上 下
1 / 18
序章

自称神様と転生門

しおりを挟む
それはいつもと変わり映えのしない日のことだった。

天気は晴れており、いつものように高校に通っていた山田。

毎日の日課のように頻発して起きる

”電柱に頭をぶつける”も起きず。


”通学途中に犬に吠えられる”も起きなかった。


いや、一般人からすれば当たり前のことなのかもしれない。

しかし山田はそれが日常であるが故に違和感を感じていたのだ。



「何かがおかしい」


山田は察したのだ。この溢れる違和感に。


そんな違和感を感じながら学校を目指していると、突然目の前が真っ暗になったのだ。


「病気か?いつものことだ、また目が覚めたら病院のベッドでしたぁってオチだろう」

いつものことだと割り切り、山田は目を開ける努力をしなかった。


それから何時間立ったのだろうか。時間感覚もなくなった頃。

山田は「そろそろ起きるか」と朝起きる感覚で目を開けた。



そこには白髭面のおじいさんが立っていた。


「ようやく目が覚めたか」


おじいさんは杖のようなものをつき、白いバスローブのようなものを羽織っていた。

「爺さん誰だ?」

「わしか?わしは・・君らでいう神様的存在じゃ」

「なんでそんな自称神様が俺と話してんだ?」


「ぐいぐいくる若者じゃのぉ......いやまぁな。君がいた世界にうっかり雷を落としてしもうてのぅ......それが君に当たったんじゃ、それでこちらの不注意で殺してしまったので、別の世界に転生させようと思うのじゃ」

情報量が多い説明により、山田自身が状態を把握しきれていない中、自称神様を名乗るおじいさんが山田をふと殺してしまったから転生させると言ってきた。

「元の世界に戻すことはできないのか?」

「戻すことはできないのぉ......そういう決まりじゃからな」

少し考え得る山田。

このままどうにかして元の世界に戻ったところで、また不幸が続く毎日。
それならばいっそ転生してもらおうと考えたのだ。



「よしわかった、転生を受け入れるよ」


「え?ほんとにいいのか?いくらファンタジーな世界でも、もう少し悩むところだと思うのじゃが......」

「どうせ未練はないし、もし戻れたとしても不幸が毎日続くのなら変わりはないから」

「そうかのぉでは転生門を開くぞ」


自称神様を名乗るおじいさんは、山田の目の前に転生門を出現させた。

それは円形に青白く光る魔法のようなものであった。

「あっちの世界では剣も魔法もある、多種族も混在しておる。ただお主は不幸に見舞われすぎておるので、ステータスの運気を最大まで上げておくからのぉ......来世で会おう」


山田は転生門の力により、光を失ったのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

落ちこぼれの烙印を押された少年、唯一無二のスキルを開花させ世界に裁きの鉄槌を!

酒井 曳野
ファンタジー
この世界ニードにはスキルと呼ばれる物がある。 スキルは、生まれた時に全員が神から授けられ 個人差はあるが5〜8歳で開花する。 そのスキルによって今後の人生が決まる。 しかし、極めて稀にスキルが開花しない者がいる。 世界はその者たちを、ドロップアウト(落ちこぼれ)と呼んで差別し、見下した。 カイアスもスキルは開花しなかった。 しかし、それは気付いていないだけだった。 遅咲きで開花したスキルは唯一無二の特異であり最強のもの!! それを使い、自分を蔑んだ世界に裁きを降す!

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件

後藤蓮
ファンタジー
生まれてから12年間、東京にすんでいた如月零は中学に上がってすぐに、親の転勤で北海道の中高一貫高に学校に転入した。 転入してから直ぐにその学校でいじめられていた一人の女の子を助けた零は、次のいじめのターゲットにされ、やがて引きこもってしまう。 それから2年が過ぎ、零はいじめっ子に復讐をするため学校に行くことを決断する。久しぶりに家を出る決断をして家を出たまでは良かったが、学校にたどり着く前に零は突如謎の光に包まれてしまい気づいた時には森の中に転移していた。 これから零はどうなってしまうのか........。 お気に入り・感想等よろしくお願いします!!

若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双

たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。 ゲームの知識を活かして成り上がります。 圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。

処理中です...