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第2部

フェーズ9-1

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 私がプレゼントした白いバスローブを羽織って涼がお風呂から出てきた。思った通りよく似合う。色気がだだ漏れだ。
「お揃いのバスローブとは、なかなかエロいプレゼント考えたな」
 バスローブならお風呂上がりにいつも着られるし、自分では買わなそうだから。そして何より、私が涼のバスローブ姿を見たかった。バスローブはペアで買った。一緒に着るほうが喜んでくれると思ったからだ。私もこのあとお風呂に入って着るつもりだ。
「涼、ホテルで着たときに似合ってたから、家でも着られたらいいなと思って」
「彩も似合ってたよ。確かにあの姿が家でも見られるのはいいな」
 作戦成功だ。ペアで買ってよかった。
「やっぱり涼は白が似合うね」
 色は他にもあって、特に黒と迷った。涼は白衣の白のイメージがあるから白を選んだのだ。
「私も入ってくるね」
 自分の分のバスローブを抱えてバスルームへ向かう。その中にあるものを忍ばせて。クリスマスにも着ようとしたのだけど、いまいち勇気が出なかった。今日こそはと覚悟を決めていた。
 お風呂を出て下着を身につける。私の誕生日に涼が勝手に注文したセクシー下着だ。いきなり着て驚かせようと思って、こっそり持ってきた。ブラジャーはいいとして、問題なのは後ろは透け透けでサイドは紐のパンツだ。こんなの今まで着たことがないからどう着たらいいかわからない、なんて言ったら絶対に「俺が手伝ってやろうか」と言い出すに決まってるから黙っていた。パンツを穿いて両サイドを紐で結び終わったところで気がつく。先に片側だけでも結んでから穿いたほうがよかったかもしれない。
 下着の上からバスローブを羽織る。私のは薄いピンクだ。色も着心地もふんわり優しい。それに保温と保湿をしてくれるからこの時期にはありがたいアイテムだ。ただ、バスタオルの代わりなのだから下着の上に着るのはおかしいかもしれない。涼もホテルでは下に何も着ていなかった。でも今日はいいか。
 寝室に入ると、ベッドで本を読んでいた涼が顔を上げた。 
「いいじゃん」
「誕生日だからサービスする」
 バスローブの紐を持って揺らすと、涼が笑った。
「怪我してるときに何度もサービスしてもらったからいいよ」
「それでも今日は特別」
 バスローブをはだけさせ、さっき手こずりながら紐を結んだパンツをちらりと見せた。とたんに涼が顔をにやけさせた。
「鼻血出そう」
 涼がかけていた布団を脇に退けた。私は彼を跨いで上に乗っかった。していることも身につけているものもすごく恥ずかしいけれど、誕生日だから特別だ。
「AV女優みたいだな」
「私は演技してないよ」
 膨れっ面になって抗議する。
「このバスローブと下着が、だ。それにこのエロい体も」
 えろい? 涼が私のバスローブの紐を解く。
「俺だけの専属女優でいて」
 まだ言ってる。
「ピルはもうやめたんだろ?」
「うん」
 ピルはひとつのシートを飲み終えたところでやめた。もう効果は切れているだろう。あとはタイミングと神様次第だ。
「これでデキたら、俺の誕生花の名前でもつけるか。何の花か知らないけど」
「また花の名前。男の子だったらどうするの。あと、チューリップとかカーネーションとかだったらどうするの」
「そうだなー」
 真剣に考え始めてしまった。気が早すぎる。
「っていうか、そんな安易につけないで、願いを込めるとかしてちゃんと考えてください」
「その前に、まだできてもない子どもの名前考えながらするのか?」
「涼が言ったんでしょ!」
「はいはい、ムードとセクシーな下着が台無しだからこのくらいにして」
 ぐるりと位置を逆転させられた。
「私がするのに」
「それもいいけど、このかわいすぎる天使を俺がめちゃくちゃにしたい」
 やっぱり涼はそっちのほうが合ってるかも。だったら私が誕生日プレゼントになろう。涼の好きにしてくれていい。好きにされたい。
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