグスが声を掛けると視線を後方の馬車へと移すと、数台の馬車に紛れて華美な装飾は無いが一目で高級な作りと分かる馬車があった。

『あれに誰が乗ってるんだ? お偉いさんか?』

『まぁそうです』

 曖昧な返事をしたアレンにレグスは再び馬車へ視線を向けると丁度ドアが開かれたところだった。
 馬車から降りてきたのは、長いブロンド色の髪を靡かせ腰に長剣を差した者と、その次に銀色の髪を短く切り揃え二振りの剣を装備している女性二人が現れた。

(うわぁーめっちゃ綺麗な人出てきたんだけど……)

『ふむ、どうやらここがダンジョンの入り口のようだな』

『あら、案外開けた所なのね』

『ふぅーやっと新鮮な空気が吸える……誰かさんといると空気までどんよりするしな』

『はぁあ! それはこっちの台詞よ!! あんたが駄々を捏ねるからしょうがなく態々連れて来てあげたのに』

 馬車から降りて来て早々、罵倒し合う美人二人に周囲はただ見守ることしかできなかった。
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