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4章 交渉編
52話 どうやら調査隊が来たようです
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ヴァンパイアから再び報告が入り入口へと様子を見に行くと、そこには数十人の調査隊と思われる獅子に剣が交差した刺繍を身に付けた者達がいた。
「おいアレンちょっとこっちに来てくれ」
髪は短く切った短髪で赤みかかった色をしており、背の高いがっしりとした体格と釣り上がった眼からは時折鋭い眼光を放ち、腰に二本のロングソードを差した男が大声を上げた。
男の声に反応し近づいていくのは、こげ茶色の髪に長いローブを纏い肩からはポーチを下げている小柄な少年だ。
「レグスさん、どうかしましたか?」
小柄な少年アレンは、所々装飾が凝った高級そうな黒いローブを羽織り、首元からは金色の丸いペンダントが光に反射している。
左手に持った長杖は、白銀色を基調とし頭頂部には巨大な緑色の宝玉がくっ付き、周囲を螺旋状に包んだ隙間からは薄っすら光が漏れ、如何にも高級そうな雰囲気の杖で周囲の者も視線を向けている。
「なに少し打ち合わせをと思ってな、それに高位錬魔導士のアレン抜きで調査はできんしな……その杖は相変わらず迫力が違うな」
「迷宮探索特級のライセンスを持っているレグスさんに言われても嬉しくありませんよ。それにその腰に装備している魔剣もこの杖同様だと思いますけどね」
アレンはレグスと呼んだ男の腰に交差するよう装備されている剣を見ながら口にした。
(へぇーあの二人だけ只者じゃない雰囲気を感じるんですけど。それとお互いに役職っぽい名前で呼んでたしそれにあの武器……レア度高そうだなぁ)
二人の装備されている武器を眺めている間も話は進んでいく。
「それで今回、私の役回りはダンジョンの調査全般ということですがよろしいですかね」
「ああ、そういう事になっているが万が一の場合は臨機応変に対応してくれ。そうならないように俺達がいるが何が起こるか分からないのがダンジョンだ。お互い仕事に縛られるだけでは危ないからな」
「分かってます。それでは早々ダンジョンの中に入りますか?」
「そうだな、準備も終わったことだし……お前らー準備が調い次第順次中へ入ってくれ」
レグスが大声で周囲の者へ呼びかけると、四人一組でダンジョンへ潜っていく。
「それとアレンは重要人物だから俺と共に行動してもらう」
「レグスさんに護衛してもらえるとは心強いですね」
それから二人以外の者を入れた四人組を作るとそのままダンジョンへ入って行った。
(何か凄そうなのが来たわね。よし一端本体へ戻って観察しますか)
VR停止の『リンクオフ』と念じると視界が暗転し、見慣れた祭壇前の眺めへと切り替わる。
「ここもDPに余裕があったら模様替えしないとねぇーちょっとコア部屋とは思えないよね」
≪あっレイが戻ってきた。外の様子はどうだったの?≫
コア部屋の率直な感想と模様替えの案を口にしたあたしに、タマちゃんが外の様子を聞いてきた。
あたしは外の状況を分かった範囲で詳しく説明し、[侵入者]タブを開き調査隊の詳細を確認する作業を行う。
特に長杖を持った少年と長剣を二本携えた男を重点的に見ていく。
(長杖を持った少年アレン君はっと……)
15歳という若さにして錬金術と魔導術を極め、高位錬魔導士という数少ない職業についた若き天才。
属性は土魔法、風魔法を得意としており主に戦闘時はこの二属性を使用。
類稀な才能で複合魔法を扱う事もでき、前々から王国からスカウトされているがルネス侯爵の下で働いている。
過去に侯爵と何かがあったらしいが詳細は不明。
特徴として右手に持つ長杖『翠宝樹ユグドラシル』が有名。
神の作りし『翡翠の宝玉』を基盤に最高級のレナダイト鉱石をふんだんに使用し作られた長杖で至高の一品。
神話級の武器でレア度10。
魔法を解き放つと装備者の意思で操ることも可能で、装備者によっては天を支配できるとかないとか。
性格は至って真面目で温厚。
その可愛らしい顔立ちのお陰で好意を寄せる異性は多い。
特定の異性はおらず仕事一筋なお堅い一面もある。
(なるほど…………正直何こいつって感じよね。現地版チートじゃん)
アレン少年の経歴やらを見ていると頭が痛くなってきたので、次のレグスと呼ばれる者を見ていく。
国が定めた迷宮探索ライセンス『特級』を持つ、オルビエラ王国に存在する五人の内のひとり。
このライセンスにより未開の土地の調査や未踏破ダンジョンの調査などを無条件で行え、特権階級にあたる為、王族以外の者からの要請またはそれに準ずる事柄を拒否できる。
国内を転々としており特にダンジョン絡みの仕事を好んで受ける傾向にある。
特徴として腰に刺さる二振りの剣『魔剣ネビスレイ』『破滅剣ルグドリアス』を持つ。
毒竜ネビスの魔核とレナダイト鉱石を使った魔剣ネビスレイは、魔力を込めると刀身から瘴気又は猛毒を纏う事が出来る。
破滅剣ルグドリアスは、冥王ルグドリアスが嘗て使用していたとされる武器でその名の通り破滅を起こすといわれているが詳細は不明。
共に神話級の武器でそれぞれレア度9と10である。
性格は挑戦的で好奇心旺盛。
気難しそうな顔とは別に他人を思いやる一面を見せる事もあり好意を寄せる異性も多い。
仕事柄、顔が広く有力な貴族とのコネを多数持つ。
(……………)
レグスの説明を読み終わると画面をそっと閉じ目を瞑った。
「一言いいたい……リア充爆ぜろ」
あたしはそっと呟くのであった。
「おいアレンちょっとこっちに来てくれ」
髪は短く切った短髪で赤みかかった色をしており、背の高いがっしりとした体格と釣り上がった眼からは時折鋭い眼光を放ち、腰に二本のロングソードを差した男が大声を上げた。
男の声に反応し近づいていくのは、こげ茶色の髪に長いローブを纏い肩からはポーチを下げている小柄な少年だ。
「レグスさん、どうかしましたか?」
小柄な少年アレンは、所々装飾が凝った高級そうな黒いローブを羽織り、首元からは金色の丸いペンダントが光に反射している。
左手に持った長杖は、白銀色を基調とし頭頂部には巨大な緑色の宝玉がくっ付き、周囲を螺旋状に包んだ隙間からは薄っすら光が漏れ、如何にも高級そうな雰囲気の杖で周囲の者も視線を向けている。
「なに少し打ち合わせをと思ってな、それに高位錬魔導士のアレン抜きで調査はできんしな……その杖は相変わらず迫力が違うな」
「迷宮探索特級のライセンスを持っているレグスさんに言われても嬉しくありませんよ。それにその腰に装備している魔剣もこの杖同様だと思いますけどね」
アレンはレグスと呼んだ男の腰に交差するよう装備されている剣を見ながら口にした。
(へぇーあの二人だけ只者じゃない雰囲気を感じるんですけど。それとお互いに役職っぽい名前で呼んでたしそれにあの武器……レア度高そうだなぁ)
二人の装備されている武器を眺めている間も話は進んでいく。
「それで今回、私の役回りはダンジョンの調査全般ということですがよろしいですかね」
「ああ、そういう事になっているが万が一の場合は臨機応変に対応してくれ。そうならないように俺達がいるが何が起こるか分からないのがダンジョンだ。お互い仕事に縛られるだけでは危ないからな」
「分かってます。それでは早々ダンジョンの中に入りますか?」
「そうだな、準備も終わったことだし……お前らー準備が調い次第順次中へ入ってくれ」
レグスが大声で周囲の者へ呼びかけると、四人一組でダンジョンへ潜っていく。
「それとアレンは重要人物だから俺と共に行動してもらう」
「レグスさんに護衛してもらえるとは心強いですね」
それから二人以外の者を入れた四人組を作るとそのままダンジョンへ入って行った。
(何か凄そうなのが来たわね。よし一端本体へ戻って観察しますか)
VR停止の『リンクオフ』と念じると視界が暗転し、見慣れた祭壇前の眺めへと切り替わる。
「ここもDPに余裕があったら模様替えしないとねぇーちょっとコア部屋とは思えないよね」
≪あっレイが戻ってきた。外の様子はどうだったの?≫
コア部屋の率直な感想と模様替えの案を口にしたあたしに、タマちゃんが外の様子を聞いてきた。
あたしは外の状況を分かった範囲で詳しく説明し、[侵入者]タブを開き調査隊の詳細を確認する作業を行う。
特に長杖を持った少年と長剣を二本携えた男を重点的に見ていく。
(長杖を持った少年アレン君はっと……)
15歳という若さにして錬金術と魔導術を極め、高位錬魔導士という数少ない職業についた若き天才。
属性は土魔法、風魔法を得意としており主に戦闘時はこの二属性を使用。
類稀な才能で複合魔法を扱う事もでき、前々から王国からスカウトされているがルネス侯爵の下で働いている。
過去に侯爵と何かがあったらしいが詳細は不明。
特徴として右手に持つ長杖『翠宝樹ユグドラシル』が有名。
神の作りし『翡翠の宝玉』を基盤に最高級のレナダイト鉱石をふんだんに使用し作られた長杖で至高の一品。
神話級の武器でレア度10。
魔法を解き放つと装備者の意思で操ることも可能で、装備者によっては天を支配できるとかないとか。
性格は至って真面目で温厚。
その可愛らしい顔立ちのお陰で好意を寄せる異性は多い。
特定の異性はおらず仕事一筋なお堅い一面もある。
(なるほど…………正直何こいつって感じよね。現地版チートじゃん)
アレン少年の経歴やらを見ていると頭が痛くなってきたので、次のレグスと呼ばれる者を見ていく。
国が定めた迷宮探索ライセンス『特級』を持つ、オルビエラ王国に存在する五人の内のひとり。
このライセンスにより未開の土地の調査や未踏破ダンジョンの調査などを無条件で行え、特権階級にあたる為、王族以外の者からの要請またはそれに準ずる事柄を拒否できる。
国内を転々としており特にダンジョン絡みの仕事を好んで受ける傾向にある。
特徴として腰に刺さる二振りの剣『魔剣ネビスレイ』『破滅剣ルグドリアス』を持つ。
毒竜ネビスの魔核とレナダイト鉱石を使った魔剣ネビスレイは、魔力を込めると刀身から瘴気又は猛毒を纏う事が出来る。
破滅剣ルグドリアスは、冥王ルグドリアスが嘗て使用していたとされる武器でその名の通り破滅を起こすといわれているが詳細は不明。
共に神話級の武器でそれぞれレア度9と10である。
性格は挑戦的で好奇心旺盛。
気難しそうな顔とは別に他人を思いやる一面を見せる事もあり好意を寄せる異性も多い。
仕事柄、顔が広く有力な貴族とのコネを多数持つ。
(……………)
レグスの説明を読み終わると画面をそっと閉じ目を瞑った。
「一言いいたい……リア充爆ぜろ」
あたしはそっと呟くのであった。
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