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「あっ友里!」
私を発見してそう口にしたのは遠藤千佳。顎のラインでカールするように切り揃えられたボブヘアにタレ目が特徴でポジティブ思考な明るい性格の持ち主。私より背は低く、だいたい150前後で小動物を思わせる人物だ。そんな千佳とは中学生の時からの付き合いでかつ数少ないゲーム仲間の一人だ。
千佳が片手を振っている隣で真剣な眼差しをこちらへ向けてくるのはもう一人の親友、藤崎恵梨香。肩甲骨辺りまで伸ばした艶のある長い髪、細身でルックスが良くしばしば芸能人に間違われることがあると愚痴っている。こちらは高校生の時に知り合った友達でオンラインゲームが趣味ということから意気投合、その頃に千佳も紹介して三人でオンラインゲームをする仲だ。
二人とも私と違って就業中の身でありながら少ない時間をゲームに費やしている親友でもあり戦友でもある。そんな二人にチャットを入れてネットカフェに集合するように予定を組んだのはべゼルシス・オンラインのデータチップが届く一日前だ。本当は当日に集合する予定であったのだが急遽変更して一日前倒しにした。というのもべゼルシス・オンラインの提供元であるテクシス社が新たな情報を公開したためだ。
「友里、パッチ2.0の情報は既に知っていると思うけど私が思うに――」
「――はいはい、その件については建物に入ってからね。流石にここで話すわけには行かないから」
待ちきれないと言った様子で最新の情報に関して考察を話し始めた恵梨香を私が遮ってネットカフェへと促した。まさか入口で話すわけにも行かず、周囲に当選したことがばれれば厄介なことになりかねない。実際、べゼルシス・オンラインのデータチップを巡って既に犯罪が多数発生しているため迂闊に口にすることは危険だ。それを察した恵梨香も口を閉ざして後方のネットカフェへ視線をやった。
「それもそうね。なら早く中へ入りましょ」
恵梨香は身を翻しそそくさと建物内へ入って行った。私は千佳と顔を見合わせながらお互いに苦笑いを浮かべて後に続いた。
何度か利用したことがあるネットカフェなので三人が入れるだけの個室をひとつ確保した。途中、自販機で各自飲み物を適当に買って個室へ向かう。ちなみに私が買ったのはコーヒーと牛乳をブレンドし適度な糖分量で調整されたカフェオレだ。実はここのネカフェに売られているカフェオレがお気に入りだったりする。
個室に入った私達は脇に荷物を置いてスマホを取り出す。部屋の真ん中に備え付けられた木製のテーブルに先ほど買った飲み物と各自の必要な物を置いた。私はというとそれに加え自前のノートパソコンを広げてテクシス社のホームページにアクセスし画面を表示させた。
「まさかこのタイミングでパッチの公開とは、狙ってるよね?」
「そうでしょうね、寧ろこのタイミングでの公開はそうとしか取りようがないわね。それにしても新たな陣営を追加してくるとは思わなかったわ」
「そうだよね! 私もスマホに通知が来たときはビックリしたよ。内容を読んだ時は更にビックリしたけど」
べゼルシス・オンラインの公式ホームページに入った私は新たに公開された情報が記載されたリンク先へ飛ぶ。そこには『春季ユーザーの案内とバージョン2.0のお知らせ』と題したタイトルと長い文面が表示された。
前半の部分は抽選に当選したユーザーへの祝いの言葉とデータチップの安全郵送並びに時差の関係で若干バラつきがあるので了承いただきたい旨の内容がつづられていた。そして本題は後半のバージョン2.0についてだ。
『新規ユーザーに伴いバージョン2.0の実装する運びになりました。つきまして詳しい内容は下記欄にて表記してありますのでご確認ください。簡単ではありますが今回実装されるバージョン2.0について大まかに変更された点について説明致します。一つ目は既存の陣営に加え第四の陣営《妖精》の追加です。任意ではありますが新規ユーザーの皆様には《妖精》陣営に所属することをお勧めします。様々な特典や他陣営に追いつくための措置としていくつかのボーナスがあります。詳しい内容につきましては下記欄を参照してください。二つ目は――』
これまでのべゼルシス・オンラインは《古龍》《獅子》《不死鳥》の三陣営に分かれて各資源の奪い合いや他陣営とのPvPやPvEを行ってきた。そしてそこに第四の勢力《妖精》が加わることになる。どういった経緯で追加をすることになったのか想像もつかないが、現在プレイしているユーザー間ではそう言った追加要請の意見がされたという話は聞かない。しかし、何らかの事情があるにせよ私達にとってはとても都合のいい話だ。何といっても新たな陣営と共に成長することができるのだから。
「それにしても急な話よね、これから始める新規のプレイヤーにとっては好都合でしょうけど。そう言えばまだ確認していなかったのだけど、私たちの陣営はもちろん――」
「――《妖精》に決まってるじゃん」
「だよねー今更他の陣営に言っても旨みがないもんね」
恵梨香の確認に私が即答で答え、千佳が同意する。
抽選枠に個人と団体という枠組みがあり、団体の方はちょうど三人まで申し込みが可能でこれを見た時なぜか鳥肌がたった。その団体欄を見るまでは私ひとりでエントリーする予定だったがすぐさま二人に確認を取って個人から団体エントリーへと切り替えた。そして運の良い事に見事当選しましたというのを通知で受け取ったのが年を跨いだ一月末のことだ。
二人に当選した旨の通知を送った時、二人とも驚いてチャットで喜びを分かち合った。もちろん当選の通知が来た週の週末に三人集まって当選おめでとう会を開いたりもした。
それから私は他オンラインゲームをプレイする傍らべゼルシス・オンラインの情報を漁った。だが不思議なことにどの掲示板やサイトを覗いても込み入った詳しい内容の記事は載っていなくて、本当に存在するの? って疑ったりもした。だけどなぜあまり情報が出回っていないのか考えるうちにこのオンラインゲームの本質に辿り着く。
それは三陣営に分かれて互いに争い合うというゲームシステムにある。自陣営や自分を成長させるために他の陣営を蹴落とす、そんなこの世の摂理とも言える弱肉強食なシステム。極端に情報が少ないのは単に他陣営の有益に繋がるような書き込みや情報を漏えいさせないための防衛手段であることに気づいた時は、ああこれじゃ情報がないのも頷けると溜息をついたものだ。
ある程度出回っている情報については頭に入れたが実際のところはプレイするまで何も分からない状況だ。私自身、新たなゲームをする時でも事前に前情報を頭に入れることが多い。なので久方ぶりに待ち望んだゲームを何の前情報もないままプレイする独特の不安に懐かしさを覚えた。
「いろいろサイトとか掲示板とか覗いてみたけどあんまし情報はなかった。恐らく重要な情報の漏えいを防ぐために意図的に隠してる部分があると思う」
「でしょうね、稀に見る高換金レートのオンラインゲームだもの。そりゃみんな必死になるわよ」
「このゲームで生活費を賄ってる人って多そうだもんね」
「そういや、二人はどうするか決めたの?」
「私は問題ないよ。今の会社に未練もないし、好きな事で稼げるならそれに越したことはないからね。万が一軌道に乗らなかった場合は友里に稼げるオンラインゲームを教えてもらうことにするよ」
「万が一の場合はね。まっ軌道にはちゃんと乗せるから大丈夫大丈夫、安心していいよ」
「その自信はどこから来るのか私は知りたいよ」
本格的にオンラインゲームで稼ぐなら仕事との両立は難しい。これは私の経験則から基づいた結果だ。なので千佳の言葉を聞き一つ目の心残りが解決した。残りはもう一人の方だが……。
「私も問題ないわ。既に引き継ぎを終えて退職届を出してたから安心して」
「はや!!」
「恵梨香ちゃん早いよー、私まだ退職届だしてないんだけど」
「千佳もさっさと出しなさい。もたもたしている間に私達との差がどんどん開くことになるわよ~」
「えぇーー!!」
「千佳、急に大声出さないで!」
「ごめん」
「ふぅーこれでなんの憂いもなくプレイできる……あとはデータチップを待つのみか」
私は隣で千佳を説教している恵梨香に視線を向ける。
カフェ前で合った時の恵梨香の真剣さを思い出す。若干棘を感じる程の鋭い視線、その裏に職場を退職したという事実が隠れていた。一世一代の大勝負! とまではいかないものの相当悩んで悩み抜いた末に行きついた恵梨香なりの答えなのだろう。
会社を辞めてはや数年になる私に職を持たない不安というものは既に失われた感情だ。ここ数年、オンラインゲームで利益をあげ生活費を稼ぐことに慣れ切ってしまった私にとっては些細な変化であるが二人は違う。多少の蓄えはあるだろうがこの先やっていけるのだろうかと見えない不安に押しつぶさながら日々を過ごすことになる。その影響で情緒不安定になる場合もあるのでその辺できるかぎり私なりにフォローしながら最前線を目指す。
先行プレイヤーとは一年の差が存在するが今まであらゆるゲームで培った知識と経験を遺憾なく発揮すればそう遠くない未来に前線へ辿り着くはず。当面の目標は逸早くゲームに慣れて成長すること、そして上位陣に食い込み利益を得ること。
私の経験上、オンラインゲームで利益を得るまでに必要な時間は一カ月。ゲームの種類にもよるがだいたいこのくらい掛かるとよんでいる。なのでなるべく効率重視で攻略を進めて行きたいところだ。
「わかったからわかったから恵梨香、そんなに抓らないでよー」
「本当かしら? 私にはそう見えないんだけど」
「二人ともその辺にしてね。そろそろ打ち合わせとか重要な話とかするからさ」
「ういぃー」
「はぁ、わかったわ」
二人のじゃれ合いに水を差しながら私はこれからの方針や話し合う必要がある案件などを説明するため準備を始めた。
私を発見してそう口にしたのは遠藤千佳。顎のラインでカールするように切り揃えられたボブヘアにタレ目が特徴でポジティブ思考な明るい性格の持ち主。私より背は低く、だいたい150前後で小動物を思わせる人物だ。そんな千佳とは中学生の時からの付き合いでかつ数少ないゲーム仲間の一人だ。
千佳が片手を振っている隣で真剣な眼差しをこちらへ向けてくるのはもう一人の親友、藤崎恵梨香。肩甲骨辺りまで伸ばした艶のある長い髪、細身でルックスが良くしばしば芸能人に間違われることがあると愚痴っている。こちらは高校生の時に知り合った友達でオンラインゲームが趣味ということから意気投合、その頃に千佳も紹介して三人でオンラインゲームをする仲だ。
二人とも私と違って就業中の身でありながら少ない時間をゲームに費やしている親友でもあり戦友でもある。そんな二人にチャットを入れてネットカフェに集合するように予定を組んだのはべゼルシス・オンラインのデータチップが届く一日前だ。本当は当日に集合する予定であったのだが急遽変更して一日前倒しにした。というのもべゼルシス・オンラインの提供元であるテクシス社が新たな情報を公開したためだ。
「友里、パッチ2.0の情報は既に知っていると思うけど私が思うに――」
「――はいはい、その件については建物に入ってからね。流石にここで話すわけには行かないから」
待ちきれないと言った様子で最新の情報に関して考察を話し始めた恵梨香を私が遮ってネットカフェへと促した。まさか入口で話すわけにも行かず、周囲に当選したことがばれれば厄介なことになりかねない。実際、べゼルシス・オンラインのデータチップを巡って既に犯罪が多数発生しているため迂闊に口にすることは危険だ。それを察した恵梨香も口を閉ざして後方のネットカフェへ視線をやった。
「それもそうね。なら早く中へ入りましょ」
恵梨香は身を翻しそそくさと建物内へ入って行った。私は千佳と顔を見合わせながらお互いに苦笑いを浮かべて後に続いた。
何度か利用したことがあるネットカフェなので三人が入れるだけの個室をひとつ確保した。途中、自販機で各自飲み物を適当に買って個室へ向かう。ちなみに私が買ったのはコーヒーと牛乳をブレンドし適度な糖分量で調整されたカフェオレだ。実はここのネカフェに売られているカフェオレがお気に入りだったりする。
個室に入った私達は脇に荷物を置いてスマホを取り出す。部屋の真ん中に備え付けられた木製のテーブルに先ほど買った飲み物と各自の必要な物を置いた。私はというとそれに加え自前のノートパソコンを広げてテクシス社のホームページにアクセスし画面を表示させた。
「まさかこのタイミングでパッチの公開とは、狙ってるよね?」
「そうでしょうね、寧ろこのタイミングでの公開はそうとしか取りようがないわね。それにしても新たな陣営を追加してくるとは思わなかったわ」
「そうだよね! 私もスマホに通知が来たときはビックリしたよ。内容を読んだ時は更にビックリしたけど」
べゼルシス・オンラインの公式ホームページに入った私は新たに公開された情報が記載されたリンク先へ飛ぶ。そこには『春季ユーザーの案内とバージョン2.0のお知らせ』と題したタイトルと長い文面が表示された。
前半の部分は抽選に当選したユーザーへの祝いの言葉とデータチップの安全郵送並びに時差の関係で若干バラつきがあるので了承いただきたい旨の内容がつづられていた。そして本題は後半のバージョン2.0についてだ。
『新規ユーザーに伴いバージョン2.0の実装する運びになりました。つきまして詳しい内容は下記欄にて表記してありますのでご確認ください。簡単ではありますが今回実装されるバージョン2.0について大まかに変更された点について説明致します。一つ目は既存の陣営に加え第四の陣営《妖精》の追加です。任意ではありますが新規ユーザーの皆様には《妖精》陣営に所属することをお勧めします。様々な特典や他陣営に追いつくための措置としていくつかのボーナスがあります。詳しい内容につきましては下記欄を参照してください。二つ目は――』
これまでのべゼルシス・オンラインは《古龍》《獅子》《不死鳥》の三陣営に分かれて各資源の奪い合いや他陣営とのPvPやPvEを行ってきた。そしてそこに第四の勢力《妖精》が加わることになる。どういった経緯で追加をすることになったのか想像もつかないが、現在プレイしているユーザー間ではそう言った追加要請の意見がされたという話は聞かない。しかし、何らかの事情があるにせよ私達にとってはとても都合のいい話だ。何といっても新たな陣営と共に成長することができるのだから。
「それにしても急な話よね、これから始める新規のプレイヤーにとっては好都合でしょうけど。そう言えばまだ確認していなかったのだけど、私たちの陣営はもちろん――」
「――《妖精》に決まってるじゃん」
「だよねー今更他の陣営に言っても旨みがないもんね」
恵梨香の確認に私が即答で答え、千佳が同意する。
抽選枠に個人と団体という枠組みがあり、団体の方はちょうど三人まで申し込みが可能でこれを見た時なぜか鳥肌がたった。その団体欄を見るまでは私ひとりでエントリーする予定だったがすぐさま二人に確認を取って個人から団体エントリーへと切り替えた。そして運の良い事に見事当選しましたというのを通知で受け取ったのが年を跨いだ一月末のことだ。
二人に当選した旨の通知を送った時、二人とも驚いてチャットで喜びを分かち合った。もちろん当選の通知が来た週の週末に三人集まって当選おめでとう会を開いたりもした。
それから私は他オンラインゲームをプレイする傍らべゼルシス・オンラインの情報を漁った。だが不思議なことにどの掲示板やサイトを覗いても込み入った詳しい内容の記事は載っていなくて、本当に存在するの? って疑ったりもした。だけどなぜあまり情報が出回っていないのか考えるうちにこのオンラインゲームの本質に辿り着く。
それは三陣営に分かれて互いに争い合うというゲームシステムにある。自陣営や自分を成長させるために他の陣営を蹴落とす、そんなこの世の摂理とも言える弱肉強食なシステム。極端に情報が少ないのは単に他陣営の有益に繋がるような書き込みや情報を漏えいさせないための防衛手段であることに気づいた時は、ああこれじゃ情報がないのも頷けると溜息をついたものだ。
ある程度出回っている情報については頭に入れたが実際のところはプレイするまで何も分からない状況だ。私自身、新たなゲームをする時でも事前に前情報を頭に入れることが多い。なので久方ぶりに待ち望んだゲームを何の前情報もないままプレイする独特の不安に懐かしさを覚えた。
「いろいろサイトとか掲示板とか覗いてみたけどあんまし情報はなかった。恐らく重要な情報の漏えいを防ぐために意図的に隠してる部分があると思う」
「でしょうね、稀に見る高換金レートのオンラインゲームだもの。そりゃみんな必死になるわよ」
「このゲームで生活費を賄ってる人って多そうだもんね」
「そういや、二人はどうするか決めたの?」
「私は問題ないよ。今の会社に未練もないし、好きな事で稼げるならそれに越したことはないからね。万が一軌道に乗らなかった場合は友里に稼げるオンラインゲームを教えてもらうことにするよ」
「万が一の場合はね。まっ軌道にはちゃんと乗せるから大丈夫大丈夫、安心していいよ」
「その自信はどこから来るのか私は知りたいよ」
本格的にオンラインゲームで稼ぐなら仕事との両立は難しい。これは私の経験則から基づいた結果だ。なので千佳の言葉を聞き一つ目の心残りが解決した。残りはもう一人の方だが……。
「私も問題ないわ。既に引き継ぎを終えて退職届を出してたから安心して」
「はや!!」
「恵梨香ちゃん早いよー、私まだ退職届だしてないんだけど」
「千佳もさっさと出しなさい。もたもたしている間に私達との差がどんどん開くことになるわよ~」
「えぇーー!!」
「千佳、急に大声出さないで!」
「ごめん」
「ふぅーこれでなんの憂いもなくプレイできる……あとはデータチップを待つのみか」
私は隣で千佳を説教している恵梨香に視線を向ける。
カフェ前で合った時の恵梨香の真剣さを思い出す。若干棘を感じる程の鋭い視線、その裏に職場を退職したという事実が隠れていた。一世一代の大勝負! とまではいかないものの相当悩んで悩み抜いた末に行きついた恵梨香なりの答えなのだろう。
会社を辞めてはや数年になる私に職を持たない不安というものは既に失われた感情だ。ここ数年、オンラインゲームで利益をあげ生活費を稼ぐことに慣れ切ってしまった私にとっては些細な変化であるが二人は違う。多少の蓄えはあるだろうがこの先やっていけるのだろうかと見えない不安に押しつぶさながら日々を過ごすことになる。その影響で情緒不安定になる場合もあるのでその辺できるかぎり私なりにフォローしながら最前線を目指す。
先行プレイヤーとは一年の差が存在するが今まであらゆるゲームで培った知識と経験を遺憾なく発揮すればそう遠くない未来に前線へ辿り着くはず。当面の目標は逸早くゲームに慣れて成長すること、そして上位陣に食い込み利益を得ること。
私の経験上、オンラインゲームで利益を得るまでに必要な時間は一カ月。ゲームの種類にもよるがだいたいこのくらい掛かるとよんでいる。なのでなるべく効率重視で攻略を進めて行きたいところだ。
「わかったからわかったから恵梨香、そんなに抓らないでよー」
「本当かしら? 私にはそう見えないんだけど」
「二人ともその辺にしてね。そろそろ打ち合わせとか重要な話とかするからさ」
「ういぃー」
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