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3章 紛争編
34話 王国会議‐中‐
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秘書のマリベルと将軍ロマーリアと打ち合わせをした翌日、儂はフォルメス城の裏にある広場へ向かっている。
広場といっても飛空船の発着場であるがな。
(相変わらずなんど見ても驚かせられるいい飛空船じゃな)
発着場へ向かっていると遠くの方に飛空船と思われる巨大なマストが三本見えた。
暫く歩くと発着場には慌ただしく荷物を運ぶ者や整備をする者などが忙しなく動いている様子が確認できる。
「おはようございますぺトラ様。飛空船の出発にはもう暫く掛かると思いますので此方へどうぞ」
儂が姿を現すとあれこれ指示を出していたマリベルが此方へ近づき、挨拶をすると促すように声を掛けてくる。
マリベルの後を追いながら出発準備を整えている飛空船を見上げる。
この飛空船を始めて見た者ならまずその大きさに驚くことだろう。
巨大なマスト三本には風を推進力へと変える帆が折り畳まれ、船を動かす動力には以前国が主催する競売で飛行船を作る為にだけに魔導石を競り落としたものが使われている。
(人の頭部ほどの大きさであれだけ値が釣り上がるとは正直、思ってもいなかったわい)
飛行船の側に待合室が設置された部屋へ入っていくと、マリベルが話をする。
「飛空艇で首都には大よそ半日かかると思われます。到着後、龍白亭に二日宿泊し王国会議へ参加します。予定では二日ほどという話でしたが長引くことを予想して、下の者には言っております。ですので……」
それから暫くマリベルの日程説明を聞き流していると出発準備が調ったと、待合室に報告が届いた。
(さて、行くとするかの)
待合室から出ると丁度その頃にロマーリアとも合流し飛行船へ乗り込んだ。
半日、飛行船の旅を楽しみ首都ヴィニオンへ到着した。
船旅は快適そのもので久しぶりに自由を満喫でき、これから行われる会議も晴れやかな気持ちで迎えられることだろう。
その後、龍白亭で二日過ごした儂は、会議の場所である王城へと馬車で向かう。
王城と言ってもかなりの広さがあり、今回向かうのはいつも会議が行われる場所だ。
王城の門を通り過ぎ奥まで進むと正面階段が見え、そこには馬車が一台停まっており獅子と剣が交差した紋章が確認できる。
(ふむ、どうやらルネス卿と時間が被ったようだな)
馬車の横へ停車すると、王城から迎えの者が近づきマリベルが対応する。
馬車から降りると反対側にはルネス卿が立ち部下の者と話をしていた。
(少々挨拶をするかの)
獅子の紋章が入った馬車へとロマーリアを伴いながら近づくと彼方も気がついたようだ。
「ルネス卿、直に会うのは久しいな」
「おおぉこれはぺトラ卿、久しぶりですな。息災でなりより」
「流石にこの歳になると足腰くるものがあるがな。ルネス卿も以前会った時と変わらぬではないか」
「はっはっはっ、これでも見た目以上には老けているのだがな」
それから少々挨拶を交わしマリベル、ロマーリアを伴い会議場へルネス卿と共に向かう。
「今回の会議は急な招集だったがどういったわけかご存知かな? ルネス卿」
王城の廊下を歩きながら隣で歩くルネス卿へ尋ねる。
「いや、今回の内容については詳しくは知らないな」
ルネス卿と話を交わしながら歩き、会議場が見え扉の前には二人の王国騎士と思われる者が警備をしている。
扉へ近づき騎士が扉を開けると部屋へ入り定位置の席へと座る。
会議場には招集された者達が座って此方の様子を窺ってきた。
(どうやら儂らが最後のようだな)
席に着いてから暫くして扉が開かれ、宰相と王国騎士団長その他護衛が入って来た。
正面の席へ座ると順に見渡し口を開く。
「ふむ、揃っているようだな。先に謝辞を述べさせてくもらうが、急な呼びかけに応えてもらい感謝する。それでだが今回、緊急に招集をした理由を説明する」
宰相の謝辞の後、後方で控えている者が後を引き継ぎ招集の理由を説明し始めた。
「それでは、今回緊急に招集した理由についてですが、以前から隣国のダラム国が本国へ度々進攻してきているのはご存知だと思います。密偵の者から『大々的な動きあり』との報告を受けました。それから調査を行うと数日前に戦争の兆しを確認しました。恐らくですが近々大きな戦乱が起こると判断し今回皆様にはその為に招集を掛けさせて頂きました」
手元の資料を見ながら報告を終えると後方へ下がった。
(戦乱とな……また厄介な話が出てきたな)
隣を見るとルネス卿が渋い顔つきをしており、他の者も少なからず驚いているように見える。
「今の報告通りダラム国が戦争の準備をしている。相手が誰であるかはまだ憶測でしかないが、状況から察するにオルビエラ王国だと考えている。あくまで推測の範疇であるのを理解いただきたい。それでだが皆にはその際の取り決めしてもらいたく本日はお招きした次第だ」
宰相の話を補足するように先ほどの者が口を紡ぐ
「宰相が言われました通り、密偵の報告とこれまでの度々の進攻から我が国オルビエラ王国が標的だと思われます。その際、皆様方には兵を出していただきたい。王国側の兵を含めて大よそ12万と考えていおります。うち王国側は2万程出兵予定です。残り10万を皆様方から兵を出して頂きたく思います」
この出兵には大よそ決まりがあり、階級が高い者ほど出兵しなくてはならない。
その為、儂のところからは少なくとも数万は出兵させなければ示しがつかなくなる。
(なるほどの、となると儂のところからは2万程出兵させればよいかな)
最終的には、侯爵である儂とルネス卿、アルバート卿がそれぞれ二万出兵することになった。
残りの四万程は以下伯爵がそれぞれ四千程出兵することが決まり、その後各人に注意喚起を行うと会議が終了した。
(ふぅーやっと終わったか。まさか戦争を起こそうと思っていたとは相変わらず馬鹿な国だ)
会議場から出るとマリベルと意見を交わした後、夕刻後に晩餐会が開かれる事になっているのでその支度を始める。
広場といっても飛空船の発着場であるがな。
(相変わらずなんど見ても驚かせられるいい飛空船じゃな)
発着場へ向かっていると遠くの方に飛空船と思われる巨大なマストが三本見えた。
暫く歩くと発着場には慌ただしく荷物を運ぶ者や整備をする者などが忙しなく動いている様子が確認できる。
「おはようございますぺトラ様。飛空船の出発にはもう暫く掛かると思いますので此方へどうぞ」
儂が姿を現すとあれこれ指示を出していたマリベルが此方へ近づき、挨拶をすると促すように声を掛けてくる。
マリベルの後を追いながら出発準備を整えている飛空船を見上げる。
この飛空船を始めて見た者ならまずその大きさに驚くことだろう。
巨大なマスト三本には風を推進力へと変える帆が折り畳まれ、船を動かす動力には以前国が主催する競売で飛行船を作る為にだけに魔導石を競り落としたものが使われている。
(人の頭部ほどの大きさであれだけ値が釣り上がるとは正直、思ってもいなかったわい)
飛行船の側に待合室が設置された部屋へ入っていくと、マリベルが話をする。
「飛空艇で首都には大よそ半日かかると思われます。到着後、龍白亭に二日宿泊し王国会議へ参加します。予定では二日ほどという話でしたが長引くことを予想して、下の者には言っております。ですので……」
それから暫くマリベルの日程説明を聞き流していると出発準備が調ったと、待合室に報告が届いた。
(さて、行くとするかの)
待合室から出ると丁度その頃にロマーリアとも合流し飛行船へ乗り込んだ。
半日、飛行船の旅を楽しみ首都ヴィニオンへ到着した。
船旅は快適そのもので久しぶりに自由を満喫でき、これから行われる会議も晴れやかな気持ちで迎えられることだろう。
その後、龍白亭で二日過ごした儂は、会議の場所である王城へと馬車で向かう。
王城と言ってもかなりの広さがあり、今回向かうのはいつも会議が行われる場所だ。
王城の門を通り過ぎ奥まで進むと正面階段が見え、そこには馬車が一台停まっており獅子と剣が交差した紋章が確認できる。
(ふむ、どうやらルネス卿と時間が被ったようだな)
馬車の横へ停車すると、王城から迎えの者が近づきマリベルが対応する。
馬車から降りると反対側にはルネス卿が立ち部下の者と話をしていた。
(少々挨拶をするかの)
獅子の紋章が入った馬車へとロマーリアを伴いながら近づくと彼方も気がついたようだ。
「ルネス卿、直に会うのは久しいな」
「おおぉこれはぺトラ卿、久しぶりですな。息災でなりより」
「流石にこの歳になると足腰くるものがあるがな。ルネス卿も以前会った時と変わらぬではないか」
「はっはっはっ、これでも見た目以上には老けているのだがな」
それから少々挨拶を交わしマリベル、ロマーリアを伴い会議場へルネス卿と共に向かう。
「今回の会議は急な招集だったがどういったわけかご存知かな? ルネス卿」
王城の廊下を歩きながら隣で歩くルネス卿へ尋ねる。
「いや、今回の内容については詳しくは知らないな」
ルネス卿と話を交わしながら歩き、会議場が見え扉の前には二人の王国騎士と思われる者が警備をしている。
扉へ近づき騎士が扉を開けると部屋へ入り定位置の席へと座る。
会議場には招集された者達が座って此方の様子を窺ってきた。
(どうやら儂らが最後のようだな)
席に着いてから暫くして扉が開かれ、宰相と王国騎士団長その他護衛が入って来た。
正面の席へ座ると順に見渡し口を開く。
「ふむ、揃っているようだな。先に謝辞を述べさせてくもらうが、急な呼びかけに応えてもらい感謝する。それでだが今回、緊急に招集をした理由を説明する」
宰相の謝辞の後、後方で控えている者が後を引き継ぎ招集の理由を説明し始めた。
「それでは、今回緊急に招集した理由についてですが、以前から隣国のダラム国が本国へ度々進攻してきているのはご存知だと思います。密偵の者から『大々的な動きあり』との報告を受けました。それから調査を行うと数日前に戦争の兆しを確認しました。恐らくですが近々大きな戦乱が起こると判断し今回皆様にはその為に招集を掛けさせて頂きました」
手元の資料を見ながら報告を終えると後方へ下がった。
(戦乱とな……また厄介な話が出てきたな)
隣を見るとルネス卿が渋い顔つきをしており、他の者も少なからず驚いているように見える。
「今の報告通りダラム国が戦争の準備をしている。相手が誰であるかはまだ憶測でしかないが、状況から察するにオルビエラ王国だと考えている。あくまで推測の範疇であるのを理解いただきたい。それでだが皆にはその際の取り決めしてもらいたく本日はお招きした次第だ」
宰相の話を補足するように先ほどの者が口を紡ぐ
「宰相が言われました通り、密偵の報告とこれまでの度々の進攻から我が国オルビエラ王国が標的だと思われます。その際、皆様方には兵を出していただきたい。王国側の兵を含めて大よそ12万と考えていおります。うち王国側は2万程出兵予定です。残り10万を皆様方から兵を出して頂きたく思います」
この出兵には大よそ決まりがあり、階級が高い者ほど出兵しなくてはならない。
その為、儂のところからは少なくとも数万は出兵させなければ示しがつかなくなる。
(なるほどの、となると儂のところからは2万程出兵させればよいかな)
最終的には、侯爵である儂とルネス卿、アルバート卿がそれぞれ二万出兵することになった。
残りの四万程は以下伯爵がそれぞれ四千程出兵することが決まり、その後各人に注意喚起を行うと会議が終了した。
(ふぅーやっと終わったか。まさか戦争を起こそうと思っていたとは相変わらず馬鹿な国だ)
会議場から出るとマリベルと意見を交わした後、夕刻後に晩餐会が開かれる事になっているのでその支度を始める。
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